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【官能小説】戦隊ピンク④テイスト・ピンク
前の話→
「えええっ!?私の登場って第五話なん?」
テレビアカツキの撮影スケジュールを確認していたボブちゃんが、声を上げた。会議室の空気が一瞬ピリッとする。
「そうなんです。五感戦隊セブンセンシズは、ピンクが五人目の戦士として登場するんです。」
プロデューサーが慎重に答える。このプロデューサーはいつも丁寧だ。こういう人、業界的には珍しいんじゃないだろうか。
「最初から全員揃うのもいいんですが、ドラマ性を持たせるために、最後の一人、ワンピースをはめる形でピンクが加わる形にしました。」
「ふーん。そういうことなら、なんか特別感あるわけやし、ええんちゃう?」
ボブちゃんは肩をすくめて笑う。
「ただなぁ、登場が遅いんやったら、それまでにやることいっぱいあるんやろし、できるやろ?」
「もちろんです。ボブちゃんは加入も遅くなってしまいましたからね。やることは唸るほどありますよ。今日から桜庭ねね、そしてテイストピンクの設定を深掘りしつつ、役作りを進めていきましょう。」
ピンクの設定
「では、テイストピンクの設定について説明します。」
セブンセンシズの脚本家とキャラクター設定担当のスタッフが集まり、ボブちゃんに詳細を伝えてゆく。
「ピンクはチームの調整役で、みんなの心をつなぐ存在です。戦隊の仲間たちは個性が強すぎて、最初は全然かみ合いません。」
「ふむふむ。熱血レッド、冷静ブルー、のんびりグリーン、そして癒し系イエローやな。」
「その通りです。桜庭ねねは、そうしたみんなの間を取り持つキャラクター。見た目は物腰やわらかくて可愛らしいですが、芯が強い。まさに森ガールタイプといえますね。そして、自然を愛し、直感で行動することが多いです。」
「なんや、私そのまんまやん。」
ボブちゃんが微笑むと、脚本家は少し気まずそうに答える。
「実は、ボブさんにほぼ当て書きで脚本を書いています。」
「やっぱりな!でも、それなら自然体で演じたらええんやな。」
「そうです。ただ、桜庭ねねは戦隊ヒーローとしての強さも持っています。その部分はスーツアクターとしての動きで表現していただきます。」
「スーツアクターまでやるんかい!大変やなぁ。」
「でもボブさんなら絶対にできると確信しています。身体能力テストもしましたけど、素質としては十分行けますよ。」
「そうなんか~。全然実感ないわぁ。まぁ、任せとき。なんかアレンジ加えたらもっとおもろなるやろし、考えとくわ。」
サービスシーン・更衣室①
撮影開始に向けて、キャストたちの演技稽古も始まる。
初日、更衣室でボブちゃんが着替えをしていると、イエロー役の日向真緒が入ってきた。
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「あ、こんにちは!ピンク役の桜庭ねねさん、ですよね?」
「そうやで。ボブちゃんって呼んでな。よろしくー。」
日向は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になった。
「わあ、私、日向真緒っていいます!イエロー役の風間柚香です。」
「日向さんかー。なんかキラキラした名前やなぁ。」
ボブちゃんがにこやかに話すと、日向は恥ずかしそうに微笑んだ。
「私、実は警戒心強くて、あんまり人とすぐ仲良くなれないんです。でも、ボブちゃんみたいな人なら安心できそう。」
「そうなん?まあ、うちらヒーロー同士やし、仲良うしていかなあかんもんな。」
「はい!これからよろしくお願いします。」
「あ、敬語ななしでええで。それに、真緒ちゃんって呼んでいい?もちろん撮影中は柚香やけどな笑」
二人はお互いの衣装やキャラクターについて語り合いながら、徐々に打ち解けていった。気づけば笑い声が響き、稽古初日から息の合ったコンビネーションを見せることを予感させた。
「私ら、ええコンビになりそうやなぁ。」
「がんばろうね!」
こうして、桜庭ねねとしての一歩を踏み出したボブちゃん。彼女の登場までにもいろんなドラマがありそうだ。
稽古
キャストたちが集まり、稽古が始まる。その中の一幕。
「みんなちょっとストップ!いったん深呼吸しよか。」
ボブちゃん、――いや、桜庭ねね、おっと、今はスーツを着ているからピンクだったー-が手を叩き、不協和音の空気を一変させた。
怪人たちの基地に乗り込んだはいいものの、予想外の仕掛けなどで完全に計画外のルートを進まざるを得なくなってしまった五人。あまりにも状況がまずいため開かれた作戦会議は、レッドとブルーの激しい言い合いで白熱し、イエローが不安げな顔を浮かべ、グリーンはどこ吹く風でのんびりしていた。輝いているものの、バラバラな個性が混じり合う中で、ピンクが自然とチームをつなげていく。
「レッドはみんなを引っ張りたいんやろ?その気持ちはすごくわかる。リーダーやもんな。でも、ブルーの言うことも一理あんねん。わからんことだらけな今の場合、状況を見極めて慎重に進んでいくのも、作戦として重要やからな。」
ピンクは続ける。
「それにグリーンののんびりした感じも、実は大事やで。焦っとるときに落ち着いとる人がおると、全体のバランスが取れるやん?」
グリーンが「まぁね~」とニヤリと笑い、ブルーが渋々うなずく。
「イエローも、心配せんでええ。あんたがいつも明るいおかげで、みんな助かっとるんや。」
「…うん!ありがとう!」
各メンバーのいいところを認め、それを紡ぎ合わせていく。それがピンクのいいところだ。まだ他のメンバーはそこに気づいていないので、筆者がメタくほめてやろうではないか。
「ほんなら、この作戦、もうちょっと全員で考え直そうや。私も一緒に考えるし!レッド!仕切りたのむで!」
「オッケー!じゃあ、改めていくぜ!ブルー!さっきの意見をもう少しわかりやすく頼むぜ!」
「わかった。この状況で、一番僕たちが陥ってはいけない状況は、、、」
彼女の言葉に、チーム全員が再び、前向きに話し合いを始めた。
別に仕切り役をする、とかそういうものではない。メンバーの異なる思いを言語化して、それが同じ思いであることを確認して、つなげていく。一見地味だが、このピンクの働きが、このチームには必要な最後のワンピースだったのだ。はじめはバラバラだったメンバーもピンクのこうした動きによりつながっていき、いつしかそれぞれも自分と相手のつながりを自然と作れるようになっていく。ピンクが5人目としてチームに加わった意味が、この瞬間、形になる。こうして5人は強いチームに進化していくのだが、それはまだもう少し先の話。
「オッケー!」
監督の声が響く。
「いいじゃねぇか。稽古でこれだけいい感じにできるんなら、撮影の時はお前ら、もっと生き生きした感じにできるぜ。いい絵を撮ってやるから思いっきりやりな!」
監督の太鼓判である。
プロモーション用撮影
予定が目白押しである。ピンクのプロモーション写真も撮る必要があるのだった。
ボブちゃんはピンクのスーツを身にまとい、スタジオに立っていた。戦隊マスクは外され、桜庭ねねの素顔がカメラに向けられている。
「なんか緊張するわ~。これ、私の顔が全国区に出るんやろ?」
「そりゃそうだよ!でも、大丈夫。ボブちゃんなら絶対バッチリ映るって!」横で見ている真緒が笑顔で励ます。
カメラマンの合図とともに、ボブちゃんはポーズを取り始める。戦隊らしく、きりっと決めたポーズ、ちょっと笑ったポーズ、どんどん撮影が進む。普段のちょっとどこか抜けたところがある感じからは想像もつかないプロフェッショナルぶりだった。
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最後にはカメラマンからも絶賛の声が上がった。
「すごいな!凛とした中にもかわいらしさがある。これは視聴者の心を掴むぞ!」
「うーん、カッコいい!けど、ちょっと普通過ぎる気もせーへん?」
「普通?」
「そや、例えばこんなんはどーや?」
ボブちゃんはそういって、スーツ姿のまま、両手でハートを形づくったポーズをとった。
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「かわいい!!」
その場にいた全員が、そのかわいさにときめくこととなった。
ボブちゃんのその写真は遊び心満載のショットとして、プロモーション写真に加えられることになった。
サービスシーン・更衣室②
ボブちゃんは更衣室に戻り、ピンクの戦隊スーツから着替えていた。
ちょうどそこに、イエロー役の日向真緒が現れる。
「ボブちゃん、お疲れさま!」
「お疲れ~!真緒ちゃんもな!」
二人はスーツを脱ぎながら、話し始めた。ボブちゃんは白いスリップ姿で、真緒は戦隊スーツを畳みながらグレーのキャミソール姿になっていた。
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「ボブちゃん、すごいなあ。さっきもみんなをうまくまとめてたよね?」
「そんなん、たまたまやって。それに台本がそうやったし。私もまだまだ勉強中やで。」
「なんか、普段からそういうのたくさんしてきたって感じするよ。」
「そういうもんかね。」
「私なんてアイドルの時ピリピリしてたから、みんなと打ち解けるのとか苦手だったんだよね。いつも自分じゃない自分で会話していたというか。でもボブちゃん見てたら、なんか自然体で楽しみながら頑張ろうって思える。」
「えへへ~ 褒められるのうれしーなぁ。」
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ボブちゃんは照れ笑いを浮かべながら、スリップの裾を直した。
「それ、スリップっていうんだよね?初めて見るけど、かわいいね。」
「せやろ?これが私ら森ガールの普段着やねん。」
「レースもついてて、清楚で上品なんだけど、どこか色っぽさもあって、、、」
「真緒ちゃんも着てみる?」
「ええっ!ちょっと恥ずかしいよ~」
そんな軽口をたたき合いながら、二人はどんどん親密になっていく。
最後には大笑いしながら戦隊スーツを畳み終え、軽いハイタッチを交わした。
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ピンクとイエローの仲がいい戦隊は、いい戦隊になる。
次の話→
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作者あとがき
メタ展開というか、戦隊をつくる人たちにフォーカスした感じの展開が続いてますね。 実は、あとで来るえろシーンが不適切連発しまくるので、そのときに「これはフィクションです!」と言い切れるようにと思ってそうしています笑 そんな事情があってそうしているのですが、こういうテイストは見たことがなく、書いているほうとしても楽しいわけです。
それにしても。いつか真緒ちゃんはスリップ姿になる気がしますね笑