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macchiのオーダーフレームロードを買いました
はい。どうもこんにちは。オーダーフレームはいいぞおじさんこと、nYoloです。
今回はですね、表題の通り新車を買いましてね。その紹介をして参りますので、皆様どうぞお付き合いください。
では早速全体像とスペックから。
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フレーム:macchi / Code3 カスタム
フォーク:ENVE / AR DISK FORK with optional fender
ヘッドパーツ:CHRIS KING / Inset8
ハンドル:Vision / Metron 4D Flat M.A.S. ACR 400mm S-Bend
ステム:ZIPP / Service Course SL 100mm 73°
バーテープ:Cinelli / IMPERIAL LEATHER RIBBON
ホイール:Campagnolo / Hyperon Ultra Tubular N3W
タイヤ:FMB / Paris-Roubaix Pro 27mm
サドル:Selle Italia / SLR BOOST 3D KIT CARBONIO SUPERFLOW
シートポスト:EASTON / EA90 AX Dropper post 350mm
クランクセット:Campagnolo / SuperRecord WRL HPPM 45-29T 170mm
ボトムブラケット:Campagnolo / Pro-Tech
チェーン:Campagnolo / SuperRecord
カセットスプロケット:Campagnolo / SuperRecord WRL 10-27T
Fディレイラー:Campagnolo / SuperRecord WRL
Rディレイラー:Campagnolo / SuperRecord WRL
エルゴパワー:Campagnolo / SuperRecord WRL
ブレーキ:Campagnolo / SuperRecord WRL
ブレーキローター:Campagnolo / ROTOR 03
ペダル:XPEDO / M-Force 8 Ti
リアフェンダー:本所工研 / Smooth 41 Black
リアライト:KiLEY / ビンテージライト V2 リア
ボトルケージ:ELITE / VICO carbon, fi'zi:k / BOTTLE CAGE
ベル:東京ベル / TB-510FB3
どーん! ご覧ください!
ハイペロンウルトラ、スーレコワイヤレス、HPPMという現行カンパ三種の神器コンプリートです! これぞ信仰心。
総額? 聞かぬが華よ。
アクセサリー類無し、フェンダー込みでの総重量はほぼ9kgフラットでした。
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今回のニューマシンは次のコンセプトで組み上げられています。
①過酷なロングライド・ファストライドに耐えうること
②現在の主力機OGREと差別化すること
③アクセサリー類の後付け感を極力減らすこと
目指すマイルストーンは『ジャパニーズオデッセイで戦えるマシン』です。ジャパニーズオデッセイで戦えれば大抵のロングに耐えられますからね。ジャパニーズオデッセイに出場する予定は今のところありませんが、いざやろうと思ったときに使えるマシンがあるかどうかは大事です。
◆フレームについて
自転車の大黒柱・フレーム。
AMANDA、OGRE、Equilibriumときて、私にとって実に4本目のオーダーフレーム。もはやオーダーフレームマイスターと言っても過言ではない。齢32でオーダーフレーム4本は我ながら頭おかしい。
オーダーフレーム
— nYolo📛六冠 (@nYolo7900) October 27, 2021
1台目(10年前):逆スローピング
2台目(5年前):ホリゾンタル(円弧)
3台目(2年前):スローピング pic.twitter.com/kRLB3WlTaN
さて、今回選んだ工房は滋賀県の信楽に工房を構えるmacchi cycle(マッキサイクル)さん。東京サイクルデザイン学校第一期卒業生の植田氏が興した、比較的新興のビルダーです。
選んだ理由はいろいろあるけど、ここでは関西圏にあるということと、わがままなオーダーを叶えてくれそうだということを挙げておきます。
オーダーに際して、まずメールで要求したい仕様を全部列挙して問い合わせました。オプションになる項目や想定する付属品、一部ジオメトリの寸法まで。ついでに完成イメージのスケッチも添付して。後日、ビルダーさんから「こんな発注方法をしてきたお客さんは初めてだった」と言われました。確かにユニークな発注方法だと思うけど、これがオーダーフレームマイスター仕草よ……。
さて、私がオーダーフレームにこだわる理由を書いておきましょう。
あくまで個人の意見ですが、フレームが走りに与える影響は
ジオメトリ:6
空力:3
重量:1
だと考えています。数値の根拠はありませんが、感覚的にはこんな感じです。
オーダーフレームはいいぞおじさん活動してると、興味は持ってもフレーム重量を聞いて敬遠する人が多いです。でも重量なんて1です。誤差です。そりゃあフレーム単体で3kgとかになったらさすがに私も引きますが、普通はそんなヘビーはなりませんので安心してください。重要なのはジオメトリです。意のままに決められるジオメトリこそオーダーフレームの真骨頂。
そんなジオメトリ、今作では既存フレームとしっかり差別化してオーダーしました。
macchiのジオメトリがこちら。
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こちらから指定したのはBBドロップ75mmとチェーンステー長420mmで、その他はビルダーさんにお任せしました。
普段ジオメトリなんて見ない人には何がどうなってるのかわからないと思うので、比較用にうちのOGREとEquilibriumのジオメトリも載せます。
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さて、これらの3台はmacchiがエンデュランス、OGREがオールマイティー、Equilibriumがピュアレーサーという味付けになっています。
例えばBBドロップを比べると
75mm > 70mm > 65mm
チェーンステー長は
420mm > 405mm > 403mm
ヘッドアングルは
71.7° < 72.0° < 73.0°
といったように、コンセプトに沿って違いが出ています。このような毛色の違う3台を乗り分けられるようになったのは贅沢ですね。
フレーム素材はカーボンとハイブリッドのクロモリフレームです。
全部クロモリでも良かったのですが、OGREとの差別化として軽量性にも振りたかったということと、あと格好良いからこれを選びました。
カーボンのチューブはグラファイトデザイン製。クロモリチューブはビルダーさんのチョイスでカイセイの4130Rが採用されました。4130Rはカイセイの中では軽量・コンフォートなクロモリチューブです。
思えば、AMANDAでクロモリ、OGREでチタン、Equilibriumでステンレス、macchiでハイブリッドと、オーダーフレーム素材選びやりたい放題してますね。なんなんすかねこいつ。
◆フォークについて
フォークはENVEのオールロード ディスク フォークを採用しています。工具無しで取り外し可能な専用フェンダーが搭載された、稀有なフォークです。
需要が乏しいのか、国内のネットショップでは全く売られていません。おそらく問屋も在庫していないのではと思います。入手困難で、ごく稀にヤフオクに出てくる出物を捕まえるしかありません。ほとんどファーストオーナーのパーツで固めた新車で唯一のセカンドオーナー品です(一応新品未使用品)。
NAHBSといったハンドメイドバイシクルの展示車を見てると、ステムやフェンダーまでカラーコーディネートされた自転車を見ると美しくてたまらないと思ったんですよね。次にやるならこれしかないと思って買ったのがこのフォークです。なので、今回のマシンはフォークから生えたといっても過言ではありません。狙い通り、ペイントは抜群の一体感を発揮したカラーコーディネートになったと自負しています。
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これを使うためにフレームのヘッド規格はHT44になりました。OGREはヘッド規格がインテグラルのワンポイントファイブなので、使用できなかったのです。
◆リアフェンダーについて
フロントにファンダーを付けたなら当然リアにもフェンダーを付けますよね。
というわけで高級フェンダーの雄、本所のフェンダー投入です。
マシンのコンセプトに後付け感の排除を掲げているので、当然の選択です。SKSなどのベルト固定なんて美しくないので。
さて、リアフェンダーで困るのが輪行のときです。輪行のたびにネジを外したりするのは手間です。というわけで納車早々フェンダーをぶった切りました。
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切断位置は、輪行時に地面に干渉しないであろうギリギリのところ。
しかしこれでは雨のときに尻に水がかかってしまいます。なので、雨が確実な場合はフェンダーを延長できるように、まずフレーム側のフェンダーの裏側に面ファスナーを貼り付け、同じく表側に対の面ファスナーを貼ったフェンダー後部を用意して、付け外しできるようにしました。実走に耐えうるかは未検証ですが、上手くいくことを期待しています。
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また、フェンダーにはリアライトを設置しました。キーレイのビンテージライトという、外観にこだわりのあるライトです。マシンの雰囲気を壊さないデザインでありがたいです。結構重量のあるライトですが、フェンダー固定部に近いからかしっかり支えられました。車体の正中線上にリアライトがあると気分がいいですね。
このライト、なんと充電式にもかかわらず86時間の点灯を誇ります。しかもUSB-C対応です。ごめんなさい。microUSBでした。防水設計がIPX2程度と弱いのが玉に瑕ですが、サドル直下かつフェンダー直上に位置しているので雨水の影響は少ないであろうことを期待します。
◆ハンドルについて
OGREからのリピートでVisionのメトロン4Dを採用。
貴重なDHバー一体型ドロップハンドルです。もうこれしか選びようがありません。後付けDHバーで生じていた様々な煩わしさから解放されます。
1ユーロがまだ140円の頃に外通で買いました。今だと買いたくないですね(遠い目)。
◆ステムについて
ZIPPのService Course SLを採用。
長距離なら振動減衰性のあるカーボン製がいいのかもしれませんが、正直あんまり違いが分からないのと高コストすぎると感じること、なにより73°の製品がほとんどなくなっていることからアルミ製のこのステムを選びました。73°ステム、そんなに需要減ったのか……。
ステムはオールペンするのでブランドとか気にする必要はありませんでした。
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◆シートポストについて
続いては本機体最大のセールスポイントにしてアイデンティティーである、ドロッパーシートポスト採用についてです。
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選んだモデルはEASTONのEA90 AX Dropper post 350mm。FOX社から同等品が出ているので、おそらくここからのOEMです。ワーサイで叩き売りされてたので買いました。一年以上前に買いましたが、よほど需要が無いのか執筆現在も同じ価格で売られてます()。
このドロッパーシートポストが市場で最軽量級のモデルです。カタログ重量327gです。もう一度言います。327gで市場最軽量級です。重いです。これに操作レバーとワイヤーも加わるので更に重くなります。定価6万円もするのに! DARIMOのシートポストなら同価格で84gだぞ!
ロードバイク界におけるドロッパーシートポストと言えばモホリッチ選手です。2022年のミラノ~サンレモでドロッパーシートポストを駆使し、圧巻のダウンヒルで掴み取った勝利は語り草ですね。
そのときからドロッパーシートポストが気になっていたのですが、そんな折にカーゴバイクを入手し、遊び心でドロッパーシートポストを取り付けてみたところ、ダウンヒルの安定性が想像以上で驚いた! これは新車にも採用しなければ……。
さて、ロードへのドロッパーシートポストの適用には結構な障害があります。
まず大前提はフレームが真円断面のシートポストであること。そしてドロッパーシートポスト用ワイヤの内蔵工作があること。
内蔵工作が無くともワイヤ外出し仕様のドロッパーシートポストもありますが、ワイヤ用に突起があるのでペダリング中にたまに脚に当たったり見た目も悪いのでオススメできません。カーゴに付けたのがそれなのでわかります。
さらに稼働範囲に障害物となるものが取り付けられなくなることもネックになる場合があります。具体的にはシートポストに取り付けるリアライトや大型サドルバッグが使用不能になります。
ドロッパーシートポストの適用には、これらの制約を許容する必要があります。
メリット/デメリットを整理します。
メリット
・ダウンヒル時の安定性や空力が改善する。
・信号待ちでサドルに座ったまま足がつく(※トラベル量100mm以上に限る。EA90のトラベル量は50mmなので足はつかない)
デメリット
・高価(下は1万円台からあるが、安物は公差などが悪いのかガタツキなどが生じる)
・重い
・ドロッパー対応フレームが必要
・シートポストへのアクセサリー類装着不可
……はい。メリットに対してデメリットが多すぎますね。ぶっちゃけ気でも狂わないとこんなの選びません。流行らないわけです。
しかし! 私は選びます! なぜならサブカルオタクだから! デメリットとほぼ無縁だから!
まずフレームの制約はありません。なぜならオーダーフレームだから。ビルダーさんによろしく言っとけば解決です。
アクセサリー類も問題ないです。大型サドルバッグは苦手なので普段から使ってません。サドルレールだけで取り付けられる小さめのサドルバッグを用意すればOKです(普段はスペアのチューブラータイヤが入る1L前後の容量のサドルバッグを愛用)。
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重いということに関しては織り込み済みなので平気です。たかだか200gちょいぐらい増えたところで気にしません。
高価という点は頭を真っ白にして財布のことを忘れれば解決です。
こうしてドロッパーシートポストの採用に至りました。めでたしめでたし。
◆サドルについて
サドルはいつもお世話になっているセライタリアのSLRより、最新モデルのSLR BOOST 3D KIT CARBONIO SUPERFLOWをチョイス。
これで自分史上4つ目のセライタリアカーボンレールサドルです。どんだけセライタに貢いでんの。
今流行りの3Dプリント座面です。まだ乗り込んでないので真価はわかりません。今後に期待。
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◆ペダルについて
ハンドルと同じくOGREと同じモデルのエクスペドM-Force 8 Tiを採用。
市場で最軽量級のSPDペダルです。定価は285ドル。国内では流通していないので外通で購入。これも1ユーロ140円の頃に買ったので今のレートだと……。
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◆ボトルケージについて
ツールカンを搭載するためにダウンチューブ下にダボを作ってもらいました。オーダーフレームの強みです。ちなみにトップチューブ上にバッグ用のダボは設けませんでした。トップチューブバッグは脚に干渉するのが嫌いなので。
話を戻します。ダウンチューブ下に使用するボトルケージってちゃんと吟味しないとボトルを落としてしまうんですよね。下向きを想定して作られていないボトルケージは多いです。
いままでダウンチューブ下用のボトルケージにはトピークのトライケージを重用していました。これはトライアスロンのサドル後ろに付ける前提で設計されたケージなので、保持力は抜群です。
しかしもっとスタイリッシュなものはないかと物色していた矢先に見つけたのが、フィジークのボトルケージです。
こちらもサドル後ろに取り付ける前提の設計なので、間違いなく保持力は問題ありません。そしてこのデザイン!
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なんと輪っかが地面と水平になっていてとても美しい。良い買い物でした。
◆コンポーネントについて
ここからカンパニョーロのターン!
満を持して投入、スーパーレコードワイヤレス!(デデドン!)
エルゴパワーは親指シフトが無くなりました。従来のユーザーとしては複雑な心境ですが、親指シフトがあったらドロッパーシートポストの操作レバーと干渉して使えなかったはずなので、逆にこれで良かったと思います。
自転車系メディアのレビューではシフトスイッチが固いとか言われていますが、実は私、これが電動コンポ初所有になりますので、スイッチの固さとかそんな先入観はありません。固いとか重いとか別に感じませんでした。人間とは慣れる生き物なのです。
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ギアはフロント45-29T、リア10-27Tをチョイス。
ワイヤレスモデルから採用された、フロント45-29Tという見慣れないギアです。アウター45Tは小さいので、既製品フレームのFD台座では下限でも届かないものがあるらしいのですが、うちのはオーダーフレームなのでビルダーさんによろしく言っとけば問題ありません。オーダーフレームはいいぞ。
この45-29T/10-27Tってどんな構成なんだよと思われるかもしれませんが、実質50-34T/11-32Tと同等です。
自作ギアレシオ表で新旧コンポのギア比を比較(歯数構成は推測)。なるほどねぇ。(45-29/10-25)と(50-34/11-29)はほぼ同じかぁ pic.twitter.com/OnJHUT9hVg
— nYolo📛六冠 (@nYolo7900) May 30, 2023
んで(45-29/10-27)と(50-34/11-32)もほぼ同じと pic.twitter.com/Z8rsCZFqEe
— nYolo📛六冠 (@nYolo7900) May 30, 2023
10-25Tと10-27Tのスプロケの歯数構成はロー側2枚以外は同じなので、信号停止時からの平地スタートのときはロー側3枚目か4枚目を使う私的には10-27の方が適当だという判断でこのようなチョイスです。
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◆パワーメータについて
(主に値段的な意味で)世間を賑わせたHPPMです。
買いましたよ。ええ。私はカンパニョーロ教の敬虔な信徒ですので(喀血)。
高価なだけあって、肌感覚ですが精度は非常に良さそうです。側面積があるので、そのうちステッカーチューンしたいですね。
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◆ホイールについて
復活のハイペロンウルトラ!
なんとチューブラータイヤ対応!
ここのところカンパのハイエンドホイールは2Way-Fitばかりになってしまい、カンパはチューブラーを見捨てたのか……と落胆していたところでまさかのハイペロンウルトラと共に復活! しかも鬼のように軽い。やっぱタイヤはチューブラーだよ兄貴。
自転車の性能は足回りがモノを言う。めちゃくちゃ良く走る。栄えある処女走行に伴わせたFMBの絹ケーシング高級タイヤも相まって、極上の走り心地。そしてOGREよりもルーズな設計にもかかわらずベンチマークにしているヒルクライムセグメントでOGREのタイムを一発で上回っていく性能を見せつけたのは、間違いなくこのホイールによるものでしょう。
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なお、ウルトラロングのためにフロントホイールをハブダイナモの手組ホイールに交換する用意は裏でしております。
◆ファーストインプレッション
乗り味は狙い通り直進安定性に優れたエンデュランサーに仕上がっていました。
DHポジションでわざと雑にペダリングしてみたりしても走行ラインの乱れは少なくまっすぐ進みます。
ハンドリングはOGREやEquilibriumと比べてアンダーステアです。これは狙ってやったものなので問題ないです。Equilibriumはオーバーステア気味ですし。
おかげで高速域でのハンドル操作がしやすくなりました。ドロッパーも加わって、ダウンヒルの安心感が突出して高いです。
BBドロップが低いので重心が低く、車体のロールの動きが抑制されています。これはダンシングのときに顕著で、なんだか固定ローラーでダンシングしているかのような感覚になります。BBが高いEquilibriumでダンシングするときはガンガン振るのに対してmacchiはあんまり振れません。反応もややルーズなので、ピュアレーサーとの差になっていますね。
それでもヒルクライムはハイペロンのおかげで弱点を補って余りある走りができます。
まだアクセサリー類は固まっていませんし、長距離の実走もしていませんが、とりあえずは狙いの性能を発揮しているので満足しています。まずはBRM915の600ブルベ完走が目標です。
フレームバッグもオーダーメイドするつもりなので、今後のマシンの成長もご期待ください。
あ、ちなみにこのマシンの愛称は『オリエント急行』に決めました。どうぞよしなに。
おわり
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