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ヨーロッパで「レシート」、英語でなんて言う?

買い物をすると「レシートはいりますか?」と聞かれるのは、海外生活でも変わらない。
市場みたいなレジを置かずに商売している場所でも限り、だいたい聞かれると思う。


わたしがドイツで買い物をしていると、レシートをドイツ語の「Kassenzettel」とか「Zettel」と言われることが多い。調べてみると「Kassenbon」とか「Quittung」とも言われているらしい。
「Quittung」は聞いたことがある気がするけど、「Kassenbon」はあんまり聞いたことがない。
どれもおおむね「レシート」を指すドイツ語なのだけれど、もしかしたら地域性があるのかもしれない。

最近強い地域性を感じたのはアイスランドの自然。
景色のバリエーションが多かったです。


「地域性」と思うのにはちょっとした理由がある。
ヨーロッパを旅行すると、各国の現地在住の人が英語で接客をしてくれることがあるのだけれど、そのときに言われる「レシート」に相当する英語がちょいちょい違うのだ。


ドイツは「レシート」が多い気がする。
英語で聞くときは「receipt」、ドイツ語で聞くときは「Kassenzettel」や他のレシートに相当するドイツ語というように、言語をあまりまぜこぜにしないところも面白い。

英語が外来語として、そのままドイツで一般化している言葉はたくさんあるのけれど、そういうもの以外、あまり混ぜない。
「トゥギャザーしようぜ!」みたいな英語ドイツ語混合の文章を作るのは、語学学校でドイツ語を学ぶ人からしか聞いたことがない。

ドイツには英語力が高い人が多いので、混ぜて話す必要があまりないのかもしれない。
ドイツ語が通じるならドイツ語で話せばいいし、英語で話したほうが良いときは全部英語で話せばいい。日本のように会話の中に英語を入れたところで、日本語と英語ほどの差異もないから、目立つこともないのもあるだろう。むしろ、ごちゃごちゃしてわかりにくいのかもな、と思う。


一方フランスはレシートを「チケット」と聞かれることが多い。
語尾の「ト」がない「ティケッ」みたいな発音だ。
初めてフランスへ行ったとき、空港の店員さんに「Ticketはいりますか?」と英語で聞かれて「チケット?」となったのを覚えている。

わたしは最初、聞き間違えたかと思って、航空券なしでも入れるエリアにいるのに、ここでもフライトチケットを求められている?と慌てた。
それに気づいた店員さんは、レジの脇に伸びた紙を指さして「Ticket?」と聞いてくれ、やっとそれがレシートを指す言葉なのだと理解した。

動揺しながら手に入れた、戦利品のサラダ

あとで調べてみたら、英語の「ticket」がフランス語化して乗車券などのほかに、買い物などでもらう日本で言うところの「レシート」にも「ticket」が使われているらしい。
ちなみにイギリスに行ったときはレシートを「ticket」で聞かれたことはなく、わたしが聞かれた限りではだいたい「receipt」だった。

おそらくこの「ticket」は、フランス語化した英語。日本風になった英語を「和製英語」というように、フランス風になった英語、「仏製英語」みたいな感じのようだ。

それを知ってか知らずか、英語でのやりとりにこの「ticket」を混ぜ込むところもちょっと面白い。
日本ではわりと普通のような気もするけれど、今は言語を混ぜない世界線(ドイツ)で暮らしているから、よりそう思うのかもしれない。

この混ぜ方は英語力云々というより、国民性や気質みたいなところもあるような気もした。


そしてさいごに、スペイン・イタリア・クロアチアなど、ヨーロッパの広い地域でたまに聞くのは「コピー」だ。
店員さんが「Copyはいりますか?」「Copy?」と英語に混ぜ込んで聞いてくる。

とくにクレジットカード決済を使用したときなどに聞かれることが多い気がしている。もしかしたら、「控え」要素が強いレシートに使われることが多い。
こちらも最初なんのことかわからなくて、フランスと同じようにクレカ決済の端末のレシートが出る部分に手を添えながら「Copy?」と聞かれて、それがレシートを指す言葉なのだと理解した。


非英語圏を旅していると、英語で会話してくれていても、こういう単語の端々にその国の個性や地域性みたいなものが滲んでいることがある。
レシートにみたいな単語に限らず、この国だとこの英語の言い回し多いなーとか、そういうのも出逢う。

多分その国で使われる言語と近い使い方ができるとか、その国の英語教育で重要視されている文法や言い回しだとか、なにかしらの理由があるのだろう。
そういうのをみていると、一言に英語と言っても、いろんな英語があるんだなと思う。発音だけじゃなく、使う単語やフレーズにも国民性が出るのだ。


先日アイスランドのホテルのカウンターでも興味深い英語に出逢った。
そこのホテルにはサウナがついていたので、夫が「サウナは水着の着用が必要ですか?」と英語で聞いた。
するとホテルの方がこう返事をした。


「お客様のプライベートな部分は、すべてカバーされる必要があります」


直訳するとこんな説明の仕方だった。
つまり水着(やもしかしたらタオル?)の着用を求めていて、全裸禁止ということだと思うのだけれど、この言い回し、すくなくともわたしには思いつかないと思った。
どうやら夫も同じことを思ったらしく、二人で「あの言い回しすごいな」とひとしきり盛り上がっていた。
アイスランドはLGBTQ+フレンドリーな国としても知られるので、そういう部分に配慮された回答だったのかもしれない。


レイキャビクにはこんなストリートも


英語の地域性というと、発音の仕方(訛り)みたいなところに目がいきがちだ。
でもたぶん発音以外にも、選ぶ単語や言い回しでも、その人のバックグラウンドが思ったよりも出ているんじゃないかと思う。

よわよわ英語スキルしか持たないわたしですら気づくのだから、きっとネイティブの方やもっと英語が話せる方も感じているのかもしれない。


今回はわたしが実際に言われた、ヨーロッパ内の「レシート」を指す英語をまとめてみた。
それぞれの国に数日間しかいたことがないので、現地にお住まいの方や度々訪れている方は「この国ではこんな言い方もあった!」という情報をお持ちの方もいると思う。
そういう情報をお持ちの方は、ぜひ教えていただけると嬉しい。
「レシート」を指す英語、案外奥深いかもしれない。


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ニョコロ*
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