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HARRY'Sの買収発表を受けて

今日は、Schickで知られるEdgewell Personal Care社に13億7,000万ドル(約1,500億円)で買収されることが明らかになった、ひげ剃りのD2C「Harry's」についてです。

Harry'sとは?

Harry'sは2013年に創業したひげ剃りのD2Cスタートアップで、女性用ブランドの「Flamingo」も展開しています。創業まもなく、93年の歴史を持つドイツの老舗工場を買収しました。「自社で製造を管理することの重要性」について創業者が語っている興味深い話は、こちらの記事にまとまっています。

ひげ剃りのサブスクモデルということで、先日紹介したDollar Shave Clubと比較されることも多いですが、いろいろと戦略が異なります。下記の記事に、Harry'sを語る上で欠かせない要素「創業者の存在(共同創業者の一人が、Warby Parkerの共同創業者の一人)」「こだわり抜いた商品作り&ブランディング」などの話がまとまっています。

私も2年ほど前に体験記を書いているので、よろしければ合わせてこちらご覧になってみてください。Harry'sが過去にオープンしていたオンライン予約制の床屋の写真(外観)も掲載しています。

Dollar Shave Clubはスタータープランの価格設定が変わりましたが、久しぶりに見たらHarry'sも変わっていました。以前は、初回時は送料分として3ドル支払うだけで本品は無料、2週間後から定期購入開始(15〜35ドル)でしたが、今は送料は無料ですが、初回時に本品代として8ドル(13ドルから5ドル分ディスカウント)が発生。約2週間後に以下3つのプランの中から定期購入を始められる、というモデルになっています。

以前から大手小売店との提携を進めてきたHarry's

Harry'sは以前から自社のECサイトだけでなく、アメリカのWalmartやTarget、イギリスのBootsなど大手小売店と提携するなど外部にも販路を広げています。

今日Kips Bayというエリアに新しくできたTargetに立ち寄ったら、ひげ剃り売り場の上約半分をHarry's製品が占めていました▼

冒頭で触れた女性用のシェーバー「Flamingo」も置いてありました▼

今回の買収についてはいろいろなところで紹介されていますが、「Harry'sの買収が小売業者にとって意味すること」というRetail Diveの記事が興味深いです。

自社でSchickというメジャーブランドを展開してきたEdgewellですが、小売販売をメインにしてきた同社にとって、Harry'sのようなD2Cブランドが持つ顧客との直接のつながりと、それによって得られる貴重な”消費者データ”を取得できるというメリットは計り知れません。

Harry's側も巨大企業の傘下に入れば、これまで以上にビジネスを拡大できるチャンスが広がります。

記事のなかでは、D2Cビジネスに詳しい方が「D2Cビジネスにおける頭打ち」について、「これまでどの企業も、買収や小売流通なくしては、年間売上高5億ドルを超えることはできなかった」と、D2Cブランドは、より大きなプレーヤーによる買収、または小売業者との提携による後押しが必要だと言及しています。

But retailers maintain a significant amount of power, according to Profitero vice president of strategy and insights Keith Anderson, who said that DTC brands like Harry's inevitably hit a growth ceiling and need the boost from an acquisition by a bigger player or a tie-up with a retailer. "None of these companies has been able to exceed 500 million in annual sales without being acquired or having some retail distribution," he said in an interview.

サブスクモデルのD2Cブランドが小売店で取り扱われるメリット(定期購入するほどでもないけれど、すぐ買いたいという顧客への販売機会を得るなど)や、大手企業に買収されるD2Cスタートアップに起こるかもしれないリスク(スタートアップ各社の持ち味を生かせなくなる可能性もあるなど)についても、記事には書かれています

Harry'sの創業者二人は今後、Edgewellのエグゼクティブチームに加わり、米国の共同責任者としても活動していくそうです。発表があってから数日後に届いたメルマガの一部にあった「私たちはどこにも行きません」という一文が印象的でした。何か大きな発表があったときでも、こうして顧客に対して語りかける姿勢はすごくD2Cブランドらしくて素敵だなーと思います。

HEYDAYとのコラボマスクを試してみました

ここからはオマケですが、パーソナライズドフェイシャルスパのHEYDAYとHarry'sがコラボした、メンズ用フェイスマスクを試してみたので、超簡易レビューをお届けします。化粧品の成分などはあまり詳しくないので、感想レベルです。

Glossyの記事によるとこちらのコラボ製品は、Harry'sの製品カテゴリを増やすことと、HEYDAYが自社製品を提供するにあたってのテストという位置づけで限定販売したようです。現在はHarry'sのサイトでは取り扱い終了、HEYDAYサイトではSOLD OUTとなっています。

週に1〜2回使用するこちらのクリームタイプのマスクは、顔に塗ってから5〜10分ほど置いたままにして、洗い流します。

洗い上がりはサッパリと気持ちいいんですが、匂いが…ちょっとキツイ…! よくあるタイプの男性用(おじさん向け)整髪料の匂いが、顔一面に広がります。そして、それがしばらく顔に残ったまま取れません…! 男性用マスクだからあえてその匂いをセレクトしたのかもしれませんが、個人的にはあまり好みではなかったです。

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