見出し画像

わたしだけが特別な日に邪悪な勢力が攻め込んできた

春すぎる。
気温は20度を超え、太陽は微笑み、道に花まで咲く始末。
スプリングハズカム。

さて、わたしは2週にわたる休日出勤を終えた。
休日出勤すると太ってしまうこと、30円値引き未遂による胸の痛みなど、多くのことを学んだ。

こんなに学びを得た上に、平日に振替休日を取得することができる。
やすこは、この平日の振替休日、通称「振休」が大好きだ。


わたしだけが世界でいちばん特別

本気でそう思えるくらいの優越感。
みんなが働いている平日に、わたしは何をしてもいい。普通の土日よりも、浮かれポンチ度が高くなる振休。
何をして過ごすか、コーヒーを落としながら考える瞬間は、しあわせの絶頂かもしれない。

みんな今ごろ電話に出たりしているのだろう。
「お世話になっております」って既に6回くらいは言っているのだろう。
わたしは、きょう1回も言わないし何してもいい。
天気が良いから、久しぶりにお外にウォーキングに行こうか。
晴れの・平日の・振休の・午前中。
空が飛べるくらい好きな組み合わせだ。


空は飛ばなかったが踊りそうになった

冬の間はジムにお世話になっていたが、お外で歩くのが好きだ。
川の音、木の香り、葉っぱの匂い、太陽の光に、風が吹く。
気持ちが良すぎて、ラ・ラ・ランドやマンマ・ミーアみたいに突然踊り出しそうになった。

帰り道、どうしても我慢できず近所のパン屋さんに寄り、事もあろうにマリトッツォを購入したが、それもよい。

わたしだけが特別な日は、ここまで完璧だった。


忍び寄る邪悪な勢力

帰宅してシャワーを浴び、パンをかじり、いよいよ踊ろうかという頃。

くしゃみが出た。

そういえば心なしか、目もかゆい。
パンは美味しいし、海外ドラマの先は気になるし、このあとは洗濯物畳んで資格のお勉強もする。
余計なことは考えたくない。

と思っているそばから、くしゃみが出る。

くしゃみが出ると目を瞑る。ドラマの字幕が読めなくなってしまう。

と思っているそばから、くしゃみが出る。なにこれ。

くしゃみを「」で表すならば、
字幕が読めなくなってしまう英語が分かればいいのに!!ああ!!

活字にするとものすごい英語圏コンプみたいになるが、これはくしゃみ。
アレルギーなのか、花粉なのか、邪悪な何かがやすこを蝕んでいる。

洗濯物を畳みながらも、邪悪さはどんどん増す。
くしゃみに加え鼻水も垂れ、まぬけ感も増してきた。

結局、病院に向かうことに。
「わたしだけが特別な日に、病院なんて」と悩んでいる間に夕方になってしまったが、行きつけの耳鼻科の若先生は伝説のスピード診療。

が、この日は見たことないくらいの大混雑。
待たされすぎて不機嫌になっちゃってるお母さんに、キッズたち。
いつも全てが15分で終わるのに、1時間待ちという。
みんな、邪悪な勢力にやられたに違いない。

待合室もパンクした伝説の耳鼻科を諦め、きょうは薬局で我慢しようと引き返すやすこ。
とんだタイムロスに挫けつつも、邪悪な勢力に侵されし我が鼻腔を助けたい。その一心で辿り着いた薬局で、驚愕した。

花粉の市販薬って高いんだね

知らなかった。ぜんぜん知らなかった。3880円とか書いてあった。これで効かなかったら泣くと思った。
社会保険の偉大さに放心し、別の病院へ向かった。

近所にできた新しい病院は、おしゃれなソファーが並んでいた。
座った瞬間、伝説の耳鼻科で待たなくて良かったと思った。

先生もとても優しい。
「お辛そうなので、今すぐ飲めるお薬にしましょうね」

すき。

本気でそう思った。


病院を出たら、外は薄暗くなっていた。
気が付けば、仕事の定時17:20をとうに過ぎている。

わたしだけが特別な日は、終わってしまった。

わたしだけが特別な日は、鼻たれ花粉症アラサー爆誕の日となったのだった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?