目指せ!ES#008:午前問題解説(PWM)
午前問題解説(2023(R5)年度秋季ES_午前2_問10)
問題文全文は,IPAが発表している過去問題をご覧ください.
(https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/2023r05.html)
「DCモータにおけるPWM制御方法はどれか」という問題です.
DC(直流)モータは直流電流を流すと回ります.電流を流している間回り続け,回転数はモータに加える電圧である程度変化します.
PWMは直流定電圧をパルス波にし,そのデューティー比(ON時間とOFF時間の比)を変化させることで「見かけ上の電圧」を変化させる手法です.したがってDCモータ制御に用いた場合「モータに加わる電圧を変化する」目的で使用することになり,結果的にモータの回転数を変化させることが可能です.
DCモータは電流が流れている間回り続けるため,単体で回転角度をコントロールすることはできません.コントロールが必要な場合は別途ロータリエンコーダなどの角度センサと組み合わせて制御回路を作る必要があります.
同じモータでもステッピングモータは与えるパルス数で回転数や回転角度を制御できますが,ステッピングモータとDCモータは別物ですし,ステッピングモータの制御にPWMは関係ありません.
従って答えは
「エ パルスのデューティー比によって,モーターの回転数を制御する。」
です.
午前問題解説(2021(R3)年度秋季ES_午前2_問11)
問題文全文は,IPAが発表している過去問題をご覧ください.
(https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/2021r03.html)
「PWM(パルス幅変調)で変調された信号をアナログ電圧として復調する回路はどれか」という問題です.
選択肢はすべて抵抗(R)とコンデンサ(C)をT字型に接続したRCフィルタになっています.
PWM変調をした信号は,電圧のH/Lが激しく入れ替わるパルス波になっています.ここから高周波成分を取り除き,低周波成分のみを残すことで電圧の変化がゆるやかになり,平均電圧が取り出せるようになります.つまりPWM信号の復調には「ローパスフィルタ」が必要になります.
選択肢のうちRCローパスフィルタになっているのは
「ア」
の回路です.
イの回路はハイパスフィルタになっており,真逆の働きをしています.ウの回路は分圧回路になっており,波形はそのままで全体的に電圧が低くなります.
執筆者
N.Y.City(山口直彦)
工学院大学学生職員、組み込みエンジニア、専門学校HAL東京(先端ロボット開発学科)教員を経て、現在東京国際工科専門職大学(情報工学科)助手。プログラムや電子回路、産業用ロボット教育等に従事。その他、音楽情報科学研究、文筆業、ラノベ研究や発達障害者支援、写真等も。
主要著書
『コンピュータの動くしくみ(電子書籍再刊)』(秀和システム,2019年)
『小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー』(青弓社,2020年)
Web連載「イメージでしっかりつかむ信号処理」(APS-WEB,2023~)
より詳細なプロフィールはWeb(N.Y.Cityのまちかど)へ。
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