カバ

麗香/セレブ 20

今日は、日本の30~40代向け女性ファッション誌、『アッディーオ』の取材だ。

私は、“海外で、女の幸せとキャリアの両方を手にした素敵なワーキングママ”、特集のインタビューを受ける事になった。(本当は素敵なワーキングママじゃないけど、断りきれずに、この話しを受けてしまった、でも悪い気はしない。)

今、私は青山のカフェで、2階のガラス越しの席に座っている(せっかく青山に来たから、帰りにコム デ ギャルソンにでもよって帰ろう。)。左手には少し前に交換した名刺が握られている。(編集の方の名字は白石さんね、ホワイトストーンね、白い石みたいな顔の白石さんの方が覚えやすいか、、)

編集の白石さんが、トイレから戻って来たら、インタヴューが始まる。 


「さっそくですが、名前と年齢をお伺いしても良いですか?」

私は、麗香 フェルナンデス 片岡です。 年齢は40歳です。


「ニューヨークへ渡るきっかけと 現在のお仕事は?」

私は、ファッションフォトグラファーを目指して、22歳の時、ニューヨークへ渡米しました。(本当は、実家が病院で、私も医師を目指していたけど。4年の浪人生活の末、諦めてNYに住み始めた。試験に落ちた後は、プライドがずたずたで勉強机の下で椅子に顔をうずめて悔しくて泣いてボロボロになってた、日本にもいたくなかったし、そんな時、母親が海外にでも行けばって勧めてくれて、、、さすがに医学部って、どれだけ実家にお金あっても入れないのねって、あの時、世の中の厳しさを噛み締めた、、フン)


「なぜ、ニューヨークへ? 憧れのフォトグラファーがいらっしゃったんですか?」

ファッションフォトグラフィーの勉強をしたくて、パーソンズに通い始めました、好きな写真家は、ファインアートのロバートメイプルソープ、ファッションですと ヘルムトニュートン、Steven Meiselを敬愛しております。(本当は、そんなに興味なかったけど、ニューヨークに行くなら、なんらかの理由が欲しかった、で、住み始めれば、ファッションやファトグラファー、みんなの憧れの仕事で、なにかしらやりたい事みつかるだろう、そのぐらいにしか考えてなかった、パーソンズの学費は高いけど、私の両親なら余裕で払えるし、うち地元では富豪だし)


「以前からファッションのお仕事に興味があったのですか?」

ニューヨークに来る前は、医師を目指していました、あっ、全然、余裕で医学部に入学できたんですよ、ただ、急にそこに対して興味が無くなってしまって、そして、ある日とつぜん、天からのお告げっていうんですか?、ファッションに目覚めて、それで、どうしてもニューヨークでファッションフォトグラフィーを勉強したくなって、そして、パーソンズへの進学を決めたんです。 (医学部に入れなかったんだよ、わりーか! 2人姉妹で長女の私は、両親からの医者になって欲しいってプレッシャーをずっと背負って生きてきた。妹の櫻子は、親からのプレッシャーも無いし、羨ましかった、ギャルやってたり、彼氏もいつも途切れずにいたし、短大に通って、合コン三昧、こういう時、ほんと頭悪いって、うらやましいと思う。医学部に受かったって6年の後、国家試験だよ!、櫻子なんてそんな事すら知りやしないんだから、)


「学校を卒業されてから、どのように現在のお仕事につかれたのですか?」

パーソンズを卒業後、某有名ファッション フォトグラファーのアシスタントを経て、(本当は、3ヶ月で辞めたけど、、、あのフォトグラファー有名だけど、めっちゃオネエで、クソ意地悪だったし、仕事中も裏で葉っぱ吸ってるし、辞めて正解。) 現在は、フリーランスでフォトグラファーをしております。そこそこ忙しくさせて頂いてますよ。でも、お仕事と育児との両立って本当に大変ですよねぇ、、日本の仕事のオファーもたまにお受けしています、この間、、えぇ、たしか、あの、日本のマガジン、名前なんでしたっけ、、、ごめんなさい、お仕事の本数こなしすぎて、ちょっと忘れてしまって。(本当は、フォトグラファーだけでは食べて行けなくて、母親から月に180万円、仕送りしてもらっているけど)


「インタヴュー中に申し訳ないのですが、忘れる前に、先ほど1枚頂いたんですが、もう一人の担当の物にも渡さないといけないので、もう一枚、お名刺を頂いてもよろしいですか?」

あ、えぇ、少しお待ちくださいね、、、(カバンの中の名刺入れを探る振りをしながら) あぁ、すみません、名刺切らしてしまっていて、お渡しさせて頂いたのが最後の1枚でした、ごめんなさいね、、プロとして失格だわ、私とした事が。(そもそも、今日、ここへ来る途中に、電車の中で名刺入れを忘れた事に気がついた。最近あまり仕事もしてなかったし、あの名刺がたまたま財布に入っていた最後の1枚だった。  あっ、そういえば、一枚カバンの底の方で見かけた気がするけど、、、でも、なんかわからないカバンの底のカスとかが付いてそうだから、無かった事にしておこう。)


「麗香さんの ファッションのこだわりは?」

ファッション関係の仕事をしている友人達が多くて、母親になった今でも服装にはとても気を使っています。(そんなに友達いないけど、ファッションの学校に行ってたから安い服なんか着れない。パーソンズは桁外れに金持ちのご子息ご令嬢が世界中から集まっている学校だったし、クラスメイトには、韓国の財閥の娘や、中国の家具の会社の息子もいた。オイルマネー、クウェート出身のクラスメイトのコンドミニアム(タワーマンション)に招待された時なんて、ジャクジーはあったし。パーティーにはベリーダンサー呼んでたな。)

普段は、モードなブラックの服を着る事が多いですね、仕事柄。私が被写体ではないですから私自身は目立たない様に努めています。。  こだわりと言えば、身長があまり大きくないので、髪もタイトに縛り顔が小さく見える様に、自分を俯瞰で見た時にバランスがよく見える様に心がけています。今日のコーディネートは、この黒のボトムはThakoon、トップスがアレキサンダー ワンで、あぁ、そういえば、彼もパーソンズ出身ですから、私の後輩にあたるんですよ。(アレキサンダー ワンね、まったく科も違う、若いし、面識も無いし、見た事もない)。


「今日履いてらっしゃる靴も素敵ですね。」

えぇ、この靴はセリーヌです。全然、素敵じゃないですよー。コンビニ行くとき用の靴です。もっと良い靴を履いてくれば良かったわ。(今シーズンのセリーヌだぞ!)


「そのバッグはどちらのですか?」 

あ、これ? これはGivenchyです、ぜんぜん古い型ですよ、こんなのオムツ入れだし。(どこかのタレントもオムツバッグにシャネルのバッグ使ってバッシングされてたけど、Givenchyなら嫌みじゃないでしょ? 私ってセンスいい。)


「メイクのポイントなど、ありましたら、お聞かせください。」

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