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【ロトの紋章】幻魔剣を使う剣王キラというキャラに対する疑問


またもロト紋記事である。

大好きな漫画ロトの紋章
しかし、文句がでてくる。

気がつけばこのブログ、ロトの紋章の考察をしているつもりが悪口ばかりになってしまって反省しているが、今回取り上げる内容に関してはルナフレアの死にも関係しているので、ルナフレアファンである私と、今だにルナフレアが死んだことが悲しい人のためにも文句ばっかりになってしまうが語りたいと思う。

それはキラというキャラの問題。

キラはアルスの幼少期の頃からの親友で、勇者と共に戦う聖戦士「剣王」の血を引くアルスの右腕のような存在なのだが、

私はキラを信用していない。
初めて読んだ子供の時からなんかモヤっとしているのだが、キラはアルスの親友というキャラを演じているだけの人にしか見えないのだ。

主人公以外は全員役者という
「トゥルーマン・ショー」という映画があるが、キラはあの映画に出てくる偽りの親友なんじゃないかと思うぐらい違和感がある。

キラは幻魔剣を使うべきなのか?

子供の時に読んでいてた頃からなんかモヤっとしていたことをついに大人になって言語化できるようになったわけだが、

まずキラが幻魔剣を使うのがなんかちょっと違うなと思う。

呪いの武器をなんの代償もなく使いこなすというのはあまりにも都合が良すぎるし、ルナフレアを死に至らしめた技をなんの疑問もなく使い続けることに私は憤りを感じる。

原爆被爆者の前で日本も核武装すべきだ!と平気で言っているような感じに見えてしまうのだ。

そりゃ魔王軍を倒すためなら綺麗事言っていられないだろうが、アルスの前でルナフレアを死に至らしめた技を使うことに葛藤を感じて欲しい。

少年漫画にそんなこと突っ込むのは野暮かもしれないが、それでも納得できない。


だってルナフレアは死んでるんですよ!!!!


そして幻魔剣を習得した際、衝撃波を二重に発生させたが、結局それは隼の剣の性能によるものだし、キラが特別成長してその技が使えるというわけではない。

あともっと突っ込むと、幻魔剣は平常心を保たなければ使えないとのことだが、技を覚えた時のキラはどう見ても激情にかられているように見えるのだがいったいどうなっているのだろうか?


そして、キラの隼の剣をどうやって呪いにかけたのかも謎である。


育ての親はどうでもいいのか!?終盤のカザーブでの疑問

ロトの紋章20巻 122と123ページ

自分ではラスボス相手に足手まといになると悟った終盤、
ヤオと2人でキラは新婚生活をするのだが、
いや、お前育ての親のギランに会わないのかよと、しかもあまりにも偶然にヤオに星降る腕輪をくれたエルフと出会い説得されアルスの元に戻る決心をするのだが、

いやこいつじゃないだろと。

2人はカザーブでいちゃついてないで、アッサラームでギランに会ってそこで何かエピソードが展開されるべきで、そこにたまたまあのエルフも現れるとかならいいかなって思えるのだが、

ルナフレアのことについて何も思わず
タルキンのことも忘れ
育ての親のギランを放置したままにしている

そして思い出はアルスのことばかりな割にはルナフレアを死なせてしまった技をアルスの前で平気で使い続ける、、

そんなキラという恩知らずなキャラを私は好きになれないのです。

そんなに血が繋がっていることが大事なのか?

ギランに対する裏切りは終盤に始まったことではなく、
幻魔剣を習得する際、剣王の里で本当の両親と兄のサーバインと再開するが、そこでこれが本当の幸せであるかのような、育ての親のギランを完全否定するかのようなセリフを言い出す。

ロトの紋章6巻105ページ

いや、別に何か言いようのない幸福感を感じるのはわかるのだが、育ての親のギランのギの字もキラの頭の中に出てこないというのはいかがなものか?

ロトの紋章3巻113ページ
キラのこの時のセリフはいったいなんだったのだろうか?

キラはギランに虐待されていたのでしょうか?
ルナフレアに酷めに遭わされたのでしょうか?


キラにとってギランやルナフレアはどういう存在だったの?

キラってついさっき自分の兄貴なんだと知った人物の死には号泣するのに、10年一緒に仙人の里で暮らし、剣の師匠でもあり、親友のアルスにとって大事な存在であるルナフレアが死んだことには全く涙を流さないのだけど、、、(というか全く絵が出てこない)

なぜ?


ギランという血の繋がっていない父親は運良く生き延びたのにルナフレアは死んでしまった。
しかもルナフレアを殺してしまったのが実の兄貴であるわけだから、あの時のキラの立場はとても複雑であっただろう。


心の整理のためにアルスとは別れて自分の生まれ故郷に旅立つのはすごく、わかる。

アルスから離れたい1番の理由は「罪悪感」によるものだろう。自分は全く悪くないとはいえ、それでも自分の兄がやってしまったことであるわけだから、このままアルスと一緒に旅をするのはなんか気まずいはずだ。


私が子供の頃、友達が家に遊びにきた際に友達が勝手に冷蔵庫を開けていたと私の母親に勘違いされ、しかもその友達の両親に母親が電話をかけて注意する自体になったのだが、その友人は親にこっぴどく怒られたらしい。

私も悪くないし、友達も悪くない、、

だが、このことについては今だに私の心に重くのしかかっている事件なのだ。友人がいまだに私の母親を恨んでいるのかと思うと贖罪の気分に駆られる。


そんなことでさえずっと心に影を落とすのである。


キラはもっと辛いに違いない。


でも自分の生まれ故郷でそのキラの葛藤が描かれるのか?というと、、、


ない。

キラの心にあるのは、相手が敵なのか?味方なのか?であり、魔王軍の作った幻ではなく自分の本当の家族なんだと感じた瞬間に心を許すのだが、


ギランやルナフレアのことについてはなんの引っ掛かりもなく話が進み、

いつのまにか本物の家族の愛を求める旅のようになってしまっているが、そんなに仙人の里ではキラは愛情不足だったのだろうか?

ロトの紋章6巻126ページ
キラの両親はあの世で見ていた限り、ギランの子育ての仕方に不満があったようだ。

むしろ、ここは実の両親に恩返しのようなことが出来ることに喜びを感じて欲しいのだが、、それで幸福を感じているなら理解できるのだが、全くそのような感じには見えない。

ちなみにこれは2巻の蜃気楼の塔で両親の幻と対峙したアルスにも言える。だいたいなんでアルスもカダル様もカーメン王らの顔は知らないはずなのに幻が出せるんだと更なるツッコミがあるが割愛する。

話を戻すと、
仮に幽体として復活した兄のサーバインに再開したとしても、あくまでキラにとっては彼はルナフレアの仇であってほしかったのだが、ルナフレアの名前を言うことすらない。

キラっていったいなんなのだろうか?
それでアルスの親友と言えるのだろうか?


私はルナフレアはサーバインではなくジャガンに殺された方がこの漫画にとってよかったと思っているのだが、

ジャガンではなく、サーバインにルナフレアを殺させてしまったこの作品の過ちがキラのキャラ造形にも響いてしまったとすごく思う。

ルナフレアをサーバインに殺させてしまったせいで、このキラというキャラの立場を真面目に考えると、かなり描くのが難しいキャラにしてしまい。とても大きな矛盾を生んでしまった。

ロトの紋章6巻128ページ


あとサーバインの術によってキラの本当の両親や剣王の里の住民を一時的に復活させることができたということのようなのだが、

サーバインよ、そんな術が使えるならまずルナフレアに謝ってください。

キラもそこ突っ込んでください。サーバインは地獄へ行くのだとしても、ちゃんと謝りもしないというのは地獄へ逃げているだけといえなくないでしょうか?

そんな術が使えるならちょっとだけルナフレアを生き返らせてくれてもええやろ。せめてアルスのところへ行って謝罪してから地獄へ行ってくださいというか、サーバインはあくまで操られていただけなわけだから地獄へ行くほどなのか?


あと天国と地獄の概念があるとするなら、ドラクエの世界には善悪を決める閻魔大王のような存在でもいるのでしょうか?という疑問も発生してしまう。


ドラクエの世界には創造主がおられるんだっけか?それがルビス様なのか私はよくわかっていないのだが、ドラクエ7では神様が出てきたそうだが私はやってないのでよくわからない。

ロトの紋章6巻73ページ


とにかくこのロトの紋章という作品において、あの世がどうなっているのか?誰がこの世界と人間を作ったのか曖昧なまま話が進む、あと海王リヴャイヤサンの回で命あるものは生まれ変わるという概念も登場するのだが、作中生まれ変わったのは海王リヴャイヤサンだけなので、死んでいったものたちがどうなるのかよくわからないのだ。

冥界でアルスとルナフレアは再会するが、ルナフレアはいずれ生まれ変わるまであそこで暮らしているということのなのか?


なので生と死を作品の中で扱っているのだけど、死後のサイクルについて曖昧なままなので、それがこの作品のモヤっとしてしまう原因になっていると思う。ドラクエ世界の設定にも関わることなので踏み込みずらいというのもあるだろうが、踏み込んで欲しかった。


キリスト教においては、イエス・キリストを信じたものが新たな命を得て天国へ行くとされる。
この作品の主人公アルスはイエス・キリストをある程度モデルにしていると私は分析しているので、よりキリストの要素をキャラクターに入れればよかったのになと思う。

つまり、勇者アルスを信じたものは新たな命を得るという展開が必要で、ラストはそんな感じにはなっているのだけど中途半端にしか人が生き返らないので、すごいモヤっとするのだが、
(なんで最後ルナフレアたちは生き返らんねん)

サーバインを救済するための展開もお話の中で必要だと思うのです。

だから、サーバインが冥界からちょっとだけ生き返る術があるなら、アルスに謝罪するためにちょっとだけ生き返り、それがあったから最後ちゃんと生き返るという展開も必要だったと思うのです。じゃないとかわいそうだよね(笑)

後半の冥王ゴルゴナ戦でそのチャンスがあったと思うのだが、全く描かれなかった。サーバインは人気なかったのだろうか?


キリスト教ぽいものを描いておきながら生まれ変わりがあるとしてしまった矛盾が、作品に悪い影響を与えてしまったように思う。


キラの限界を感じる決定的一言

ロトの紋章7巻186ページ
とってもカッコよく描けてて好きなのだが、、

そして、グノン戦で再登場する際の
「戻ったぜ親友!!」

というセリフも違うと思う。
このセリフにキラというキャラの限界を感じてしまうのだ。


アルスの大ピンチの時にカッコよく登場してくるキラのセリフなのだが、

この後のキラの活躍はとても素晴らしく、私の細かい文句をすっ飛ばすぐらいカッコいいのだが。

ここは

「戻ったぜ、兄弟!!」

って言って欲しかったなと思う。

ロトの紋章1巻84ページ
タルキンのセリフからアルスとキラは兄弟のようなものと読み取れるのだが、、


大事なことって血が繋がっているとかそういうことじゃないと思うんだよね。 
サーバインが本当の兄貴だとしても、数日しか過ごしていないわけで、数日しか過ごしていない相手を兄と認識できるなら、ずっと一緒に暮らしてきたアルスって親友止まりなのかよと、私は思ってしまう。


なんだかんだ言っても自分にとっての父親はギランであり、アルスは自分の弟のようなものなんだと、その整理がついたからアルスの元に戻ってきて欲しかった。

ロトの紋章一巻69ページ
この絵が家族の絵に見えるのは私だけか?キラにとっては偽りの家族でしかないようで悲しい


そして、幻魔剣というルナフレアを死に至らしめた技をなんの疑問もなく使うのではなく、幻魔剣を超えた何かを習得して欲しかった。


1巻のカダル様の蜃気楼の塔での修行の際、キラはただの剣を静なる闘気で光の剣に変えた。
あの奇跡はなんだったのか?

呪われた武器を使うのではなく、呪われた武器を静なる闘気で変えて欲しかったと思う。
(もっと言うと静かなるではなく、聖なる闘気であればよかった)

破壊の剣あたりがいいだろうか?
とにかく、隼の剣とキラの静なる闘気によって生まれ変わった呪われた武器の二刀流という、幻魔剣を使い続けるより遥かにかっこいい展開もあったと思うのだが、

そう、言うなればドラクエ2の裏技で有名な
「はかぶさのけん」である!!

そうでなかったことが残念である。
(もしかすると、作中のあの呪われた隼の剣はその意味合いがあったかもしれない)

ちなみにこの漫画において幻魔剣によって致命傷を負ったのはルナフレアだけなのである。それ以外は別に幻魔剣だからキャラが死んだとか、幻魔剣だから敵が倒せたということは全くないのだ。

つまり設定上ルナフレアを殺すためだけの技でしかないのである。悲しすぎる。

と、まぁ文句ばっかりになってしまったが、
ルナフレアが死んだことが、やはり私は悲しいのです。その悲しすぎる原因の一つにこのキラというキャラの造形の矛盾が関係しているのだと思います。

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