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ルナフレアはなぜアルスを愛したのか?

なぜルナフレアにとってアルスは宝なのだろう?

カーメン騎士としての務め、父親の死を無駄にしたくない。世界の運命がかかっているから、、

だからアルスを愛しているの?というのでは、それは愛とは言えないような気がする。アルス自身を愛しているわけではない。

しかし漫画ではアルス自身を自分の本当の子のように愛しているように見える。


タルキン曰く

いつしか、、本当の孫のように、、

長年アルスの教育係として過ごすうちに、そのような想いに至るのも無理はない。ルナフレアも同様だろう。

しかしそれよりも前に、ルナフレアがアルスを宝と呼ぶほどに愛するに至る決定的な場面が1話にあると思う。

ロトの紋章1巻

赤子のアルスを救出し、命からがら魔王軍の追っ手から逃げるルナフレア達だったが、砂漠で遭難してしまう。

そんな絶体絶命の中、
ごめんなさいもう歩けません。ルナフレアは心の中で叫ぶ。

しかし、もうダメかもしれないというときに赤子のアルスは顔色ひとつ変えなかった。
それがルナフレアを救ったのだろう。

この子はやはり普通ではない特別な存在。

こんなところでアルスを死なせてしまうというルナフレアの罪悪感からアルスは顔色ひとつ変えないことで彼女を救った。

つまりルナフレアはアルスから『許された』のだ。それがルナフレアがアルスを愛した最大の理由ではないだろうか?

なんだか聖書のこの箇所のようなものを感じる

イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。

マタイによる福音書9章2節

父やタルキンには心の中で謝り続けているが、なぜかアルスに謝ってはいない。それはアルスにルナフレアは許されていることを表しているのだろう。

この描写は
勇者を『力』だけではなく、人の『心』を救う特別な存在として描いたことに成功していると思う。スペックだけ高ければ勇者とは呼べないのだ。


おお、、さすがこの漫画は聖書から何かを得ようととしただけある。もっとこの「愛と赦し」の要素に焦点を当てればもっといい作品になっただろう。


一話のこの描写はめちゃくちゃ好きだ。あと聖なる名を与えられた勇者が赤子でありながら聖なる力に目覚め、ルナフレアを助ける描写もめちゃくちゃいい。


もしかしたらルナフレアが砂漠で死にそうなときに、赤子のアルスが笑うという描写も入れるともっと分かりやすくて良かったかもしれない。

グノン戦の時にみんなの前で笑ったように。

こういった描写に戦闘能力だけではない勇者たらしめる何かがあるわけで

アルスがなぜ勇者なのか?
勇者とは?

勇者というすごく抽象的で難しい存在を表現する時に、やはりルナフレアは最大のキーパーソンだと思いました。

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