ロトの紋章 ルナフレア問題について② 彼女はジャガンに殺されるべきだった?
ルナフレアは死に場所を間違えた、、
と久々にロトの紋章を読み直して思った。
久々に読むロトの紋章は懐かしい想いを思い起こさせるとともに、
細かいところで色々気になる作品だった。
まぁ、30年前の作品を今更どうのと言ったところでしょうがないのだが、
今の感覚で読むと言葉足らずな感じがした。
話のテンポはいいのだが、心理描写が足りなかったり、辻褄が合ってないところが多いように感じる。
けど藤原カムイ先生の絵がうますぎるせいでつい納得させられてしまう。画力の暴力だねこれは。
子供の時は画力の暴力で納得させられていた部分も、大人になると疑問点が色々出てくるんだなとしみじみ思った。
それでもルナフレアの死はやはり悲しい。
あまりにも上手く描きすぎているが故に、、、
美しすぎる、、が故にノスタルジーと相まって心が掻き乱される。
この辺の生原稿はいつか見てみたい。
ルナフレアの死というのは物語上とても重要だ。
それは主人公のアルスがなぜ魔王軍と闘う気持ちになれるのか?なぜ強くなろうとするのか?という動機づけになるからだ。
なので育ての親の一人、というかほぼ母親(私はもっとさらに深い関係だと思ってるが)であるルナフレアが死ぬことはアルスが魔王に挑むために必要なことなのだ。ドラクエ4におけるシンシアのような役割なのだろう。
しかし、、だからと言ってサーバインに殺されなければいけなかったのだろうか?
殺されなければいけないキャラとしてはサーバインはそこまで重要ではない。
だってサブキャラのお兄ちゃんやで??
アルスともルナフレアともなんの因縁もないキャラに殺されて、、いいのか?
キラに馬子にも衣装と言ったバチでもあったのですか?それほどの罪なことだったのでしょうか?
という疑問がめちゃめちゃ湧いてきた。
ていうか3巻の戦いで美形女性キャラが死んで、アルスたち以外で生き残るのおっさんとジジィ2人ってどないなっとんねん(笑)
エンタメ的にもそれでいいのか?と突っ込みたくなる。
ドラクエ5の話をすると、
パパスはゲマによって殺されたのだが、おかげでゲマはラスボスよりもキャラが立ってしまったことで有名だ。
しかしロト紋ではせっかくキャラとして立った敵役がすぐ死んでしまうので、読者はやり場のない想いに浸るしかない。これもルナフレアが死んで悲しすぎる原因の一つだろう。
せっかく重要な人物が死んだのに、充分に物語を動かす原動力になってないのだ。
ルナフレアが殺されなければいけないキャラ
それはサーバインではなく「ジャガン」ではないだろうか?
ジャガンは主人公に名付けられるはずだった呪われた名前を授かることになった、もう一人の勇者の子孫である。
ロトの紋章は魔王軍が勇者を魔王側に引き入れようとする話から始まるのだが、生まれたばかりの勇者に「ジャガン」という呪われた名前をつけ、魔人王に仕立て上げようとする。
しかし主人公はルナフレアらの活躍によりそれが阻止され、アルスという聖なる名を授かる。
そこで魔王軍は血を分けた別の王家の子供、本来はアランと名付けられるはずだった赤ん坊に呪われた名を与え、魔王側に引き入れることに成功する。ジャガン(アラン)にしてみればアルスの身代わりになってしまったのだ。
呪われた勇者であるジャガンは、勇者でありながら魔人というとても厨二心をくすぐるいい設定のキャラなのだが、この二人の勇者がバトルすると考えるととてもワクワクすっぞ〜って思うんだけど、
実際戦ってみるとそこまで面白くない。と言うか、何回か戦うのだが初戦しか面白くない。
実はあんまり2人が闘う理由がないから面白くないのだと思う。
例えば
会ったこともないキラキラネームのいとこが地元で暴れ回っている話を聞いて、あなたは気にするのだろうか?
会ったこともないいとこはあなたにつけられる予定だったキラキラネームをつけられてしまったわけだが、あなたはただ自分がそうならなくてよかったと思うだけではないだろうか?
気の毒だけどできれば関わりたくないと思うだけでは?
実はアルスとジャガンの関係はそんな感じなのだ。
アルス側にしてみればいずれ戦わなくちゃいけないんだろうけど、あんまり戦いたくない相手でしかないし、
ジャガンも作中では戦いが起こる前になにかアルスに恨みがあるかのような描写がない。
なぜか急に10巻で殴り込みにくる。
なんか腕試しにくるといった感じだろうか?
ふたりにはただ役割があるだけで、強い動機がない。そんな二人の関係で戦っているから、なんかイマイチ盛り上がってない気がする。
呪われた名を与えられた勇者
ってだけでキャラ立ちしてそうだが、
戦う理由がお互いに弱いせいで、なんか子供が喧嘩をしているだけに見えてしまうのだ。
初戦は仮面ライダーごっこでどっちがいいおもちゃ持ってるかみたいな印象しか今見ると受けなかった。
そのせいか、初戦はまだジャガンの圧倒的スペック自慢で読者を惹きつけられたけど、二戦目からはなんかようわからんキャラになってしまったように見える。
結局、あまり関わり合いたくない地元で暴れ回っているキラキラネームのいとこというキャラ立ちしかしてないからだろう。
あまり関わり合いたくない地元で暴れ回っているキラキラネームのいとこ
から
どうしても闘わなければいけない宿敵!
にならなければいけない。
そのためにはルナフレアはジャガンに殺さなければいけない。
なので最初のジャガン戦はなるべく前半に持ってくるべきであり、10巻でやっと対決は遅すぎる気がする。
もうサーバインと一緒にアッサラームに来たらよかったのではないだろうか?
サーバインはジャガンの剣の師匠で〜、、
一緒に勝手についてきてーみたいな
で、ジャガンの心情としては、
本来つけてもらえるはずの名前をもらっていないんだから、自分の人生を弄ばれている感じがなんか許せないってあると思うんだよな。
これは作中でも語っているので、
まずそういう気持ちがベースにあり、
ハカイダーやロールパンナみたいに
善の心と悪い心をもっている不安定な存在で、
自分は本当はどっちなのか?という葛藤を抱えているわけだ。
で、なんか自信がないんだと思う。
10巻で急にジャガンが殴り込みに来たが、
ベースにあるのはこの辺なのだろう。
で、10巻で急に来るぐらいなら、3巻で急に来いよと思う。行儀良く真面目に地上侵攻作戦やってんじゃねーよ。魔王城の窓ガラス壊してまわった〜ぐらい魔王軍の意に沿わない反抗的なことぐらいやって欲しいものである。
で、だいぶ後に描かれていた人を殺せないってことで悩むのもポイントだと思うんだけど、それは親父を殺せたことで解消し、ついでにロトの装備も呪われましたってとこはすごく納得できるんだけど、
基本受け身だから、ずーっと与えられた宿題を解いているだけの悪ぶってるだけの実は素直な良い子キャラにも見えてしまう。
だから家出の時期もあっていいのではないだろうか?だから、そういう家出の時期に、剣の師匠のサーバインの任務に無理やりついてくるみたいなさ、サーバインよお前は人間なのになぜ人が切れるのだ?みたいな通り魔研修を自ら受けにきてもいいのでは?
おー、なんか綺麗に繋がるからやっぱこの子連れ狼コンビよくないか?
よくよく漫画を見ると同じピッコロ服を着ているので、もしかしたらその設定は考えられていたのかもしれない。なんかの事情で後出しなったのかなー?
それ故に何か歯痒い。
ちなみにアッサラーム編というのは
大人2人では勝てない悪のケンオウに対して、
子供勇者と子供ケンオウ2人なら勝てました。
という話なんだけど、この対立軸もバランス悪い気がする。
だから新米魔人のジャガンが加わった方がバランス取れないだろうか?そっちの方がバトルとしても絶対面白い気がする。
ルナフレア&アルス
VS
サーバイン&ジャガン
という師弟コンビ対決も見てみたい気がする。
ジャガンに本気でルナフレアを殺されたら読者的にもマジで許せなくなるので、あくまでジャガンがアルスを殺そうとしたらルナフレアがアルスを庇って身代わりになったみたいな散り様のほうが美しいのではないだろうか?
ガンダムでアムロがシャアを庇ったララァを殺しちゃうやつをやれば良いのだ。
事故死的な感じでルナフレアが死ぬ
ジャガンはルナフレアを事故的なものとはいえ殺してしまったので、魔人よりに傾き親父も殺せて、呪われたロト装備もゲットだヒャッハーでいいのではないだろうか?
アルスの方はロトの面汚しとかそんなことよりも、ルナフレアを殺したお前だけはぜぇぇぇったい絶対ゆるさーん!!!!となれるし
絶対に許すことのできない宿敵から
なんとか協力関係になって真のボスの異魔神を倒すという話にした方がドラマとしてはおおいに盛り上がると思うのだが、
本編はお互いを絶対に許すことができない、、
とまでなってないというか、段取り芝居で喧嘩してる感じがある。
だってジャガンはほんとは異魔神のことをよく思ってないなら、わざわざアルスを倒す必要がないし、倒すことにこだわる必要もない。異魔神から権力を奪うために、アルスを利用した方が利口だろう?
アルスにつけられるはずだった名前を与えられたせいで、自分の手で自分の親父を殺してしまったことに対してアルスに恨みを持っているのかもしれないが、悪いの異魔人じゃんてなるし、
そもそもこの漫画は異魔人に逆らったらどうなるのか?が描かれていないのだ。
呪われた名前によってどう支配されてるのか?がよくわからないのでジャガンが戦う理由がわからない。
アルスの方は
ジャガンはロトの血を汚したやつだから許せない、、みたいなこと言うんだけど、
うーん、それ本当にアルスの言葉なのかな?
なんか無理やり言わせてるような気がする。
アルスはそんなに権威主義的な人間なのか?
まぁでもある意味勇者としての洗脳教育を受けていそうだから言ってもおかしくはない気がする。
でも、やっぱ無理やりアルスとジャガンを戦わせるために作った言葉な気がするんだよね。
3巻まではそのモチベーションでジャガンとは戦える気がする、だってまだ子供だから。
やーい変な名前ー的なやつで
この作品の後半、作り手はアルスという主人公を描くのにめちゃめちゃ苦労した様子を感じる。その原因のひとつがやっぱジャガンとアルスを早めに会わせなかったことだと思うんだよね。
なぜならアルスにはルナフレアがいたが、
ジャガンにはルナフレアみたいな人はいなかった。
2人の違いはこれでしかない。
だから因縁を絡めるならジャガンにルナフレアを殺させるしかないと思うんだけど、
戦わないにしても、面談ぐらいはさせたい気がする。ルナフレアとジャガン、2人が一体どんな会話をするのか見ものである。
なのでなんかルナフレアは無駄死にした感がすごいので、これが今だにルナフレアが死んだことが受け入れられない原因なのかと思う。
ああ、、なんか好きな漫画だから分析したはずなのに文句ばっかりになってしまった、、、
それほどにルナフレアというキャラに私は魅力を感じていたのかもしれない。
サーバインに殺されるぐらいなら、
ルナフレアずっと生きててよー
と久々に読んで思いました。
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