つながり、学び合う場をデザインする:社内ディスカッションイベント運営のふりかえり
GxPのやすば(@nyasba) です。
本記事は 🎅グロースエクスパートナーズアドベントカレンダーその2🎄 10日目の記事です。
グロースエクスパートナーズグループでは、中核となる子会社の株式会社GxPを中心に、GDDという全社的なディスカッションイベントを月1回開催しています。チーム・組織を横断した自由な意見交換・学び合いができ、仕事の中でつながりがない方ともつながることができる貴重な機会となっています。
2023年10月に運営方法を大きく見直して1年経過しましたので、運営として対応してきたことをふりかえってみます。
過去の経緯
その前提として過去の話を少しだけ。
2019年ごろから株式会社GxPは、チームでの開発を進めてきました。チーム開発ではチームの中にノウハウが閉じてしまいがちで、チームを横断したノウハウ共有が課題でした。そこでGDD(GxP Domain Discussion)という場を通してチーム間の交流を促し、各個人についても同じ役割の人と知見を深めてもらおうとしました。
2020年から開始し、約70名程度のエンジニアは全員参加です。運営側(主にマネージメント層)が手厚く段取りを整える形をとっており、あらかじめ決められたテーマごとに参加者をグルーピングし、参加者が自身の事例・体験を1セット3回( = 3ヶ月)の中で共有し、学び合っていました。この時点では、会社主導での勉強会のような位置づけで受け入れられてきたように感じます。
グループ全体を対象として再始動
その後、2023年の子会社の合併に伴い、1️⃣参加対象人数が増える(100名超え)、2️⃣エンジニア以外も参加する、ということから、目的・運営方法を一から見直しました。
再始動にあたって考えたことは大きく3点。
(1) 話したいことを話したいときに話せる場を作る 💡
それ以前は、話したいことがあってもテーマが事前に決まっていて、今困っていること・今話したいことをタイムリーに共有することはできませんでした。思いのある人が話したいことを話したいときに話せることでアイデアや思いが盛り上がり、加速していくことを願って、テーマも直前までエントリーができるようにしたいと思いました。
(2) 仕事に関係ない話でも、つながりができたらよい 🤝
技術的なお悩みは確かに大事ですが、そうそう毎回ネタがあるわけでもありません。それ以前の運営でも毎回似たような話になってしまいマンネリ感があるというアンケート結果が定番でした。
それに加えて、今後はエンジニア以外も対象となることから、敷居を下げて仕事以外のテーマも取り上げられるようにし、まずはこの場に継続的に参加していただき、GDDが継続していくことを優先しました。
(3) 運営の手間を減らす ⌛️
再始動にあたって「意思決定を素早くするために、運営を絞って考えようとした結果」と言えば聞こえはよいですが、つまり運営が自分1人だったからです。同じ立場で考えてくれる仲間はそのうち出てくるか・・と思って、再始動をすることを優先していました。
個人的には、事前に段取りを整えすぎなくても、その場の熱量が集まれば価値のある場にはできるはずだという思いもあり、まずは1人だとしても何か動いてみよう!と思ったら、1人のまま1年経過してしまいました。それでもなんとか継続できているので、やればできるものです😁
GDDの目的
これらを踏まえて最終的に決めたGDDの目的は以下のとおりです。
1つ目はそれ以前のGDDから継続している目的ですが、2つ目3つ目を追加しました。
どのように運営しているか
運営方法は、OST(オープン・スペース・テクノロジー)をベースにしています。
参加者の方には自主的に議論に参加してもらい、特に大きな制約を設けず、その場の価値を最大化するように取り組んでもらいたいので、あまり事前に運営が決めてしまわないように注意しています。
OSTの中で発生するそのときその瞬間の熱量・勢いが非常に組織運営には重要で、GDDでもそのような思いが大きく盛り上がっていくようにできればと考えています。
イベント準備から実施、クロージングまでの作業は大まかにこういう流れになっています。オンラインでの開催になるため、物理的な準備作業は特に発生していません。
メイン作業は声かけです📢
広くテーマを集める(Confluenceにページを作って各自がテーマのタイトルや内容をエントリー)
参加者が興味のあるところにエントリーする
テーマの発案者含めて、3名集まれば開催とする。Max10名を目安とする
時間になったら共通のZoomに集合
テーマごとのブレイクアウトルームに分かれて実施。終わり次第、自然解散(枠としては1時間)
内容はConfluence(またはMiro)でメモを取りながら残しておくConfluenceに感想を共有
どんなテーマで開催されているのか
過去に開催されたテーマもいくつか紹介します。つい覗いてみたくなるようなタイトルのテーマもあるかと思います。そんなくらいの温度感のほうがよいのです。
技術系
チーム運営系
顧客対応系
仕事の進め方、目標設定、自己啓発
マネージメント系
コミュニケーション目的
イベント企画・意見収集の場として
その他
参加者の声
概ねポジティブな反応をいただくことが多いと感じていたのですが、客観的な声としてまとめるためにアンケートを取ってみました。(回答数:38名)
GDDが開催されていて良かったと感じること(複数回答可)
学びが得られる、視野が広がる、コミュニケーションができる、などGDDの目的とも一致していました。
GDDの参加を他の人に勧めたいか
ネット・プロモータ・スコアは残念ながら低く出ました。毎月参加している人であっても、GDDに対してネガティブな人も一定数いるようです。集まったグループでうまく会話が盛り上がっていかないケースも中にはあるため、うまく活用できている方ばかりではないということのようです。
ポジティブコメント
他部署の社員と話す貴重な時間なので今後も継続して参加していきたい。
他部署とのコミュニケーションや、普段あまり仕事でかかわらない知識などに触れる機会はよい。
議題の範囲が広い(技術以外もある)ため参加しやすくてよい。気軽に興味のある話を聞くことができてよい。
自分が参加していないテーマについても話した結果がConfluenceに記録されているため、あとから確認できるのが嬉しい。
自分より職位が上の人から、会社が今考えていることを知るチャンスになっている。
今後の改善点
アイスブレイクが長すぎて(35~40分程)本題が話せないことがある
テーマを出す人がファシリまでしなければならないのは気が重く、テーマを出しにくい
想定された人数で人が集まるようなテーマの絞り込みが難しい。
ファシリテーターが明確に決まっていないので、最初にぐだぐだしてスムーズに進まない
運営として
事前準備が進まない問題
一番の課題はこれです。テーマが出ない、テーマが出ても参加が決まらない。
そのたびにSlackで全体に声かけはしているのですが、半数くらいがイベント開始直前に駆け込み・・😢
テーマを出すと自分がそのグループをファシリテートしなければいけないのだという点が一番の課題のようです。直近では、テーマ募集の匿名フォームを作り、アイデアだけ投稿できるように改善をしたら毎月数個はテーマが出るようにはなってきました。
テーマが記入された状態で声をかけると「これに参加しようかな」と具体的なイメージも湧くので、徐々にエントリーも増えていきます。
このように事前準備の時点では運営として「うまく場が作れるかな?みんな積極的に参加してくれるのかな?」と不安に感じているのですが、実施後には今月もやってよかったなぁと思って、翌月の開催に向けたモチベーションが復活しています。そしてこういうつぶやきをするまでが定期😆(これはテーマの投稿フォームを導入する前のつぶやきです)
まだまだテーマ出し以外にも課題は多くありますが、「GDD改善に向けたふりかえり」もGDDの1テーマとして開催して、色んな意見が得られたので少しずつ改善していっています。テーマの投稿フォームもそこで出たアイデアです。
最後に
運営の愚痴が多くなってしまいましたが、今のGxPに対してこういう全社的なイベントは必要だと感じているので当然ですが続けていきます!!参加者各個人の月報などでGDDでの学びについて触れられていると、密かに喜んでいたりします😏
GxPの場合は社長や経営幹部も気軽にディスカッションに参加していますので、経営層と意見交換する機会があるというのもかなりの魅力なはず!!
個人としても、よい知見が得られてすごくありがたかったこともあります。参加してくれる方がつながりでも知見でも何かが得られる場であればよいと思いますし、そういう場にできるよう引き続き工夫していきます💪
GDDには自分自身も恩恵を受けてます。これはUIフレームワークで良いものがないか探していたときに shadcn をフロントエンジニアの方に教えてもらったとき。