ふつうのエンジニアがVPoEになるまでの3年間の取り組み
はじめまして。株式会社GxPのVPoEに就任しました@nyasbaです。
自身のやってきたことの整理してアウトプットしておきたいと思い、noteに書いておくことにしました。
実は就任したのは2018年11月のため半年も前なのですが、まずは就任に至った経緯から書いておきたいと思い、入社から3年間の取り組みを書くことにしました。
だれ?
@nyasbaといいます。
2015年12月に新卒から働いていた会社を退職して、グロースエクスパートナーズ株式会社にエンジニアとして入社しました。
前職ではユーザ企業にてJavaのアプリケーションエンジニアとしてDDDやスクラム開発を中心に取り組んでいました。モデリングを重視する風土で育ったこともあり、さらに幅広い業務範囲でアーキテクチャ設計にも取り組みたいと思い、転職を決意しました。
入社
グロースエクスパートナーズは当時SI事業を担当する部署とアーキテクチャの部署があり、アーキテクチャに関する部署にジョインしました。いわゆるハイスキルなエンジニアがSI部署のチームに横串で支援するような立ち位置の部署です。
事業的に工数の範囲内で案件を前に進めることが重視される考えの中で、改善活動に対する取り組みが非常に難しいなと感じたことをよく覚えています。お客様への説明やスケジュール、品質管理、収益管理など、自社サービスのスクラム開発の現場とは大きく違いました。
その中で自分が楽しく仕事をして成長していくために何ができるのだろう、という点を考え、いろんなことに取り組んできました。
ふりかえりワークショップ
1つ目はふりかえりの定着です。前職にて、エンジニアが主体的にふりかえりをすることで組織が変わってきた実例を見てきた自分としては、まずはふりかえりの文化を作りたいと思いました。
現場が考える、現場が改善する、ことで組織は活性化します。この当時は自分も現場のエンジニアですので、「組織をよくしたい」という視点ではなく、「改善するという姿勢があったほうが自分にとって得られるものが多く楽しい」という意識だったと思います。
そこで月1回実施されていた事業部会でふりかえりのワークショップを実施したいと上司に相談しました。事業部会は、SI部署・アーキテクチャ部署共同での80名程度が出席するミーティングで、事業報告や事例紹介を行う場です。意味のある場だと理解しつつも、個人的には閉塞感を感じていましたので改善のきっかけとして活用してみようと思いました。
2016年3月の事業部会で、全員が理解できる「事業部会」自体をテーマにしてKPTのワークショップをしました。具体的な内容は割愛しますが、「普段話さない人と話ができたことがよかった」という意見が多かったことは印象に残っています。KPT自体は半数以上の人が手法としては知っていたようですが、活用できていなかったということは後から知りました。
感想の一部です。
今考えると、これにより社内での自分の立ち位置が定まっていったように思えます。
Techtalk(社内勉強会)
次に、Techtalkという社内勉強会を企画しました。前述のふりかえりワークショップにて、「事業部会はもう少し事業に沿った内容にシフトしよう」という方向性が出たため、技術的な共有の場がなくなったことが個人的には非常に残念に思いました。そこで、もっといろんな技術的な話を聞きたいという個人的な好奇心から、2016年8月からTechtalkという社内勉強会をエンジニア組織の中で部署を超えた勉強会を立ち上げました。
最初は、会社が派遣したイベント(de:codeやAtlassianSummitなどの有償イベント)の参加報告を中心に取り上げることで、会社として必要なことを行なっているという立ち位置を明確化しました。
さらに、ランチの時間に実施することで「業務時間内に勉強するのか」という暗黙のプレッシャーも回避し、グレーゾーンで始めることにしたのが立ち上げに成功した秘訣ではないかと思います。
最初の1年間は自分のみで運営を行いました。自由参加ですが、常時20~30名程度が参加してくれました。半年ほど経過したころに役員からも活動が認められ、グループ会社が経営する紺や(和食)やGRILL KONYA(肉バル)の弁当を無償提供できるようになりました。
2年目には「Techtalkの今後」を考えるワークショップを行い、運営メンバの立候補を募集して運営しました。その際、自分は一歩引いた立ち位置に変えて組織的に継続できることを意識して関わりました。
3年目になったころに運営メンバの世代交代についても考え、若手エンジニアなど新メンバも勧誘しました。ただ、運営方法や内容が徐々にマンネリ化してきたため、現在は一旦中断して6月からのリニューアルを企画中です。
こういう活動は自分(もしくは特定の個人)がいなくなってても継続できるかが一つのポイントだと考えて活動してきましたが、時間の経過とともに組織に定着してきた実感があります。
マネージャー
Techtalk立ち上げと同じくして、2016年9月にマネージャーになりました。前職では管理職という役割にあまり魅力を感じられず、エンジニアとしての成長を考えて転職したのですが、半年も足らずしてマネージャーになっている自分がいました。
アーキテクチャ部署でのマネージャーだったため、事業的な面よりはどちらかというと、新規案件の立ち上げ・既存プロダクト開発のモダン化、などがミッションとなります。個人レベルで見るとエンジニアとしての仕事と同じですが、他のエンジニアも含めて推進する権限と責任が生じたことが大きな違いだと感じていました。
マネージャーに推薦いただいたのは、業務と技術などバランスを取りながら並行して案件を対応する力を評価いただいたのかなと思います。その結果、エンジニアとしてではなくスクラムマスター的な立ち位置で関わることも多くなりました。SI部署の若手エンジニアと一緒に案件対応する機会も増え、社内の様々な案件の開発プロセスやチームの形に触れました。
SI業界ではよくある体制だと思いますが、役割分担が明確に分かれ、工数ベースでの人をアサインする方法は効率的に案件を対応できますが、助け合いがしにくく全体を把握できる人がリーダのみになるというデメリットがあると思います。個人やチームの成長も考えた時にこれでよいのか、という課題意識がこの頃から自分の中で次第に大きくなっていきました。
新しいチームの形を模索
そういった課題感から、2017年9月に新しいチームを立ち上げました。4人のチームで小規模な複数案件をチームで対応することを基本として、
1. 顧客と対話をする
2. 習慣的なふりかえり
3. チームのプロセスを確立する
ことなどを意識して取り組みました。
小規模案件を複数担当するとどうしても非効率な部分が目立ちます。お客様の都合により案件が左右されることもあります。その中で、AさんはB案件担当と役割分担をしてしまうと元通りですので、案件状況と各個人の成長のバランスを考慮して、その場その場で判断しました。
メンバは入れ替わりつつも1年程度はこの形でのチーム運営を行いましたが、残念ながら案件都合により当初目指していたチームの枠は維持できなくなりました。体制が入り組んだ形になってしまいましたが、チームのメンバの中での基本的な考え方やプロセスは共有して、それぞれの案件推進を行う形に落ち着きました。
今後のチーム開発基礎を固める時期だという考えのもと、現実的な折り合いがつけられている状況は一部満足していますが、結果が出せたとは言い難いですので、この反省を活かして今後も取組みは継続していくつもりです。
会社分割
2018年11月にグロースエクスパートナーズはホールディング化され、従来のSI事業を継承する形で株式会社GxPという(紛らわしい名前の)子会社ができました。アーキテクチャ事業はコンサルを中心にグロース・アーキテクチャ&チームスという会社として始動することになりましたが、自分自身は開発組織をよくしたい、チーム活動を重視してエンジニアの成長を考えたいという思いが強く、株式会社GxPでやっていく決意をしました。
2018年前半は自分の部署に所属するメンバの退職があり、マネージャーは向いていないのかなと考え出していたところでしたが、考えもしないSI事業の本部長を「You、やっちゃいなよ」という雰囲気(笑)で任せてもらいました。
なぜこの役割を担当しているんだろうという思いがある反面、自分自身でも横串で活動できることにも限界を感じていたため、権限と責任をバランスよく与えていただけたと時間が経つにつれ、納得してきたことをよく覚えています。今後、会社が大きくなるためには若手エンジニアの成長が必須だと考えて活動していたことを、社長にも共感していただき、自分に託していただけたのかと感じています。
VP of Engineering
本部長にはなりましたが、VP of Engineeringになってくれと言われたわけではありません。新しい組織に関しての思いをまとめる際に、自分自身の立ち位置やミッションを考えたところ、VP of Engineeringという役割が最適だと感じたため、「VPoEやります!」と自ら宣言して就任することになりました。そう名乗ることで自らの存在価値および責任を明確にした意図もあります。
その後のVP of Engineeringとしての活動は別記事でまとめようと思いますので今回はここまでです。
まとめ
3年をふりかえると立場や役割は違いますが、目指していたことは同じだというのがわかります。昔から自分で引っ張るタイプのリーダーシップは苦手なのですが、自分が最初に取り組んで、やり方を共有し、組織に定着させるということを地道に活動してきた結果が少しずつ現れているように感じています。
内向きの活動を重視しているのであまり外に出れていませんが、考えていることをここにアウトプットしていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。