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いまだに まだまだと おもうままだ

上から読んでも下から読…まなくて大丈夫。早口言葉でもない。

これは本を読んでいて気付かされたっていう話。

いつかは端々までパッと考えが及ぶような大人になると思っていたんだが。


#幸せの条件

昨日から読んでる本。

「幸せの条件」誉田 哲也 著(2015年)

誉田哲也著なのに、半分を過ぎたあたりだけど、
銃は出てこないし、誰も死なない。笑

有名作品を頭の中で反芻してしまう。
「ストロベリーナイト、ジウ…」

でもこの「幸せの条件」は全然違う。
僕が買った本じゃなくて本棚にあった。

装丁のデザインから、“ほのぼの”っぽいと思って手に取ったが、
本当にそうで、今のところ誰もカビ臭い裏路地を逃走していないし、
それを追うクセのある警察官も出てこない。

こんな内容も面白く書けるなんて、多才。

・・・・・

東日暮里の製作所に務める新卒3年目の女性が、突然の社長命令で、
長野へバイオエタノール用の稲作農家を探しに出掛ける話。

因みに以下、結末やストーリーに直結する内容は書かない。
(そもそも読み終わってないから、結末は書けないんだけど)

僕が「まだまだ」と感じるに至った部分にだけ触れる。


#収支と過程

簡単に言うと、
政策や高齢化などの理由で稲作を止めている休耕田というものがある。
そこで、食べるためではなく、燃料にするお米を作ってもらいたい主人公。

これを読んでまず、「燃料用のお米作りって面白そう」と思う僕。
一応理系卒なので、どうやって燃料にするかの説明なんかも興味深い。

そして、「休耕田なら燃料用のお米作りに乗る農家も居そうだね」と思う。

ところが交渉早々、立て続けに断られる。

何人目かで、「キロいくらで?」と買い付け額を問われる主人公。
初めての指摘に、そこまで考えていなかったことを恥じるというシーン。

そこで僕も、「確かに農家はいくらかもわからず作らないよな」と思う。

車の燃料を作るということは、ガソリンと張り合うということで、
リッター約150円の売価と競うことに気付かされる。(僕も気付かされる)
つまりは、そうできる原価で作れなければ土俵にも上らないという話だ。

新卒3年目ではなく、もう充分大人の僕は、話の序盤あたりで、
「で、いくらで契約するつもりなんだろう」と主人公を心配したかった。

更に読み進める。

シーンは変わって、カーボンニュートラルの話が出てくる。

バイオエタノールは植物原料だから、育つ過程で吸ったCO2量と、
燃やして排出されるCO2量で、プラマイゼロというメリットが語られ易い。

ところが、栽培、収穫、運搬、機械稼働に化石燃料をたっぷり使ったら、
結局多量のCO2を排出しているじゃないか、というデメリットが問われる。

その通りだ、どうやって作って運ぶかまで気にしていなかった。

僕はもうバイオエタノール単体のメリットだけで完結していた。

#勘所

人生のベテランと言われるくらいの歳になったら、
専門分野のみならず、どんなことも即座に勘所が掴めて、
目の覚めるような指摘ができるものだと期待していた。 

それなのに、新卒3年目の目線を一緒になって楽しく満喫してしまう僕。

ま、それでもいいかな、とも思うけど。
そう読むように書けるから、誉田さんは有名作家さんなわけだし。

昔、研修で初めて行った営業同行の終了後、
営業の先輩から「どうだった?」と聞かれ、
話が進んで決まっていく感じが面白かったので、
「面白かったです」と答えたら、苦笑い混じりに叱られた。

面白いかはどうでもよくて、ビジネス観点の回答を要求されていたわけだ。

そんなことを思い出した。

あんまり変わってない。汗
(だって、本も営業研修も面白いと思っちゃったんだもん)

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