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壁尻合同アンソロに参加します

 壁尻という概念があります。
 簡単に言えばくまのプーさんが蜂蜜を食い過ぎて穴にハマって抜けなくなったアレです。
 そんな壁尻をテーマに、8名のとてつもない書き手が集い腕を奮ったアンソロが世に産まれようとしている……!

 というわけで、2024年12月1日に開催される文学フリマ東京にて頒布される壁尻合同アンソロに寄稿しました。
 なんで!?と思うんですが本当になんなんでしょうね……
 兎にも角にもぐるぐる目で書き上げてしまった。これが壁尻の魔力なのか!?

 壁尻合同アンソロとは何ぞやと言いますと、「壁尻」をテーマに総勢8名の書き手が短編小説を仕上げた小説合同誌になります。
 参加された方は私(近似風那)以外ですと、
・がーさん
・山名春秋さん
・ぐるぐるさん
・宵野光さん
・暴力と破滅の運び手さん
・公益財団壁尻ミュージアムさん
・春道累さん
という豪華なメンツとなっております。
 ニッチなのかそうでないのかよくわからないカオスな同人誌ですが、中身の方もカオスで、真面目で、グッとくる尻作(けっさく)揃いです。

 がーさん『壁尻相撲』は、壁尻状態で戦う格闘技のお話です。邪道を往く壁尻選手VS王道を往く壁尻選手の対決という一風変わった、でも迫力ある格闘小説と思いきや、眼が飛び出るようなとんでもない展開を迎えます。
 がーさんの豪快にして強烈な作風がよく表れた作品です。「尻物(けつぶつ)」「豪尻(ごうけつ)」といったパワーワードにもご注目。

 山名春秋さん『玻璃臀』は、中華統一を成し遂げた秦の始皇帝と、その裏で暗躍する異形の存在をめぐる歴史SF奇譚。尻を至高の存在とし、異様な執着を見せる異形の存在は一見馬鹿馬鹿しくもありますが、その倫理観の無さはグロテスクな恐ろしさを感じさせます。

 ぐるぐるさん『愛と障壁』は、ラブホテルの壁尻ルームでプレイをする男性カップルのお話。セックスの快感で繋がれた二人が、壁尻プレイを通して互いの認知のズレとそれを貫き通す愛を探求します。
濃厚な文体で描かれるボーイズラブはぐるぐるさんの十八番ともいえる内容。是非、最後の一文までご堪能ください。

 宵野光さん『壁越しに愛を知る』は、「壁尻舞踏会」なる妖しい夜会に参加することになった貴族の主従の中世ファンタジー。壁尻舞踏会という胡乱なワードを軸としながらも、妖気漂う文体で読ませ、さらには切実な祈りが込められているのには脱帽させられました。

 暴力と破滅の運び手さん『おしり・るねさんす』は、おしりが消失した世界にひょんなことから現れた謎の壁尻をめぐる物語。SFマガジンなどで活躍する著者らしく、人類からおしりが消えた遠未来という大与太を迫力満点に描き出し、どこか爽やかでありながら壮大な読後感が待っています。

 公益財団壁尻ミュージアムさん『尻が来たりて風が吹く』は、ダンジョンが無数に生え覚醒者や転生者が無数に存在するいわゆる現代ダンジョンもの舞台に、尻を鍛えた神仙とのやり取りを描いた短編。ウェブトゥーンから影響を色濃く受けた作風、ドライブ感のある文体は一度読めばやみつきになること間違いなし。

 春道累さん『おしり霊異記』は、あの斜線堂有紀の『不純文学』のオマージュとなる1ページ×4作のショートショート。
 「先輩」と「私」の壁尻と青春と恐怖と……様々なものが詰まったシュールで素敵な作品たちで本アンソロは締めくくられます。
 個人的には、「予感」のとある小道具の使い方がニクいと思いました。

 ……最後に私、近似風那の『紅の暴君』は、壁尻状態になっている少女をすっぽ抜いたことで美少女プラモデル競技の頂点に挑んでいくという変な小説です。仕上がった後に他の方の作品を読んだら、壁尻アンソロのくせに壁尻に対するアプローチがめちゃくちゃ不真面目なことに気づいて慌てふためいた一作ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

 そんなお尻小説たちがずっしり詰まった壁尻合同アンソロは、文学フリマ東京 て-35にて1000円で頒布予定となります。
 気になられた方は是非チェックしてみてください!

 

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