2021年11月8日 23:00- 001.地球への訪問 [H 水素][牡羊座1度][甲子] 002.糸のこと [He ヘリウム][牡羊座2度][乙丑] 003.飛ぶ練習 [Li リチウム][牡羊座3度][丙寅] 004.二羽の鶏 [Be ベリリウム][牡羊座4度][丁卯] 005.暗い性格 [B ホウ素][牡羊座5度][戊辰] 006.さんまタモリのおにぎり化 [C 炭素][牡羊座6度][己巳] 007.パスタの結束と解放 [ N 窒素][牡羊座7度][庚午] 008.秘
そろそろこの個人商店チッキュウのシャッターを締めたい。 定時より5分早かったが、ベツニ問題はなかろう。 私は店のシャッターをいささか乱暴に ガラガラガッシャンッッと勢いよく閉めた。 2022年2月2日 23:30
ぼくはオサカナサンだったんだ。 水の中をスイスイ、気持ちよく泳いでいたよ。 オサカナサンであるところのぼくには、大きなヤボウがあったんだ。 それはね、 海底に沈んだネズミサンのぬいぐるみを拾い上げ、 海の上の空中へ向かって、 スポーンと一直線に投げ飛ばすことだよ。 そんなのムリって、みんなに言われちゃった。 このヨにはブツリホウソクがあるから、 水の中から空中に一直線にものを投げるなんて、 ムリムリムリ子さんだよって。 ンなこたない、とぼくは思ったんだけ
出されたオリョウリをすぐ食べないように、ぼくは全力で頑張ってるんだ。 だってそれで、今までさんざんヒドイメにあってきたからね。 もーこりごりのこりだヨ。 食べるまえによく考えるんだ。 ぼくならできる。だいじょーぶ! 2022年2月1日 21:40
あの女は俺を誘ってるのか? いつもこっちを気にしてるようなのに、目が合うと無視する素振りをする。 俺の気を引きたいんだろうか?思わせぶりな態度だ。 ああいう女が俺みたいな男を選ぶはずはない。何か企んでそうな感じだ。 どうせ金目当てだろう。 ボディラインを強調した服で、周りの奴らを挑発してる。ああいうのに引っかかったら碌なことにならない。金をあるだけ吸い取られて、なくなったらポイだ。代わりならいくらでもいるって感じだろう。 でもあいつと目が合うたびに、胸がドクンと高
太った子から変な手紙が届いたんだ。なんだろこれ? 2022年1月29日 22:45
僕の後ろには死神が居る。幼稚園の頃からだ。 はじめて死神と出会った時、僕は恐れおののいた。ヤツは手に大きな鎌を持っていて、どう見ても、疑いようもなく死神だった。 僕はコイツに殺されてしまうのか? 心の中で思っただけだが、死神には聞こえているようだった。 「イヤ」 ふるふると首を振った。なぜ?と思っただけで、また死神は答えた。 「オマエ、ツマンネエからよ」 死神いわく、ツマンネエヤツは刈る気も起こらないないそうだ。幼稚園児相手にそんなこと言われても困る。 それか
スーパーでは何が売っているのか分からないので困ります。 買い物かごに商品を入れますが、いつもあてずっぽうです。 帰ってからお兄さんに確認してもらいます。 それはお兄さんが望んだものではないことがしばしばです。 かわいそうに。 きょう買ってきたものは正解だったみたいですよ。 お兄さんは喜んで、なでなでしてくれました。 わたしはうれしい。わたしは褒められるのだーいすき。 だって気持ちいいし、たのしいからね。らららん♪ また、おつかいがんばろーっと☆ 2022年
俺は落ちていた。 どんどん血の底、 いや、地の底に落ちていった。 その墜落は、止められないんだ。 いや、止まる必要自体、感じなかったからね。 俺は最初、一人だった。 「俺」というのはたいてい、一人の人間のことを言うだろ? アンタだってそうだと思う。 アンタが俺という時、いや、僕でも、私でもいいんだけど。 自分のことを指す時、たいてい、一人の自分のことを言うだろ? でも、墜落して、どんどん落ちていって、 DownDownDownDownDownDownDo
うぉほんっ! ようこそみなさん、ここは[たのしいたのしい*うさぎーランド]です。 遠いところから遠路はるばる、ようこそいらっしゃいました。 お待ちしておりましたよ。 うさぎーランドは素敵なみなさまを大歓迎! 申し遅れましたが、わたくしは園長の・・・ 園長の・・・・・・ ええ・・・ ああ・・・ なんといったかな・・・ きみきみ、わたしのなまえは何だっけかな? んん? ・・・ああ、そうそう。 そうだよ。 うぉほんっ! わたくしは園長の[もろづき]でご
私は30匹の犬を飼っている。 犬は大好きだから、いくらいてもいい。でもあまり増やしても世話が追いつかないから、30匹が限度だ。彼らは大きな犬小屋で、共同生活をしている。みんないい犬だから、喧嘩もせずに仲良くやっているよ。 私は彼らのうち、その日にぴったりの犬を何匹か選んで、犬ゾリのメンバーにする。さすがに30匹を一度に連れて行くのは無理だ。 その日にぴったりの犬というのは、実にいいものだよ。犬たちもまた、その日にぴったり、ソリを引きたいと思っているのだから。私はその日に
おめかしをして、少女ははじめての場所にやってきた。 赤いリボン、フリルのワンピース、ハート型のポシェット、ピカピカの靴。ここに来るために用意した、とっておきのお洋服だ。 「うん、とーってもかわいい!」 鏡に映った自分の姿を見て、少女は満足気に微笑んだ。こんなに可愛い女の子が来たら、きっとみんな嬉しくなっちゃうね。これから出会える人々のことを想像して、少女の胸には喜びが溢れてきた。 そこはとても素敵な場所だった。 自然がいっぱいで、空気が澄んでいる。小川の水は、透き通
ある村に、それはそれは恐ろしい少女が現れた。 見かけは普通の女の子だが、この少女に捕まったらそれはそれは恐ろしいことにななる。あまりにも、むごく、残酷で、あってはならぬようなことになる。村人はそれを知っているから、みんな集団になって固まり、少女から適度な距離を保ちながら、村の中を逃げ回っていた。 少女がこちらの存在に気づいたら、ものすごいスピードで追いかけてくるだろう。人間が太刀打ちできる速さではない。だからみな気配を消し、少女の動向を遠くから見張っている。 少女が何を
大喜利では、たくさんの参加者が「はい!はい!」と手を挙げていた。 いい回答が思いついたのだろう。 司会者は誰を当てようか迷っている。 みんな「はい!はい!」と競うように手を挙げている。 活気があって良い大喜利だ。 しかし私はその声に、次第に疑問を抱くようになった。 「はい!はい!」 ・・・ん? 「はい!はい!はい!」 何かが変だ。 「はい!はい!はい!はい!」 司会者はなぜ誰も選ばないんだろう。 「はい!はい!はい!はい・・・・OKです!」 それは大
私はミルクレープを、一番上の層から一番下の層までペロリと食べる必要がある。 そのことにより、ミルクレープである私(受動体としての私)も、一番上の層から一番下の層までペロリと食べられているからだ。 つまり、層を剥ぐのは実にけしからんことだ。ぷんぷん! 2022年1月22日 21:57
俺はシンデレラのわがままに辟易していた。 馬車は絶対にいちごにしてくれ、と言って聞かない。ドレスもガラスの靴もいちごモチーフで統一してほしいそうだ。徹夜してやっとのことでこしらえた試作品はパッと見ただけで、 「ぜんぜんダメ、クールじゃない!」 ゴミ箱に捨てられた。 「センスが古いのよアナタ。こんなので魔法使いを名乗ろうなんて5億年早いわね!やり直して!」 吐き捨てるように言うと、思い切りドアを叩きつけ、工房を出て行ってしまった。 ・・・何なんだあの女は。 あれが