✨詩✨オリーブ🌿
夕焼け空に
夏をはらんだ風
オリーブの木陰で
あなたとひととき過ごしたあの店
ガレットの匂いが香り
バルコニーの席には
甘いシャンソン
赤いワインに
夜に溶けていった溜め息
うっとり 空を見上げれば
行方知らずの飛行機
プロヴァンスに行きたかった
手を伸ばせばそこにいるあなたと
そんな臆病な夢を見ていた
けれど あの時
オリーブの木陰で
私達はプロヴァンスにいた
夢見のときは こっそり
星をしたためた夜
日は変わり
シンデレラは 硝子の靴を置いて
ドレスを脱いだ
同じ二つの木を絡めても
オリーブは実を結ばない
あなたに絡まる樹には
もう 小さな実があって
その実を わたしは啄めなかった
夢は幻
わたしは
庭に一本のオリーブを植えた
実を結ぶことのない独りぼっちの樹を
繁る葉 枯れない緑を
誇らしげに風に舞わせて
オリーブは きらきら
思い出を誘うように
あの日を手招いていた
プロヴァンスの夜を