陰謀論者(20):参政党のトンデモ(スピリチュアル編)
参政党が発信している陰謀論のうち、前回は国際情勢などの社会科学をテーマに取り上げましたが、今回はスピリチュアルを中心に取り上げたいと思います。
参政党のスピ関係
銀河たぬきさんが参政党スピ人脈マップをTwitter(現X)でポストしたことがありますが、党内においてはスピリチュアルに傾斜した人が多数いるみたいです。
政治団体にスピリチュアルが入り込むのは如何かと思うが、倉山満氏によると参政党の発起人であり代表でもある神谷氏は「陰謀論、スピリチュアル、ネットワークビジネス、そういうものを許容しないと広がりが無い」と述べていることから党勢拡大の手段として取り入れたのではないかと考えられます。
神谷氏は元々、龍馬プロジェクトなどの政治系の自己啓発的な活動を通じて人脈やノウハウを築き上げただけでなく、イシキカイカク大学などの勉強会を開いたりと自己啓発ビジネスに手を染めていたのも事実です。とはいえ、彼は自身のブログで「日本人の意識を変えていき、世界を大きな調和に導く日本を作っていきたい」と述べていることからスピリチュアル要素が取り入れられる余地はあったとみられます。
CEOセオ氏は参政党にスピリチュアル関係者が多い理由として心の拠り所に悩んだ現代人の求めた結果なのかもしれないと述べています。
大調和
党の理念をはじめ、参政党の話題になると大調和という言葉が頻出します。
「生長の家」の創始者である谷口雅春氏が受けた神示の一つである「大調和の神示」が起源とされているみたいです。ちなみに、大調和の神示では「汝ら天地一切のものと和解せよ」と天地一切のもの、特に親に感謝するように説いていることから、個人への教えにすぎないと思います。
また、林英臣氏はfacebookで「日本は天が用意した国」で「やまとことばの意味を知ると、日本人の大調和の精神がよく分かってくる。」とともに「日本人類を守ることは世界人類とため」と述べています。ちなみに、神谷氏は龍馬プロジェクトを立ち上げる前に林氏が主催する林英臣政経塾に参加しており、大調和という単語が林氏から伝わったのではないかとみられます。それにしても生長の家の大調和の神示と違って選民思想の強いものへと変わっているみたいです。
ちなみに、安達祐司氏は「世界に大調和を生む」について次のような見解を出しています。
つまり、安達氏は大調和を八紘一宇と同じようなものだと述べているといえます。とはいえ、八紘一宇も第二次世界大戦期において、「大東亜共栄圏の建設、延いては世界万国を日本天皇の御稜威の下に統合し、おのおのの国をしてそのところを得しめようとする理想」を表明するものとして用いられていたことから選民思想の強いものといえます。
日ユ同祖論
神谷氏はYouTube上で「日本の歴史は3000年でなく、1万数千年でムー大陸やレムリア大陸からシュメールを経てユダヤ失われた10支族の偉大な歴史がある」と日ユ同祖論とみられる発言をしたことがあります。
また、神谷氏はヤマト・ユダヤ友好協会の理事であったが、この団体も趣意書に「神は全人類の救済と、民族的救済を融合するという歴史的使命を達成するためにヤマトとユダヤの民を選んだ。」と書いていることから日ユ同祖論に基づいた団体ではないかとみられます。
なお、参政党関係者における日ユ同祖論の支持者としては前述の神谷氏のほかに予備校教師の茂木誠氏などがいます。
ホツマツタヱ
次期衆院選における参政党公認予定者の中にホツマツタヱの講師がいるみたいです。ちなみに、その人とは伊東万美子氏だったりします。
ホツマツタヱはいわゆる神代文字の一つであるヲシテで記述したヲシテ文献の一つではあるものの、江戸時代中期に出版された『春日山紀』でホツマツタヱの引用文が掲載されているのが現時点で確認できる最古の史料とみられることから江戸時代に創作された疑いもあるぐらいです。
彼女はホツマツタヱのほかに地球のチャクラについてポストしたりとスピリチュアルに傾斜しているのは確かだといえます。
2025年の予言
神谷氏は自身のチャンネルで日月神示研究の第一人者でもある中矢伸一氏を招いたことがあります。中矢氏によると日月神示はこれから日本で起きるであろう流れを書いており、その通りに動いたと言っています。また、中矢氏は2025年までが正念場と主張しているが、「子の年真中にして前後十年が正念場、世の立替は火と水ざぞ」(『日月神示』第8巻第16帖)が根拠になっているとみられます。ただ、これらはオカルトの領域にすぎないとみられます。
とはいえ、神谷氏は2022年参院選の演説において「もうあと3年で茹で上がってしまう」などと言っていることから本気に信じているみたいです。
また、スピリチュアルカウンセラーでイシキカイカク大学の講師を務めたことがある並木良和氏は2023年に洞爺湖で開かれたワークショップで2025年の予言について触れたことがあります。なお、こういった話題についてはここで話すとキリがないので日月神示とともに今後別のところで取り上げたいと思います。