ライ麦随想
最近、健康のためにしていること。朝、自家製のライ麦パンと野菜、卵かハムを食べること。朝から、食物繊維とミネラル、たんぱく質、ビタミンが摂れます。なんとなく、これで一日乗り切れそうな氣がします。
ライ麦を水を合わせて室温におき、翌日、粉と水を足して室温におき、というのを数日繰り返して作ったサワードウを生地に混ぜ込んでいるので、味に深みがでています。使った分だけ粉と水を足し、ずっと使い続けることができます。さすがに今の暑さでは、できないかと思います。春先のコロナ休業の頃に作っていました。
パンは大抵自家製ですが、夏は過発酵になりやすいので、注意が必要です。ライ麦パンは、もともとそんなに膨らまないから、ちょっと発酵時間を過ぎても大丈夫。北国のパンですが、実は夏に便利です。
暑いと言えば、フランスの植民地だったベトナムは、宗主国の人達の嗜好に合わせて、バゲットを焼き、ベトナム風サンド、バインミーを作り出しました。粉、水、塩しか入っていないパンは、発酵も焼成も神経を使います。ましてベトナムですから、暑いです。昔はエアコンもないところで、過発酵にならないよう焼いていたのです。深夜とか、朝一番で焼いていたのでしょうか。ベトナムのパン職人さん、凄いです。
さて、ライ麦パンに戻ります。ライ麦パンを食べるたび,故川島四郎先生を思います。「食べ物さん、ありがとう」をサトウサンペイさんと共著で書かれた方です。戦後シベリア拘留のころ、ロシア人の下宿のおばあさんが、ケチで腹の立つことばかりだったが、ライ麦パンにチーズを載せる時だけは、パンの上にたっぷり載せてくれた、これが一番美味しい食べ方だ、と書いておられました。川島先生がお墨付きをつけたロシア風ライ麦パンは、渋谷ロゴスキーのもの。デパートの地下でボルシチやピロシキと一緒に並んで売られています。作り方も持っているので、一度作ってみたいですね。
ライ麦は、寒冷地でも育つのでロシア、北欧、ドイツなどでよくパンになっています。ドイツは、朝はブレッチェンを家庭で食べ、10時に職場や学校でフルーツのたっぷり入ったライ麦パンや、菓子パンを食べる休憩時間があるそうです。
ライ麦は、主食という扱いのためか、製菓材料にしているのは少ないですね。せいぜいライ麦クッキーくらいです。お菓子は贅沢品だから、(あまり収穫のない)小麦を使うということでしょうか。日本でいうなら、ハレの日は白米を、ケの日には玄米や雑穀入りご飯を、という感覚ですかね。
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