花山椒の季節
もう関東では桜の花も散り、葉桜になってしまいました。
庭の樹木も、一雨ごとに緑色が鮮やかになっています。
冬には、すっかり枯れたように見えた山椒も、きれいな葉をつけています。
先日知ったのですが、山椒の花の鍋というのがあるのです。ほんの2週間位しかない花の季節にだけ、提供される鍋です。麻布のお店が考案者だそうですが、京都のほうの料亭では、季節限定の売り物にしているお店もあるようです。鶏や牛肉の鍋に、こんもりと花山椒を盛り上げて煮るものだそうです。
ほほう、風流ですね。ですが、値段が書いていないじゃありませんか。と、ネットで花山椒を検索したら、200gで2万円越え!!!これが材料の一部の原価です。当然、ほかの材料も良いものをえりすぐって、使うのでしょう。一体一人分おいくらなんでしょうか。お寿司屋で時々見かける、時価っていうものですね、この鍋は。
仕事と家事で色々忙しくしていると、山椒の花が咲くのも見逃しがちでしたが、今年の私は違います。庭の山椒を日々見守り、黄色い花がついたら、キッチンバサミで収穫です。小さい木ですから、せっせと切ってもほんの数十グラムです。牛肉と、新玉ねぎ、京菜とをしょうゆベースのだしで煮込み、だいたい火が通ったら、花山椒を散らします。野菜は、山椒の香りを消さないようにに、あまりにおいのあるものは避けました。
よく見ないと、花山椒は見えませんが、一口食べるとしっかりと存在感があります。かみしめると、ふんわりと山椒の葉よりも柔らかな香りが、口に広がります。我が家の庭の取り立てですから、山椒のエグミもありません。こんなに少しで、こんなに香るのですから、お店で出している花山椒の鍋は、どれだけ香るのでしょうか。ちょっと想像してしまいます。
親知らずを抜いて、食欲と食べる意欲が減っていた娘が「これなら頑張って食べようと思う」と、平素の量位食べてくれました。薬味や、風味というのは、食欲を増進させてくれるのですね。ありがたいこと。
ひょっとしたら、季節の変わり目で、食欲の落ちていた常連さんのために考案した鍋なのかしら。ご年配で、量は食べられないけれど、いいものを食べたいお客様を思ってのことならば、それも素敵な話かな、なんて想像してしまいました。
来年から、庭の山椒をよく見はり、年に一度は食べることにしようとおもったのです。
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