背後、中身
何かになりきる体験の発端は小1、小2で友人らと始めた<有閑倶楽部ごっこ>であったように思う。
登場人物の一人、白鹿野梨子が私に与えられた初めてのロールであった。
小学生なりに口調・仕草を真似て名家のお嬢様として振舞い、ドラマ内の名シーンや、最終回のその先を想像しながら各々与えられた役を全うしていた。
普段ではとてもじゃないが使わない語尾をつけて話し、スカートの裾を持って歩くだけで小学校低学年の一子どもでしかなかった私は異物感ともとれる違う内面性を感じていた。それは私にとって一種の愉悦でもあった。
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