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ぼんやりした不安病にかかった

かの芥川龍之介がこんなことを言って自殺した話は有名であろう。

自殺者は大抵レニエの描いたやうに何の為に自殺するかを知らないであらう。それは我々の行為するやうに複雑な動機を含んでゐる。が、少くとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である。

或旧友へ送る手記 

私もこの病にしばらく悩まされている。
たまに軽く「ここで消えるボタンがあったら押すのに」と考えたりする。
本気で自殺を考えたりしているわけではないが、ひたすらに日常が、人生が、面白くない。生きているから生きているだけ。別に死にたくもないが生きたくもない。

友達もまあまあいるし、彼氏もいるし、家族も私のことを愛してくれている。お金にも困っていないし、大学にも通っている。他の人から見れば「充実してそうだな」と思われる具合だろう。でも、ただ、生きたいと思うほど人生が面白くないのである。

私の周りでは就活を始める人がぽつぽつと出てきた。
何しているかわからないようなつまらないみじめな仕事をして、いつのまにかババアになって、死ぬのだろうか。

税金がどんどん上がって、頼れそうな政治家はいないし、マスメディアも偏ってたりして気持ち悪い。もう見たくない。誰かが得をして誰かが損する世界なのだ。ここは資本主義だから。

みんなで平和に暮らしたい。
私の夢は森の中に小さな家を建て、家族をつくり、ねこたちとのんびり暮らすこと。
お金持ちなんてなりたくないし、誰かから羨まれたいと言うこともない。
ただ、ただ、世界中の人たちが幸せで、私も幸せで、それだけを願っている。

悲しくて、悔しくて私は涙が出てくる。
小さい頃に絵本で読んだような、ワクワクしてくる素敵な世界ではなかった。
大きくなればなるほど、人間の欲望の気持ち悪さに耐えられなくなってきた。
その気持ち悪さは私自身にも向いてくる。

絵本で目を輝かせていた小さい頃の私に胸を張って「大人って楽しいんだよ」って言えるようになる時が来るかはわからない。
でも、こんな世の中でも私にとっての幸せをいつか見つけられますようにと毎日小さな祈りを寝る前にしている。

みなさんにとっての幸せもいつか見つけられますように。

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