lili

アート、人、自然、美味しいものが好きです。無類の猫好きです♡^._.^♡

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最近の記事

湯気のある風景

体の一部が思うように動かせないというのはとても不便だ。 あの日以来当然のことのようだけど、結構な教訓をしおは得た。 足ひとつ思うように動かせないと体全体が補填しようとおかしな動きになっていく。そしてまた別のところが痛んでくる。 昔しおが住んでいた家の近くに教会があり、そこで牧師の説教を聞いたことがあった。子供だったのでお菓子がもらえるのが嬉しく何度も通った。難しいことは覚えていないし、牧師の顔も覚えていない。とても大きな人だった、牧師についてはそれ以外の記憶はない。その

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      ますみは一ヵ月休職したあと会社を退職した。いつか会社に戻ってくる事を願っていたのでしおは少し残念だった。退職の知らせは部長からあり本人からは連絡がなかった。それも少し寂しかったがそのようなことを考える時間も無いほど、その頃しおの生活は変化していた。 世界中を襲う感染症が急拡大したのだ。 海外への輸出事業を展開していたしおの会社は感染拡大が報じられた頃から売上が減退した。感染が拡大している国では経済活動が低迷し消費が激減していた。 しおは売上減退に伴い仕事量も減り在宅勤務

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        ますみさんのことで上司と話す頻度が増え、ごく最近上司と雑談をしている中で彼がいきつけのスナックがあると話してくれた。彼はスナックのママとなんでもないような話をしてから家に帰るらしい。ママは60代後半のベテランでどんな話をしても返してくれるという。スナックでリラックスしその日の自分を振り返ったりすることで整う何かがあるという。 「家に帰って妻の顔を見る前に一人になりたい日があるの。」 ともその上司は言っていた。 完全な下戸であるしおはその話を羨ましく思った。上司の言う振り

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          しおには朝起きて暫くベッドでぼーっとする時間がある。冬は特に起きるのに時間がかかる。3月になっても朝の寒さが厳しい。 ベッドの中で10分ほどじっとしたあとキッチンでお湯を沸かし紅茶を淹れる。暖房をオンにして顔を洗う。洋服に着替えパンを焼きゆで卵を茹でる。ゆで卵ができる間にメイクをし、紅茶にはちみつを入れパンにバターを塗り茹でたての卵にマヨネーズをかけて食べる。簡単な朝食を静かに済ませる。そのあと洗い物をして窓を少し開ける。外の空気を吸いながら歯磨きをする。冷たい空気が肺を冷

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          しおにますみから連絡が入ったのは2月の中旬だった。 一か月以上会社にも出社せず音信不通だった事を詫び話がしたいと書いてあった。外に出るのはまだ難しいので家まで来てほしいとのことだった。 しおとますみはプライベートでは特段仲が良かった訳ではない。家に行ったこともなかった。しおに話をしたいと言うのはどういう事だろうと思ったが、しおもますみがどうしているのか、又これから仕事がどうなっていくのかは気になっていた。住所を聞いてグーグルマップだよりで週末訪ねる事にした。 その日は午

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          藤枝くんはお昼に私の席に近づいてきて言った。 「ますみさん、大丈夫なんですか?」 藤枝くんは銀縁の眼鏡をかけ長めのストレートヘアを目元まで伸ばしてる。私達は食品を輸出する小さな商社に勤めている。部署は違うが似たような仕事をしている同僚だ。 私は藤枝くんの存在に気づかずふいをつかれるようにして彼を見上げた。答えあぐねていると「飯いきませんか?っていうか俺今日これ買ってきました。」と言って茶色の紙袋を差し出した。 「おお。ありがとう。いいね。」 私達は会社の会議室で藤枝

          湯気のある風景

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          しおはこの商店街が気に入っている。 ホームから長いエスカレーターを登りまた長いエスカレーターを降りると駅を挟んで右と左に長い商店街が続く。 右側には居酒屋チェーン、ラーメン屋、ファーストフード店が、左側にはスーパーマーケットや八百屋や食堂がある。夜になると居酒屋店からふらふらと出てくる学生のグループが大きな声で話ているのが聞こえる。サラリーマンがひとりで飲んで帰る姿を見ることもある。近くはないが遠くもないそんな距離に知らないひとたちが住むその存在感に安堵感を覚えた。 夕

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          アート鑑賞とセラピー

          今日はアートについて書こうと思う。 アートはここ数年で凄く好きになったものだ。ここ数年はとにかく辛い事が多かった時期だったので、私を支えてくれたものであり助けてくれたものでもあったと思う。 アート鑑賞って何だろうとたまに思う。 アートってどうやって観るんですかって聞かれたことがあって、うーん。。。と言葉に詰まってしまったことがある。美術ってその作品の背景とか時代とか歴史を知らないと楽しめないと思う人が多いと思うんだけど、私はそういう情報は作品をより良く知る手助けにはなる

          アート鑑賞とセラピー

          たまにちょっとだけ

          いつもコンビニのイートインコーナーで自分のお弁当を食べる。 コンビニでは飲み物とかヨーグルトなどのちょい足しアイテムを買う。 だいたいお味噌汁かスープ、ヨーグルト、もしくは睡眠に効く乳酸菌が入ってる(本当か?)飲み物を買う。 何のためらいもなくそれらを選ぶ。全然考えずに。 でもたまに変わったものを選んでみる。 今日はユーグレナ入りの黒糖入り豆乳。 ちょっとだけ変えた。 それが大きなことのように思う。 いつもとは違う飲み物を買ったら、ちょっとだけ違う気分になって

          たまにちょっとだけ

          好きなものと自分

          私は花、動物、アート、自然、お庭、美味しいものが好きだ。 それぞれの間に特に共通点はないように思う。 ただひとつ共通点があるとしたら、好きなものと相対しているときの自分が好きだということ。 アート作品と対峙しているときの自分が好きだし 花を愛でている時の自分が好きだ。 作品と自分、花と自分、自然と自分、、、 好きなものにこころを研ぎ澄ましている感じ。 あの自分が好きだ。 好きなものを好きだと言う時の自分も好きかもしれない。 好きなものに映る自分を見るのはとて

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          夢を叶える練習

          お休みを貰っている。 休みの間、毎日行きたいところへ行って、食べたいものを食べて、会いたい人に会った。少し前までは割と自分に制限をかけて、贅沢はしないなんて思ってしないこともあったけど、最近は自分がしたいと思ったことをしている。 小さな夢を叶えている感じがする。 自分で稼いだお金で得たい時間や体験を買うことで、自分の気持ちに少しづつ正直になる練習をしているのだと思う。 修練というのは辛く忍耐の要るものとされがちだけどこれは楽しい修練。 自分に厳しかったころにはできな

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          サピエンス全史

          サピエンス全史の上下巻を読了した。 途切れ途切れで読んでいたので、長くかかってしまった。 ビジネス書のカテゴリーで随分売れたようなので、知っている人が多いと思う。本は人類がどのように進化し、文明と帝国を築き自らを発展させていったのかを世界の様々な例をとって教える。時にはオセアニア大陸の発展を例に、アジアやヨーロッパ等の歴史の事例に話が及ぶこともある。まさに地球上で生きてきた人類(サピエンス)全てが主人公だ。 上巻ではっとしたのは我々の国家は実体のない幻想をもとに成り立っ

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          佐藤くんのこと

          佐藤くんの事を書こうと思う。 私は小学校3年生で転校した。 転校生はいじめられるという定説のごとく?いじめられた。うわばきが隠されたり、教室に入れてもらえなかったり、何もしていないのに言いがかりをつけられたりしていた。結構陰湿なのもあったと思う。大人しくてよく泣く子だったのでいじめがいがあったのかもしれない。どれぐらい続いたのかよく覚えてないけど、当時産休で休みに入っていた担任の代理でクラスを受け持ってくれていた浜田先生に親が相談したところ、すぐにクラス全員に向けて話す時

          佐藤くんのこと

          最近のお料理。鶏肉のトマト🍅煮込み。黄色いパプリカ入り。パプリカはもはやフルーツのような甘みと食感だった。青い小さなベイビーパプリカがマトリョーシカみたいに本体のパプリカから出てきたので(表面に浮いてるきみどりのやつ)撮った☺️ベイビーは割と淡々とした味だった。

          最近のお料理。鶏肉のトマト🍅煮込み。黄色いパプリカ入り。パプリカはもはやフルーツのような甘みと食感だった。青い小さなベイビーパプリカがマトリョーシカみたいに本体のパプリカから出てきたので(表面に浮いてるきみどりのやつ)撮った☺️ベイビーは割と淡々とした味だった。

          ボヘミアンラプソディー

          ボヘミアンラプソディーの人気はうなぎ登りであった。アカデミー賞を賑わせた主演のラミ・マレックのパフォーマンスは真に迫るものがあったし、ククイーンの楽曲はどれをとっても素晴らしい。 私もリピートするまでではないけれど、劇場に足を運び鑑賞した。曲に馴染みもあるので高揚した。 圧倒的な歌唱力とパフォーマンスで天才と謳われるフレディ。華やかなステージの裏で抱えていた葛藤や挫折を私達は映画を通して知った。 私がこの作品で最も惹かれたのはフレディのマイナスである。マイナスと言っても

          ボヘミアンラプソディー

          1+1=2ではない。いのちの仕組み。

          1+1=2だと学校では学ぶ。 1というモノと1というモノを合わせたら2になる。学校で学んだロジックは私達の頭の中に沁みついている。=の左側にある1+1とイコールの右側にある2は重さでイメージすると左側と右側は均一である。このように私達は左右が対象になると思いやすい。長い間そうだと信じていた世界がそうでないと知る時、人は戸惑う。 もし、今1+1=2ではないそんな状況が自分の体内で起こっていたら? 福岡伸一先生の生物と無生物のあいだを読み自分の中にある1+1=2であるという

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