マガジンのカバー画像

Bottle message-宇宙に漂う手紙-

5
そっと宇宙(そら)に放ったお手紙みたなもの。ボトルメッセージよろしく宛名なんてあってないような、行き場があるようなないような揺蕩う散文。
運営しているクリエイター

#存在

命が私を世界に繋ぎ止めてくれていた。

 私は自分が生まれた時の歓声も痛みも知らない、覚えていない。    まだ目も開いておらず喋ることもできず、頭蓋骨も半開き、水の中から出てきたばかりで浮腫んだ体。何もできない。 けれども誕生の瞬間、ただそこにあるだけの命を祝福されてきたのだろう。 「おめでとうございます!可愛い女の子ですよー」なんて言われたかもしれない。  自分の頭が通るか通らないか分からないほどの狭さの道を、ドリルのように体をグリグリと回しながら生まれてきたのだろう。母体がいきみ、それに押し出される。きっと