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不意打ちノスタルジック

懐かしい味がした。案外いつになっても覚えているものだ。

地元のパン屋にふらっと入った。そこではイートインもできるから、お店で食べていた。
テリヤキチキンとタマゴのパンを買った。トッピングのチキンを食べた瞬間すごく懐かしい味だと感じた。

昔おちびの頃によく行っていたパン屋があった。店主の高齢化で何年か前にお店を閉めてしまったが、地元ではみんなそこのパンが好きというくらい地域に根付いた人気のパン屋だった。閉店の日にはファンが商店街の真ん中まで列を作っていた。寂しくも誇らしいような光景だったのを覚えている。

もちろん私もずーっとお世話になっていた。
クリームが入ったメロンパンも
大きいソーセージのパンも
ピザパンもポテサラパンも
みんな大好きだったが、中でも分厚いテリヤキチキンが挟まったパンが好きだった。ソースはベタベタしなくて、レタスが少し入ってて素朴な気取らない味。なんか選んでしまうそんな安心感のある味。とりあえずあったらトレイに取るテリヤキチキンパン。小中高あたりは絶対食べていたから10年以上になるのか。

そのパンのチキンの味がした。同じ商店街沿いにあるパン屋だし、もしかしてソースのレシピだけでも受け継いでいるのではないか?そんな事を思った私は思わず店員さんに尋ねてしまった。「すみません、昔この商店街にあったパン屋さんを思い出す味だったのですが、もしかして意識されていますか。」
残念ながらその方はそこまでわからないとのことだったが、とても嬉しそうに懐かしいパンの話を聞いてくれた。

父はよく一度食べたものは記憶から消えないと言っていたが実感する日が来るとは思わなかった。何度も食べてはいたがあれはもう少なくとも7年は前の事だ。それがまさか一口で蘇るとは驚きだ。
思いがけず昔のことを思い出した。おちびの頃に思いを馳せて地元をふらっとまた歩く。今日はそんな日。

今回はこの辺で。また。

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