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Photo by
zenpaku
どうしても、本物が見たかったのです
小布施に有るお寺の天井絵を見に行きました。 何年も前から見たかったのですが、漸く念願が叶いました。
それは、岩松寺にある葛飾北斎の八方睨みの鳳凰図です。写真やテレビ等で何度も見て、知ってはいましたがやっと本物を見ることが出来ました。北斎が最晩年に描いた巨大な天井絵です。見る位置を変えても、鳳凰の目が追いかけて来ます。時に優しく、時に厳しく表情を変えながら睨まれます。
また、見上げる場所を変えると鳳凰の羽や飾りの色まで変わるのです。89才の北斎のパワーと、後5年生きられたらひとかどの画家に成れたのにと精進した画家の、飽くなき探究心に圧倒されました。
また、あの有名な荒れ狂う波の版画を見る度に、北斎にはカメラアイが有ったのではないだろうかと思っていました。事実、北斎は生涯に60回を超える転居を繰り返し、80才を越えてからも200キロの道のりを4回も歩き通し、そして12畳もある天井絵を描いた等の逸話にそうに違いないなと、鳳凰の目に睨まれながら鑑賞してきました。
歳を重ねても、遣りたい事や遣らねばならない事に邁進する必要が有るのだなと、しみじみ自分を振り返りました。
あなたには、何があるの?と鳳凰の目が言っているようです。