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和歌山県庁ウォッチング(岸本周平知事会見に注目)

前稿で、和歌山県庁での事務事業評価廃止事件を書いたところ、多くの方に閲覧いただきました。

これを書くにあたって読んだ岸本知事の会見録がなかなか興味深く、読んでいて全国ニュースに出ないほうが不思議なぐらいの面白いネタだらけです。一般会社員の目線から見てみて1月以降の会見で面白いのを抜粋し、コメントもつけてみました。

知事:(前略)ただ、真面目過ぎて、資料もたくさん作るし、大勢の方がご説明に来るとか、万全を期すような体制になっている。別に、100点満点を取る必要はなく、何の試験でも60点を取ったら合格なので、その辺は、少し肩の力を抜いていただくように変えていきたいと思います。
 財政の話は、今度、予算の時にしますが、かなり貧乏な和歌山県ですが、トヨタ自動車株式会社で働いていた私からすると、ものすごい無駄が目に付きます。あまり言わないようにしていますが、一つだけ言ったのは、(資料は)カラーコピーは止めてくれと。対外的なものは、もちろんお客様ですから、カラーコピーにしますが、自分たちで使うのは、カラーコピーは止めてくれ。白黒とカラーでは、コストが10倍違います。トヨタ自動車株式会社にいた時は、もちろん白黒ですし、裏紙を使う。一回使ったコピーの裏にもう一回印刷していて、そこまではまだお願いしていませんが、そういうような感じです。

1月17日会見

大人数での「ご説明」は「県庁あるある」です。この仰々しさは知らない人見ると驚きますね。これは和歌山だけでなく他県も同じ。知事じゃなくて部長級でもスゴイ人数になります。記者もこれ笑いのネタと感じなかったのでしょうか。

知事:ちょうど、DXが来年度、和歌山県庁も本格化するので、おそらく、来年度末にはペーパーレス化ができると思っています。庁内にWi-Fiを引くので、パソコン1台持っていれば、すべての会議ができるようになります。今は、紙が溜まっていて、皆さんも各課を回られたら机に紙が積んであって、ここは昭和かというようなことですが、これは、来年度末には解消されます。そういう無駄というか、昭和の時代のやり方或いは仕事の仕方で、私もトヨタ自動車株式会社におりました感じで言うと、ちょっと、やっぱりスピードも遅いし、いずれ組織を変えないといけないのですが、意思決定が重層化しているというか、もっとフラットな意思決定、そういう本質的なところは数え上げればきりがないのですが、一遍にはいかないので、少しずつ職員の意識を改革していく。
 ただ、申し上げたいのは、無駄なこともそうですが、やった事業のフォローアップです。この感覚が、少し県庁の方は少ないのではないかという印象を持ちました。PDCAサイクルが回っていないような印象を受けたので、チェックしてアクションというチェックのところが、これからの私の課題というふうに思っています。

1月17日会見

いまだにWi-Fiが無いというのは、読んだ瞬間目が点になりました。庁内にWi-Fiもなくコロナ良く乗り切ったと逆に感心します。政府のDX推進の足元はこんな惨憺たる状況だということはもっと知られるべきです。逆に今までWi-Fiすら導入できなかった県庁の意思決定のありかたの検証の方がもっと重要に思います。他県でいまだにWiFi無い県庁あるのか、マスコミもなぜ確認しないのか。この国のマスコミはその程度のレベルだと読者も肝に銘ずべきです。Wi-Fiすら無い県庁は行政的にもに問題がないはずありません

不思議なことに和歌山県は総務省での「公衆無線LAN環境整備支援事業」で5,200万円を2019年度で入っているはずです。「災害時における、防災拠点等での地域住民等の情報収集等のためWi-Fi環境を整備」(ジャジット参照)

防災拠点としてはWi-Fiがあっても、2023年春に県庁本庁舎にはWi-Fiすらないという状況なわけです。ただ防災目的なら今となってはスターリンクの活用の方が利便性も良くコスト安く済んだかもしれません。


知事:まず、これまでは、予算を作る時に、新規政策というのを、各課が検討することをやってきたようですが、R6の新規政策は、事業の見直しをしてもらおうと思っています。新規政策は、私が持っていて、私の公約をやっていただければいい。各担当課には、過去、惰性でやってきたとまでは言いませんが、古い事業がいっぱいある。実は、予算査定というのは、国も県もそうですが、新たに要求されたものを中心に査定するので、これまでやってきた事業は、スッと通ってしまう。そうすると、本当に、惰性でやってきたり、特に、私が今指示している、PDCAを回さずに費用対効果が良いのかどうか検証されないまま来ているので、まず、費用対効果を検証したり、ニーズが本当にあるかどうかも含めて、既存事業の見直しを新規政策としてやってもらおうと思っています。

2月1日会見

惰性に決まってます。しかし、惰性で古い事業も多いのに、事業評価だけはやめれた背景は逆に不思議と言うか重要になってきます。前稿での事業評価をやめた意思決定過程の検証がますます重要です。

知事:この前もお話したとおりで、私は、歳出カットとは一言も言っていません。やりくりをするということなので、成果があるものは増やしていけばいいし、コストパフォーマンスの見合わない事業は、見直していく。ですから、今回のインド訪問も、今、申し上げたのは私の感想ですが、本当にどれだけ効果があったのかについて、PDCAサイクルをまわしてもらうつもりです。
 来年度から、すべての事業についてPDCAサイクルをまわして、効果の無いものは見直す、効果があるもの、或いは効果が見込めるものは増やしていく。そういうことで、やりくりをしていくので、誤解のないように。歳出カットするとは、一言も申し上げていません。

2月9日会見

コスパだのPDCAだの私も4月に新入社員向けにレクした同じ内容が知事会見で出てて、笑ってしまいました。ここも記者もさらなるツッコミが無いのが逆にすごいと感じます。

知事:夕方まで掛かりますが、いいですか。一々個別のことを話すとあれですが、例えば、県庁のいろんな業務のルールが、性悪説に依っている。県庁の職員は悪いことをするだろうという前提で、いろんな細かいルールを決めて、そのために書類を書いて、上司の判子をもらうというようなことをやっている。むしろ、そのために膨大な業務量が発生しています。例えば、長期出張ではなく、和歌山市内の市役所に1時間、業務の打ち合わせに行くために、わざわざ紙の書類を書いて課長の判子がいる。小学生でもないのに、あり得ない。そんなことが、何十、何百とあるみたいです。そういうのは止めましょうと。性善説に立って、業務を簡素化して、もし不心得な行為があった人は、懲戒処分があるので、それをすればいいだけの話です。自縄自縛というか、自分で自分を縛るようなことがたくさんある。今、言うとそういうことです。
あと、業務が非常に非効率であるのも朝まで掛かりますが、そういうことを止めましょうと申し上げていきたい。ともかく、今年、みんなで知恵を出して、業務量を3割減らしましょう。定員は増やせませんが、業務量を3割減らせば、定員を3割増やしたのと同じことになるので、ライフワークバランスが取り戻せるし、残業しなくてすむようになる。そういうことを、みんなで知恵をあわせてやりましょうということを、これからやっていきたいと思っています。

4月4日会見

これも衝撃的なネタ。「県庁あるある」のスタンプラリー。これはどこでもありますが、和歌山市役所に行くことすらハンコ要るのは、全国ニュース級の笑いのネタなのに、マスコミが温情で報道しなかっただけかもしれません。朝までかかっていいから全部列挙しろとマスコミもいわない方のがおかしい。ネットなら確実にバズる記事のネタなのに。何が「権力の監視」だ。笑わせる。

なお、ツイッターで以下のような指摘もいただいています。

ちなみに規程でも様式まで定めています。この規程の改正は議会承認必要なのかどうか。

和歌山県職員服務規程
第9条2執務時間中に外出しようとする者(部長等を除く。)は、外出承認簿(別記第7号様式(その1)又は(その2))により上司の許可を受けなければならない。

和歌山県職員服務規程

ちなみに、他県ではこんな感じで簡素化されてて書式もありません。和歌山はよほどの事件や問題があったのかと興味がわいてしまいます。

(外出)第九条 職員は、勤務時間中みだりに執務の場所を離れてはならない。ただし、所属長の承認を得た場合はこの限りでない。

性悪説でハンコハンコ言うなら事業評価やめた承認書類でハンコ押した書類が無いはずありません絶対出せ。隠すな。見せろ。小学生のような外出届ごっごまでやってて事業評価やめたときは都合よく書類無くなる不思議空間にしてはいけません。

岸本知事の発言で思い出したのが、トヨタでの「事務系職場の7つのムダ」これ県庁ではオンパレードだから言いたくなったのでしょう。

また、こういうの書くと、県庁幹部がマスコミの支局長に「勘弁して下さい」と泣きついてくるかもしれません(既にしていると思う)が、これを容認していては和歌山県のためになりません。知事も恥を忍んで容赦なく晒すぐらいの気構えでないとダメです。

私も和歌山県民ではありません。厳しいようですが、地方交付税負担し、重税に喘いでいる全国の皆さんにも知っていただく良い機会と思い、敢えて抜粋し筆を執りました。(県庁は地方交付税を総務省からもらっていると錯覚している。)

こういうの書くと県庁の職員は「愚民が何か言ってる」とせせら笑うでしょう。「全国が和歌山県を嘲う現実」と向き合う勇気が必要なことを忠告したいと思います。

【参考】


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