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自民党総裁選2024:河野太郎『日本を前に進める』を読む

総裁選2024。各候補者の政策や人物などを視て、1票を決める時がきました。そして、それぞれコメントやツッコミ、そして文句も言いたいところですが、私は、報道で誰が勝ちそうとかの前に、自分の1票はそれぞれ候補者たち本人の著作を読んでみて決めようと思います。

国会議員が本を出すことは、有権者に考えることをまとめて伝える意味で重要です。ネットと違い出版後に修正効かず、消せないことや、政策を論じるからには反対する人も必ずいるので、特に本を出すことは総裁選での立候補の必須条件だと思います。

まずは、河野太郎さん『日本を前に進める』

前回総裁選の時は図書館で借りて読もうと思っていたら予約待ちが多すぎて断念。そのうちにほったらかして忘れました。今回改めて読んでみたら感想がウジャウジャ湧いてきたので書きたくなりました。

「第1章 政治家・河野太郎の原点」が一番面白かった

政治家本での「自分語り」は誰であっても面白いのですが(これが面白くないヒトは総裁選ダメです。)、河野さんのは、かなり面白い。

中でも最高なのがポーランド留学ネタ。ポーランド留学で(当時の民主化の立役者)ワレサ議長に面会で突撃し、パスポート不携帯で(現地の)警察に捕まってしまい、留置所に入れられてしまいました。

留置所の中で、「パスポート不携帯ぐらいでシベリア送りになんかならないよね」と脅える私に、その神学生は「心配するな。僕は刑務所に行ったけど、たった半年で出られたよ」と励ましてくれました。

ワルシャワでは共産主義とはどんなものなのか、じっくり体験することができました。

「政策を訴える選挙の原体験」の部分は重要

ただ、今回総裁選でもあるので、鋭く目を引いたのがこの箇所。

立候補する政治家が政策をひたすら訴える、という選挙でした。私の選挙原体験の一つです。

アメリカ議会でのインターン体験で選挙を経験し、そのとき政策を訴えていたのが原体験のようです。詳細はネタバレなので略。今の日本のマスコミの報道を見てても総選挙や総裁選でで誰が優勢などの情勢報道ばかりで、政策の話が飛んでしまっている、と常々感じてきただけに、これは注目しました

河野さんを「(総裁選で)政策が尖っている」と評する人がいましたが、それ少し違うと思いました。河野さんは自身の原体験の「政策を訴える選挙」を実行してるのであって、認識を改めるべきと思います。

ちなみに、高市さんも米民主党議員のインターンやっています。米国議会経験ある2名とも、政策について強く訴える共通性を感じるのは偶然とも思えないところがあります。

民間企業での体験談を読んで行革の意気込みの原点を見た

富士ゼロックスで1987年当時に在宅勤務のシステム導入プロジェクトの話。ここも面白い。

当初は「そんなことできるわけがない」の一言で片づけられてしまいました。「技術的には可能です」「技術は関係ねえんだよ」「いや技術的には」といったやりとりを重ね、

これ1986年当時の話のようですが、このネタがウケる現実そのものが良くない。ナゼかと言うと、こういうやりとりが最近も勤務先で繰り返されていたから。溜息。

あと、やたらと「パワハラ」などの指摘があるようですが、システムに関連して、平成28年度財務省行政改革レビュー公開プロセス(前半5)でのやりとりは全体で見て欲しいところです。

私も勤務先でほぼ同じやり取りして同じくキレそうになりました。そりゃこれ言いたくなるわ。業務そのもの見直しせずにシステムの稼働率の数字を成果指標としてシレッと出してくる役所の姿。役所側が反論を言い終わった後の表情は必見です。役者の顔芸よりリアルで(当然か)ドラマ以上に面白い。行政改革断行の必要性を確信しました。しかし財務省はこの動画そのままUpしているのは立派です。絶対消すな!

それから、地元の日本端子での経験談。その通りです。

私、先日も得意先に値上見積書を2回メールしましたが、「迷惑メールフォルダに行っちゃったかな~」と言われました。リモートで面談したいと電話で言ったら「やり方わからないからごめんね」と言われました。しょうがないので突撃して、押し付けました。これが現実です。

ゼロックスにいたころ、部品の価格が毎年のようにきちっと低下していくのを見ながら、日本の部品メーカーは優秀だなあ、製造コストがどんどん下がっていくなどとのんきに思っていました。部品メーカーに来てみれば、なんのことはない、毎年、メーカーから値下げ要求をされ、呑めなければ切られるので、仕方なく価格を下げているだけでした。

それから日本端子で中国がどうとか言う人いますが、私からすると「それだけ中国リスクに敏感」「中国の現場ナマ情報が入る」という感覚です。この程度でああやこうや言ってたら仕事何もできません。

第3章の外交安保。外相に外交をやらせない国会は最低

第3章で、総理や外相が国際会議への出席を国会が拘束している問題で、最近も問題なり、一向に解消していません。私は総理外相(が誰であっても)の国際会議出席を妨害した議員がいたら、実名挙げて炎上させていいと思ってるぐらいです。

国会答弁に触れて「質問は2問しか出なかった。1問が何千万円というのは、やっぱりおかしい」と述べました。野党は河野氏が他の講演でも似た発言を繰り返していると問題視し、国会審議を軽視するような不規則発言を慎むよう求めました。

この程度の発言で謝罪させて満足するこの国の野党は一体何なんだろうと、思いました。この「国会軽視」という単語自体、国民に国会が軽視されていることを問題視する文脈以外は使用禁止にして欲しいです。

「第5章 エネルギー革命を起爆剤に」を読んで認識を少し改めた

これは、この本を読んで認識を改めたところです。前回総裁選は、河野さんおエネルギー政策が賛同できないと思ったのですが、エネルギー政策の中で行革担当大臣時代の問題提起と核燃料サイクルの件は、本書で知って考え改めたところです。

一方で思ったのが、当時報道でこれ出てたっけ?と言う点。エネルギー政策がメディア報道充分されてるのかという疑問と何か感情の報道が先行しすぎていないかという点です。

あまり報道で、詳しく出てないことで、自分もよくわからず「河野エネルギー政策NG」を何となくで判断していないか、自分の反省点もあります。

エネルギー政策に関する報道が、原発賛否・再エネ賛否の前提に凝り固まっている点と、具体的な解説がわかりにくいなど、メディア側にも反省を求めたいところです。

ただし、私は再稼働が司法や第三者委員会に止められてしまっている制度の現実に納得できません。再稼働を決められない制度にしたのを変更できるのは政治だけです。「第三者委員会」に丸投げしたように映る状態が気に入らないです。ここは河野さんとは違うかもしれません。

総裁選の政策の詳細に相当する6章から8章は賛成だけど、アップデートを整理して欲しい

6章から8章は、総裁選での政策で出てきた内容に相当する部分です。ここは全部賛成。ただ、本書が出版されたのが3年前ですので、今回総裁選でアップデートされている内容を見たほうが良いかなと思います。

ただ、今回の総裁選としては本書で書かれていた内容(前回総裁選)を、アップデートした内容(何をどう変えたのか)がどこを見ればいいのかわからないです。前回総選挙で出した内容を大臣で実現できたのもあるし、できなかったのもあると思うから。

本書には無かったですが、私が今回提起されて賛同なのが「確定申告」
河野さんが企業負担を問題視していましたが、私も年末調整の作業で12月1週はかなりヘトヘトでした。数年前からネットでもできるように移行したことで負担がかなり減りましたが。

特に従業員の離婚とかマイホームとか、配偶者の収入とか個人情報そのものについても記載チェックしないといけないので、変に精神的な負担感が多かったです。自分としては断固として大賛成。しかも「税務署の下請作業」感で余計に疲れます。しかも忘年会に遅れちゃうし。

マイナ保険証など、これら全部書くまでもないと思いましたが大賛成。デジタルについていけない人への具体的な手当が大事で、反対の感情論に過剰に振り回されるのは良くないと思います。

ハンコ廃止で思ったメディア報道への不満

ついでにハンコの廃止は、河野さんの功績は誰しも認めると思いますので、関連して。この問題を、メディアも余り掘り下げてないと私は感じました。

①河野さんの「ハンコヤメロ提起」まで自民党の先生方がなぜ誰一人も言わなかったのか。思ってたはいたが、言えない何があったのか。他にも同じような問題があるのではないか。ここをなぜ報道しないですか。
②当時、反対していた霞が関の人々の今のコメントはなぜ報じられないですか。「オソレガアル」と呪文のように言ってましたよ。デメリットとなる事件や問題点の検証はどこに吹っ飛んだんですか。忘れてるんですか。
③日本の政治で良くないと思うのは「反対していた人たちが、成立・導入されたらすぐに反対をやめてしまう」ことです。反対意見の尊重は大事ですが、成立・導入されたらスグに変わる姿しか見たことありません。「ど~せ反対のポーズだけだろ?感」があります。反対の人たちの意見は成立後になぜ尊重するスタンスで報道されないですか。

本書同様に刺激の『共謀者たち』から内閣記者会のあり方も変えて欲しい

マスコミの不信感が大きいのでついでに。河野さんは、ジャーナリストの牧野洋氏と政治家と新聞記者の癒着について書かれていて、これも非常に同感です。政治部記者こそが国民から政治を遠ざけている張本人だと思います。岸田内閣でもオフレコリークとか美人番記者とか、有害そのもの。

牧野氏の著作でも紹介されてましたが、河野さんが高校生ぐらいの時に自宅にまで新聞記者が押しかけてて、風呂場に隠れてた記者もいた。河野さんが、風呂に入ろうとして、隠れてた記者が出てきててビックリしたらしいです。河野サンが風呂入り直前のスッポンポンだったのかどうか知らんけどね。

そういうメディアやSNSの総裁選の情勢報道に踊らされることなく、候補者本人の著作を読んだり、直接の動画を見て、判断する「原点」が大事だと思ったから、そういう視点もあって最初に書いてみました




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