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『安倍晋三回顧録』を読む⑤佐伯耕三秘書官に注目
安倍総理の回顧録を読んでいて注目されるのは、総理秘書官としてスピーチライターを務めていた経産省出身の佐伯耕三氏です。
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いわゆる「アベノマスク」の発案者ともされています。『回顧録』では第1章で安倍総理はアベノマスクを全面的に擁護しています。全く同感です。馬鹿馬鹿しいことに野党がいまだに突っかかってきてます。放置妥当。
もう一つ、佐伯秘書官に関連して防衛大学校での訓示の話が『回顧録』でも出てきます。ここが面白い。
この話を、訓示の中に入れようと提案したのが佐伯君でした。旧軍に触れるのは刺激が強いからどうかと官邸内で議論したのですが、思い切ってやってみようと盛り込んだのです。谷口さんにしても、佐伯君にしても、物知りだし、連日連夜でいろいろ調べて心に響く文章を考えてくれました。彼らの情熱には頭が下がりました。
南太平洋に浮かぶパラオ・ペリリュー島。この美しい島は、70年前の大戦において、1万人を超える犠牲者が出る、激しい戦闘が行われた場所であります。守備隊長に任ぜられた中川州男中将は、本格的な戦闘が始まる前に、1000人に及ぶ島民を撤退させ、その命を守りました。いよいよ戦況が悪化すると、部下たちは、出撃を強く願いました。しかし、中川中将は、その部下たちに対して、このように語って、生きて、持久戦を続けるよう、厳命したそうであります。 「最後の最後まで務めを果たさなければならない。」 諸君の務めとは、何か。それは、二度と戦争の惨禍を繰り返さない。そのために、自衛隊の中核を担う幹部自衛官として、常日頃から、鍛錬を積み重ね、隙のない備えに万全を期すことであります。そして、いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを、断固として守り抜くことであります。 私は、諸君の先頭に立って、この責務を全うする決意であります。どうか諸君におかれても、全身全霊をかけて、この国民への務めを果たしてほしいと願います。
回顧録には出てませんが、翌年平成27年度の訓示では日本海海戦のネタ。第三国の報告書から持ってくることで批判をかわす周到なテクニックには脱帽です。
100年以上前の日本海海戦における、歴史的な大勝利。その「現場」に観戦武官として立ち会ったアルゼンチン海軍のマヌエル・ドメック・ガルシア大佐は、報告書の中で、日本が勝利した要因について、こう分析しています。 「日本海海戦の勝利は、ただ勝利を得ようとする願望や熱情のみで得たものではない。あらゆる警戒措置を怠らず、ごく細部に至るまで研究した結果、手中にしたものである。」 そして、このようにも、述べています。 「日露戦争の結果は完璧な研究と用意・準備を行った事に帰結する」と。
さらにその翌年には大村益次郎登場。相変わらず長州LOVE・明治維新LOVEが全開。
常識を発達させよ。見聞を広くしなければならぬ。小さな考えでは世に立てん。 これは、明治維新の立役者の一人である大村益次郎の言葉であります。大村は、常に西洋の暦や世界地図を肌身離さず携帯するなど、進取の気性に富んだ人物でありました。だからこそ、欧米列強の脅威が迫る中、極めて短期間で軍の近代化という大事業を成し遂げることができたのだと思います。
なお佐伯耕三秘書官が国会でヤジを飛ばし(てしまい)、野党が突っかかってきて、安倍総理が慌てる一幕も。あそこまで言われたらそりゃ言うわ。
その後、2022年2月には経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課長として新潟県長岡市での講演もされています。これはこれで興味深い内容です。
佐伯耕三氏の今後にも注目です。