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韓国関連「『韓米同盟』70年国民意識調査」をみる

韓国朝鮮屋として興味深いのが「世論調査」です。このなかで今年2023年は米韓同盟70年と言うことで、新年早々(2023年1月)に『韓国日報』というマイナーな新聞社ですが、外交や安全保障に関する世論調査があり、興味深い数字が出ています。

以下設問と回答の比率を抜粋してみました。特に興味深い点を指摘したいと思います。なお、設問のナンバリングは私によるものです。

日本の世論調査では無いようなストレートな設問であることは、逆に韓国のメディアの「自由」とも言えます。この点は敬意を払うべきところです。日本の世論調査で、メディアが何か回りくどい設問にして過激な数字が出ないようにしているようにも感じます

なお比較の世論調査としては以下のものが参考にはなると思います

読売新聞が2022年5月に実施した日韓世論調査

言論NPOが2022年夏に実施した日韓の世論調査

それでは個別の設問を観てみましょう。

①アメリカを信頼するか

アメリカを信頼するか

信頼に近い:48.1%
不信に近い:24.5%
どちらでもない27.4%

この設問で「信頼するか」と言うものですが「韓国はアメリカから信頼されているか」という設問の方が現実的な気がします。なお数字的には想定の範囲です。

比較として5年以上前になってしまいますが、日本のNHKが2017年(平成29年)実施した世論調査としては以下参照

この中で「日米同盟について米国を信頼し、協力しあえる同盟国だと思うか」について、日本では「そう思う」が49%「そう思わない」が35%だったデータがあります。

②米韓同盟が韓国の安全保障に及ぼす影響

米韓同盟が韓国の安全保障に及ぼす影響

とても肯定的15.3%
まあまあ肯定的65.8%
まあまあ否定的12.2%
とても否定的2.3%
わからない 4.4%

米韓同盟を破棄したいという世論はほとんどありません。

③米韓同盟が韓国経済に及ぼす影響


米韓同盟が韓国経済に及ぼす影響

とても肯定的11.3%
まあまあ肯定的65.5%
まあまあ否定的13.8%
とても否定的2.4%
わからない7%

「米韓同盟が経済に及ぼす影響」という興味深い設問です。日本で同じ項目聞いたらどういう数字が出てくるかと言う感じはします。1990年代まであった「日米経済摩擦」が今はほとんど聞かれなくなりました。

④韓米日軍事同盟について

米韓日軍事同盟

強く同意10.0%
若干同意35.7%
若干反対24.2%
強く反対22.2%
わからない7.9%

これは日本が入っているために反対が多めに出ているということだとは思いますが、ほぼ同じぐらいです。私はもっと反対が多いかと思いましたので、意外な印象は受けました。

⑤駐韓米軍についての立場

駐韓米軍について

永久に駐屯すべき15.9%
相当な期間の間駐屯すべき43.7%
漸次的に縮小させるべき33.9%
即刻的に撤収すべき1.6%
わからない4.9%

日本の世論調査では出しにくい設問で興味深いですが想定の範囲でしょう。

⑥QUAD(日米豪印安保協議体)について

QUAD(日米豪印安保協議体)について


参加すべき55.1%
参加すべきではない23.9%
わからない20.9%

QUADについて、「わからない」が21%でこの世論調査の中の設問で最も多い数字です。それだけまだ一般に知られていないということでしょう。日本が含まれることで、反射神経的に反対した人もいたでしょうが、案外少ないという印象はあります。

⑦高高度ミサイル防衛体系(THAAD)追加配備

高高度ミサイル防衛体系(THAAD)追加配備

賛成36.3%反対47.5%わからない16.2%
この設問も興味深いです。米韓同盟に関しての設問では半数以上の支持があったにもかかわらず高高度ミサイル防衛の個別の米韓同盟での防衛には約半数反対と言う結果です。これは中国の反対が影響していると言えそうです。

⑧今後の韓国の対米関係について

今後の韓国の対米関係について

韓米同盟強化63.8%
普通23.9%
米国の影響力を脱皮し、独自外交11.4%
わからない0.9%

これは想定通りの回答結果です。

⑨韓国も核武装すべき

韓国の核武装について

同意66.8%
同意しない 31.8%

韓国の核武装に67%が賛成しています。日本のメディアでは、このような設問の世論調査は絶対できないと思います。今回は核武装67%が賛成しています。実はこの傾向は以前から続いており、大きく変化はありません。以前にも大学生世論調査で80%核武装支持の報道もありました。日本の朝日新聞(およびリベラル自称勢力)などは、こうした韓国の核武装願望世論については絶対に報道しません。変に韓国を美化したりする報道は害悪です。メディアが「等身大の韓国」を報道していない弊害を強く感じます。

G7広島サミットで岸田首相は核廃絶を叫ぶそうです。ここにユン大統領を招く案も検討されているようですが、それでしたらこの韓国の世論調査結果についてはどのように受け止めるのか、総理には聞いてみたいところです。

⑩南北軍事衝突時の米国の態度

南北軍事衝突時の米国の態度

条件なしに韓国支援36.7%
米国の利益によって介入判断53.6%
負担を懸念し、介入しない4.1%
わからない5.6%

これも面白いことに南北軍事衝突で米国の無条件での支援が4割に満たないという結果です。米国の利益次第と言うことですが「韓国における米国の利益」は結局何を想定しているのか、はもう少し考えてみる必要はあります。

⑪米中対立に対する韓国の立場

米中対立に対する韓国の立場

中立を守るべき63.1%
米国支持27.9%
中国支持2.9%
わからない 6.1%

この設問が実は最も深刻な結果です。

米韓同盟に半数以上が賛成している一方で、米中対立での米国支持は3割にも満たないのです。日本についても言えますが、国内に米軍基地がある(米軍基地を提供している)以上、中立はあり得ません。

それだけ、韓国に対しての中国の「脅し」や「威嚇」が効いているということかもしれません。この数字は深刻に受け止めるべきだと私は感じます。

⑫北朝鮮の非核化に対する中国の立場

米国の牽制のために核武装を主導52.0%
北朝鮮の核を望んではいないが、北朝鮮の安定のために消極的対応36.2%
北朝鮮の非核化のために積極的に努力している。2.9%

これが最も興味深い結果です。
北朝鮮核開発について「中国が米国の牽制のために北朝鮮の核武装を主導している」とみている人が約半数います。米中関係の一環として「中国が北朝鮮をそそのかしている」という見方です。これは非常に興味深い結果です。最近、韓国では日本より反中感情が高いことはよく指摘されてはいます。

私の見方としては、以下の5点を考えています。
①「北朝鮮(ごとき)が(技術的にも)独自で核開発できるはずがない」という韓国の「上から目線」があること。
②「同じ民族」を韓国国内でこれまで強調した結果、「北朝鮮が韓国国内で核兵器を使用する理由が見つからない」という論理になっていること
③「大国間での思惑によって紛争が半島を舞台に行われた」という朝鮮戦争の認識があり、その延長で、「中国の支援を当然視」する考えがあること
④中国が北朝鮮を「子分」のように使うと思い込んでいること
⑤逆に、中国と北朝鮮の「対立構図」としての核開発と言う視点が全くないことの証明

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