自民党総裁選2024候補者に安倍支持者として聞きたい6つの質問
前回は特に総裁選で「自分の言葉」での語りを多くしてほしいことを述べました。前回同様誰が良いとかは置いて、「有権者に自分の言葉で語る政治の原点」が大事だと感じたことからの質問を書いてみました。
政策を聞いても、特に外交などでは無難な回答、模範解答になるのはやむを得ない面もあるとは思います。
具体的政策については様々な識者も発言してますが、私は安倍総理の支持者として「自分の言葉でしか語れないはずの質問」をしたいと思います。
(1)「米国観」について。印象に残った「アメリカ体験」は何ですか?
自民党の有力政治家でアメリカに行ったことのない人はさすがにいないと思います。旅行や留学、駐在員、議員として意見交換、研修など様々な機会で米国の議会や政府関係者と接触など多いと思います。アメリカ体験で最も印象に残っていることは何ですか?
安倍総理はNY勤務した体験で感じた文化を米国議会で語りました。
総理なら、米国議会演説する(予定)ですから、こうした自分だけにしかない「米国観」を聞きたいです。これを総裁選ですら語れない人は米国議会で演説できるはずありません。
最近興味深かったのは「宮沢喜一目録」に出てきている「米国観」です。戦前に日米学生会議に参加した時に英語力の不足を痛感したり、現地で見た米国観、GHQとの交渉と屈辱感。総裁候補には米国体験での印象を聞きたいところです。
(2)「親族の戦争」について。親族や近しい人の戦争からどう思っていますか?
先の大戦は310万人の犠牲者です。「親族や近しい人に戦没者が全くいない人」の方が本来少ないのではないでしょうか。私も親族が戦死しており、考えることもあります。自身の身近な戦争からどう思ったのか?これを聞きたいところです。これは、その人にしか語れないからです。
ちょうど来年は戦後80年です。戦後80年でそのまま安倍談話踏襲か別なのか。歴史観に関して聞いても慎重な答えになると思うので、その人だけにしか無い「親族の戦争」から思うことを率直に語ってほしいです。これが何も語れない人が総裁になるなどあり得ないです。
現職議員の2名の「自分の言葉」だと思ったものと安倍総理の例を挙げます。
細野豪志氏は大叔父の光男さんの戦死で考えていることを書いています。一度リンク先を読んで欲しいです。これは細野さんしか語れない言葉で、内容には正直感銘受けました。
橋本岳氏も、父である橋本総理の思い出とともに語っています。「自分なりの『戦争体験』」。そうです。これです。これですよ。総裁候補のみなさんに聞きたいのは。
そして安倍総理。トランプ大統領に特攻隊について説明しています。父の晋太郎氏が海軍予備学生で特攻隊の生き残りだったこともあると思います。海外に対しても「日本の戦争」をきちんと語れない人は自民党総裁にふさわしくありません。
トランプ大統領は、安倍総理の父晋太郎氏が神風特別攻撃隊のパイロットだったことに「魅了された」として、安倍総理に「神風特別攻撃隊のパイロットは酒に酔っていたのか、薬物を使用していたのか?」と尋ねたようです。これに対し安倍総理は、「違う、彼らはただ自分たちの国を愛していたのだ」と答えたとし、トランプ氏は「想像してみてほしい、彼らがただ国を愛するがゆえに、タンク半分しかないガソリンで飛行機に乗り込み、軍艦に飛び込むということを!」と、パーティーの聴衆に、信じられないこととして語っています。
(3)「政治家以前」の社会人経験で今役立っていると思うことは何ですか?
総裁候補の皆さんも議員になる前に社会人として働いた経験があるはずです。何度も引き合いに出して恐縮ですが安倍総理。神戸製鋼加古川製鉄所を「社会人としての原点」と熱く語っていました。
私も製造業勤務なので笑っちゃいました。新卒社員がヘマ無いはずありません。その経験を熱く語れる人を私は支持したい。ヘマだけはありません。安倍総理は寮で麻雀してたとかタイガースとか実に楽しそうに語っていました。マジメに働いてたんですか、とツッコミ入れたくなりますが。
有権者としてはそういう新入社員時のネタが全然話せない人では親近感わきません。新卒で働いた経験が無い人は有権者にはいません。
特に今は新入社員がすぐやめてしまうなどもあります。若い有権者にアピールするいう意味でも聞いてみたいところです。
(4)読書について。どんな本を読んでどう感じたのか。
おすすめの一冊を挙げてくださいと聞くと、「そりゃ~私の本ですよ」という定番のネタでウケをとるのはともかく。
既に日経の「リーダーの本棚」に出演されている候補者、ブログやSNSで語っている人もいますが、改めて読書について、「リーダーの本棚」風に語ってほしいです。
現職議員の事例。牧原秀樹さんは『貞観政要』を挙げておられます。xではその他新刊本の紹介もあり私も参考にしています。
牧原さんは岸田総理に対する国会質問でも『貞観政要』言及されてました。これ何気にすごいことだと思います。図々しい私でも会社のトップに貞観政要読めやと言う度胸ないです。
学生のときに官僚OB教授が『貞観政要』必読と説教していたのを思い出します。組織全員が頭を下げ、取引先のお世辞を浴びる立場になってみて思い知らされました。自分としては『貞観政要』を挙げた候補者いたら好感です。
再び安倍総理。『私の本棚』は昭恵さんが画像を出しておられます。
(5)歴代総理で誰を手本にしたいですか?
この質問は今までの総裁選でもされる場合もあるようですが、最近感じたのはトランプ大統領注目だからです。第7代アンドリュー・ジャクソン大統領の肖像画を執務室に飾っていました。(その後リンカーンに差替)
米国政治史で「ジャクソニアンデモクラシー」は基本事項です。手本にしたい大統領、執務室に掲げる肖像が誰かは米国政治で大統領が発するメッセージだ思います。バイデン大統領は建国の父ベンジャミン・フランクリンでした。
そこで、日本の総裁選としても「歴代総理でだれがいい?」は聞きたいところです。折しも総裁選のCMで歴代総裁を出したなら、これを聞かなかったらダメでしょう。
(6)政治活動で挫折や失敗の経験から学んだことは何ですか?
やはり挫折や失敗の経験は聞いてみたいところです。安倍総理は1次政権の大失敗あってこそ強い2次政権になったと思います。
考えてみると、総理官邸には優秀な官僚の方ばかり揃っています。言い換えると「失敗したことが無い人」です。学校の試験でも就活でも不合格で悔しい経験が1回も無い。そんな人たちが都合のいい情報ばかり言って、それに四六時中囲まれる総理官邸。非常に危うい環境だと思います。
官僚とは対称的に、有権者のほとんどが「失敗」だらけで人生送っています。両者をつなぐ政治家として失敗が語れる人でないと、自民党総裁は任せられません。
先の牧原秀樹さんは、QAで「落選中は何していたのか?」に答えています。
これは経験した人でないと語れないです。挫折や失敗の経験が語れる人のほうが信用できる。企業の人事で採用面接をやってみて得た私の実感です。
ということで、6つ聞きたいことを挙げました。各候補者のHPや自民党の討論会で聞いてもらえたらうれしいところです。