減税関連:「防衛増税」の協力者マスコミ
「防衛増税」の内容以前にマスコミの加担が問題
「防衛増税」の表明を岸田総理が昨年12月に表明しました。
増税は当然ながら生活にも直結するので有権者の関心を集めます。これからの議論が大事だと思います。
私は「減税派」で、今回提示された防衛力強化は賛成ながら内容に不満です。香田洋二提督と似た感想を持っています。
しかし、重要なのは増税反対や内容以前に「議論におけるマスコミのポジション」に強く疑問を感じる点です。今回はこれを問題視したいと思います。
新聞社自身が有識者として会議に参画し増税を誘導した
この防衛三文書の策定にあたって「有識者」が動員されています。10人中3名が新聞の関係者です。
喜多恒雄:株式会社日本経済新聞社顧問(前会長・元社長)
山口寿一:株式会社読売新聞グループ本社代表取締役社長
船橋洋一:公益財団法人国際文化会館グローバル・カウンシル チェアマン(元朝日新聞主筆)
船橋洋一氏は2010年に退職して12年経ち、実際に国際専門で「朝日新聞」とするのも疑問に思いましたが、関係の事実は挙げておきます。また会議で自分の発言録を英文でも提供しており、内容はともかく説明責任を果たしている点では敬意を表したいと思います。
日経・喜多恒雄と読売・山口寿一の悪質な増税への誘導発言
悪質なのが日経の喜多恒雄と読売の山口寿一です。この2名には安全保障や軍事と関係はありません。会合での議事録から発言を抜粋します。ここまで役所の意向と平仄がピッタリ一致するのは八百長・三文芝居もいいところです。
新聞社の八百長・三文芝居にだまされてはいけない
それぞれ社説とも平仄がピッタリ一致。有権者・読者を愚弄するにも程があります。
「増税」と直接表現しない形で巧妙に発言するところが非常に陰湿なやり方に感じます。国会に呼んで経緯を問いただすべきです。
自社の社長やOBが参画した内容を自社の社説で批判するでしょうか。内容自体に新聞社が参画しているわけですから「自画自賛」です。ジャイアンツの投手が自分でストライク・ボール決めてるような話です。
役所とマスコミとアカデミズムでグルになって「防衛増税」をリードしている構図に、私は強く異論を唱えたいと思います。
結局、増税を押し切るための世論操作ツールに新聞が使われただけです。もしそうでないなら、最低でも新聞社の出席者に対し質問の機会(記者会見)を作るべきでしょう。それすらせずに「説明責任」をイケシャーシャーと書く新聞を信用できるはずがありません。
それぞれ社内で異論も無いはずがありません。それも掲載すべきでしょう。もし、社内で意見が社長と同一に統一されているなら、そもそも社是などで民主主義を掲げるのをやめるべきです。
なお、読売の山口寿一は予備校で高校生向けに講演しています。
「情報に隠された意図や目的」について逆に「見本」として実に説得力あります。
増税が焦点になる中で新聞社自身が軽減税率を受けている
なぜ、新聞社が問題なのか。私が問題視したいのは新聞自体が「軽減税率」の特権があることです。軽減税率を受けていることで税制上の利害関係の当時者なのです。
萩生田光一自民党政調会長が、2022年12月9日(金)の自民党の会合で「仮に(党税調が)15日に税目や税率を決めるのであれば、軽率減税を廃止したらいい。それで1兆円出てくる。税は我々が信を問うべきものだ。」との発言もありました。
これに毎日新聞がコラムで軽減税率廃止に突っかかっています。それだけ新聞にとっては軽率減税の当事者と言うことです。
私は「減税派」であっても新聞の軽率減税は反対です。なぜかというと民主主義の基盤である「権力と距離を置く」ジャーナリズムの原則に反するからです。
しかも軽率減税導入は1回限りで終わらず継続的に税制をネタとして、政権から何度も揺さぶりをかけられる土壌を作ったジャーナリズムの自殺行為です。新聞の軽率減税導入当時から批判は多くありました。一度手にした「麻薬」が、静かに日本の自由な言論を蝕んでいきます。
ジャーナリズム精神は「権力から距離を置くこと、大衆から距離を置くこと」
竹中平蔵さんの「竹中平蔵の平チャンネル」の指摘で非常に共感した内容があります。
アメリカではschool of journalism があり、ハーバード大学にはジャーナリズムのニーマン財団があります。
以前に竹中さんが大蔵省(現財務省)で主任研究官をしていた時、ニーマン財団は大変重要なので人的交流をできないかと(大蔵省の)上司から言われて、このニーマン財団のトップに面会したそうです。今ならこのこと自体が「財務省の政治工作」とか言われそうですが。
そしてそのことを議論した途端に「NO」と言い「それはspirits of journalismに反する」と言われ、竹中さんが「spirits of journalismとは?」と質問したところ「権力から距離をおくこと、大衆から距離をおくこと」と回答された話を紹介さています。
日本はどうでしょうか。
「オレは政治家の●●と親しい」など親しさを競って、こぼれ話自慢ばかりです。今の総理動静を見てもメディア幹部との会食はよく出てきます。
逆に竹中さんの話で感じましたが、ニーマン財団に話を持ち掛けるのに財務省が何の疑問も持たなかった感覚。これこそ、まさに日本での財務省とマスコミの関係です。
読売の記者もハーバード大のニーマン・ラボにいるようです。日本のメディアに反省すべきことがゴロゴロあるように思いますが、わざわざハーバード大まで行くなら、叱ってもらう話がいくらでもあるはずです。
権力からのアメ玉による沈黙の代償としての新聞の特権
新聞が受けている特権を整理してみましょう。ビデオニュースの神保哲生さんの指摘が分かりやすいです。
①再販売価格維持制度の特殊指定
末端価格の値引禁止による規制(独占禁止法の例外規制)。田舎で新聞価格が上がってしまうからですが、今はOECDどこもやっていません。
②記者クラブ制度規制
新規参入阻止することで多様な言論封殺。記者懇など最たるものでしょう。
③クロスオーナーシップ許容
新聞と放送の同一資本系列化(例:読売新聞-日本テレビ)を許すことによる多様な言論の封殺。OECDどこも許容してないどころか、許容しているのはアフリカの独裁国家ぐらいです。
④傘下の放送局が電波オークションなし
他企業による新規参入の機会抹殺での多様な言論の封殺。放送局の電波使用料が不当に安く、携帯電話料金にその分しわ寄せがきています。
⑤日刊新聞法による株式の譲渡制限
気に入らない人物には株式を譲渡させないことで多様な言論を抹殺。新聞が経済面で企業のガバナンスを論じる資格はありません。
メディアが政府からの温かい保護をヌクヌク受けている点はもう少し知られるべきと思います。日本の言論は本当に「自由で多様」な言論でしょうか。国民全体で疑問の刃を向けるべきと思います。
さらなるアメで新聞を黙らせる手口はいくらでもある
私も企業で働いていて消費税扱うことがあります。
売上は税込で消費税も入ってきます。仕入や費用は消費税を支払っています。「入出」でバランスが取れています。その点で軽減税率はしわ寄せがあるとも言えます。新聞社の場合、仕入(紙)や取材コストは消費税10%でも購読料は8%です。軽減税率2%は新聞社が負担しているとも言えますので、損をしている面もあります。実際、新聞販売店は新聞社からの仕入10%で購読料収入8%というアンバランスです。
この軽減税率に付け入り「軽率減税分は実質新聞社が負担してるのだから補助金を出そう」という「アメ」が思いつきます。例えば『発行部数×購読月料金半分×2%』とかを補助金のアメをしゃぶらせ、黙らせる。
マスコミに叩かれそうな法案があれば、実際やるかは別にしてこれをアメにした形で黙らせるネタにはなります。これを観測気球に上げることで、発行部数に注目が集まるので牽制材料にもできます。軽率減税や規制、法令適用の特例で新聞社を揺さぶるネタは私ですらいくらでも思いつきます。
これも「健全な民主主義のコスト」とかキレイゴトでごまかすでしょう。軽率減税導入時も政府とグルになって国民を騙した実績があるからです。
権力に対する監視ではなくマスコミに対する監視が甘いことが安易な増税の温床
「防衛増税」と言うことで「新しい戦前」とか左巻きの新聞記者がわめきそうです。しかし、振り返ってみると戦時の言論統制で利益を得ていたのは、実は新聞社そのものでした。里見脩氏の力作は一読に値します。新聞社こそ戦争の利得者そのものです。
「軍部の圧力でペンを折った」というウソに騙されてはいけません。
マスコミは、その役割を「権力の監視」を言いたてますが、逆です。マスコミにこそ厳しい監視の刃を向けるべき「防衛増税」です。
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