陰謀論者の分析 ~ネトウヨの分析から
1. はじめに
現代の社会では、ネトウヨのほか表現の自由戦士(暇アノンを含む)、反ワクチン・反感染対策論者、人口削減計画論者、トランプ支持者、斎藤元彦支持者、反LGBTQ+などの陰謀論者が跋扈しています。
こうした人々のまき散らす陰謀論への対策は、健全な民主主義社会を維持するうえで非常に重要です。
しかし、旧Twitter (X)やネット掲示板などでは、陰謀論に反感を持つ人であっても、陰謀論者に対して何らかの弱者性(恋愛・性交・結婚の経験がない、貧困下にある、精神疾患や障害があるなど)を持つ人々であるというレッテル貼りばかりを繰り返し、ロクな陰謀論対策を考えていない人が目立ちます。
2. これまでに展開されたネトウヨの分析
ここで、日本のネトウヨについて主に記載したWikipedia日本語版の記事「ネット右翼」(2024年12月26日 (木) 00:13(UTC)版)を読んでみます。この記事では、2000年代~2010年代にかけてのネトウヨの分析が記載されています。
近藤瑠漫や小林よしのり、マーティン・ファクラーはネトウヨは収入の低い層だと主張しています。宮台真司はネトウヨには童貞が多いと主張しています。彼ら3人はいずれもネトウヨの弱者性を強調しています。
一方で、2013年にネトウヨの調査を行った古谷経衡は、ネトウヨには「大都市部に住むアラフォーの中産階級」が多いと分析しています。香山リカも2015年に「ミドルクラスよりさらに富裕層に近い」ネトウヨの存在を指摘しています。この2人は、ネトウヨはどちらかと言えば社会的強者に多いと主張していると言えます。
津田大介は、ネトウヨには「右翼団体の延長の人」だけでない「あらゆるタイプの人々」がいると指摘しています。
(もちろん、以上で挙げた人々にはそれぞれ批判すべき点がありますが、論点がずれることを避けるため、本稿ではなく別稿で批判します。)
3. 陰謀論対策はどうあるべきか
上述したようなネトウヨの分析からは、様々な人々が様々な経緯でネトウヨ的言説を受容していったことがうかがえます。
彼らネトウヨは、ネトウヨでない人々と同様に、年収も学歴も年齢も職種・業種も様々であることが分かります。さらに古谷の調査から、首都圏在住者が多いもののそうでない人も少なからず存在し、また男性が有意に多いものの女性のネトウヨも少なからず存在することが分かります。
では、私たちは陰謀論者とどのように対峙していくべきなのでしょうか。
また、陰謀論者と対峙していくうえで彼らをどう認識していけばよいのでしょうか。
私は、2013年よりもインターネットの普及がさらに進んだ2025年現在では、これまで以上に様々な人々が様々な経緯で陰謀論を受容していると考えるのが妥当だと思います。
したがって、陰謀論者に対して弱者性を有する人々であるとのレッテル貼りは、陰謀論者の実態とは乖離している可能性が高いと言えます。
陰謀論者の弱者性を強調して嘲笑するのではなく、マスメディアやSNSを含むメディアで事実を示し陰謀論に反論していくことが、私たちにとって重要なことだと、私は考えます。