染みついてしまった。
今年も、おそろしく、あっけなく、夏が終わってしまった。
去年の夏は何をしていたんだっけなぁと記憶を巡らせても曖昧で、
結局毎年こんな感じなんだろな、と短い季節を想う。
「暗証番号を入力してください」
はて。何個かある候補がすべて外れてしまった。
もしかしたらと元パートナーの誕生日を入れたらヒットした。
あの頃の自分は、まさかこんな未来が訪れるなんて夢にも思ってなかっただろう。
当たり前のようにその日がきて、
当たり前のようにケーキを買って、
当たり前のように彼の好きな料理を作って、一緒にお祝いした。
もう必要のない数字だけど、一生忘れることない数字。
脳内に、指に、染みついてしまった。
当たり前が今年はないね。
それでも夏はちゃんと終わるのだ。