恋は灰になった。-私と彼のぐちゃぐちゃ物語ー


彼と私は、全てを水に流して「友達」に戻る予定だった。

しかし、結局私は彼と友達に戻ることが無理だということに気が付いてしまった。

「これまでの事を、水に流せば私たちはきっとものすごくいい友達になれるよ。」

私は彼にそう言い、彼は「水に流してほしい。もう二度と失礼な事もしないし、手も出さない。」

と答えてくれ、話が終わったかのように思えた。

しかし、私は結局どうしても彼の事が許せなかった。

いいようのない怒りがこみあげた。

ー水に流すって何?これまで散々酷い事をしてきたくせに?彼が傷つけられた落とし前はきっちりと払わされたのに、私が彼に傷つけられたことは無かったことにする?そして彼のいい友達になる?また適当に扱われる可能性があるのに?はぁ?どんだけ私の事を馬鹿にすれば気が済むの?彼の口約束なんて何も信じられない。ー

ふつふつと、マグマのように止めようのない怒りがこみあげてき、噴火した。

私はその怒りをオブラートに包むこともなくメッセージ上で彼にこれでもかという程に投げつけた。

自分で彼との関係をぶち壊している自覚はあったが、もうそんな事はどうでもよかった。

また着信拒否されようが、彼が二度と私の前から姿を消そうが、自分の怒りを直接彼にぶちまけなかった方が圧倒的に後悔すると私は思ったのだ。

そのおびただしい怒りのメッセージに対し、彼は「なんか怖い。あんなに謝って仲直りしたのに。俺、なんか失礼な事した?連絡返せなかったのは、仕事でばたばたしてたせいだし。これじゃあいつまでたっても同じことの繰り返しだよ。関わらないでほしいなら関わらないから。」と私に返した。

まぁそれはそうだろう。一旦話は円満に終わったのだ。彼はそこから何も失礼なことをしていない。勝手に過去の事を思い出して怒っているのは私の方なのだから。

彼が言っていることは至極正しい。

私も彼の事を大概振り回しているだろう。

だけど、私はどうしても水に流せなかったのだー。

いや、水に流したくなどなかったのだ。

あんなに大好きで、傷つけたくないと思った彼の事をボロボロになるまで復讐してやりたい。二度と調子に乗ることが出来ないように痛めつけ、私にひれ伏させ、一生私の事を傷つけることをせず、ただ私の幸せのために彼を生かす。もしくは、私を失った悲しみに明け暮れ、一生後悔しながら生きていけばいい。

そう思う程、私の怒りはもう止まらなかった。

もう私が彼に心を開くことは一生ないだろう。許すこともきっとないだろう。それ程までに、彼は私の心を弄び、傷つけた。

「鉄は熱いうちに打て」本当にその通りだ。彼は私の価値に気が付くのが遅かった。

私の恋心はこれでもかという程油を注がれ燃え盛り、自らを焼き尽くし、そしてちりちりと灰になった。灰の中にかろうじて残っていた恋の炎は、彼の手によって水をかけられた。

そんな気分だった。

彼の幸を願う私は消滅したのだ。

今はただ、ただただ、私の記憶から消えてくれることを願うばかりだ。

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