私と彼は友達になった。-彼と私のぐちゃぐや物語ー
彼とは、友達になることになった。
なんて破壊力にあるフレーズだろう。
あの宙ぶらりんな状態から、私と彼は「友達」という真四角の檻の中に入ることになったのだ。
いや、「友達」にだって色々あるのだから別に真四角ではないと思う。
だけど、これまでのセフレでもなく、友達でもなく、恋人でもないが、その全てを網羅してるような関係から、はっきりと「友達」という枠に収まることになったのだー。
私は、また心を打ち砕かれた気がした。
彼にとっての友達とは何なのだろうか。彼にとっての彼女とはなんなのだろうか。
日常的に電話をし、ご飯を食べ、悲しい時は慰め、楽しい時は笑い、たまには喧嘩をする。-そして、体を結び朝を迎える。
これのどこが、友達であってどこが彼女ではないのだろう。
彼は、私の事を面白がってくれているのは感じるし、その一方で女としても扱ってくれている。
私と彼の関係は、誰にも定義づけられず、「何にも当てはまらない」
それが正解だと思っていた。
なのに、彼は私に「友達」と意識付け、「何にも当てはまらない」という空間から引きずり下ろすことにしたのだ。
哀しかった。そっか、やっぱり、彼は私を彼女にはしてくれないのか。
彼もまた、一般男性で、可愛い女の子らしい私は好きだけど、面白い奇想天外な私はno thank youなのか。
急に彼の事がつまらなく思えてきた。
その人が、どんな女性を選ぼうが別にその人の自由だ。私には何の強制力もない。
だけど、心のどこかで、彼は、私の事を理解してくれて、そして、そんな色んな面を見せる私の事が好きでいてくれて。
彼女にしないのは、単に彼が忙しいから、私にかまってあげられなくって、それが申し訳なく思えるから。だと勝手に買いかぶっていた。
でも、現実は残酷だ。
はっきり、彼から「友達としてやり直したい」こう言われてしまったのだから。
私は彼にこう言った。
「でも、元カレの事は?だって、前にもあなたは友達だと言ったのに、手を出してきたし、元カレの件で俺を傷つけた・裏切ったと事あるごとに私を責めてきたでしょ?友達だったらそんな事しないよね?別に私が誰と付き合おうが、関係を持とうが関係ないし、嫉妬しなくない?」と。
彼は、「元カレの件は私がかなり頑張ってくれたから、あそこまでしてくれたならもういっか。って気が済んだし、私から連絡が来ないなら来ないで気になってしまった。だから友達としてやり直したい」と返事をした。
この返事を私はどうとらえればいいのかわからなかった。
私と彼は福岡と東京で離れているのだ。
もうそう簡単に肉体関係を持つことは出来ないが、彼はこれからもカジュアルに連絡を取りたい。話したい。そう言ってくる。
「俺たちあんなに仲良かったじゃん」とも言われた。
いや、確かにそうだ。紛れもなく私と彼は仲が良かったのだ。
私は、こう思った。
ーそれって、私の事が好きだと言ってるようなものじゃん。要は私の事を離したくないって事でしょ?仲が良かったのは、私があなたに恋をしてたからだよ。下心があったからだよ。頑張ったら付き合えるかもしれない。そう思ってたからだよ。ー
付き合う可能性はゼロなのに、これからも私は彼と友達でいないといけない。
そんな、そんな残酷な事があり得るだろうか?
友達と言うことは、私は彼以外の男性を彼氏にし、肉体関係を持ち、彼もまた私以外の女を彼女にし、肉体関係を持つのだ。(彼が彼女を作るかはわからないけど、とりあえず私以外の不特定多数の女ときっと関係を持つのだ。)そして、私と彼はきっと、ナチュラルに「彼氏がさー。」とか、「聞いてよ俺の彼女が、」なんて会話を繰り広げるのだ。
そんな、そんな残酷な事があっていいのだろうか?
想像するだけで私は嫉妬に燃える。
私は、彼に対しての恋愛感情がなくなることはないのだ。
新しく彼氏が出来てもきっと、「彼」が私の1番好きな人であり、愛すべき人なのだ。
そんな人とこれからも友達として関わり続けるー。
あまりにも私に対して酷すぎる事態ではないか?
そして、新しく出来た彼氏に対してあまりにも失礼ではないか?
なんという地獄だろう。
彼以外、誰も幸せにならない。
「男友達」は天と地がひっくり返っても、男女の関係に成らない限りにしか成立しないと思っている。
私と彼はもう既にがっつりと男女の関係に成っている。
最初から私たちは「男女」であったのに、それを今更平等の「友達」なんてなれるわけがない。
そう考えると、私と彼は多分「付き合っていた」のだ。明言はしなくても、関係性としては「付き合っていた」だろう。
彼は、私が元カレと関係を持つまで、私以外の女の人と関係を持たなかったと言った。
「にゃんちゅうが嫌がるかなと思って。あと、俺確かに彼女がいないときは遊ぶけど、出来たら遊ばないよ」とも言ってた。
そして、その時期私も誰とも関係を持たなかったし、彼に自分の好意を伝えていたのだ。
そう考えると、きっと私たちは付き合っていたのだー。
ああ、今日も心が痛い。
私は、彼の事を「好き」だと確信してしまった時点で、この関係は白黒をつけるしかないと思っていた。
だから、ダメなら諦めよう。切り替えよう。深入りは禁物。
そう、思っていたのだ。
私は潔い女だ。
彼は、多分その時点で「付き合えない」という選択だったのだろう。
付き合えないけど、でも私の事は離したくなかったのだ。
だからきっと何も言わなかった。いや、「言えなかった」のだ。
ズルい。本当にズルい男だ。
おかげで私は1年という時を無駄にしたし、「恋」という病に陥った。
なぜ彼は私と「付き合えなかった」のだろう?
私の見た目がタイプじゃないから?仕事を辞めたから?見た目によらず、男っぽいから?
もしかしたら、彼は私といる自分が嫌いなのかもしれない。
彼は潔癖症できっと理想が高く、ストイックな人だからきっとかっこよくない己が好きじゃないのかもしれない。
その心理はわからない。
私は、確かに最初は彼と友達だった。そして、恋愛感情も持ち肉体関係を持ってしまった。そして、そこからまた友達に戻ることなんてあり得るのだろうか?
互いに恋愛感情が互いに全く湧かなくなったけど、人として好きならば友達に戻れるだろう。
しかし、私はまだ彼の事が好きなのだ。
彼はもう私に失礼なこともしないし、手を出したりしない。これまでの事を水に流してほしい。
そう言った。
また、一から友達としてやり直したいのだ。
私は、彼と友達に戻ることは出来ない。
自分の感情を隠して彼のために友達でい続けることなんて私には無理だ。
そう思った。
だけど、私は彼に確かにこう言ったのだ。
「絶対に私に手を出さない・もしも手を出すならば今度はちゃんと手順を踏んでから。それが出来るならば、今までの事は全部水に流して友達でいてあげてもいいよ。」
こう言ったのだ。
過去を消すことは出来ないけど、
私は彼といる時間を無駄と思ったことがなかった。
だから、これでいいのだ。
ひとまずは、私を追いかけてきた彼に敬意を払おう。
私たちは、真っ白なキャンバスにグレーとも深緑ともいえない何とも言えないドロドロとした色を付けてしまったけど。だけど全てを白にすることにしたのだ。
次こそは、綺麗な色を描いていこう。
きっと、私と彼なら、いや、私なら出来るはずだ。
人生こそ最大の芸術であり、クリエイティブだ。
その人がどんなものを描くのかはその人の自由だ。
私は、誰も見たことがないけれど絶対的に汚くはなく、むしろ美しく深みがあり、心が洗われるー。
そんな人生を描くことに決めた。
私の設計図に「地獄」をつくる構想はない。
だから、彼との関係も汚くなることはもうないだろう。
やはり、私と彼はこれからも黄金色を使って、ぐちゃぐちゃなハートを描き続けるのだ。
さようなら、ドロドロした私。
はじめまして、真っ白な私。
次は、思いっきり幸せになるようにドライブしようね。
Love is bihind,but love is right there.