見出し画像

小さい女の子

夫の知り合いのツテで会社の事務所を紹介してもらいました。
初めは夫婦でやっていたので、自宅兼事務所として会社をやっていたのですが従業員も増えてパソコンの台数も増やすため事務所を構えることにしたのです。

その事務所を普段貸している家賃の半分でいいからと言ってきたので、夫も二つ返事で借りることになったのです。
同時に私のネイルサロンも一画に作ってくれるということで家族で見に行くことにしました。

なぜ家賃半分でいいかというと
今まで何件もテナントが入っていたのですが、そこの物件だけ長続きせず早ければ半年で出ていってしまうそうなのです。
しまいには借りる人もいなくなり、困ったオーナーが夫に話を持ちかけたそうです。

まずその話を聞いて私は、

ん??

と思いました。

疑問を抱きながら内見当日。
オーナーと名刺交換を済ませ、事務所を見させてもらいました。
中は、以前別の建設会社が入っていたので、事務机などがそのままになっていてそのまま使っていいと残してありました。
その中不自然な試着室(服屋にあるような1人用のカーテンで仕切ってあるやつ)。
その建設会社の前にケーキ屋さんが入っていたようでそこのスタッフの着替え用として置いてあったそうです。

まず入った時から重苦しい空気。
いい雰囲気ではない。
こんなとこで商売できるのか?と思いながら内見を済ませ、改装の話などをしていました。

子どもたちが見当たらなく探していると試着室からクスクスと笑い声が聞こえました。
2人で隠れて遊んでいるんだなと思い
「そろそろ帰るよー」とカーテンをシャッと開けました。

え???

娘2人の隣にもう1人子どもがいる。
思わずカーテンを閉め、ゆっくりもう一度開けるといなくなってる。

????

なんだったんだ??
と頭にはてなマークをつけていると
長女が具合が悪いと言い出した。
これはまずいと思い、そそくさと事務所を後にした。

結局、事務所を借りることになり改装工事も終わったので厄除けと事務所祓いのため有名な厄除け神社に祈祷をお願いしました。

ただ、当日からなかなかおかしなことが起こる。

まず、降るはずのない季節なのに雪が積もり渋滞。
あわてて宮司さんに連絡を入れたら宮司さんも全然着けないかもしれないという。
なんとか辿り着き、待っているが宮司さんからナビで向かっているのに辿り着けないという連絡をもらう。
だいぶ遅れてようやく到着。
祈祷の用意が済み、始まるといきなりストーブがエラーを起こす。
祈祷をする宮司さんの声がかすれて上手く唱えられない。
笛を鳴らすも掠れる。
宮司さんは私に特にどの辺からおかしな気がしますか?と聞いてきたのでいる場所を教えて祓ってもらうとようやく空気が落ち着いた。

宮司さんが首を傾げながら
「僕は正直言って視えませんが、嫌な空気がしてるのと何か邪魔してる感じがしますね。こんなこと初めてです。」

宮司さんにお礼をして、ようやく終わった。

この事務所には、実は女の子の他にもう1人女の人がいてその女の人がものすごい抵抗をしていました。
女の子は消えることはなく、この子が座敷童子なのか会社の業績がうなぎのぼりになり私が事務所に行くたびにその子に挨拶をすると喜んでくれていました。

それから何年か経ち、何故か私が事務所に行かない日が続いていました。
体調を崩したり、行く予定だった日に急遽予定が入ったりと続いたり、行くのが億劫になるほどでした。
コロナ禍でもあったのと家でも仕事ができるので行くことが減りました。
ようやく事務所に行くと、あれ?雰囲気が最初に戻ってる。
いつもいる座敷童子が怖がっていて、聞いてみると

女の人がいる。すごく怖い人。
私はもうすぐいなくなる。
最初にいた人ではない別の人。

誰だ?と思いながらまた月日が流れ、
会社の会計が合わないことがわかり、1人の従業員が会社の金を横流ししていることが発覚しました。

結局最後までシラを切っていましたが、居づらくなったのか自主退職ということで辞めていきました。

そいつの顔も見たくないと思っていましたが怒り狂った感情を抑えて、そいつが最後に私に挨拶をしてきました。

そして私は最後に捨て台詞のように言ってやりました。

「あのさぁ、後ろにずっといるその女だれ?」

さーっと青ざめたそいつの顔は本当に滑稽で少しスッキリしました。

その後、その事務所を引っ越すことになり今も別の事務所で経営はしていますが少しずつ赤字を取り戻しながらなんとかやっています。
ちなみに、そいつは退社後、腸閉塞になり生死を彷徨ったらしいです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
スキしてくれたら大変喜びます😊

嘘のような本当の話。
また来週の土曜日に。

いいなと思ったら応援しよう!