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荷物を取りに

上手いことは書かなくて良い。
本心を隠すことが多かったから自分に許可を出してから書き始める。










ただ2人で居たかった。

ずっとずっと終わりが来なければいいのに、と
いつも終わりそうになる度思った。
きらきらしている毎日だった。



追いかけるのが楽しかった。同時に、辛かった。
いつの間にか2人だけの問題じゃなくなって、相手を見失って、自分がどうしたいのかも分からなくなっていた。
思い通りに相手を動かそうとして、それが叶わなかったら逆ギレするなんて、なんて子供なのだろう。いつもごめんね。いつも困らせてごめんね。





付き合っているわけではないから、ずっとこのまま友達でいれば、終わりが来なくて済むと思っていた過去の私、ばかやろう。
全然終われないだろう。

付き合っているわけではないのに、何故毎日この人のことを考えて、考えすぎて嫌な気持ちにならなきゃいけないんだろう。何故こんな思いをし続けなきゃいけないんだろうとばかり思っていた。
思い返せばそんな事する必要なんて無くて、単にのめり込まなきゃ良かった話なんだろうけど、そんなこと到底ムリで。体を重ねるのは呪いの契約みたいな事に近くて。離れるのが難しくなる。余計に。
本当はまだ大好きで離れたくないけれど、それは今より過去が眩しいからで、過去に戻りたいだけ。
だけど過去にはなれない。あの、何でも出来そうな気がしていた2人だけの冬にはもう戻れない。
当たり前だけど時間は逆向きには進まないから。




どうしても欲しかった相手だけど、初めは願っても望んでもいない時に気づいたら降ってきて、私の前でまぶしく光って、と思ったら突然消えたりして。手に入ったと思った時にはするりと手の指のすき間から居なくなって、見えなくなってしまう。
私だってきみのことを見ていたかったし、見えるところに居て欲しかったのだけど、愛って相手を縛ることでは絶対なくて。悪いことしたなと思っている。
自由に両手を広げて羽ばたく笑顔のきみが大好きだった。次々と新しいことを見つけて、新しく出会った人や世界に目を輝かせているきみが何よりも大切だった。全てをあずけても構わないと思ったことさえあった。なのになのになのになのにぶち壊してしまったのは私。
自由がきみの幸せなんて知っている。
知った気になっていただけかもしれないけど、
私もそれを願っている。願っていた。
だけどもう交わらない。平行にもならない。
ただ宇宙の星と星。点と点。永遠に繋がることの無い、でもどこかよく似た光り方をする離れたところにある星。





初めて会った時、とても声が魅力的な人だと思った。よく覚えている。きみに話しかけられて、
「声の波動が...」と呟いた私を見て、
変なやつだなと困ったようにはにかんだその顔を。

雨の日、晴れの日、曇りの日。
全ての季節に何度も何度も聞いた低く柔らかな愛しいその声を。



知り合ってから、何を考えて、何を見て、どう感じて、それをどんな言葉にするのか、きみのそれに、いつも、とても興味があった。



何となく悪口のようになってしまうけれど、きみのそれはいつも、言葉の裏に保身や怖がり寂しさが透けていてその上に強がりが散りばめられたものだったように思う。

きみは事ある毎に「親は愛をくれなかった」と言っていたよね。
水を入れても入れても流れてしまう
底の抜けたコップ、私、少しは埋められたかな。

「ああ、そうやって卑屈な目線でしか世界を見ることが出来ない人なのだ。」と可哀想に思うその気持ちは好意ではなく同情で、
好意と錯覚していたものはただの性欲で。

きみに寄りかかられるのが、甘えられるのが嬉しい時期もあったけれど、甘えることそれってつまり人のことを舐めているのも含んでいる。

人は甘えられる人にこそ雑で、
攻撃的になってしまうらしい。
最後の方はまさにそれだった。

このくらい雑に扱っても許してくれるだろう。
全て分かってくれるだろう。受け入れて、受け止めてくれるだろうと思ったら大間違いだ。
人の気持ちはそんなに長くは続かないし、耐えられる時間もきっとはじめから決まっているので。
いつまでも言うことを聞くと思われても仕方ないか。惚れていたからね。





利用しやすいよ、簡単だよね。
自分に好意がある女を弄ぶのはさぞかしつまらなかったことでしょう。だってゴールが無いんだもん。ゲームで全て手に入った状態からじゃ何も面白くないのと一緒。それでも面白くないなりに、分からないなりに、私が泣きたい時、どうしようもなく寂しい時、ただ1人分のぬくもりが欲しい時、嫌だっただろうけど我慢して一晩中背中をさすってくれたこともあった。
優しさではなく我慢させているだけなのは気づいていたから終わったあと余計に辛かった。






こんな調子だから私が今回、今日、別れを告げなくても近く、いずれ、破綻する2人だったと思う。
いつ壊れてもおかしくないと悟っていたからこそ、脆くて儚いからこそ今日まで大切に大切にここまで運んで、守って、守り抜いて、痛まないよう傷つけないよう、細心の注意を払ってきた。
四六時中365日いつも毎日毎秒瞬間。
だからどこを切り取っても大切な瞬間だった。








終わってからやっとおかしかったことに気付いた。それを分かりながら関係を続けていたけれど、
そもそも不健全なのだ。
夜にしか会わないなんて。呼べばすぐ来るなんて。
断ったら離れてしまうと思うと怖くて断れないなんて。何も産まない。良いことなんてひとつも無い。片方が我慢して耐えて耐えて潰れるまで耐え抜かなければ保てないなんて、ただの2人なのに上下があるなんて変だ。おかしい関係だ。
私が一方的に好き好き言って追いかけていたのは事実だけど、それを利用して搾取するのは違うと思う。
「きみの心の状態が良くないなら、私はプラスにすることは出来ないけれど、せめてマイナスからゼロの方に針を近づけられたら。」
と言っていた過去の私、とても健気でかわいいね。今もその願いは変わらない。
なるべく沈むことのないように生きてほしい。
想っている。きみの心の平穏を。




そうやってのきみの心の状態を保つために一緒に居るのには、とても長い時間と労力と根気強さが必要だということに、最初の方に既に気づいていた。
愛して磨いて、それが私の喜びだったのに時が経つにつれ、いつしか私にはそれを続けるのがだんだんと苦になってきていた。

素人には傷を負った人の手当ては難しくて。
でもどうにか引っ張り上げられるかもといつも心のどこかで信じていた。
可能性に賭けるのを繰り返しては失敗に終わって、その度落ち込んで。
足元に積み重なっていく「またダメだった」の山を
片付けられずにその場から動けなくなって
何も手につかなくなっていた。

日常に支障をきたす程強く暗く底のない闇に身も心も絡め取られ当てられていた。
のぼせていたし、そんな自分に酔っていたし(痛すぎる)、ほんの少しでもゼロの方に近づけられたという成功体験をすると過剰に反応してしまって。


そうやってこの人を理解出来るのはやっぱり自分だけ、という考えがますます強化されていくばかりだった。

下手に助けようとするから
2人とも溺れてしまうのだ。
もう私に出来ることは何も無い。

いろいろなやり方を試して、押したり引いたり泣いたり怒ったり何をされてもただ笑って許したり、離れたり近づいたり慰めたり放っておいたり...。
数えればキリが無い程の試行錯誤の毎日だった。


手は尽くした。




私は常にベストな、自分の納得のいく選択をし続けてきたし、その自信があったからこう言える。
たまに間違えてやり直したくなった時もあった(我慢してやり直しに付き合ってくれた)けどね。
人間だもの。

とにかくやりたいこと、やってやれそうなこと、やりたくないことも、その時目の前にあることを何でも、ぜんぶ、片っ端から、やった。
「やらない後悔よりやって後悔」がポリシーだから、結果はちゃんと後悔が(ひとつも、とはいかなかったけど)残らないものとなった。

「惚れたが負け」
とは言うが、それだけでも私の勝利だ。

相手を負かす気は無いし、なるべく対立を避けて、ほぼ全て私が譲歩してきたけれど、
今回は私の勝ちだ。

いつからか戦いが起こらないうちから常時高らかに白旗を上げていて、はじめから負けっぱなしだった。でも今回はなにかを食らわせられた気がする。
自信がついたからこの感触はきっと正しい。






こうやってひとつずつ気持ちを分解していくと、次第に大好きが減っていく。
減っていくその度に寂しい気もするけど、脱皮して、新しい私に変化していく。
寂しさは完全に無くならないけれど、自分の未来が楽しみな気持ちがそれを少しでも上回るまでうじうじしていようかなー。



これからこの街には冬が来る。雪に閉ざされた冬が来る。春まで私は生きられるだろうか。何だかんだ生きてしまうのだろう。うだうだ言いながら。

こんなに悲しいのは、思い入れが強いのは何故だろう。これだけ書いてもまだ分からない。自分の気持ちを紐を解くように、ひとつひとつ見えるように並べて整理するのにはどのくらい時間がかかるだろう。それも分からない。心に穴も空いているんだろうけど、私には支えてくれるものが沢山ある。
まず近くには友達のみんながいるから、怖くない。


あと、もっとわんわん泣くのかと、泣いてしまったらどうしよう、ああしようこうしようと身構えて不安でいたのだけど、今のところそうでもない。忙しくしているからか、不思議なくらいに大丈夫なのだ。突然墜落するかもしれないけれど(笑)

急には進めないから、ゆっくり前に進みたい。
ちゃんと痛がって同じ転び方をしないように。
親が、子供が転ばないように心配するのと同じように自分のことを大切にして生きていきたい。

今は心が波で上下が激しいけれど、恋がひとつ終わったワケだから、もう少し時が経てば、やがて平らになる気がする。
前に「今はやりたいことも行きたい場所も、欲しいものも何も無い。恋もしていないから限りなくゼロに近い」と自分で言っていて、多分そのうちこういう感じになっていく。
ゼロに。大丈夫。きっと。






私がしていたのは恋だったのか
変わった形の愛だったのか。
きみが私にしていたのは1人の女の子としての扱いだったのか。
何でも言う事を聞く奴隷だったのか。
なにか精神的DVにも近いような気がする。
相手に酷い言葉を投げないからDVには当たらない、なんてことは無い。
私を壊すのだから十分暴力にあたる行為だ。
でもこんなところでこんな男に負けて再起不能になったりなんてしない。




ぜ〜〜〜〜〜〜〜〜ったい負けない。特に自分に

 




幻想の寂しさに、ウソの優しさに、もう惑わされたりしない。たしかに掌の上で踊らされて、噛み締めてクズを選んで一緒に居る、この構図の中に収まっているのもそれはそれで、それなりに面白いこともあった。




今なら分かる。きみの言葉、生活、クセ、習慣
染み付いているその全てには

「俺の為に動け」
という自己中心的な意思があること。



約2年前、きみと一緒の世界線に飛び込んだ、きみに惚れ込んで盲目になっていた私にはそれが、なにひとつ明言しないのにあまりに強すぎる命令だった。
きみにはひとりの人を変えて、人格も精神も生活も何もかも壊してしまう程の「人を動かし操る力」があるんだよ。だから、どうかどうかこれ以上そんな女の子がこの世に量産されませんように。「惨めで可哀想な私」に浸ってそれがかっこいいと思ってたらほんとうに「惨めで可哀想な女の子」になってしまう女の子がもう、ひとりも居なくなりますように。
だから早く、きみが人との関わり方のそのクセに気づいて。人はきみの人生における便利な道具なんかじゃない。
その力を人を不幸にするために使わずに、幸せに生きられますように。




最善手を打ち続けてもなお、良くならない事態に見舞われたとき、最後には、日本人らしく祈ることしかできない。



たとえ幸せの種類が違っていたとしても
みんなみんな幸せに生きられますように。

Ti voglio bene.
あなたのすべてが幸せでありますように。






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・あとがき・

約2年間の出来事とその時の自分の心の動きについて、思い出せたことから、ランダムに書いていきました。これを書くにあたり、紙に手書きで下書きしたものがあったのですが、それを加筆修正して書き上げました。書きなぐったものを形にするのは初めてで、拙いけれど、最後まで書ききる、やり切ることができました。

かなり読みづらいしちょっと、いやちょっとどころじゃないくらい念の強い文章となってしまいました。自分の心の分析と彼の心の分析とそれらの感想を同時にしているから話は飛ぶし、まとまりもないし、言いたいことは沢山あるのにそれを表現する力はあまりも無さすぎるし、長いし。

要約すると「クズ男に沼った女がそこから抜け出した記録」です。(5200字が20字になりました)

最後に幸せを願って締めくくった通り、
相手のことを悪く言うつもりはひとつもなくて。
ただあったことを主観で喋ってみました。
だから嫌なことは嫌だし、良いことは良いです。

もう少し、あと数歩引いて、客観的な判断ができていたらこの恋は違った結末だったかな。

今度は相手のことを丁度いい距離感でよく観察出来るように努めます。



ニセモノのキラキラで満足していた昔のかわいいかわいい私、ばいばい。よくがんばったね。
本物をさがす旅に出るよ!

2024.10.1

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