美容医療の物理⑨IPLとレーザーはどう違う?
今回は「IPL」について投稿します✍🏻
👧🏻「"レーザー"と"IPL"は別物!」
👧🏻「IPLのことをレーザーと呼んでた看護師がいた😡」
この話題は美容界隈あるあるな気がします 笑
IPLとレーザーの違いはよく問われる所なので、比較しながらまとめてみました。
☑️IPLとは何なのか
☑️IPLとレーザーの違い
ここにフォーカスしたいと思います。
IPLとは
IPLとは(Intense Pulsed Light=インテンス・パルス・ライト)の頭文字を取った名前です。
Intense:強烈な、激しい
Pulsed:パルス
Light:ライト
元々はイスラエルで戦闘機の塗装を剥がすために造られた技術です。
カメラのフラッシュと同じ光源をつかっていることから「フォト」とも呼ばれます📸
レーザーとIPLの違い
美容ナースが理解するべき"レーザーとIPL"の違いは
︎︎︎︎①光源の違い
②レーザーは単一波長。IPLは広域波長なので複数の効果が得られる
③IPLは光が均一に照射されない
という点です。
ここを理解していきます🐼.ᐟ.ᐟ
また患者さんに伝える"レーザーとIPL"の違いは
①IPLは複数の効果が期待できる
②出力によるがIPLの方がダウンタイムがマイルド
③出力によるがレーザーの方が破壊力が強い
④レーザーに比べて色素沈着が起きにくい
ここをポイントにお伝えした方が分かりやすいと思います。
①光源の違い
レーザーは「レーザー発振器を使って人工的につくられた光」のことで「①真っ直ぐ進む②単一波長③波動の波が揃っている④収束性が良い」という特徴があります。
一方IPLはキセノンランプという紫外線、可視光、赤外線エネルギー領域において、太陽光の295~800nmに渡る波長全域を再現する幅広い波長を持った光です。
有害・不要な光をフィルターでカットしています。
「①広がって進む②波長が複数③位相が異なる」点がレーザーの特徴と違います。
イメージでいうと…
レーザーは“SFにでてくるビームやレーザー光線“
IPLは“カメラのフラッシュ“のように幅広い波長を持って広がる光と考えると分かりやすいです💡
②IPLの波長
IPLの波長、ここがIPLのミソだと思います。
IPLの波長は500~1200nmと言われています。(めちゃくちゃ幅広い)
波長の所でも書きましたが、波長が変わると①深達度②吸光度が変わる為治療の効果や目的が変わります。
つまり、いろんな波長が出るためIPLは様々な効果があるということです。
メラニンを破壊してシミを治療したり、毛細血管の破壊に効果的だったり、真皮層に熱を加えることができコラーゲン生成が促されハリが出るという効果があります。
「そんなに色んな効果があるなら、レーザーじゃなくてIPLしちゃった方が良いやん😐!」
とそういう訳ではありません。
IPLの様々な波長は強さが一律に同じという訳ではありません。フィルターでカットしている1番短い波長が1番パワーが強いという構造になっています。
色んな波長が出て色んな効果はあるけど全ての波長が均一に強く出るということではないからです。
③IPLは均一にパワーが照射されない
レーザーは単一波長です。
例えば532nmの波長で1J/cm2照射すると
532nmの波長の1J/cm2エネルギーが出ます。
IPLの場合は1J/cm2のエネルギーが同じ波長に均一には照射されません。広い波長にエネルギーが分散されるので不均一です。
IPLはフィルターでカットした部分の波長は照射されない仕組みになっていて、カットしている1番短い波長が1番強く不均一に光がでる仕組みになっています。
つまりメラニンを破壊する場合、レーザーの方がよりメラニンの破壊力が高くなります。
IPLはロングパルス
これは違いというより、特徴になりますがIPLはロングパルスで数ミリ秒から数十ミリ秒です。
※機械によってはマイクロ秒のIPLもあります。
パルス幅が長いとエネルギーのピークパワーは低くなるので、破壊力がマイルドになります。いわゆる"切れ味が悪い"ということです。
③でお伝えしたように、波長においても単一波長のレーザーと比べると破壊力はマイルドになりますが、パルス幅においても破壊力はマイルドになります。
ただノーリスのようにパルス幅が比較的短い500マイクロ秒で照射可能な機械もあるので、調節次第では従来のIPLより切れ味は良くなっている機械もあります。
患者さんに伝えるIPLとレーザーの違い
これまでの内容は医療者側が知っておくべきことであって、患者さんからしたら「レーザーとIPLはどう違うのか」ということを分かりやすく知りたいと思います。
患者さん目線になって考えると
①IPLは複数の効果が期待できる
②出力によるがIPLの方がダウンタイムがマイルド
③出力によるがレーザーの方が破壊力が強い
④レーザーに比べて色素沈着が起きにくい
ここをポイントにお伝えすると分かりやすいと思います。
①IPLは複数の効果が期待できる
IPLとレーザーの大きな違いは"レーザーと比べると様々な効果を期待できる"という点だと思います。
IPLは色々な長さの波長が出るので様々な効果が期待できます。
IPLはシミや赤みなどの美肌目的だけでなく、IPL(光)脱毛に使われたりと効果はたくさんあります。
IPLだけで複数の効果が期待できる所もIPLの良い所です。
▫️シミ
IPLの光はメラニンに吸収され熱変性しターンオーバーと共に代謝されていきます。
▫️赤み
IPLはヘモグロビン(赤)に吸収される波長も持っているかつ、ロングパルスレーザーでもあります。
パルス幅の所でも書きましたが、赤み治療はロングパルスの方が効果的です。
▫️ハリ
なぜハリがでるかというと、光で熱変性したメラニンは放熱し熱作用が起きます。熱作用により創傷治癒作用が働きコラーゲン生成されるのでハリの改善に繋がります。
▫️ニキビ
光でニキビの菌を殺菌する効果があります。
▫️毛穴
コラーゲン生成されることにより、毛穴引き締まると言われています。
▫️脱毛
メラニンを熱変性することで、若干ですが脱毛効果もあります。(脱毛は脱毛レーザーが一番です)
この原理を使っている脱毛が「IPL脱毛」と呼ばれるものです。
IPL脱毛は脱毛に特化しているのですが、美肌目的に行うIPLでは大きな脱毛効果は期待できないです。
②出力によるがIPLの方がダウンタイムがマイルド
IPLの方が効果がマイルドな分ダウンタイムもマイルドなことが多いです。
ただし、高出力でIPLを行った場合はレーザーと同じくらちダウンタイムが目立つこともあります。
基本的にはIPLの方がダウンタイムがマイルドなので、ダウンタイムが取れない患者さんでもチャレンジしやすい治療です。
③レーザーの方が破壊力が強い
患者さんに「レーザーの方のメリットは?」と聞かれたら
1番はレーザーの方が破壊力が強いことです。
IPLは月に1回ペースで5回くらいは通うことが多いです。1回だけでは気になっているシミを全て破壊できないからです。
定期的に通院できなかったり、1回でできるだけ早くシミを破壊したい!方にはレーザーの方が良いですよね。
ただ、破壊力の強いレーザーでも1回で取り切れるとは限らないです。
④IPLはレーザーに比べて色素沈着が起きにくい
レーザーは色素沈着が起きるリスクがあります。
「せっかくシミ消しに治療したのに、逆に濃くなった!」と患者さんが不安になる色素沈着。
色素沈着は皮膚の一時的な反応です。
適切にアフターケアをしてれば基本的には治ります。
レーザーをする場合は色素沈着が起きても大丈夫かの確認が必要です。
例えば…
ブライダル前や大事な顔を見られる予定の1~2ヶ月前に
👧🏻「シミを早く取りたいから、レーザーやりたいです!」
これはリスキーです。レーザーして1~2ヶ月後の大事な予定があるときに、色素沈着が出ている可能性があります。色素沈着が起きるか起きないかは誰も分からないです。こういった場合は色素沈着の起きにくいIPLがオススメです。
破壊力が「レーザー>IPL」ならレーザーを治療が良いのか
「レーザーの方が破壊力強いんだったら、シミはレーザーの方が良いんだね!早く治したい!🥺」
と一概にそういう訳でもないんです。
レーザーは破壊力が高い分、ダウンタイムが長かったり色素沈着が出るリスクが高かったりします。
IPLでも充分に反応する濃いシミの場合はIPLでも満足するくらいシミが薄くなります。
また、IPLの機械の種類、特に出力・ショット数は大きく効果に影響していると思います。
極端に話すと…
・レーザーで弱いパワーで照射した場合
・IPLで強いパワーでショット数多く照射した場合
効果はどっちの方が強くて満足度は高いのでしょうか🥺
という話になります。
勿論、レーザーやIPLの出力に関しては医師の方針によるのでクリニックにより変わります。
なので肌の状態を見て、レーザーかIPLかどっちが合ってるか提案してくれるクリニックが良いと思います🏥
IPLが向いてる人
IPLは様々な効果がありますが、シミ治療を目的として受ける人が多いです。
「シミはレーザーが良いの?IPLが良いの🥹?」
と迷われる方も多いと思います。
さっきもお伝えしたように、出力や照射方法にもよりますが一般的にはIPLはレーザーに比べると破壊力は劣ります。
またIPL良いところは赤み・毛穴・ハリの改善などシミ以外にも効果が期待できる所です。
【 IPLのメリット 】
▫️様々な効果がありトータル的に美肌を目指せる
▫️ダウンタイムがレーザーに比べてマイルド
例えば、、、
「シミだけ無くしたい!ダウンタイムも出て良いから
少ない回数でシミ取りしたい🥺!」
という人はシミに効くレーザーが適応(オススメ)になることが多いです。
「シミも気になるけど、元々赤みも気になってて最近ニキビもよく出来る…ダウンタイムは仕事上取れない」
という人はIPLが適応(オススメ)になることが多いと思います。
どのIPLが最強なのか?!1番効くIPLは?
はい、みなさん!
こんなキャッチーなワードに安易に飛びついてはいけません🥺
IPLは機械によってそれぞれの特徴は違いますが
出力・照射方法・フィルターの選択・肌の状態によって効果はそれぞれです。
良い機械でも生かすも殺すもクリニック次第だと思います。名刀を持った侍が修行をしないぽんこつ侍だったら、名刀の意味もありません🔪
もちろん自分の肌の悩みに合うIPLの機械はあると思いますが、肌状態をアセスメントでき、機械の特徴をしっかり把握し生かせるクリニックが良いと思います。
患者さんに伝える時、IPLのことを何と呼ぶ?
冒頭にも取り上げましたが「IPLをレーザーと呼んではいけない問題」。
では、患者さんにIPLのことを何と伝えますか?
🧒🏻(看)「IPL照射していきますね~!」
👧🏻(患)「IPL?!?!とは?!」
ってちょっと伝わりづらいですよね。
IPLはフォトフェイシャルともよばれますが「フォト」もちょっと伝わりづらい。
患者さん側からしたら「レーザー」の方が伝わりやすいですよね。でもIPLはレーザーじゃないです。
私は患者さんに伝える時は「光」って呼んでます。
患者さんでこのことについて気にしてる印象はないのですが…(どちらかというとスタッフ側が敏感?)
いかに分かりやすく伝えるが大事かな~って思ってます💭
どういう表現が良いんですかね…🥺
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