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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ【ナチュラル・セレクション・アト・タイム・キリング・チャレンジ】
序
ドーモ、みなさんnyamotomoです。本日もリプレイを投下したいと思います。今回のシナリオはこちら!
ヤイミ=サンと一緒にTRPGを遊ぶタノシイなゲームです!実際無料なので今すぐにプレイだ。ヨロシサン所属はまだ手持ちにいなかったので、改変しつつですが獲得して行きましょう!ではスタートです!
本編
……ひどく暗い室内で病んだヒトの群れが忙しなく働いていた気がする。だか暗くて眠くて「それ」にはよくわからなかった。「それ」の意識は目覚めることなく再び暗く落ち込んでいく…。そして次に目を開けた時には…。「ごきげんよう」
「ケホッ…」鈴のような声を聞いてアイサツを返そうとした「それ」の口からは声の代わりに緑色の粘液がこぼれ落ちた。息苦しくはないが…少し変な感じだ。その様子を観察している女…恐らく最初に声をかけたものだろう、は「それ」にアイサツした。「ドーモ、ヤイミ・コナギバです。はじめまして、我が社の期待の新戦力さん。」
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「それ」は何とか白い清潔な床から立ち上がると周囲を見渡した。そこは一見の無菌実験室のようで、生物的な暖かさと凍えるような冷酷さを両立した場所だった。「それ」は心ざわめくような温かいものに包まれるような何とも言えぬ感覚を覚えた。後方を見れば空のタンク、おそらく自分はそこから出てきたのだろう。そして…目の前には、やはり先ほどの女がいた。
白い肌、乳色の髪、一目で良い物とわかる喪服めいた黒いドレス。少女めいているがその立ち振舞いは老成している。どことなく不安にさせるもののある不自然な美貌、否それすら魅力か?「……。」しばし沈黙しながら見合った後、女は表情一つ変えずに言った。「…あなた、アイサツはきちんとできるの?」アイサツ、そうだアイサツ。アイサツ本能が遅れて指令を出す。「……ドーモ、はじめまして。グリーンシェルです」そうだグリーンシェル、それが自分の名だ。
「ドーモ、グリーンシェル=サン、アイサツはできるようね。全く寝坊助さん。貴方で最後よ、みんな待ってるわ。」寝坊?みんなとは?グリーンシェルの中でグルグルと疑問が周り、それの答えのようなものが脳の奥に…何か事前に刻みつけられた思い出のように蘇ろうとしている。
ヤイミは微笑んで語り続ける。「説明してあげたいけど、私は多忙の身。早速貴方達のためにテストを開始しなくては。ヨロシサン・バイオサイバネティカのCEOである私が直々に貴方と話をしている……その重要性だけ感じてもらえればいいわ」
「貴方は我が社、ヨロシサン・サイバネティカの生み出した人工生命体、バイオニンジャよ。今日から正式にロールアウトし、様々な任務に赴いてもらいます。まぁ基本的な記憶はインプットされてるからこのあたりは解るかしら?」脳内を探れば言われた通り、どこか他人事のような朧げな記憶が幾つか浮かんできた。グリーンシェルはおずおずと頷く。
「定着具合は良好そうね」ヤイミはその様子を見て満足げに頷く。「そうそう、生まれたばかりとはいえ貴方は我が社の社員、くれぐれも目上への礼儀は忘れないようにね。ワカル?」「わかり…ました。」クリーンシェルは辿々しく応える。未だ脳が霞がかる感覚だ。
「ではあなたはこれから協調性、理解力、想像力、そういったものを測るために初任務に赴いてもらいます。まぁ貴方に与える任務の詳細については後で説明するとして、まずは貴方自身について知ってもらいましょう。簡単なテストですよ」ヤイミが手を叩くと床から真っ白なボード状姿見が出現した。
グリーンシェルは歩み寄り、鏡を覗く。まず目についたのは非人間的な無機質な美しさを備えた滑らかな白面だ。その下の胴体は紫色の甲殻類めいた鎧で覆われており、柔軟な筋肉質の足がそこから生えている。腕の姿は見受けられないが感覚はある。どうやら体内に納められているようだ。
「自分の姿を確認したところで、まずはカラテのテストね。ニンジャの近接戦闘スキル。全ての道は結局カラテに通じるわ。」天井が開き純白のサンドバッグが落ちてくる。「蹴ってみなさい。」「イヤーッ!!」サンドバッグ粉砕!緑色のバイオジェルボールがバイオ血液めいてあたり一面に飛び散った!
【カラテ】決定ダイス!
・このシナリオでは特別ルールとしてダイスを振るう度に「カラテを込めて振るう」ことで好きな出目を出すことが可能だ!しかしそれなりのリスクも当然ある…。
今回はせっかくなので「カラテを込めて振るう」を選択し…カラテ6!
グリーンシェルは思考をしなかった。体内に刻み付けられた戦闘本能が肉体にを動かしたのだ。脳内が更にクリアになる。インプットされていたバイオ格闘知識が体に馴染み、形を成していく。「…クフッ」力を振るう快感に、思わず笑みが溢れた。一方ヤイミは破壊されたサンドバッグを観察する。それなりの強度のはずだが破壊せしめるとは。
「……素晴らしいわ。ニュービーとしては満点に近いレベル。とはいっても一人前には程遠いけど。」ヤイミの言葉にグリーンシェルは人外めいた白面をさらに愉悦に歪める。「じゃあ、次はニューロン、頭の回転、反射神経ね。高速戦闘を得意とするニンジャのそれは常人を遥かに越えるわ。何の訓練もなしに熟練ハッカーを凌駕してしまうほどにね。」
キュイイーィン…。部屋全体から不気味な鳴動。「次の攻撃がどこから来るか、音と振動から予測してみなさい。」SHSHSH!!部屋のあちこちから白色の人工スリケンが飛来!「イヤーッ!イヤーッ!」だがグリーンシェルはこれらを全て紙一重で回避!音と振動による予測、回避パターンの学習、そして超感覚ニンジャ第六感の駆使!バイオニューロンとソウルが唸る!
「カラテを込めて振るう」を選択し、ニューロン6!しかし…
グリーンシェルの端正な顔の下、その心に再び三日月めいた笑みが浮かぶ!(こんなにも…簡単なのか?)高揚するグリーンシェルは最後のスリケンを足で受け止め…キュアの方向に投げた!ナムサン!何たる生まれて数分足らずの素早い叛逆か!?だがスリケンはギリギリの軌道を飛んでキュアの頭のすぐ隣にぶつかる!ワザマエ!グリーンシェルは悪戯っぽく笑う。だがキュアは顔色一つ、声色一つ変えずに一瞥。「…なるほど、中々の点数です。しかし」
次の瞬間、グリーンシェルは全身は恐怖ですくみ上がった。生態系の上位に睨まれたような絶望、カエルに睨まれた蛇、ニンジャに睨まれたモータル、覆しようのない差。「アッ…」間抜けな声が声帯から漏れる。
キュアは笑顔のまま、凄まじいまでに美しい笑顔のまま、淡々とグリーンシェルを見据え、言った。「…あなたが今行った行為について、警告させてちょうだい。礼儀を忘れ乱暴な行いを繰り返すことは奥ゆかしくないこと、そうした繊細な機微はまだ貴方はまだ疎いかしら」キュアは気だるげに白魚めいた指の宝石めいた爪をいじる。それだけでグリーンシェルの心は凍る。その爪は明るい緑色、バイオニンジャの血の色だ。
「ワカル?反省してくれるならそれでいい。次から気をつけてくれるならそれでいいの。ワカル?」グリーンシェルは震えながら頷いた。キュアは再び、元の友好的笑顔に戻った。「上には上がいるということを知るのも学び、ニューロンの糧ですよ。テストを止めてしまってごめんなさい。切り替えていきましょう。最後はワザマエの試験です。」
「これはニンジャ器用さ、技術、交渉力、投擲精度などを意味する言葉だけど…今回はスリケン投擲で測ってみましょう。」キュアが手を叩くと天井からスリケンの的が吊り下がってきた。グリーンシェルは震えながら粘液から緑色スリケンを生成投擲するが…先ほどのお叱りがトラウマか?てんで的外れの方向に飛ぶ!「…まぁ他の二つが優秀だった分…ということね。弱点はこれから埋めていけばいいわ。」
警告されてしまったので今回は普通に振るう… 結果は…ワザマエ2
「さて、じゃあ最後にいよいよ、貴方のバイオサイバネについて説明するわ。」キュアがそういうと、天井や壁のスリットめいた穴が、複数のホロ映像を投射した!そこには沢山の異形の人間たち!腕をロブスターの腕や生きたコブラに変えたアウトロー、下半身をケンタウロスめいて置換した陸上選手めいた女、背中から生えた翼で青空を飛ぶ少女、ストリートの雑踏を堂々とすすむ獣人めいたギャングの集団。
それらいずれも恐るべき冒涜と、それらすら踏み越える強さと美しさがあった。その間には自信と誇りの光が宿る!「これこそ我々ヨロシサンが世界に提供する移植用生体パーツ及び遺伝子、バイオサイバネです!地球上のありとあらゆる動植物の力をヒトに与え、凌駕させる、ヨロシサンが世界にもたらす人類の進化!それこそがバイオサイバネ!競合他社も複数あれど…驕りなく言えます。我々はこの分野の権威です。」
ここまで終始冷静だったキュアが手を強く握り、美し顔が興奮で歪む。だがすぐさま彼女はその貌を戻し、グリーンシェルに向き直った。「…そしてあなた達バイオニンジャは全身がバイオサイバネで出来ている我が社の技術の集合体たる人工生命体。いわばニンジャの中のニンジャ、頂点に立つものなのよ。貴方の場合は…特に腕部が顕著的ね。」
このシナリオでは特殊なバイサイバネ表を振ってバイオサイバネを決定する!今回の出目は…1、複製腕!
グリーンシェルは頷き、装甲めいた胴体部から腕を抜き出した。美しい緑色の軟体だった。力を込めるとスライムめいた粘液が漏れ出、触手めいて動く。カラテが満ちていた。なんでも出来そうだった。己の中の闘争本能がエンジンを回し始めた!「いい顔ね。さぁミーティングルームにいきましょう。あなたが最後です、皆待っていますよ?」
一先ずニンジャデータ完成な!諸々の調整はシナリオを終えてから決定するとして暫定版データだ!
◆グリーンシェル
![](https://assets.st-note.com/img/1700053065729-7I5v4TQs7r.png)
PLN:グリーンシェル
カラテ:6 体力:6
ニューロン:6 精神力6
ワザマエ:2 脚力3
・複製腕:カラテ+1
バイオニンジャ。貝類のDNAが多く用いられており、伸縮自在の緑色の四肢を甲殻めいた胴体から展開して戦闘する。自我は薄いように見えるが意外にも活発。バイオ度が高すぎた故の成育時のトラブルによりかなり長い間目覚めず、カプセルに閉じ込められたまま廃棄寸前であった。
「ハイ、ヤイミ=サン!」もはやその声と自我は完全に覚醒、はっきり明瞭としたものとなっていた。グリーンシェルはヤイミと共に部屋を出、生物的な白と緑の廊下を渡りミーティングルームへと向かう。その足取りは堂々!そしてエントリーした大学講堂めいたその空間内には様々な異形のシルエットが待機していた。皆自分の同じバイオニンジャなのだ!「ドーモ、皆さん。最後の一人が目覚めました。いよいよ、任務説明に入りたいと思います。」
グリーンシェルは拍手を持って迎えられた。皆々互いの特異な形質を讃えあう敬意と、自らの生物学的優位性を疑わぬ傲慢さを備えた笑顔だ!それを見て壇上に向かうキュアは少し微笑む。グリーンシェルも堂々と部屋を横切り席に着いた。巨大カケジクめいたモニターが点灯して壇上のキュアがアイサツし、いよいよブリーフィングが始まった!
「本日、あなた方にはタマチャン・ジャングルの研究施設に向かってもらいます。」画面には煙を上げる白色の建造物が映し出され、ミンチョ体で「重大事故」「音信不通な」などの補足説明が入る。「見ての通りです。残念ながら研究員の生存は絶望的ですので、あなた方の任務は機密情報の回収となります。それが不可能なら状況の完全な隠蔽を行ってきてください。よろしいですね?」
「ハッ、アタシ達コンビに割り振られるにしてはイージーすぎる任務ね。」下半身をバイオブラックマンバに置換した女ニンジャ、スネークテイルは相棒ブルオーガに囁いた。「ガッハッハ!ヤイミ=サンは心配性すぎるのう!」ブルオーガは逞しいバイオ複腕を組んで大笑!「だとしても己が力を証明するため、全力で挑むべきでしょうな」「同意、ボクも遅れをとるつもりはないから。」「ハッ、一番槍は俺様だぜ?」
バイオニンジャ達は口々に叫ぶ!任務への熱狂だ!「元気のよろしいこと。皆さん、期待していますよ」バイオニンジャたちを目を細めながら見つめ、キュアは微笑んだ。その少女めいた幼さ大人びた包容力を兼ね備えた笑顔に、たまたま目のあったニンジャ、スタッコウォールは四角いシルエットのバイオ漆喰装甲の下で頰を赤く染めた。彼は要人護衛用として純朴で真面目な性格にデザインされている。
「では任務開始は今からです。後方扉からヘリポートに出てください。」キュアが指し示した扉は直通でヘリポートに繋がっており、人数分のヘリコプター!その腹には降下用の球型バイオカプセルが卵を抱える昆虫じみて備え付けられてある!運転席に座るヤクザパイロットが会釈するが、グリーンシェルを含む殆どのバイオニンジャ達は無視してまっすぐと座席に座った!尊大!ヤイミはそれを見ても注意などせず笑顔のまま、生まれたてのバイオニンジャ達を見送った。
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……数時間後!ヘリコプター群はネオサイタマ西方、タマチャン・ジャングル上空へと到達していた!かつて突然変異と異常気象により尋常でない速度で繁殖増大したバイオパインやバイオソテツの植生は、今なお拡大し文明を征服せんとしている。ヘリコプターの窓から下界を見下ろすと、鬱蒼としたジャングルの中にところどころ高層ビル群の食い残しめいたアワレな残骸が立ち並んでいた。目的地点も近づきいよいよ降下と思われたその時!
KBOOOM!!『アバーッ!?』突如ブルオーガの乗り込むヘリが突如爆発四散!蜘蛛めいたバイオ複腕とウシめいたツノを持つ彼は炎上しながらヘリ残骸と共に落下していく!もはや助かるまい、不幸な事故だ。なお全く余談ながらブルーオーガは全体ミーティングだけでなくヤイミとの個人面接の際にも無礼で粗野な態度を隠そうともせず彼女から不興を買っている事実をここに記しておこう。
『ブルオーガ=サン、バイタルサイン消失、任務は問題なく続行ドスエ』「はっ…?」無機質なアナウンスにグリーンシェルはニューロンの底から凍りつく。死んだ。自分の同じバイオニンジャが。今すぐそこで、一瞬で。「…ナメていたということか…」なぜ自分はこれを愉快な遠足か何かだと思っていたのか。既に生存競争はスタートしている!グリーンシェル、そして残りのバイオニンジャ達は覚悟を引き締めてバイオカプセルに搭乗し落下を開始した!
カプセルは隕石じみて落下開始!透明窓となっている半分から見渡せば周囲にも同じ落下物!みるみるうちに地上が近づいていく!「ヌゥー!」強い衝撃!ブルオーガのヘリのように爆発せぬかと不安ではあったが、どうやら無事に降り立つことはできたようだ。グリーンシェルはカプセルを開けてジャングルへとエントリー!気配を探れば周囲に他のニンジャ達も近くに降り立ったようだ。
基地の座標は既に全員に共有されている。手柄を確保するためには一刻も早く向かわねば!しかしそう思った矢先周囲から無数の唸り声が鳴った!「…バイオ遺伝子に刻まれているぞ!?この声、バイオパンダか!?」ナムサン!ニンジャすら餌食にするという超危険生物!しかもこの数、ここはネストか!?ミッションの為にも消耗は避けねばならない!
途中戦闘を避けるため第六感を頼りに進む!ニューロン反対難易度normal 1,5,5,5,5,5成功
「僕の知能指数ならば完全なるマッピングが可能!!」バイオニンジャの一人、リバーボーイが藪を突き破って現れた!脳改造により剃髪された頭部が輝かしく光る!「PANDA!!」だが次の瞬間目の前の薮からパンダの髑髏模様の大腹が飛び出た!「アイエッ!?そこには何の反応もなかったはず!?」ナムサン!パンダは穴を掘って探知を回避していたのだ!なんたる知性!「PAN!!」致命的引っ掻き!
リバーボーイはとっさにかがみ込む!だがバイオパンダの一撃が彼が背中に背負うバイオエキス入りタンクを粉砕!「アバーッ!?」ナムサン!彼の背面タンクから供給され、月桂冠めいた頭部チューブ内とバイオ脳を巡るエキスは彼の知性と反射神経を鋭く尖らせる専用ユニット!即座に爆発四散という事態にはならないがパフォーマンスは大幅低下間違いなし!
「う…嘘だ、このボクがー!!」「PANDAAA!!」リバーボーイはなんとかバイオパンダの攻撃をいなし、散発的にカラテを当てているがあれでは殺し切るまでに相当かかるだろう!手助けをしていれば手柄争いには参加できまい。「…己の適応力の低さが招いた事態、悪く思うな!イヤーッ!」リバーボーイに注意が向いている今がチャンス!グリーンシェルはニンジャ感覚で周囲を索敵しながら慎重に走り切り、ネストから抜け出した!
そのまま森を走り切り施設の前まで到着!だが入り口に人影。同じくバイオニンジャ、スタッコウォール!「ドーモ、グリーンシェルです。」「スタッコウォールです。」「どうした、先にいかないのか?」「ここに至て気づいたのですが私はハッキングの類などが苦手でしてな。イサオシは公平に分配するとして二人でいきませぬか?」「…いいだろう。」二人は並んで施設内部に侵入!内部は複雑に入り組んでいるようで、ニンジャ第六感があちこちに警告を飛ばしている!「ウカツに動けませんね。」「どうしたものか…」その時!
「お先だぜー!!」暗視ゴーグルめいた真紅の眼球を持つ鳥めいたバイオニンジャ、ナイトスパロゥが外から飛び込んできた!ナイトスパロゥは暗闇もものともせず突き進む!最新遺伝子配合のバイオアイの賜物だ!だかしかし油断は禁物!ナイトスパロゥが着地した地点がパカリと開き歯車じみた殺戮機構が出現!ネギトロ・ピットだ!「ハッ!?アバーッ!アババババばばば!!」巻き込まれたナイトスパロゥは悲鳴を上げながらゴリゴリと不気味な音を立ててネギトロピットに沈み込んでいく!
「サヨナラ!」ナイトスパロゥの爆発四散を唖然と眺めていた二人だったがハッと我に変える!今は一刻を争うのだ!「わ…我々も先に進まなければ!しかしトラップはどうすれば…」「……任せてくれ」グリーンシェルは制御ユニットと思わしき端末に近づくと触手めいたバイオ粘液を分泌!固体化粘液高速タイプのハッキングだ!「イヤァー!」『認証ドスエ』トラップ解除!「行くぞ!」「了解です!」
トラップやロックの回避 ニューロンでハッキングnormal3,4,5,5,4,2成功
二人はセキュリティが復帰する前に廊下を疾走!システムの故障で閉じたままの隔壁をタックルやバイオサイバネで破壊し、生き延びていた凶暴実験生物を蹴散らし、誤作動するトラップをスタッコウォールの甲殻で受け止め、ついに最新部に到達した!ドーム状の電算室に鎮座するはモノリスめいたターゲットUNIX!「ようやくですね!」「ああ、とっととハックして終わりだ!」二人がUNIXに踏み出したその時、突如爆発音と地響き!
「こ…これはもしや!」「クソッ、ここで限界が来たのか!」辛うじて持ち堪えていた地下構造がバイオニンジャ達の侵入により限界を迎え崩落間近!悠長にデータを取り出す時間はナシ!「機密保持のために破壊するか…一か八かハッキングするか…」グリーンシェルは数瞬逡巡し、覚悟を決める!「スタッコウォール=サン!しばらくの間、俺の体を頼む!」グリーンシェルはそう叫ぶとUNIXのキーボードに齧り付いた!崩落の前に機密情報取り出しだ!
「…背後失礼します!」スタッコウォールはグリーンシェルに覆い被さる!多少の瓦礫はシャットアウトだ!「イヤーッ!」グリーンシェルはシャウトと共にタイピング!肉体の感覚や周囲の状況把握を一旦完全に捨て去り、防御面をスタッコウォールに委任!完全なる集中状態で高速ハッキングに挑む!
破壊or情報持ち出し…ここは持ち出し!ハッキングhard2,3,6,3,3,5成功
バイオニューロンと粘液触手が煙を上げるかと錯覚する頭脳フル回転!キャバババーン!!UNIXから幾枚かのデータ素子が飛び出す!「やりましたな、グリーンシェル=サン!」「…フーッ…あぁ!!この手柄は二人で山分けだ!崩落し切る前に逃げるぞ!」グリーンシェルがその場を立ち去ろうとしたその時!
「SHAAAUUU!!」色付きの風が駆け抜けたかと思うと、グリーンシェルの掴んでいた素子の半数以上が抜き取られた!「何だ!?生き残り実験生物か!?」ナムサン!素子を盗み取ったのはバイオ生物ではない!バイオニンジャのスネークテイル!ヘビめいた体を活かして配管アンブッシュ強奪したのだ!「手柄いただきよーっ!」その目は血走っている!同じ研究室出身の盟友ブルオーガを失いもはやヤバレカブレなのだ!
「貴様…待て!そちらは行き止まり…」スタッコウォールが静止するもスネークテイルは無視して何もない壁面へと駆け抜ける!そして次の瞬間、壁が開いた!「手に入れたかい、スネークテイル=サン!」「あぁバッチリさ!」リバーボーイ!彼も共犯者、ハッキングで隠しゲートを開き支援したのだ!そのまま二人はゲートを閉じて消える!
さらに狙ったかのように爆発音複数!崩落加速!リバーボーイのハッキング置き土産だ!「チッ!我々も別ルートから脱出を…グリーンシェル=サン!?」グリーンシェルは呆然と二人が消えた方向を眺めている。自らへの情けなさ、怒り、納得、諦め…急成長したとて生まれたての鋭敏なニューロンに未経験の大きな感情が渦巻いていた。だがその葛藤を崩落はまたぬ!崩れ落ちる天井!「アブナイ!」
「グワーッ!?」スタッコウォールのタックルをくらいグリーンシェルはワイヤーアクションめいて跳ね飛ばされる!直後、崩落した天井がスタッコウォールに降り注いだ!「ス…スタッコウォール=サン !何を!」ナムサン!振り返れば既に大量の瓦礫がスタッコウォールに覆い被さっている!スタッコウォールはバイオ筋力と漆喰装甲で何とか食いしばっているが押しつぶされるのも時間の問題だ!「グッ….私は動きが鈍い!貴方だけでもデータを持って逃げるんだ!」
「な…何を言っているんだ!これほどのバカとは… 」グリーンシェルがスタッコウォールとの同盟を快諾したのは理由がある。彼は出陣するバイオニンジャたちの中で数少ない、ヤクザ操縦士に会釈を返したニンジャであったのだ。故に利用しやすいカモと思い同行していたのだ…しかし…。「何を迷っているんだ!早くしろ!」怒鳴りつける声にグリーンシェルは唇を噛み、スタッコウォールに背を向けた。「………オタッシャデー……ッ!!!」
グリーンシェルは崩落していく部屋の中から脱出ルートとなりうる歪んだシャッターを発見すると、連続側転で近づきカラテで粉砕!そのまま半ば崩れ落ち歪んだ通路を恵まれたニンジャ筋力と反射神経で走り去る。その背中はみるみるうちに遠くなっていく。「そうだ…それていい。」スタッコウォールは嘆息するように言葉を漏らした。肩の力を抜く。積み重なった瓦礫が再び崩れ始める。
「ヤイミ=サン…」目覚めた直後に向けられた微笑み、名付けられた名前。まだ始まったばかりであった彼の人生にはヤイミの姿が刻み付けられている。(…オタッシャデー…)スタッコウォールは社の緊急プロトコルに忠実に従い休眠モードへと入った。瓦礫の山が彼の姿をすぐさま覆い隠し、意識を完全にシャットアウトさせた。
……この施設で起きた重大事故…その原因はシャナイ級極秘のプロジェクトではあった異次元オヒガンへのバイオ的取り組み実験の事故であった。その影響が10年後、ここはエメツと呼ばれる異次元由来の資源物質が大量に生成され、新体制ヨロシサン保有のエメツ鉱山となる。休眠状態のままのスタッコウォールがその時発見されて張り掘り出されるかは…まだわからない。
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……数時間後!夕焼けのヨロシサン支社ブリーフィングルームにて、何とか崩落を掻い潜り帰社したグリーンシェルは成果報告の為に訪れていた。周囲には殆ど人影はおらずスネークテイルとリバーボーイがかなり離れた地点に座っていた。今朝あれほどひしめいていたバイオニンジャ達は今やこの3人含め数えるほどしかいない。残りは皆、死んだのだ。やがて気まずげな沈黙を破りヤイミが今朝と変わらぬ奇妙な美しさで壇上に上がった。
「ドーモ、みなさん。今朝ぶりですね。また会えて嬉しいわ。」キュアはそういうと手元のIRC端末を覗き込む。「フーム、スネークテイル=サン、リバーボーイ=サン、そして…グリーンシェル=サン。データ回収に成功したのは以上の三名のようですね。オメデト!ヨロシサンはあなた方の働きを高く評価しますよ」
名前を呼ばれなかったバイオニンジャ達の顔が絶望に染まるのを見やると、ヤイミは彼らにも笑いかける。「今回任務に成功できなかった子達も安心して、また次の機会で実力を発揮してくれればそれでいいわ。今は休息をとることが大事ですよ。名前を呼ばれた三名以外は自室に戻って結構です。」他のバイオニンジャが退出する中で3人はヤイミの元に集まる。
スネークテイルは露骨にグリーンシェルを睨み、リバーボーイは目を逸らした。上司の前であまり賢い行動ではないが疲労と経験不足か。それを無表情に観察してからヤイミは口を開く。「皆さん、良く任務を成功させましたね!本来であればまだ研修期間が続くのですがあなた方は合格、正式なニンジャエージェントとして認めましょう。ある程度自由も手に入りますよ。」そこでヤイミは言葉を切り、奇妙な輝きの瞳で3人を見据えた。
「………貴方たちは本当にいい目をしている、熱意に溢れてキラキラした目……もう少しお話しできないかしら?貴方達の今後について…疲れているだろうし傷の様子も見てスシもご馳走するわ。」「「ヨ、ヨロコンデー!」」リバーボーイとスネークテイルは瞬時に返答!その目は期待に輝いている。極限の緊張からの解放と疲労が判断力を鈍らせているのか、あるいはヤイミという女の持つ一種の魔力なのか。
だが比較的傷の軽いグリーンシェルの鋭いニンジャ第六感は、この選択を間違えれば無惨な運命が待ち受けているといることを直感した。何か…良くないものを感じる。「…申し訳ありませんが…私は辞退させていただきます…データ取得量もお二人より劣っていた私がヤイミ=サンの手を煩わせるわけには…」ヤイミは驚いたような表情を一瞬浮かべた。「…なるほど、わかりました。お大事にね。では二人はこの後私の執務室で…。もう下がっていいですよ」
スネークテイル達はあからさまな侮蔑の目線を向けながら会議室を退室した。二人が行ったあとで、ヤイミはもう一度、未だ立ち去らないグリーンシェルに向き直った。「では貴方にはここで話しておきましょうか…………貴方、『直接』私のものにならない?という話よ。私の直属エージェント、答えは今すぐでなくていいのだけど」「…申し訳ありませんが、私のワザマエではヤイミ=サンのお側に使えるには不足です」
ヤイミはがっかりしたように目を瞬き、つぶやいた。「…そう。なら、見込み違いだったかしら」その声色に今朝の恐怖が蘇る。「ご…ご期待を裏切るような形になってしまい…」「あら!そんなに強張らなくても!あなも我が社の重要なプロダクト、むやみにいじめるなんてしませんよ」ヤイミは口元を押さえて悪戯めいて笑うが、グリーンシェルの震えは止まらない。
ヤイミはそれを見てため息をついた。「……理解できるかしら?理解できなかったとしても、社に忠誠を誓えるならかまいません さあ、もう下がりなさい。貴方の今後に期待していますよ」グリーンシェルはしかし、その場を去らなかった。「申し訳ありません、最後に一つだけお耳に入れたいことが。」「……なんでしょう?」
「私は本日の任務中、スタッコウォール=サンと同行していましたが…彼の爆発四散は確認していません。彼はまだ休眠状態で生き延びている可能性が…」ヤイミは一瞬驚いたような表情を見せるも、すぐさま冷徹な無表情で淡々と返答した。「そうですか。しかし費用対効果を考えれば…救出という選択肢は残念ながら存在しません。彼のことは忘れなさい。」予想できていた答え。「ハイ…」今度こそグリーンシェルはオジギし、退出した。ヤイミはそれを見届けると二人のバイオニンジャの待つ執務室へと向かった。
ここでヤイミ・コナギバ、彼女の素性について幾つか補足しなければなるまい。ヨロシ・バイオサイバネティカのCEOにして、ヨロシ本社役員、乳白色の美貌の持ち主、もしくは「キュア」という名前のニンジャ。名の通り、彼女は他者を癒すジツを持っている。ただし、その治療の恩恵を一度でも受ければ、永遠に愚者として支配される運命が待ち受ける。そして…キュアは邪悪なニンジャであった。
二人の横取り行為は既に埋め込まれたバイオICチップの記録から把握している。ニンジャエージェントとして過度に協調性のない態度はいただけない。「彼女達も私に好意を持ってくれているようですし、幸せでしょう。それに…座り心地も良さそうですしね。」グリーンシェルに関しては、これは100パーセント私的な行いだ。キラキラとした目と椅子として優れた柔らかくひんやりとした質感。
しかしグリーンシェルは意図してか否か、この場を切り抜けた。言葉通り期待しても良いかもしれない。訓練時の粗相や先ほどのスタッコウォールの件など多少出過ぎる部分はあるが、自信や向上心の裏返しとも見える。そうCEOとしての思考で考えながら、キュアはプライベートなコレクションを増やすために執務室のドアを開けた。
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グリーンシェルはラボでの検査・治療を終え、そのまま与えられた社員寮へと、感情を一つ一つ確かめるようにゆっくりと歩みを進める。…あれほど自信に溢れていたニンジャ達はその殆どが帰ってこなかった。あの地域はタマチャン・ジャングルの中でも特に過酷な環境かつ施設のセキュリティもニュービーが向かうにはハイレベル。初めから捨てゴマ同然の扱い、在庫処分めいたフルイかけ、ブッダの掌のマジックモンキーだったのだ。
その中において自分たちを出し抜いたスネークテイル達、彼女らは悪だったのか?否、過酷な自然競争においては狡猾に立ち回ることは絶対法則の一つだ。悪いのは油断していた己自身、他のバイオニンジャもスタッコウォールのように、利用しやすく、愚かで……イイヤツだと勘違いしていた己自身なのだ。「…だが…それもここまでだ…」
利用され、益を吸い出されるだけの被捕食者で終わるのか?それもまた否!己はグリーンシェル、生態系の頂点に立つべく生まれたバイオニンジャ。経験を積み進化し、ブッダの掌を飛び出し、必ずその頭上へとのし上がり、世界を導き試すヨロシサンのマスターピースとなってみせる!「まっていろよ…」
グリーンシェルは支給された白色バイオスリケンを握り砕きながら、呟くように、しかし力を込めて宣言した。その様子を隠し監視カメラだけが人知れず見ていた。その向こうの研究者達は見届けたとばかりに画面から目を逸らし、手元のバイオニンジャ資料に「向上心:非常に良好、ヤイミ=サンの評価通り」と書き記し、慣れた手つきでファイルに納めた。
【ナチュラル・セレクション、オア・トライ・ラック・アト・タイム・キリング・チャレンジ】終わり
◆リザルト
報酬はないが生き残った!
・シナリオ後ステータス
バイオサイバネのローンを帳消しにし、諸々のステータスを整える。
◆グリーンシェル (種別:ニンジャ/バイオニンジャ)所属:ヨロシサン 名声1
カラテ6 体力8
ニューロン6 精神力7
ワザマエ2 脚力3
ジツ0 万札0
攻撃/射撃/機先/電脳 6/2/6/6
回避/精密/側転/発動 6/2/2/0
緊急回避ダイス:0 即応ダイス:4
◇装備や特記事項
▲▲戦闘用バイオサイバネlv1
『◉バイオニンジャ化』『◉忠誠心:ヨロシサン』
○純正バイオニンジャ
という訳でヨロシサンのエージェントとして活動開始です!バイオの特徴とも言える体力と攻撃力は既にかなりもの。折角の純粋バイオ者、色々試したいところです。一人だと動き難いですし、ウォーゲイザーのように仲間をつけてみたりしてもいいかもしれません。
ではまた次のリプレイでお会いしましょう!
◆おまけ
【スタッコウォール】
バイオ漆喰装甲が全身に張り巡らされた要人警護用試作バイオニンジャ。四角いシルエットは一見すると奇妙な騎士めいて見え、その性格も義理堅く実直に調整されていた。バイオ漆喰装甲はたとえ破損しても手持ちの専用工具と素材で修復が可能。
【ナイトスパロゥ】
赤外線スコープめいた赤い目と鳥めいた特徴を持つ隠密用試作バイオニンジャ。そのバイオサイバネアイは暗視スコープじみた効果に加えて、純粋な視力も高くニンジャ器用さやニンジャ精密性に大きく補正を与える。反面、視力を過信してその他の感覚を疎かにする部分がある。
【リバーボーイ】
かねてより研究されていた生体LAN端子に頼らぬバイオ電脳ニンジャの試作品。魚由来の遺伝子を持っており、体内のDHAを配合したバイオエキスを背面のユタンポめいたタンクに充填、脳内や頭部に取り付けられた月桂冠めいたチューブでマグロめいて循環させることで、ニューロンを強化する。タンクやチューブが弱点。
【ブルオーガ】
雄牛の角と逞しい複腕を持つバイオニンジャ。怪力に身を任せた攻撃は勿論、死の間際に発動する生体猛毒爆弾臓器が死後も相手を苦しめるというコンセプト。相棒のスネークテイルとの連携が想定されていたが、体内の毒に阻害されて基本記憶定着プログラムが一部不安定であり、作法の部分が抜け落ちていた。
【スネークテイル】
下半身をサイバー馬より早いと言われる毒蛇、バイオブラックマンバに置換した女バイオニンジャ。エラ呼吸も可能で、陸上水中閉所暗所どこでも素早く移動できる。当然毒も持ちブルオーガの影に隠れながら高速で一撃入れれば、相手はじわじわと毒に弱められ相棒のカラテの餌食となる。
いずれも元シナリオのデフォルトネームニンジャな。詳細はニンジャネームとサイバネの効果から想像。