好きノート8 好きな小説は何ですか?
小説は読む。ある日突然、スイッチが入ったように読みたくなる。
それも長編。背表紙だったら2センチ以上。上・中・下巻なんかに分かれていたらなお良し。
分厚さだけをチェックしていると、時々短編集や、オムニバス物に当たったりすることがあるから、気をつけなくちゃいけない。
私が求めているのは、一人の主人公が、一つのストーリーの中で喜怒哀楽しながら展開する、長い長い時間だから。(歴史物で群雄割拠、なんていうと主人公は何人も入れ替わったりするけど、それは許容範囲)
でも、読み終えた瞬間に、あらすじも何もかもすっかり忘れてしまう。あれほどの時間を費やして、やっと読破した小説も、主人公や小説のタイトルすら忘れてしまうこともある。
なぜだろう。
きっと、私が小説に求めているのは、瞬間の没頭だったり、非日常への脳内トリップだったり、そんなところなんだろうと思う。
それでも「好きな小説は?」と聞かれたら、オーウェルの「1984」と答えることにしている。分厚くて、主人公は一人で、ストーリーも一つ。非日常に脳みそがどっぷり浸れる。条件を全部クリアしている。だから何度も読む。