ギターの描き方(焦げ猫自己流)
「カズオの運行日報」番外編SPで作画に苦労したのはグレッチ(ギター)の模写です。
まいど、ギターやトラック・建物等は拾い画像を下敷きに主線だけフリーハンドでトレースして細かい部品のカスタマイズや彩色は参照ウインドウで資料見ながら自分で設定して描いてるのですが、番外編前編で出したグレッチの金属パーツのちょっと古びた感じがなかなか出せなくてですね。
でもなんとか仕上がりましたので、デジタルで描画するクリエイターさん向けにご参考までに焦げ猫のやり方をタネ明かししときます(スキルのある人、調べものがうまい人はとっくにやってるでしょうが…)。
木目部分、塗装、金属パーツ、弦、ケース内張り…今回描いたグレッチは楽器の模写にほぼ必須の要素がぜんぶ入っているので…。
部屋やトラック荷台の床も、コレと同じように(もっと簡単ですが)ベースカラー➕フローリング素材レイヤーを適宜パース変形&不透明度下げ➕背景としてぼんやりさせたければ、ぼかしツールまたはエアブラシツールで壁との境界線をぼかす、でやっています。
ベースカラーと木目
まず、拾い画像を取り込んだレイヤーを下敷きにします。
そのレイヤーの不透明度を下げて薄くし、線画レイヤーで主線を描きます。
ギターケースは背景として別レイヤーにし、カラーや乗算などのレイヤーセットでフォルダを作っています。ギターそのもの、メインの人物は「メインセット」としてフォルダにまとめています。
焦げ猫がギターやベースを描くとき、木目のある機種については、彩色の段階になったら木目を出したい部分も1度それらしい色で塗りつぶしてしまいます。
もちろんバケツツール使っても隅っこ空くのでペンで細かく塗り足し。
それからカラーを一旦不可視にして、木目にしたい部分を自動選択→アプリ内素材(以下単に素材と表記)からいちばん似ている木目を選んで載せて向きやパターンの大きさを調整。
フィルターで色・コントラストを調整します。
木目のレイヤーの不透明度を下げます。
先に塗っておいたカラーレイヤーにこうして作った木目レイヤーを乗せるとこうなります。↓
木目レイヤーはベースに塗った色との相乗効果を計算して、素材のコントラスト・色味を調整しています。コントラスト強め、彩度低めにすると柄が出やすいので。
木目レイヤーだけよりも自然な感じになるのがお分かりいただけるだろうか…(汗)。
ベース色を塗らず素材貼り付けとフィルターの色相コントロールだけでもそれらしくできますが、この辺はこだわりですね…(^_^;)
あとで艶など加算したときに自然に仕上げやすいので。
単色でなく例えばレスポールのチェリーサンバーストみたいにボカシ塗装になってるヤツはさらにレイヤーを1枚足して、ペンとエアブラシでボカシ部分のカラーを塗って、また不透明度調整して載せます。
それと、わたしは主線に「天才ペン」という滲みと筆圧がモロに出るペンツールを使っているのでか、自動選択して貼ったパターンの境界線がきちんと埋まりません。
なので、ギターに限らず素材を貼り付けたときは濃いめの同系色で境界線を埋めるという余計な手間をかけておりました。
これもベースのカラーレイヤーに単色塗りしておけば目立たないようです。
金属パーツの再現
トラックのメッキ塗るのはなんとか慣れてきましたです…慣れたというか自己流が確立してきたというだけで、雑ですし「コレが正解」っていうものではありません。
ちなみにトラックのメッキ(ステンレスの鏡面っぽい部分含む)は、青みの濃いめグレーをベースに塗りつぶし、「加算・発光」と「乗算」をソレっぽく塗り、さらにギラっとさせたかったらポイント的に加算レイヤーでエアブラシをグリグリやって光を散らす…って感じでやってます。
素材により、例えばタンクや工具箱、箱前面のステンレスなどはエアブラシだけ…と使い分け。
暗い場所の想定ならスクリーン使うとかもです。
エアブラシ以外はデジタルでの金属の表現のしかたをネット調べて出てくる至って普通の方法だと思います。
このときの基本の加算発光・乗算の塗りは滲む天才ペンでなくGペンのハードを使って境界をくっきり、線先を尖らせています。
ところが今回のグレッチ(ギター)は一筋縄でいきませんでした。
真鍮なのか金メッキなのかわかりませんが、ちょっと使い込んだというか古びた感じを出したくて、参考画像はバッチリなの拾えたしボディの色と木目もうまくいったんですが…。
金色部分のベース色が、どうも複雑…。
ベースの塗り潰し色をスポイトで写真から取っても、なんか違うんです。
結局、ベースに新品の金っぽい黄色系の色、やや緑のかった明るい茶色、くすんだグレー、濃いグレーの4色を使い、それぞれの色で「加算・発光」「スクリーン」「乗算」をペンとエアブラシで描き込み、ボディに映り込みと影を塗って仕上げました。
弦
やっぱり弦はズレちゃいましたけどね(爆)。
今まで弦は省略してしまうか、線画レイヤーに描いてたんですが、こういう楽器単体のどアップの場合やはり弦描かないとしまりがないので、線画の上層に「弦」だけのレイヤー作ったほうが間違いないですね…。
ベースはたかが4本だけに弦がないだけでかなり見映えが手抜きっぽくなるし、さらにウッドベースとなると大きいせいか無いのが目立つので定規で引きましたが、それでもズレてる…(汗)。
ギターケース
ここでお話ししたいのは、ペイントアプリに用意されているペン先パターンや素材パターン、テクスチャは名前どおりに使わなくても応用が効くということです。
ギターケースの内張りは粗いベロア調ですが、このテクスチャがアイビスペイントにはありません。
かわりに「大理石」パターンを貼り付けて、フィルターでガウスぼかしやったらそれらしくなりました。
で、影部分の乗算レイヤーではスポイトで大理石の濃い部分をとり、ファーペンで塗りました。
(ケースはギター本体と別の下層レイヤーにし、線画・乗算・テクスチャ貼り付け・カラーの順でフォルダに)
このファーペン、それまではやはりマフラーやセーター等衣服に使ってたのですが、背景の木の茂りとか雑草の生えこみに使ってもイイ感じに仕上がります。
太めにしたほうが毛羽立ちも大きくなり効果が出やすいようです。
どうしても代用が効かない素材はどうするか
ところでベロア風テクスチャもそうですが、「ヘビ革」パターンがないのは不便ですね。
ロックミュージシャンの必須アイテムと言っていいのに…。
あれは他のもので代用するのが難しいので、カズオのベルトやスタジオ衣装とかに使いたかったんですけど見送りました。
こういう場合、本当はできなくもないですよね。
ヘビ革柄のなにか写真素材拾ってきて貼って、メッシュ変形なり色調整なりしていらないとこ消しゴムで消せばいいので。
ただ、トラックの内装(ハンドルカバーなど)にもその手を使ってるんですが、やはり手間がかかります。
トラックの内装独特の金華山はこういう作品書いてる以上しょうがないですけど、ヘビ革は普通にファッションアイテムなので使えるといいですね。
ギターとギターケースをカラーで描くのは、このようにいろんな要素があって応用を効かせなければならないので勉強になりました。
次回のアイビスペイントの技術的話題では「ペン」の応用メモを書いとこうかなと思ってます。
「ファーペン」で木の茂みを描いたり、今回ケースの内張りに使ったようにまったく関係ないテクスチャをそれらしくする仕上げに使ったように、ペンも応用・流用が効きます。
ところで「トレース」はどこまでOKなのか?
そもそも模写とトレースの線引きは?
それも焦げ猫の考え方を別記事で書こうと思ってます。
焦げ猫のライフワーク作品ともいえますメイン作品「カズオの運行日報」はこちらのマガジンに連載まとめてます!↓
今回の記事のようなデジタル作画の技術的な話題の記事はこちらのマガジンにまとめます。↓
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