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解説&メイキング!カズオの運行日報

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業界の専門用語、専用道具が多く商習慣も謎なトラックドライバーの世界を、マンガ「カズオの運行日報」に沿って解説します。 マンガ作品としてのメイキングよもやま話も。
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記事一覧

解説・カズオの運行日報 第29話 「春よ、来い」

マンガ本編作中の津軽弁がわかりにくかったかた、目次にて「津軽弁」をクリック(タップ)して頂ければ訳に飛びます。 本編記事末にも書いてますが、トラックお祓い(安全ご祈祷)の祝詞もホントに「荷車」なんですよ(笑)。 免許取得カズオはいよいよ大型、植松もやっと中型免許。 準中型免許取得から、中型免許が取れる資格になるまで2年。 コージは夏に準中型免許をとっているので、免許のステップアップはまだ丸1年以上先です。 作中のようにコースの変更や配達先店舗の追加などがあるのは珍しくな

解説・カズオの運行日報 第25〜26話「青さんのトラウマ」

ブレーキが効かなくなってあわや大量殺人事故…なんていう経験をしたので、チキンな焦げ猫はそれ以来トレーラーに乗ってませんし古い車をあてがわれる会社も避けるようになりました。 まぁ、その後排ガス規制であの型の車は業界全体で乗れなくなったんですが。 あの恐怖は男性でもトラウマになりかねないと思い、タイトルを「青さんのトラウマ」としています。 各作品末でさんざん言ってますが、「トレーラーの仕事が悪いのではない」「整備を自分でヤレはあくまでも昔の話」です。 それより、「人に仕事を教

解説・第22話〜第24話 カズオの運行日報「Jealousyを眠らせて」

遅くなりましたが第22話〜24話の解説・補足です。 「カズオの運行日報」今回の一連のお話は、トラックがほとんど出てこず、そちらのファンのみなさんすみませんです(汗)。 新レギュラーキャラ登場と同時に、福祉を必要な人に「届ける」ということを描きました。 そういう意味では「運ぶ」、「繋げる」ですね。 それと、自己否定感が強く悩みが自分を責める方向に向かってしまいがちな人や実際にうつ病や適応障害になっている人、周りにそういう人がいてどういう対応をとったらいいか考えている人にも

「カズオの運行日報」しばし休載のお知らせ(泣)

絵描きとしては非常に悔しい事情にて、当面の間「カズオの運行日報」の執筆をお休みせざるを得なくなりました。 自分で言うのもなんですが、この1年でデジタルの使い方もわかってきて、やっとプロとしての仕事もポツポツ入るようになった今…非常に無念です。 致命的なバグで萎える少し前から絵を描くのに使っているiPad Air(第4世代)の調子が悪いことは幾つかの記事でボヤいてました。 謎の部分的色抜け、レイヤー行方不明等…。 それ以前に「落ちる、固まる、動作カクカク、要再起動」もあ

メイキング・カズオの運行日報 第19話「鳴り散らかし事件」

今回の作品は第18話「ヤッチャバカオス」後編と同時進行で描いてました。 ヤッチャバ編でフォークリフトを描きすぎて疲れたので、難しい大道具の要らない事務所メインの軽い作品が描きたいなぁと。 そんなときに限って仕事で「フォークリフトを描いてください」という依頼があったりもしましたが、おかげさまでリフトを描く要領はわかってきました(^^;; それとお話ししたいのは鳴り散らかったという音楽…ジョン・サイクス氏、そのバンドであるブルーマーダーなどメタルの話ですね。 一緒にすると長く

解説・「やっちゃばカオス!」後編 カズオの運行日報 第18話

やっちゃば(青果市場)のエピソード、カズオとヒップホップなカレとのお話はまだ続くんですが、やっちゃばが「カオス」なのは描けたので一旦ここで「後編」として区切りました。 なにがカオスって、自主荷役なのにリフト貸し出しや車を着ける場所が暗黙ルールだったり、いわゆる「初見殺し」なのと、そうしたルールを巡って荷受けとドライバーはもちろん、ドライバーどうしでも怒鳴り合いは日常茶飯事だったりというところです。 けれども、後編で言いたかったのは「いい意味で顔を覚えてもらうと仕事がしやす

解説・「やっちゃばカオス!」前編 カズオの運行日報 第17話

マンガ本編が前回の号外から3週間もかかってしまいました(汗)。 いつもは1〜2週間で仕上げてたんですけどね…。 言い訳… ・想定外の通院が決まったりしてバタバタしていた ・デバイスの調子が悪く電波環境も限界を感じたのでひかり工事や新しいiPadの注文をしたのだがキャリア側の事情でスムーズにいかなかった ・自宅の雨漏りや照明器具の故障でも対応に追われた ・梅の配達もあったんですが雨で収穫見送りの日があったりして予定混乱 ・なにより作画じたいにめっちゃ時間かかった まぁ言い訳

解説・カズオの運行日報・第16話兼号外 筋痛性脳脊髄炎ME/慢性疲労症候群CFSについて

今日「5月12日」は、筋痛性脳脊髄炎ME/慢性疲労症候群CFSの世界啓発DAYです。 こういう病気があることを正しく、広く知っていただくための日です。 ナイチンゲールはみなさんご存知かと思いますが、彼女もこの病気にかかっていたようなので、彼女の誕生日がこの病気の啓発活動の日とされました。 啓発(知っていただくための行動)じたいは、昔から患者の会など年間とおして行われています。 わたしも下垂体前葉機能低下症のほかにこれを診断されていますので、実際の経験を絡めてマンガにしまし

番外編SP「みんなで踊ろう」 音楽のハナシ

カズオハッチャケからの〜青さんトバッチリっていう古典的かつ本作番外編定番のギャグパターンですが…やっぱり自分で笑えるのを描いてると楽しいモンです。 カズオにロカビリーも演らせようというネタはだいぶ前からありました。 察しのいい方は前回の番外編「植松のラブドール!?」でフラグが見えてたかもですね。 青さんに髪をあげるのも連載前から作ってあったエピソードです。 なので、後編冒頭では長髪カズオを一旦描き納め…的な。 このあと本編で4tのエピソードに戻るのでまだロン毛描くんです

解説「カズオ中距離デビュー」 カズオの運行日報 第14〜15話

今回はカズオが初めて単独で車泊のある中距離の仕事に出るお話でした。 焦げ猫も初めてのときはホームシックになりましたよ〜。 今みたいにスマホもないしエンジンもうるさかった(振動もかなり)のでなかなか寝つけなくて、しかも場所が国道8号線沿いの日本海を臨むようなエリアで…浜田省吾さんの「防波堤の上」が脳内無限ループ(爆)。 一般道利用で当時は休憩・休息の決まりもなく、まさに「哀しいほど自由」でした…。 やっぱり数回運行すればホームシックも一般道での距離感も慣れますが、今回のカ

解説 第13話 カズオの運行日報「俺はそうしてるけどね」

「カズオの運行日報」第13話の解説です。 今回は縦軸が「長距離の運行のしかた」ですが、横軸として「人にものを教える難しさ」を描きました。 解説は8000字近くありますので(汗)、目次を見てご興味のあるところだけでもどうぞ! コンプライアンスについて2024年4月から待ったなしになる労働時間の規制と、それ以前の規制 「働き方改革」で多くの職種が残業を規制されたなか、運送会社はリミットが伸ばされていました。 労働時間・拘束時間の短縮が難しい職種だからです。 それがとうとう

解説・「青さん危機万髪」前後編 カズオの運行日報 第11〜12話

今回は青さんの髪の話メインで、なんの会社でも中間管理職って似たような大変さだろうからあんまり解説する事柄は無いかな?…とも思ったんですが意外とあるなぁ…。 今回も4000字くらいです(^^;) 運送会社で「司令塔」となる配車の仕事はとくにフリーチャーターでは毎日リアルタイムで指示を飛ばしトラブル回収もするので、世の中のいろんな業種の企業の管理職の中でも結構大変な部類だと思います。 社内配車の大変さ第11話で青さんと佐竹さんが電話でモメているのをサクッと説明しますと…。

「カズオの運行日報」第1話 解説

さてさて、扉絵のハードルを自分で上げてしまい公開まで時間がかかりましたがようやくスタートできました「カズオの運行日報」。 「グランジの神様」からご愛読の皆さま、作画協力として資料画像ご提供頂いてます皆さま、そして本作に出逢いのあったすべての方に感謝申し上げます。 運送会社・トラックドライバーのマンガっていうのは今まであんまり無かったんじゃないでしょうか? ぞうむしさんの怪談や、ゆきたさんのリアル宅配便日記、古いとこだと「わっぱ列伝爆造」…くらいしか焦げ猫は知りません。

カズオの運行日報 第2話「はじめてのおつかい」 解説

「カズオの運行日報」第2話「はじめてのおつかい」解説です。 今回、今まで免許がないゆえに助手だったカズオが、準中型免許を取ったことにより初めて独りでの仕事を任されます。 これは、日用品のバラマキ(ばら撒くように何軒も回って配達することから)です。 店配(みせはい、てんぱい。お店に商品を配る)でもあります。 中身は食品ではなくティッシュとか洗剤とかそんなようなもんで、○✖️商会ってのはメーカーではなく問屋さんか倉庫業だと思ってください。 ルート配送に近いですが、日によって