ゆれながら、かがやいて。
この小説について何かを書き記すことが本当に「正しい」ことなのか、今でも確信を持つことができずにいる。真冬の朝の白い吐息のように淡く儚い言葉で紡がれた彼女の世界は、それを幼稚な知性と感性とで無理に捉えようとした瞬間に、すっと私の手を逃れてどこかへと飛び立ってしまう。彼女の物語に触れたという記憶は、夢と現の曖昧な境界線上で混じり合い、少しずつその輪郭を失っていってしまう。本書の「あとがき」を記した文学評論家の川本三郎氏は、読者に次のような忠言を加えている。
感動的、素晴しい、