仮想通貨バブル崩壊がはじまる第12回東大教授がYouTubeで語る仮想通貨とDeFiのリスク

こんにちは。

おもしろい動画を見つけました。

「〔東京大学内田教授〕金融とリスクの専門家が語るクリプト/DeFiの可能性と危うさ」という2021/12/19公開のYouTubeです。

「ビットコイナー反省会」の東さんとなまはげさんが内田教授にインタビューされた動画の感想を紹介したいと思います。

内田教授は日銀出身の東京大学総合文化研究科の特任教授です。日銀25年、金融庁に3年勤務していたそうなので金融政策、規制当局の事情をよく知る教授です。

リスクマネジメントがご専門とのことで前半リスクとは何かといったところからはじまり、仮想通貨の価格変動を通常の金融商品と比べると量子力学的ジャンプといった例えをしたり、大学のおもしろい講義のように進みます。50:30過ぎあたりから取り上げます。

「技術の進歩には失敗がつきものだと思っているので、ものすごく大きな代価を払った結果DeFiがなくなる可能性があるんじゃないかと思っている。」

日銀と金融庁OBである東大教授の「DeFiがなくなる可能性がある」という言葉は重みがありますね。ここまではっきりと言う金融政策や規制に詳しい日本の教授が登場するとは⁈

簡単に感想をまとめますね。

DeFiについてまだ未完成の技術であり金融取引のパーツとして育てていく必要があるが、目先の利益を目的とする人が多い中厳しい状況。

やはり内田教授からみると、「DeFi」のリスクは様々な理由により高く、実験中のような危うさを感じているようです。

また、内田教授はDeFiのすべては否定していません。金融商品のツールとして将来を期待もしているが完成した技術ではないため失敗は必要としています。

「ハッキングでその技術の穴が見つかるのなら良い授業料」という考えを聞いてずいぶん俯瞰的な見方だなとうなりました。

インタビュー続きです。

「DeFiトークン」については儲ける構造を具現化しただけのものではないのか。

気持ちいいですね。すっきり。ガバナンストークンがやろうとしていることを次のように明言します。

フリーダムだけエンジョイして、そのセキュリティから逃げるというのが、私がガバナンストークンがやろうとしていることだと思っている。

このとおりなんですがあまり見ない指摘なので文字で記録しておきたいと思いました。

DeFiは日本語でいう「分散化金融」なんですが、業界側からは「分散化」ばかり強調されて「金融」という概念が薄いというのが率直な感想です。

DeFiに関しては今後SECが証券同様の規制をしていくとすると既存のDeFiで残るところはあまりないのではないか、と一部ではみられているほどです。

テザーが適切な監査がされていないと知ってから注目し続けている理由が、テザーが次のワイヤーカードになるのではないか、と思っているからです。

ワイヤーカードとはドイツのモバイル決済などで有名なフィンテック上場企業でしたがは不正会計により現金の所在不明を認め、2020年に経営破綻しました。

「テザーは次のワイヤーカードになるのか」については現時点の状況を次回の記事にまとめたいと思っています。

人様からたくさんお金を集めているのにふさわしい仕事がされていない。自由とか国家に紐づかないなどで反論できるのか理解できない

金融を名乗るなら監査はしないといけないと思うのですが、他のステーブルコインを扱うCircle社も監査は受けていません。自主報告のみです。

また、分散化についてですが、現在流通しているビットコインの27%が上位0.01%のビットコイン所有者によるものです。そもそもビットコイン自体がいうほど分散化されていません。

現在の銀行や証券会社、国家に対抗することができるかのような主張を目にします。果たしてほんとうに高利回りが提供できる運営ができているのか、いつまでも監査をしないことは責任逃れと指摘されても仕方ないでしょう。

新しいもの難しいものをくっつけてお金をひきつけないと開発ができないので、自転車操業の香りがする。

DeFi全体に漂う資金繰りの怪しい雰囲気をずばり指摘しています。

内田教授は自転車操業という資金繰りの危うさをDeFiの行動から見抜き指摘します。彼らの言っていることではなく、やっていることに注目しているのです。

英語圏ではDeFiはポンジ・スキームだ、という宗派があります。仮想通貨に関してはいずれの主張も信仰に近い宗教のようなので宗派としています。

ポンジは先行者利益があって後行者がその利益の負担をするしくみをいいます。

投資家は利益がを期待して購入する。その期待はキャッシュアウトした人の利益によって維持される。しかし、その利益は外部にはなく、すべて新しい投資によってもたらされる。そして、事業者がその資金の大部分を持ち去る。

実際、事業者がその資金の大部分を持ち去る悪意がなくても、何らかの理由で資金がなくなっていけば同じ状況になります。

通常の金融の体制だと、自転車操業で行き着く時が来ても倒産させてシステム全体が守られるようになっている。倒産というのはシステムを守るためのものである。DeFiの場合、倒産という安全装置を外した暴走になる。

なるほど倒産はシステムを守るため。仮に大きなDeFiが倒産状態になった場合どうなるんでしょうかね。止まる。その先が想像ができません。

そして内田教授の最も懸念されることが、クリプトの惨事が仮想通貨外の世界、つまり既存の金融に影響を及ぼすことだと言います。

年金基金、機関投資家、上場企業、製造業などの企業のバランスシートに仮想通貨が入り始めている。万が一が起これば仮想通貨を持っているとただではすまなくなる

テザーでもDeFiでも何かあっても仮想通貨業界だけで倒れる分には影響は少ないのです。けれど、万が一現金融にまで影響を及ぼすと危ないと。リスクはボラティリティの大きさだけではないのです。

現在、マイクロ・ストラテジー以外の世界的有名な上場企業や年金基金も仮想通貨を持ち増やし始めています。

DeFiはまだDeFiをつくっている人がすべてを扱いきれていない。合成の誤謬のようなことがまだまだでてくる可能性がある。ハブになっているDeFiが痛んでしまうようなことがあれば価格半減のようなことが普通に起きる。このようなことが起こると資産の持ち合いのような形で既存金融との連動制が高くなってくるとかなり怖い。

やはりDeFiはいつかなんかやらかし、大きな影響を及ぼす可能性があると。

内田教授はいつまでに何パーセントぐらいの確率なのでこのようなことが起こるとイメージしているのでしょうかね。

可能性があるという言葉でしたが、それが起きる確率はかなり高そうで、遠い未来というよりは、わりと近そうな印象を受けました。

ちなみに私は来年春、遅くても夏までに仮想通貨全体が一度止まるような大きな事件がテザー関連、もしくはDeFiで起こると予測しています。

DeFiは今のような市場規模で前回を超える大暴落相場をまだ経験していません。通常の動きと異なる状況になった場合、内田教授のいう合成の誤謬のようなことが起こると思っています。

2015年のスイスフランショックで海外の人気の証券会社が破綻したように、短期間の相場での大変動が起こると耐えられないDeFiや海外取引所はいくつか出てくると思われます。

万が一、テザーに何かあればビットコインへの流入の7~8割がなくなると言われています。そんな状況はDeFi側では想定していないでしょう。というかこの場合流動性の問題で仮想通貨のすべてがとまることになると思われます。

話は変わりますが、トランプ元大統領の仮想通貨についてのインタビュー動画です。

ラフな訳)私はドルを持つのが好きなので仮想通貨は好きではない。仮想通貨は大ファンではなかったがどんどん大きくなってきているのに誰も何もしていない。ドルという我々の通貨が欲しい。仮想通貨はすべていらない。仮想通貨はいつか見たことがないような爆発が起こるかもしれない。技術的な大爆発が赤ちゃんのようなものに見えてしまうだろう。とても危険なことだと思う。

トランプ元大統領のいう「仮想通貨の見たことのないような技術的な大爆発」というは内田教授の想像しているものと同じものかもしれないと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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