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見えなくても老活
去年還暦を迎え、ふと思った。私、いつまで今と同じレベルで動けるのだろうか。
あと10年?いや、70前後でも足腰が悪くなってしまい、杖をついて歩いている人もい
る。
私はすでに白い杖を使っているから歩行の補助のための杖と両方使うのはかなり厳し
いだろう。歩けなくなったらもう在宅寝たきり盲人確定だ。
それに加え、私の場合、これ以上視力が落ちてしまったら近所のコンビニすら一人で
行かれなくなる。
自分の健康寿命があとどのくらいかなんてわからないけれど、こりゃもうお金のため
だけのマッサージの仕事なんてやっている場合ではない。
元来私はマッサージのセンスもなければ、不特定多数の人を相手にするサービス業も
苦手なのだ。
時は金なり!!もう1分1秒も無駄にできない。
体と頭が動くうちにやりたいことをやり尽くそう。
去年は見えなければ無理だろうと端から諦めていたKindle本出版をNote仲間のローロ
ーさんのご助力で実現することができた。
Amazon.co.jp: 見えなくても愛(笑): 残念な盲人の心温まらない日常 eBook : か
わい いねこ, 白川 雅: 本
https://www.amazon.co.jp/%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A6%E3%82
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/dp/B0DCVG1TMN
それから音声SNS Clubhouseでお世話になっている脚本家の今井雅子先生のご紹介で
朗読コンクールに出たところ、なんと優秀賞をいただいた。
朗読経験は長いけれど、コンクールなんて存在すら知らなかった。
今後はこれをかさに着て、よそで朗読に呼ばれてもどこぞの有象無象盲人ではなく、
朗読できる盲人アピールをしていけるぞ。
そんなわけで、今年から仕事を週2回のみの出勤にすることにした。
辞めるという選択肢もあったけれど、首の皮一枚でも社会につながっていた方がいい
のではないかという家族や友人の勧めもあった上、収入が障害者年金だけになってし
まうというのも心もとない。贅沢三昧には興味はないけれど、礼節を保てる程度の衣
食は必要だ。
ある日私の知らないうちに、会社の定年が60歳から65歳になっていた。けれど60歳過
ぎるとゴリゴリ働くコースとゆったり働くコースを選べるようだったので、私はゆっ
たりコースを選ぶ事にした。
昨今は体調や家庭の事情などで60歳オーバーの人は働き方を選べるようになってきて
いるとラジオで言っていたけれど、私もその「働き方の多様性」の恩恵にまんまと乗
っからせていただくことにした。
それでも週3回勤務という人はいても週2回というのは前例がなかったらしく、会社の
人が私のために規約を作ってくれた。
コロナの時の対応と言い、会社には本当に感謝しかない。
給料は5分の2に減ってしまうけれど、もともと障害者雇用の給与など大した額ではな
いので、減額率がそこまで落ちるわけではない。もともとの清貧生活は清貧のまま継
続で特に問題はなさそうだ。
さて、週3回空いた時間何をするか。
運動とウクレレと朗読と、その他文化芸術活動、とにかく自分のやりたい事を悔いの
ないようやりつくそう。
スポーツは前述したように目が見えない上に足腰が悪くなったら9 OL(クォリティー
オブ ライフ)が著しく落ちてしまう。
もともとオタクなので運動は好きではないが、オタ活を継続するにも体力は必要。
まずは自分を追い込むために3月の東京マラソン、フルマラソンなんてさすがに無理
だから、障害者オンリーの10.7キロにエントリーした。正直10キロなんて走った事な
いから完走できるかも謎。
水泳も目指せ身障国体!シニアの全盲女子選手なんてほとんどいないから、頭数要因
枠を狙っている。
ウクレレについても、正直音楽の才能はあまりない。スポーツより若干ましな程度。
でも目が見えないと暗譜しか選択肢がないので、とにかく楽譜を覚えなければならな
い。
それに指を動かす事は作業療法に通じる。これも充分老活だ。
そしてライフワークともいえる朗読。声を出すことも口を動かすことも老活。
顔の筋トレはアンチエイジングにも通じる。口の乾燥を防ぐことは免疫力upにもなる
。
あわよくば朗読を通して障害者の文化活動推進に何か貢献できればともくろんでいる
。
こんなことを言っていても、若かろうが歳をとっていようがいつ誰に何が起こるかは
わからない。
目が見えなくなってからお金のためだけに好きでもないマッサージを何年もやってき
たけれど、さすがにもう充分だろう。後は好きなことに軸足を移して悔いのない余生
を送りたい。
皆が皆というわけではないけれど、重度障害者の大半は社会の底辺、当然お金は無い
。
でも、本の出版にしろ朗読コンクールにしろ助けてくれた人たちがいる。
スポーツも音楽も応援してくれる人がいるから目標を持つことができた。
物価は上がってしまったけれど、かろうじてまだ明日のお米を買う位のお金はある。
「金持ちより人持ち」と今井先生もおっしゃっていたけれど、人よりできないことが
多い障害者だからこそ、これからも人とのネットワークを大切にして爆上げな老後を
驀進していきたい。