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豊津徳【HozuTalk】11「アートと夏、そして四季」

豊津徳11【HozuTalk】「アートと夏、そして四季」
山本豊津(東京画廊)×角田陽一郎(バラエティプロデューサー)のアートを巡る知のライブトーク第11弾!
アートと四季の関係を豊津さんに解説していただきます!

東京画廊

 豊津徳も寿司特も週間ICUCも、未熟者の私にとってはノートを用意して聞きたいもの、できれば教科書とか読み物として欲しいもの。文字起こしが趣味になって本当によかった。
 私の趣味の文字起こし。月イチのお楽しみ【豊津徳11】です。

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角田 はい。……はい、ということで開始されました〜。

豊津 は〜い!

角田 はい、豊津トーク第11回でございます。よろしくお願いしまーす!

豊津 よろしくお願いしまーす!

角田 ちょっと自己紹介しましょうか。久しぶりに。じゃあ、豊津さんどうぞ。

豊津 東京画廊の山本でございます。豊津徳を角田さんにやって頂いて、つらつらと色んな事を喋ってますけど、つまらないところは飛ばしちゃって下さい。よろしくお願いします。

角田 (笑) バラエティプロデューサー角田陽一郎と申します。TBSテレビでバラエティのプロデューサーをやってたんですけども、もう辞めて5年という感じですね。

豊津 あ、もう5年なんだ?!

角田 2016年末に辞めたんで。17、18、19、20、21で5年ですね。

豊津 ああ、そうかぁ。

角田 はい。そんな感じで今はフリーでバラエティプロデューサーという名の下に働いております。よろしくお願いします。お願いしまーす。…豊津さんね、画面がちょっと真ん中に居ないですよ、豊津さん。ちょっと左に寄ってるかな?

豊津 (ちょっと移動)

角田 ああ!そうそうそう!そこだと良いと思います。

豊津 すみません。

角田 いやいや、シンメトリーの方が良いかな?なんて思いまして。

豊津 (笑)

角田 それで。豊津徳、前回、前々回とね、東京画廊のギャラリーにお邪魔しまして。それこそ生配信させて頂きましたけども。今月は久しぶりにまたzoomで、こうやってリモートでやってみようかなーなんて思うんですけど。えーと、豊津さん、どうですか?近況というか、最近は。

豊津 近況?いよいよね、大体こんなようなことをやったら日本の文化政策になるんじゃないか?という、大体腰が出来たんで。今それをまとめてるところです。

角田 へぇ〜!それってちょっと今お聞きしても大丈夫なんですか?

豊津 うん、まあ、日本がもう成長経済がないじゃないですか。で、成長経済がないと言う事は、どうやって価値を生み出して行くか?ということを考え直さなきゃいけないんですよね。で、製造業が全部日本から離れてるんで。で、僕が今考えてるのは資産社会に移るべきだと。だから物を、、、

角田 それ、フローからストックみたなことなんですか?

豊津 そう。フローからストックです。で、結局この中でフローというのはやっぱり一番大きなテーマになると思うんですよね。で、結構コロナ騒ぎでも一番賑わってるのは食料品売り場じゃん。食料品だけはストック出来ないんだよね。

角田 腐っちゃいますもんね。それに食べたら無くなっちゃうし。

豊津 そう、腐っちゃうからね。するとフローの極限は食料品じゃない。ね。で、ストックの極限は不動産じゃない。

角田 うん。動かないですからね(笑)

豊津 動かないからね(笑) で、その間を埋める色んなものがあるわけですよ。今一番大変なのは医療ですよね。で、これ、SDG'sでもう製造業も限界に来ると。だから環境を保全していくしかないってことは、僕たちが与えられたこの地球環境をサスティナビリティ、継続可能な活用の仕方をしていかないといけないから、成長って概念をまず捨てなきゃいけない、と。特に中国はもう成長ってことを今抜きに考えられないから。で、成長は何で成長が生まれるか?とというと自国の国民をどれだけ犠牲にするか?なんですよね。

角田 うん。特に中国はそう言う感じで大躍進じゃないですけど来ましたもんねぇ。

豊津 で、日本も今コロナになってやっぱり女性たちが大変らしいね。やっぱり一人で暮らしてる女性たちの収入。で、不定期雇用になってるから、一気に切られるわけよね。だからそういう社会だともう成長ではなくて、みんなが活用の中で分配を考える、もう一回そういう社会を有無にはどうしたらいいか?ということで、資産という概念を不動産、証券、そこからアートに広げて行こうと。で、どこかからアートのお金を…だからお金をどうやって吸収するか?だから。たくさん日銀が刷っちゃったからね。そのお金を吸収する方法としてアートって言うストックを考えたらどうかということを今やってるんですよ。

角田 という宣言というか、デザインをしてるわけですか?豊津さんが。

豊津 そうそう。それを僕はこつこつ、こつこつ、と、色んな人のところにちょこちょこ行って、色んな事をしてるんですよ。で、これ、目立たない方が良いんです。

角田 なるほど。ここで喋っちゃってますけどね(笑)

豊津 そうそう(笑) だからあんまりここで喋ると目立っちゃう。だから今度は角田君をお目にかかった時に、直接角田君に囁こうと。

角田 なるほど、これ以上の深いことは…ですね。

豊津 で、これは角田君の世界はエンターテイメントですよね?だからエンターテイメントの様子も変わると思うんですよ。今大変でしょ?役者さんとか。

角田 変わってますね。あの、うーん…つまり考え方で言うと広告収入がやっぱり減ってるんじゃないですかね。

豊津 減ってるからね。

角田 まあ、本当は減っていないんですけど減ってるんです、実は。単価が減ってるというか。

豊津 うん。そうすると製作費が掛けられないからバラエティが多いじゃない?

角田 はい、はい、バラエティって一番効率いいですからね。だって隔週2本撮りで1回1時間半くらい撮っちゃえば。

豊津 そうするとドラマ作るより安いじゃない。

角田 ドラマはもう1本10日間とかね、なんなら2週間くらい撮影しないと。

豊津 そう。だから各局バラエティがすごい多いよね。それからもう1つ、バラエティが面白いのは主役中心じゃないじゃん。ね。誰が主役かっていうのをばらした方が面白いじゃん。だからその日のチャンネルによって主役が変わるから。

角田 うん、そうですね。それってボクがやってた「さんまのからくりテレビ」で言えば、素人のご長寿早押しクイズのご長寿が主役ですもんね。

豊津 で、今もっとも面白いのは「月曜から夜ふかし」じゃん。

角田 ああー!ご覧になってます?

豊津 見てる。やっぱりあそこに出てくる素人がなんてったって面白い(笑)

角田 (笑) そうですね!

豊津 同じこの日本に住んでる人間とは思えない人がいるんだなっていうのがすごい面白い。それはだからあなたがやったあの番組は画期的だったなってのはすごく思うよね。

角田 (笑)いやぁ、別にボクが作ったわけでもないので、あれは。先輩が本当に作った番組なので。完全に。

豊津 で、あの人たちはさ、一発芸じゃない。全部が。

角田 そうですね。だって早押しですからピンポン!ってやって答えるだけですからね。

豊津 だから多様性がないと出来ない社会じゃない。一人の人間がずーっと何かやるって多様性じゃないからさ。だからなんか今バラエティってそういう多様な社会に、素人も含めてね、参加してるってのが。それの一番際がコメンテーターじゃん。もう僕には誰がどれだか分かんないくらいコメンテーターがテレビに出てるよね。

角田 そうですし、だからその…芸人さんがコメンテーターになってますもんね。芸人ってのはさっきの一発芸じゃないけど、やっぱり芸をやる人だったのが、結果コメントをすることが仕事になったりとかしてますからね。

豊津 そうそうそう。だから爆笑問題なんかそれの際じゃない?

角田 そうですよね。あのお二人はやっぱりね、漫才やらせると面白いんですけど、今やもうそうじゃないですもんね。テレビのMCというか。

豊津 そうそうそう。だからなんかこれからのエンターテイメントというのは双方向のそういう番組の作り方になって行くのかな?って気がしますよね。

角田 ああー。これね、ボクよく言ってるんですけど。こういう感じで今リモートでやる、打ち合わせをすることが増えたじゃないですか?そうすると…なんて言うんでしょうね、なんかこう相手が面白いことを言ったら「ああ、面白いですね。」って言ってるだけじゃ伝わらないから、やっぱりわぁ〜👏ってやったりとか、笑顔になったりとか、つまり結果的にパフォーマンスが過激になるじゃないですか?そう、だからそれってテレビのワイプ画面ってそうなってるじゃないですか、元々。だからコロナで一般の人がこういうリモートで会話するのが通常になったのって、実は一般の人がテレビっぽくなって来てるんだよなーなんて思います。

豊津 いや、だから、あの…この小さい写真機で子供たちのポーズがすごく上手くなってるんだよ。

角田 ああ、そうなんですよね!パフォーマティブになってるってことですよね。

豊津 そうそう。だからうちの孫なんかも本当に、こんなシナを作っていいのか?っていうくらいのパフォーマンスやるよね。だから一億総芸能人じゃないけど(笑)

角田 芸能人かも知れないですね。

豊津 で、これがね、たぶんね、僕はバーチャル・リアリティだと思うんだよ。

角田 ああ!そう世界がなってることがバーチャル・リアリティってことですね?

豊津 そうそう。だからテレビ見てるとみんな、全部が真実だと思ってないじゃん。昔はさ、真実だと思って見てたけど、どうやらニュースも編集の仕方で全く違う風に見えるんだなってことをみんな知ってるじゃない。

角田 はい。まあ、自分で編集したらわかりますもんね。今までは自分で編集するってないから、だからこの世にドキュメンタリーの真実なんてないですもんね。どんなに撮影してたって、それを出さなければ無かった事になっちゃいますからね。

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豊津 そうそう。ということは、僕たちはあるものを何か…媒介物を入れると必ずそこにはバーチャルな事象が起こるってことじゃない。これが、ほら、昔で言う囁きで隣の人に伝えて行くと、10人やると全く違う真実が…。

角田 ああー、伝言ゲームだ。

豊津 そう、伝言ゲームね。これはだから僕は人間の脳で起こるバーチャルリアリティだと思うんだけど。

角田 ああ!そうだ!なるほど…バーチャルリアリティだ!

豊津 そうそうそう。

角田 また面白いな、豊津さん…なるほど。うんうん。

豊津 だからそんなことを今考えつつ、バーチャルリアリティの中で一番バーチャルな物はなにか?って考えればさ、仮想通貨じゃん?ね、そうすると仮想通貨が生まれたらさ、今度はNFTってのが生まれたじゃん。

※非代替性トークン(non-fungible token)

角田 あれ、アートの価値観が変わりますよね。

豊津 変わる。というか、アートの価値観というか所有の価値観が変わる。

角田 変わりますよね。所有出来ない物が出来る可能性がありますもんね。

豊津 そうそう。だから人間は所有するって言う物欲をどこかで持ってるから。これは簡単に言うと宇宙に行く時にさ、食料が渡されるとみんなゼリーみたいになってるんだよね。これで人間は栄養が取れるからといって満足するか?って話しじゃない。やっぱりトンカツ食いたいじゃん。だからそういう物質が持ってるリアリティってのはさ、何か逆にこれから際立つのかも知れないね。

角田 あの、ボク今の話でちょっと面白いなーと思ったんですけど。バーチャルリアリティって言う…だから仮想現実って訳すじゃないですか。バーチャルリアリティって言葉を仮想現実って訳すのって誤訳なんですって。

豊津 そうらしいね。

角田 これボクが10年前くらいに聞いて、すごい面白かったんですけど。つまりバーチャルって辞書で引くと「実質の」って意味なんですよね。「実質的な」。本質とか実質みたいな意味なんです。で、バーチャルの反対語はノミナルだから「名目の」なんですよ。ネームから来た語源。だからバーチャルリアリティって日本語にするとバーチャルは何となく仮想みたいなイメージで、リアリティが現実なんだけど、本当は仮想じゃなくて実質みたいな意味なんですよ。ところが何で仮想って付けちゃったかって言うと…あ、何で実質かと言うと。バーチャルリアリティってのを作る時に学者が考えるのは、例えばエジプトがあったとして、エジプトをバーチャルリアリティで再現するとしたら、エジプトの本質は何か?って考えるですって。で、エジプトの本質は何かって言ったら…何でもいいですけど…サハラ砂漠、ピラミッド、ナイル川、綿花…とかあるじゃないですか、イスラム教とか。そういう様などれだけ実質的なものがあるか?ってことをまず選んできて、それをどう表現するか?って組み立てるとバーチャルリアリティになるんですって。

豊津 ああー、なるほど!よく分かった!

角田 だから仮想じゃなくて実質的な物は何か?っていうのを判断することがバーチャルなんですって。ところが日本人はバーチャルリアリティをゲームで知っちゃったじゃないですか。プレイステーションとかで。だから仮想現実って言ってるのは、まるでゲームの中でどうポリゴンにするか?みたいな感じで仮想現実だと思っちゃてるから仮想って言っちゃってるんですけど、本当は実質的なリアリティなんですって。で、ここがポイントなんですけど、バーチャルって言葉が実質的だってことは英語圏の人だったら幼稚園児でも分かる単語なんですね。

豊津 あはははは!

角田 ということは、どう言うことかと言うと、世界の中でバーチャルということの意味が分かってないのは、、、

豊津 日本人!

角田 英語が分かってない日本人。ほとんど日本人ばっかなんじゃないか?って説。

豊津 なるほど、面白いですね〜。

角田 で、この話まではボク何となく知ってたんですけど……、あのー……、ちょっと待って下さいね。今メールが来ちゃったんで、ちょっと今メール返します(笑)

豊津 (笑)

角田 えーと、ごめんなさい。今返信しました!で、ここからがちょっと面白いなーと思ったのは、あのー、ちょっとごめんなさいね……あ、ごめんなさい。またメール返しちゃいました。で、ここで面白いなと思ったのは、と言う風にバーチャルリアリティってのは本質的なんだけど、日本では”仮想じゃんか”って言ってたのに、今その前にバーチャルリアリティって豊津さんが言ったことって、実は本質突いてる話しですよね?

豊津 うん。

角田 そう!だから実は全然仮想じゃないじゃんって言うか。だからそのコミュニケーションとかこのzoomでのやり取りとか、こう言うものって”仮想じゃんか”なんだけど、実は本質が付いてくるから、やっぱり豊津さんの話が面白いと思ったら「わぁ〜!👏面白ーい!」ってやらないと、結局本質が伝わらないっていう。この感じってすごい面白いなーと思ったんですよね。

豊津 いや、これね!話しがずれるんだけど。森田君いるじゃない、数学者の。

角田 森田真生さん。はい。新刊が出て今ボク読んでます。

豊津 読んでる?で、森田君の本を読んでてすごく面白いことに気がついたんだけど。ギリシャの、古代ギリシャの幾何学の中に演繹法ってのがあるんだけど。

角田 はい。帰納法と演繹法ですね。

豊津 A=B、B=C、故にA=Cってあるじゃない。

角田 はい。三段論法。

豊津 ね。三段論法。ねぇ、変じゃん。

角田 うっふっふ!なるほど!はい。

豊津 AはBじゃないじゃん。ということはAとBは違うものだけどイコールが付いてるのはイコールの中に条件があるんだよね、成立する。だから角田君と僕が人間だっていう条件が付くとイコールになるの。で、角田君が誰か人間だってイコールが付くと、すると僕はその人とイコールになるの、知らない人でも。

角田 そっか。それは人間という条件じゃなければ日本人と例えばイギリス人とみたいにやったらイコールじゃないから。イコールになるには要件があるってことなんだ。なるほど。

豊津 問題はこのイコールって意味なんだよ。何でイコールってことを考えてたか?って言うと、その条件を作るってことが論理なの。

角田 ああー、なるほどね。条件の定義付けなんだ。

豊津 そうそう。だからよく考えてみたら僕たち自然にA=B、B=C、A=Cって習ったけど、よく考えたら変なことなんだよ。

角田 うん。だからそれって数学的には成立してるだけのことなんですよね?

豊津 でもこれが成立しないと世界が組み上がらないんだよ。

角田 うん。論理的じゃないですからね。

豊津 論理的じゃない。で、論理がないとコミュニケーションにならないじゃん。ね。

角田 何が正してく何が正しくないかが一致しないから永遠にコミュニケーション出来ないですもんね。

豊津 そうそう。だからもう一つ森田君の話しでも面白かったのは、数字って1から3までしか意味ないって言うんだよ。

角田 っふふ、また面白いこと言うなぁ!

豊津 うん。だからそれはね、ローマ数字もⅠ、Ⅱ、Ⅲまでは棒が増えて行くだけじゃない。

角田 ああー、増えて行くから…あの、その表してる数字…だから漢数字もそうですけど。三まではそれを表してますもんね、実態として。

豊津 そうそう。和数字も一(ひい)二(ふ)三(み)。棒の数じゃない。4から変わるんだって。世界中が。

角田 確かにそうだ。だってVの左側にⅠになりますもんね(Ⅳ)。

豊津 (笑)ってことは4以上の数字に意味がないんだって。人間にとっては。日常生活ではね。で、彼が言うには一番基本は指なんだって。

角田 ああー、なるほど。10本あるから10進法。

豊津 指をいろんな形にすると120いくつまで数えた人がいるんだって。

角田 ああー!なるほど。(👆で人差し指を鉤状に曲げて)だからこういう風にやったりとか。

豊津 そうそう(笑) これも面白いなと思ってさ。だからなんかね、やっぱりもうちょっとそれを勉強してるんだけど、なんかちょっとアートとパラレルになるんじゃねぇかな?っていうことを考えてるのね。

角田 森田真生さんの本を読んでると、彼の本自体の文章もそうですけど、すごいアートですもんね。数学のことを語ってるのにね。

豊津 そう。だから要は一番森田君の文章を読んでて面白いのは、人類はアラビア数字を見つけたところが共通になったじゃん。中国人も英国人も日本人も0、1、2、3、4、を使うじゃない。この共通の数字を使う様になったのは15、6世紀なんだよね。

角田 うん。そういうことですよね。それまではバラバラだったんですもんね。

豊津 そう、バラバラだったから。で、共通の数字が出来たから計算っていう…数学の中に計算という概念が入ったわけ。あれが入ってないと計算という概念で数学が成り立たないんだよね。一番いいのがさ、ー√2って変じゃん。

角田 うん。だって−2…、二乗して−2って本当は実態がない感じがしますけど、数学の中ではあるわけですもんね。

豊津 そう。数学でー√2っていうことを論理的に突き詰めたから、もしかしたら僕たちは正確に月に到着出来てるのかも知れない。ね。だからリアルっていうのはそういうことだということでしょ?今の。

角田 そうですよね。そのー2っていうものが本当にないじゃんって意味では、仮想って意味ではバーチャルなんだけど、でもそれがあると仮定することで数学の論理の本質が分かるっていうのはバーチャルの本質ってことですよね。

豊津 それで僕たちの現実が広がるの。はっはっは!

角田 うん。だから仮想と本質って訳語が間違ってるとか言ってたけど、それこそそれがイコールかも知れないってことですね。うん、仮想だから実質的だっていうかね。これ面白いっすねー!

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豊津 だからそれがもう僕たちがこの、今zoomでやってるこの空間の中で、このzoomの空間自体がー√2で出来上がってるわけ。ね、だからそれを僕たちが現実と思ってやりとりしてることはすごく面白いなーと思いました。

角田 面白いですよね。これただの電気信号なだけですもんね。

豊津 だからそういうこと考えてて、あなたがさ、「アートと夏」っていうテーマを今回持って来たじゃない。

角田 そう、「アートと夏」にしたの。はいはい。

豊津 そうそう。夏っていう絵がねぇんだよ!西洋には。

角田 あ?!そうなんですか!

豊津 そう!(笑)

角田 いや、ボクね、今ここでもう20分くらい話しましたけど、アートと夏じゃないくてもうアートと経済とか、アートと数学って話で行きますか?後でタイトル変えましょうか?って言おうと思ったんですけど。アートと夏で行きますか?

豊津 うん。でね、あなたから題だされるまで真剣に考えたことないんだけど、、、

角田 いや、なんでボクそれにしようかと思ったかというと、単純にテレビバラエティプロデューサーの、何というかズルさなんですけど。アートと夏っていうので成立すれば、秋にはアートと秋っていうので成立するし、冬にはアートと冬、アートと春って出来るから、4回分ネタが食えるじゃんっと思ったんで。それで豊津さんに送ったんですよ。

豊津 アートで一番大きいテーマは春なの。

角田 ああー、そうなんですか!だからアートと夏、そして四季があった方が語れるって話しはそういうことですね。

豊津 そう。春が一番多いと思うのね。例えばボッティチェリの絵に「春」ってあるの。ところが他にないんだよ、春なんて絵が!

角田 へぇ〜!

豊津 例えばね、ゴッホは夏って絵は描いてないんだけど向日葵は描いてるのね。

角田 描いてますね。何個もありますよね。

豊津 これは夏でしょ。

角田 はい。

豊津 すると大体四季ってものがアートの題材になるっていうのは日本独特らしいんだよね。

角田 ふぅーん!なるほど!

豊津 四季があるから。日本には。

角田 そっか!四季という感覚じゃなくて向日葵を描いてるだけなんだ、ゴッホは。

豊津 そう。ということは僕たちには四季があるから俳句が成り立つし、四季がなかったら俳句が成り立たないじゃない。季語ってやつだよね。すると季語がさっき言ったA=Bのイコールに該当するんじゃないの?

角田 そうですね!

豊津 うん。そういう風に考えて行って、なぜ西洋は絵画に四季がないんだろうか?って考えたの。圧倒的にキリスト教なんだよ、絵画が。キリストの、イエスが如何に偉大かってことをずっと描いて来たからさ。

角田 うん、それこそルネッサンスまではそうなわけですもんね。圧倒的に。

豊津 だから日本は平安までは仏様描いてるから。

角田 ああー…、だからつまりアートじゃないというか、むしろ宗教表現というか。

豊津 そうそう。で、それがある日どこで、日本の中で…。でもね、日本は意外と四季が早く生まれるんだよ。これはね、平安時代からそういう絵が少しずつ生まれてくるのね。それで雪舟が秋冬山水図って秋と冬を描いてるの。春と夏は描いてない。だから室町くらいになると僧が流浪して絵を描く様になるから四季を体感したんだと思う。で、あと中国に南宋時代にカケイ山水図(※)ってのを見つけたの。これはね、伝こちょうふ(※)って人が描いた絵ね。これはカケイ山水図って描いたんだけど、それは本人が付けたタイトルかどうか分かんないの。

※ かけいさんすいず:「夏珪山水図」か「夏景山水図」だと思う。夏珪は南宋の画家。雪舟の「倣夏珪_山水図」には夏景山水図と冬景山水図があった。
※ でんこちょうふ:「伝こちょう筆」だと思うけど、「こちょう」が全く分からなかった。ごめんなさい。ご存知の方はどうぞ教えてください。
雪舟の秋冬山水図、久隅守景の納涼図屏風はどちらも東京国立博物館ウェブサイトの館蔵品一覧から画像で見ることが出来ます。

角田 うん、伝ですからね。

豊津 そう、あとから付けてる。それからあと江戸時代に久隅守景が納涼図屏風っていうのを描いてるんだよ。

角田 なに屏風ですか?

豊津 納涼。

角田 あー、夏の。夕涼み。

豊津 あの、瓜がなっている下で縁側みたなとことで団扇で扇いでるような図があるの。これは納涼図屏風で、これはまさに夏なんだよね。で、江戸時代で最も四季を描いてるのが浮世絵。浮世絵はね、ほら、道街道五十三次見ると四季があるじゃん。

角田 ありますよね。風物詩になってますもんね。

豊津 そうそうそう。ということはやっぱり人間が流動化して歩き出すと四季なるんだよな。

角田 ああー、なるほど。移り行く景色。

豊津 それで北海道から沖縄まで日本があるとすると、縦の移動だから四季の移動がよく分かりやすいんだね。だからそれで日本は四季って言うのは絵画の題材になるの。で、これのもう一つ大事なのが…「民衆が美術を見いだした」ってことが大事。武士階級とか貴族じゃないんだよ。

角田 民衆が発見したというか。

豊津 そうそうそう。で、民衆の流動化が江戸時代に起こるの。

角田 そうですよね、お伊勢参りとか、大山参りとか。

豊津 そう。すると富士山見ると雪かぶってるとかさ、四季をまざまざと見るじゃない。で、これを西洋に考えるとあれだよ、産業革命以降の印象派だよな。印象派の中にはマネが「草上の昼食」って言う女の人が裸で昼食取ってる絵があるんだけど。これは大きな展覧会で落選するの、卑猥だっていうんで。それからセザンヌが「水浴」っていうの描いてるし。だからやっぱり民衆の世界が現れてたってことよね、フランス革命以降。それで一般の人が都市へ向かって鉄道に乗って流動するから、四季が…春とか夏とかっていうのが。でも圧倒的に冬の図ってあんまり見ないからね。

角田 なるほどなぁ〜。

豊津 冬の図ってね、ドイツの人が描いてる絵が冬の図多いな。新潟県の人が雪描いてるようなもの(笑) そういうこと。

角田 場所柄もあるのかも知れないですけどね。

豊津 で、その夏を求めてゴーギャンがタヒチ行っちゃったじゃない。だから夏っていう題名でやるとなんかね、すごくこの美術って面白いなと思って。新ためて題材出してもらったんで。

角田 ああ、良かった!ボクが適当につけたタイトルだったんですうよ。なんか面白いなーと思って。確かに四季というものをどう描くのかな?みたいなことって、むしろだから俳句みたいなものがあるって言うと、言葉では描けるんですよね。あ!ちょっとごめんなさいね!なんかあの、今日見てる方。なんかもし質問とかあったら全然答えますので、お気楽にチャットに描いていただければ。

豊津 今日の「夏とアート」って言うのは僕も初めて考えたから、みんなもこれを機会にここで考えてもらったのをどんどん言ってもらった方が。こういう絵もあるんだとか、ちょっと面白いよね。

角田 そっかぁ…。なんかボク個人で言うと、8月って自分の誕生月でもあるし。なおかつ広島、長崎もあり、終戦記念日でもあり。なんかね、すごい明るい陽光の元、なんかメランコリックな気持ちになるんですね。そう、だからなんかアートって実は…ボク前の明るいんですか?暗いんですか?みたいな話をしたじゃないですか?アートってみたいな話をしたときに、なんかむしろ向日葵ってのを描く…ゴッホの向日葵かも知れないけど、ぱっぱらぱーに明るいものを描けば描くほどメランコリックな気持ちが出てくるよなーと思った時に、夏ってのはむしろ表現しやすいものなのかなーなんて思ったりしてたんですよね。ところが、つまりその四季の感覚ってのはやっぱりあれなんですかね、ちょっと日本人的な感覚なのかも知れないですね。

豊津 やっぱり日本人は西洋人と違って自然と自分を区分けしてないでしょ?それほど日本が自然と自分たちの生活を区分けしたのは明治維新以降じゃない。だからやっぱり西洋の産業革命を受け入れて西洋の体制を取って資本主義を入れたら、我々も自然を材料と思うようになっちゃったんですよね。昔の日本人は自然を材料と思ってなかったと思うのね。だから勿体ないって概念があるじゃない。あの…この間テレビのプロデューサーで鮫一頭食べたってのを夜見たんだけどさ。

角田 ああ(笑) そうなんですね!

豊津 (笑) なんか不思議なプロデューサー、あれ。ディレクターか?

角田 ナスDのやつですかね?誰だろう?

豊津 そう!ナスD!すごいな、あれ!

角田 あの人すごいですよね。

豊津 あれよくあんな鮫1個食っちゃうなーと思うんだけど。

角田 っふっふっふっふ!

豊津 あれはでも本当の日本人の生活スタイルでしょ?あれ一人で食ったら大変だけど、本来は全て食ったわけでしょ?みんな。しかもその皮を身に纏ったワケだから。だから自然を頂いて、自然を自然に返すみたいなものが僕たちの生活の中にあったんだけど。でも近代は全て材料と思う様になったから。それが自然破壊を起こしてるわけじゃない。

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角田 それってアートって芸術みたいな意味も当然ありますけど、英語の意味で言うと人工物って意味もアートですよね。ね、だからアートネイチャーってカツラ屋さん(笑) ありますけど、あれすごいいいネーミングだなーと思うんですけど。人工の自然って言ってるんですよね、アートネイチャーってね。だから人工と自然と言ってるとすると、で、一般に芸術をアートと言ってるとなると、アートってのはネイチャーの対立概念なんですよね。ところが日本のアートは対理概念じゃないってことなんですね、そうするとね。

豊津 だからそれを復活しなきゃならないじゃない。日本人が持ってるアートの概念を西洋的にするんじゃなくて、我が国独特なアート概念を復活させたいと思うんだよ僕。

角田 うん。それ面白いですね。

豊津 それは例えばね、芸大に書と花がないじゃない。でも日本人は書と花は美と思ってるけど、西洋人には書は…文字を美しいって概念がないからね。表音文字だから。それから花はフラワーアレンジメントがあるけど、池の坊みたいに花を様式美まで持って行ったのは世界で日本だけじゃないか?

角田 うん。だから何なんでしょうね?この…道(どう)にしちゃうって言うかね。道にしちゃうんですよね。それすごいですよね。

豊津 うん。そう。だからオタクなんだよね。

角田 オタクですよね。確かにね。

豊津 僕は道ってのはオタクだと思う。

角田 なるほど、茶道もオタクだし。

豊津 そうそう。で、これはね、書道で気がついたんだけど。中国は書法って言うんです。

角田 法律の法で書法?

豊津 そう。韓国は何て言うと思う?

角田 …なんだろう?!

豊津 書芸って言うの。

角田 おおー!

豊津 芸能の芸なの。すると法の中国、道の日本、芸の韓国ってなんか当たってるところがない?だから韓国は政治も芸なの。

角田 ああ〜ぁぁぁ、面白い!すごい面白い!

豊津 面白いでしょ?だから大統領変わると大変なことになるじゃない。

角田 はい。いつも逮捕されちゃいますもんね。

豊津 そう。ということは法律じゃないってことよね。

角田 ああ、芸はパフォーマンスなんですね。で、中国は法なんだ。

豊津 そう。だから韓国のドラマは今すごい面白いんだってね。もうだから今、ほら、国策でパフォーマーの人たち育ててるじゃない。

角田 BTSとか。

豊津 そう、だから国策でやると、、、

角田 芸を育ててるんだ。

豊津 で、中国は法って言ってね、何が大事かって言うと法を作らないと習近平は国家主席を永遠と続けられないじゃない。だからその法の改正にすごく拘るんだよ。

角田 面白いっすねー。

豊津 それを文書化しないといけないんだって。

角田 だから…文書国家ですけど、文書にするってことは結果的に論理的にもなるし、法律にもなるってことなんですね。

豊津 だから焼くの。ね(笑) 重要だから。日本人は焼かないところを見ると重要だと思ってないんでしょ。だから今文書の改竄、簡単にやってる。

角田 だから書いたこともなくなっちゃう世界なんですね、日本はね。おっもしろいな。そう考えると日本って道じゃないですか。だって政治だって政道って言いますもんね、よくね。自民党は政道の本流である、みたいな。

豊津 やっぱりなんか野中先生の政治って道っぽいじゃない。

角田 野中廣務さん。道っぽいですよね。

豊津 中曽根康弘先生もさ(笑)

角田 そうですよね、政道ですよね。

豊津 吉田茂先生もさ(笑) すると今日本の政治の中に道があるかどうか?っていうことだよね。

角田 はぁぁー、面白いなー。まぁ…確かに、芸…うん。だから芸でも法でもない道だって言うところが日本の…なんて言うんだろう、いい加減なところと言う意味では…ちょっと曖昧さにもなってるって意味では生きやすさかも知れないけど、逆に言えばきっちりしなきゃいけないところは途端に文書が改竄されるし。

豊津 あのね、曖昧さじゃなくて道って言うのは他者に気配りしないってことでしょ?

角田 ああ、なるほど。

豊津 うん。法って言うのは他者に気配りしてるわけでしょ。

角田 うん。気配りしてると言うかそこにルールが出来るから運用しやすいですもんね。

豊津 そう。日本は自分で道を作ると他者はあんまり気にしないじゃん。

角田 気にしないし、その何とか道って隠蔽…秘仏にしますもんね。段級者にならないとその秘宝は教えないみたいな話になりますもんね。

豊津 そう(笑) だから、ほら、オタクの人の、超オタクの人と会話成り立たないじゃない。

角田 成り立たないですよね。どうせあなたはオタクは分からないしみたいな話になっちゃいますもんね。はぁー、面白いなぁ〜。

豊津 だから宮本武蔵と小次郎がいるじゃない。宮本武蔵の剣法って道じゃないと思うな。コミュニケーション。佐々木小次郎はこうやったら不愉快に思うとかさ(笑)

角田 はい。極めて…、そっか。それは道じゃないのか。なるほど。うん。

豊津 だからね、なんかそう言うことからもう1回僕たちの社会を見直すとさ、日本が得意なのはやっぱり漫画なんかまさに今、道に近くなってるでしょ?ねぇ、もうすごいと思う、僕あの漫画見てるとさ。

角田 クオリティめっちゃ高いですよね。

豊津 そう、あの…進撃の巨人なんて何言ってんのかよく分かんないけど出来上がっちゃってるじゃん。あのそそり立つ壁がさ。だからやっぱりアニメーションとか宮崎先生のアニメーションとか、ああいうのもみんなオタクだよね。なんか手が悪くなるほど絵描いてるんでしょ?

角田 うん。だから道ですよね、本当にね。だからもう師匠に教わってみたいな。その教わったノウハウは内緒にしてみたいな。それが確かに韓国風な芸とはやっぱり明らかに違う感じがしますよね。それって日本の芸能界だってそんな感じしますもんね。なんか日本の芸能界の在り方ってパフォーマティブではないって意味では全然芸じゃない気がしますね。もっとこういう、この道を守れ!みたいな。この道を守ってるとお前は俳優になれるからみたいな。

豊津 だからあの、ジャニーさんは芸なのか?道なのか?法なのか?って言うことだよね。

角田 あの人ってだから…そう言う意味では日本的でもありながら、やっぱりジャニーさんって言うだけあって日系移民の方じゃないですか。

豊津 だから他者の目って入れていくじゃない?

角田 だから多分日本の芸能界の中でちょっと違うパフォーマティブなところがあったのかも知れないですね。なんとなく、こう、アメリカ的なものというか。…うん、なるほど、面白いなぁ。ちょっと今ね、質問が来てるんですけど。

豊津 はい、はい、どうぞ。

角田 えーっとですね。「夏と言えば海とかプールとかで水を思い出します。アートでは水に季節感ってありますか?」って。

豊津 たぶんね、日本は海で囲まれてるから海にあんまり思い入れがないんだよね。

角田 はぁー、なるほど。むしろ無い。

豊津 対象物として非日常が出来にくいんだよ、海が。で、唯一海を対象にした絵は北斎のあの波の絵だよね。

角田 ああ、富嶽三十六景の、あの波が大きい(笑)

豊津 あとはだから近代になると太陽が昇るところを絵に描いた横山大観が海の図描いてる。

角田 横山大観って茨城の海のところですよね。三浦でしたっけ。

豊津 どちらかと言うと日本人は山岳信仰だから山描く方が多いんだよ。で、山へ入ると水は滝になるわけだよね。だから滝の図はあるじゃない。

角田 滝の図って言うとやっぱりそれは季節感ではなくなりますよね、やっぱりね。

豊津 そうそう。で、中国は湖みたいな絵は多いけど海の絵はほとんどないわな。

角田 まあ、あの中国の大きさに比べたら海ってのはだから、すごい、相対的に価値が低いんでしょうね、きっとね。

豊津 そう。だからたぶん近代以前の中で海だけ描いた絵ってないと思うな。

角田 中国で?

豊津 ううん、日本も。だって代表作ある?海を描いた…。

角田 確かに海だけ描くとそこに島なり…島とか松とか描かないと、砂浜とかを描かないと海が表現できないですもんね。

豊津 あ!中国に瀟湘八景ってのがあるな。これは湖だと思う。

角田 湖ですよね、なんかあっちの…ん?湖南省とかですよね。

豊津 で、面白い話すると、横山大観って日の出と、太陽、松林、海、そのアイテムがひとつずつ増える毎に値段が高くなる。

角田 値段が高くなるんですか?!(笑)

豊津 そう(笑)

角田 えぇ、じゃあ、えーと、日の出、…?

豊津 日の出、太陽ね。富士。富士があって、太陽があって、それから松林があって、海があって。このアイテムがひとつずつ増える度に値段が上がっていくの。

角田 (笑) じゃあ100万が200万、300万、400万みたくなっていくんだ…っはっはっはっは!

豊津 そうそう(笑) で、そういう風に数字化したものが高くなりやすいの。

0:40:00

角田 それってさっきのバーチャルの名目、実質的な名目は何か?ってことで、横山大観の実質が1個だといくらだけど、2個だと2倍で、3個だと3倍になるんだ(笑)

豊津 そう(笑) それから、あと、杉山寧先生の「鯉」。鯉の図が一匹いくらなんだよ。

角田 じゃああれは増えれば増えるほど高くなるんですか?

豊津 そうそう。

角田 っはっはっはっは!

豊津 だから電話で仕事ができるわけ。

角田 ああ!「鯉何匹いるんですか?」みたいな。

豊津 そう!「300万。」ああ、じゃあ3匹いるんだなみたいな(笑) で、その方が商売が活性化するの。だから数字に置き換えるって言うのはさっき言った、人間、計算能力が上がると世界が広がるのと、、、

角田 すげぇ!繋がった、また!…そうだ!だから論理的になるから。だからつまりイコールができるんだ。アートにイコール価値みたいなものが、そのイコールが出来るってのはつまり数字で計算価値が求められるから。

豊津 で、それは誰でも出来る共通概念だから。共通概念がしっかりしてるものの方が数字、だから価格が出しやすい。うん、と言うことです。海はあんまり題材はそういうことくらいしか思い至らない。やっぱ圧倒的に山が多いんじゃないかな。これはだから日本の信仰を関係してて、日本は山岳信仰だから。で、大体日本人は山の麓に住むでしょ?ね。エルサレム行くと丘の上に住んでんだよ。丘の上に住んでると上見上げると太陽じゃん。だから一神教になるんだよ。日本人は上見ると裏山が見えるじゃん。だから魑魅魍魎のアニミズムが日本から多いってのは山が信仰の対象になるの。…ということだと思う。

角田 いやぁ、でも…今ね、ボク海の街にいるじゃないですか?すると富士山が見えるわけですよ。あれ、富士山見て、今見てもあれすげぇなーと思うわけですよ。こう、幾何学的な、まさに数学的な稜線はなんなんだ?なんであんなに綺麗なんだろ、あれだけ…みたいな。あれどー考えたって昔の人は信仰の対象にしますよね、あれね。

豊津 唯一だからね。だから不二ってのは二つは無いっていうことでしょ?

角田 ああー、唯一ってことですね。

豊津 で、周りに山がないからさ。

角田 唯一って意味だし、not dead で意味かも知れないですよね、不死。

豊津 で、みんなに美術を志す若い人によく言うんだけど。「君はいつから富士山が美しいと思う様になったか?」って言うのを聞いてるの。

角田 ぅーわぁ、また面白いな、めちゃくちゃ。なるほどなるほど!

豊津 そう、何歳から自分は富士を美しいと思うか?

角田 はぁ〜、ボクいくつだろう?美しいと思った……。

豊津 で、当然親に連れて行かれないと富士を見ないよね。

角田 はいはい、まあ近くに住んでる人以外はね。

豊津 近くに住んでる人は大したことない、毎日見てっから。遠くにいるほど富士はありがたいわけよね。で、富士が画題になったのは参勤交代以降だよね。

角田 うん。つまり東海道とかをちゃんと動く様になったから。さっきの動いたからやっぱり…っていう。近代になったからモネが、マネが、みたいな話と一緒ですよね。

豊津 そう。で、たぶん富士山っていう山だけを日本人が描いたじゃん。それが赤富士とか北斎が描いたでしょ?西洋で”人のいない山”描いたのはセザンヌのサント・ヴィクトワール山しかないの。

角田 ああ、プロヴァンスですね。

豊津 そう。それ以外は全部山描いても人がいるんだよ、中国もそうだけど。日本人だけなんだよ、人が居ない山描いたの。

角田 そっかぁ、面白いなぁ。だからそれってやっぱりさっきの動いたからそういうのが生まれたみたいな話とちょっと繋がるかも知れないですね。

豊津 今度そうするとね、動くときにスピードが関係あるんだよ。だからセザンヌは蒸気機関車からサント・ヴィクトワール山を見たらしいんだよね。

角田 うん、うん。TVGが走ってますけよね。

豊津 マチスは自動車の窓から描いた風景を描いてるの。そうするとリニアモーターカーに乗って生活が日常化すると僕たち自身が風景の見方が変わるかも知れないね。

角田 変わりますよね。実際リニアモーターカーって、なんか見えないんですよねぇ?ほとんど。窓が小さくてトンネルだからって言いますもんね。

豊津 そう、トンネル。トンネル通って。でも僕、上海で2度乗ったんだけど。

角田 ああ、新幹線。空港まで。

豊津 新幹線。うん。で、トップの500キロ以上のスピードになるじゃない。で、トップと1、2分続けてすぐブレーキ踏むんだよね。そうしないと到着した駅ぶっ飛ばしちゃうから。だからピューッ⤴︎ ピューッ⤵︎ だね(笑) もう2度と乗りたいと思わないもん。

角田 はぁ〜。あの、最近ボクね、Twitterで書いてる人のグラフをみて超面白いのがあったんですけど。心霊写真あるじゃないですか?心霊写真って、あの…イラストレーターって分かります?あるじゃないですか、イラレってボクらが呼んでいる。イラレが出てから心霊写真って増えてるんですって。つまりどういうことかと言うと、心霊写真が作りやすくなったからなんですって(笑)

豊津 そうだろうな(笑) UFOもそうらしいよ!

角田 UFOも、ボクすごいUFOの話でもすごい面白いなーと思うのって、この世界に飛行機が現れるまでUFOって誰も見てないんですって。

豊津 そうだろうね。

角田 そう、飛行機というものが…ライト兄弟が飛行機を飛ばして、そこから飛行機というものが出てから未確認飛行物体ってものが現れたんですって。ってことは、たぶんこの世界に飛行機ってものがないとUFOという概念が人類の頭の中には無かったってことなんですね。

豊津 そうそう。だって宇宙人って飛行機ないと考えないよね。

角田 考えないですよね。

豊津 ね。ロケット乗ってやってくるとかさ。

角田 だから飛行機がないとUFOってのが出来ないんだって話ってすごい面白いなーと思うと、さっきの移動したからそういう絵が、アートが生まれたって話とかとなんかこう…。だからたぶん、それって結局アートが先なのか?ボクらの活動的な行動が先なのか?みたいな話だと、やっぱり両輪なわけですね。

豊津 いや、基本的には感覚が先にあるわけじゃない、先天的に。だから角田君が認識を持つ前にもうすでに感覚が作動してるわけよね。で、認識が生まれるというのは僕たちの五感から入った感覚が脳であるとき意味ってものを結んだ時に認識が生まれるから。それまで僕たちは動物と同じことやってるわけよね。だからこの間言ったけど、舌に美味しいって感覚があるわけじゃないんだって。

角田 脳ですもんね。

豊津 そう。脳なんだって。だから脳が全ての認識が入ってきて舌の感覚を作るんだよね。

角田 面白いですよねー。だからそれって甘いものを食べても苦いって脳が判断しちゃえばそれはもう苦いなんですよね。本当に、この世に苦いものがあるのか?甘いものがあるのか?みたいなことじゃなくなるわけですよね。

豊津 そうそう。で、旨いってのは匂いとか、視覚とか、そう言うものとも関係してるから。目隠しで鼻つまんでご飯食べると大して美味しくないらしいんだよね。

角田 あぁー。ですし、ボクそのバーチャルリアリティの東大の授業でその研究の課題受けたんですけど、部屋に天ぷらの「パチパチパチパチ」って、すごい美味しい天ぷらが揚がる音を入れるだけで美味しさが増すんですって。天ぷらの美味しさが。

豊津 そうだろうね。そこで唾液っていうので反応してるんでしょ、脳が(笑)

角田 だから脳の中で天ぷらの美味しいものが出来ちゃうと、その天ぷら自体が美味しいかどうかは実はそんなに関係ないというか。

豊津 そうすると、さっき言った富士山はいつから美しいと思う様になったか?ってのが大事なの。

角田 面白い。そうだ。はぁ〜、面白いっすね。

豊津 で、それを考えない人はアーティストには向かない。何で俺は富士を美しいと思ってんだ?と。そういうことを考えることがアートだから。最初っから富士山描いてる人はアーティストになれない。だからこれからさ、絵を描いてる人がいたらさ、あなた何で薔薇が美しいと思ったの?って聞てみればいいよ。それに答えられない人はその絵はアートではない。イラストです。

角田 イラストなんですね。あ、今のね、豊津さんの言ったことって、すごい…、つまり、あのほら、考えるな感じろみたいな言葉あるじゃないですか。ジャッキー・チェン…じゃないや、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」で。考えるな。感じろ。みたいな。…考えるな感じろがダメなんじゃないかなとちょっと思ってて。感じたものを考えなきゃダメだっていう…。

豊津 いや、それはそうじゃなくて。人間は頭だけで考えてないってことが最近分かったらしいんだよね。

角田 ああ、そういうことか!

豊津 そう。だからロボット作ってるとロボットが手に掴んだことが脳に反応してから、それがこうしろっていう指令が来る前に人間はもうやってんだって。だから脳の指令じゃなくて手は勝手に動いてるらしいんだよね。

角田 それって人工知能の研究家の方に、三宅陽一郎さんって方がいるんですけど。その方が言ってたんですけど。人工知能って感情を持てるんですか?って聞いたら、身体を持たない限り無理なんじゃないかって。

豊津 そう、無理なんだって。五体をね。

角田 五体を。五体を持たないと感情は宿らないんではないかっていう。

0:50:00

豊津 すると今度はじゃあ知性と心とはどういう関係になってるってことがあるじゃない。心ってのは一体なんなのか?って言うのがさ。

角田 なんなんですかねぇ?(笑)

豊津 (笑) 心は僕は身体全体で感じてることだと思うんだよね。

角田 はぁぁ。だから心の臓が心だって言ってるのってあながちメタファーとして間違ってないってことですね。

豊津 そうそう。というのはね、例えば僕と角田君では同じピカソの絵を見た時に反応が違うじゃない。僕は経験値で色んな絵を見た中でピカソの絵に反応してるから全てのピカソに同じ反応をしない。このピカソは面白いとか、これは僕には面白くないっていう。それが心なんだよ。でも知性っていうのはピカソはみんな一緒なの。

角田 そっか。ピカソが描いた…パブロ・ピカソが描いた。ああー。

豊津 で、僕たちの世界はどうのピカソが良いか?っていうことで、その人を判断していくから。

角田 はぁぁ、面白いなぁ、なるほどなぁ。つまりそう考えるとさっきのバーチャルの名目と仮想の話にちょっとだけ戻すと。その人がどのピカソが良いと思うか?って、その人の実質を捉えてるってことですね。

豊津 そうです。だから僕はこの歳になって初めて分かるんだけど。お客さんと話してるとこの人はうちの絵は絶対買わないって言うのは5分くらいで分かっちゃう。で、それは説得して買うもんじゃないから。

角田 うん。もう買わなくていいって豊津さん思っちゃってるわけでしょう?きっと。

豊津 うん。だってその人にいくら説得したって買わないですもん。

角田 仮にお金持ちだろうが、なんだろうがね。そうすると面白いですね。そのお客さんの本質ってお金を持ってるか?持ってないか?じゃなくて、そのアートが好きか?嫌いか?買うか?買わないか?の方が本質。

豊津 僕にとってその人とコミュニケーションが成立するかどうかが、うちのお客さんとの関係だよね。

角田 これ面白いですね。さっきの結局SDG'sの話になっちゃいますけど。そうするとその関係が繋がるってことはそのお客さんとのSDG's、サスティナブルが成立してるってことですもんね。はぁ〜、面白いな。

豊津 だからタレントさん見るとさ、すごい綺麗な子がいるじゃん。でもさ、すごい綺麗な子が自分に合うかどうかって…5分くらいで分かんない?

角田 ふっふっふっ!まあそうですよね(笑)

豊津 あなたなんかさ、テレビ番組作ってきたから色んな女優さんとか来るじゃない。でもあなたは生で見てるから「あぁこりゃ駄目だな」って5分くらいで分かるでしょ。

角田 うっふっふっ、まあ5分くらいで分かるかどうかは別として、でも何となく通じますよね、そういうのね。

豊津 そうでしょ。ああ、この人は僕に合うな!っていうのがさ。ちょっと話してみりゃ分かるじゃん。

角田 分かりますね。うん。綺麗なのに残念だなーって思う人とかいますよね。

豊津 あっはっは!そうそう(笑) だからそう言う様なものを僕たちが…体感って言うのかな、脳で判断するだけじゃなくて。…あ!面白い話があってさ。あの…テレビで見たんだけど。5人の男性と5人の女性がいるの。で、最初、見た目で会わすと5人の女性が一人のイケメンの男性がみんな気に入ったって言うわけよ。こっちは不男もいるからね、色んな人がいて。するとみんながこの人かっこいいわね!イケメンね!って選ぶ。で、その後5人の人が着てたTシャツの匂いを嗅がすの。どの匂いがいい?って言うと、バラけるんだよ。で、匂いが会う人しか生活できないんだって。

角田 はぁぁ〜…うん、なんか分かりますね、それ。ビジュアルじゃないんですよね。

豊津 そう、ビジュアルじゃないの。ビジュアルなものは時間と共に…。だから僕はイメージで絵を見るなってのはそういうことなの。

角田 かぁ〜、…面白いっすね!それって五感っていいますけど、視覚とそれ以外は結構別なものだって言う風に言われてるのを聞いたことがあって。視覚って目でしかわからないじゃないですか?ところが触覚って色んなところにあるじゃないですか。で、味覚だってもしかしたらそれだし、嗅覚だって鼻だけじゃないと言うか。聴覚だって骨伝導とかで伝わるじゃないですか。って考えると、視覚とそれ以外に別れるんじゃないか?みたいなこと言ってる、、、

豊津 いや、これね、それ以外じゃなくて距離の問題なの。

角田 ああー、なるほど、なるほど!

豊津 僕たちは五感をなぜ持ってるかって言うと、危ないって察知する時に遠くで早く見つけられるのが視覚なの。

角田 うん。そうですよね、見えますからね。

豊津 そう。その次、音じゃない。

角田 音ですね。聞こえますからね。

豊津 音が聴こてるってのはかなり近くに来てるじゃん。で、その次、臭いでしょ。

角田 臭いですね。まあ、だから何メーターとか。

豊津 そう。口に入れた時にもうアウトじゃん。だから味覚、臭覚、聴覚、視覚が距離の問題なの。

角田 これ距離の問題なんですね。

豊津 そう。だから遠くを見るってのが視覚なの。一番近いが味覚なの。

角田 だって今豊津さんと話しても結局視覚と聴覚しかないですもんね。嗅覚も触覚もないし。

豊津 そう。だから臭いも分かんないしさ。

角田 味覚もないし。

豊津 そう。触ってもいないしね。と言うことはこの中(画面の中)で起こってることは聴覚と視覚でしかないから。リアリズムはそこしかないね。

角田 だからそう考えると…だんだんまとめに入ってきますけど。残り5分くらいなんで。あの、結局リモートで会議してると五覚の中で二覚しかないわけですよね?だからその二覚の中でどう表現していくか?って話になるじゃないですか。さらに言えば二覚って言ってるけど、その一覚ってじゃあ…視覚としても、実際合えば3Dですもんね。ところがこれって2Dでしかないから、一覚も無いくらいなんですよね、厳密に言えば。

豊津 はははははは!

角田 0.5覚くらいしかないわけですよ。そうすると実際会ってその人と交流するってのは五覚を使えるんだけど、このリモートで話すと1.5覚しかないと言うか、情報量がそれだけやっぱり下がっちゃうんですよね、コミュニケーションの。そうするとその1.5覚の中でどういうパフォーマンスをやると相手に伝わるか?って分かってるのがテレビタレントなんだろうなーなんてね。

豊津 そうだと思う。

角田 それってもしかしたらアートってのもちょっとそれに近いかも知れないですよね。作品って、もしかしたら触れないみたいなことがあったとしたら、やっぱりビジュアルで見せるだけかも知れないし。その…なんかパフォーマンスみたいなものだって少なくとも音と視覚しかないかも知れないし。一方で銅像みたいなもので触れるものとかはあるかも知れないけど、まあ、触らないでくださいになってますもんね(笑)

豊津 ただね、写真と映像の違いは動画じゃない。動画っていうのは僕は今角田君の表情だけを見てるわけよね。写真というのは角田君の向こう側にある本も映るじゃん。すると写真を見てると対象物じゃなくて周りにある雑味まで見るんだよね。ところが動き出すとみんな周り見ないんだよ。ところがある病気の人は見た時に全部脳に入るんです、情報が。

角田 ああー、写真の様に。サバン症候群とかですよね。

豊津 そうそう。で、僕たちはその情報を制限しないと生きていけないから、情報を制限するように感覚を落とさせてるわけね。

角田 ああ、むしろダウンさせてるんだ、センスを

豊津 そうそう。だから極端に言うとそれが生殖に繋がってて、感覚を視覚と聴覚の方にどんどん絞り込んで行くと、若い男性がダッチワイフしか必要なくなっちゃうの。

角田 はい、はい、そういうことですね。

豊津 そう。で、今なにハラスメントで触っちゃいけない、近く行っちゃいけない、色んなことが起こると、より…あの、生殖が(笑) 衰えていくかも知れないね。

角田 衰え…いや、確実に衰えてるんじゃないですか?なんかボク思います。あの、だって、ナンパみたいなものも…そもそもナンパが良いか悪いかみたいな話よりも近寄らないでください、ソーシャルディスタンスだから…みたくなりますよね。なるほど、面白い。あ、今あのコメントが来たんですけど。えーと「豊津さん、角田さんへ、お礼。豊津徳を見ていたおかげで、初めてギャラリーへいけました。現代アートでしたが、角田さんの真似して思いつきをポロポロ話してみたら、楽しく話せました。とても楽しく新しい体験が出来ました。ありがとうございました!」って頂きました。嬉しいですね。

豊津 そう、意外と画廊ってね、排他的じゃないから。特にコンテンポラリーのギャラリーは人に来てもらうことが大事だから。近代のね、セカンダリのギャラリーはそこがちょっと排他的なんだけど。

角田 まあちょっと、排他的というかハードルが高い感じがしますよね。

豊津 そう。プライマリーの画廊はたくさんの人に見てもらうことがメインなんで、恐れないでどんどん、行って、話を聞いたらいい。すると意外と答えてくれるから。

1:00:00

角田 まさに、それが良いですね。あともう1個は、えーと「アートと夏ですが、版画や日本画で幽霊や妖怪が登場します。これらに季節はありますか?夏の風物詩として怪談話があるので、気になりました。」って頂きました。

豊津 うん。もう幽霊の話は夏しかないよね。

角田 ああー、そうなんだ!

豊津 うん。それから幽霊がたくさん描かれてる絵って日本しかないんじゃないか?

角田 ああー、なるほど。エンジェルみたいなのはありますけどね、西洋画はね。

豊津 エンジェルは足があるじゃん。日本の幽霊は足がないじゃん(笑) これが世界で珍しいらしんだよね。

角田 それってやっぱり夏のお盆っていうことですもんね?つまりお盆ってのは冥界、冥土との通路が繋がるってところですからね。

豊津 そこだけ開くわけよね。お盆の時だけご先祖さまが、、、

角田 それがだから現実世界と…もしかしたら仮想世界と。また無理くりくっつけちゃいますけど。通路が生まれるのが夏だから、怪談話やお化けが出てくるのではないか?と。

豊津 それだしさ、ご先祖さまが幽霊に出てきたら怖くないじゃん。

角田 怖くないですよね。

豊津 ね。あなたお父さんがさ、幽霊で…い、生きてるの?

角田 むしろ会ってみて話したいですもんね。

豊津 そう、会ってみたいでしょ?僕だって父親が今来たらさ、うちの父親は現代美術かこんな高くなると知らないで死んじゃったから1

角田 んっはっはっはっはっは!!

豊津 「お父さん!こんなになっちゃったよ!」と言うと「おお!そうか!!」って言うね。だから幽霊が怖いってのも、もしかしたら…、ちょっと違いかも知れないね。

角田 うん。本当はそうかも知れないですね。はい。まあそんな感じで1時間あっという間に話ちゃいましたけども。

豊津 はい。

角田 ありがとうございました!

豊津 あのね!ぜひね、江戸時代の幽霊の絵は素晴らしいから!

角田 ああー、見たいですね!

豊津 もうこれはね、ものすごくセンシティブで面白いから。浮世絵とかそれから幽霊、ぜひ見て下さい!

角田 つまりそれはあ「アートと夏」ということで(^^) この夏に夏の風物詩の幽霊の浮世絵をぜひご覧くださいと。

豊津 はい!

角田 はい、そんな感じでございます。じゃあ配信は止めたいと思います。じゃあまた来月やりますので、みなさんよろしくお願いします。

豊津 じゃあ、どうも!ありがとうございました!

角田 はーい!失礼しまーす。

豊津 みなさん、ありがとうございまーす!

教養としてのお金とアート 誰でもわかる「新たな価値のつくり方」 田中靖浩・山本豊津 著
コレクションと資本主義 「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる (角川新書) 水野和夫・山本豊津 著
アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書) 山本豊津 著

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文字起こし後の文字寝かし

 嗅覚が鼻だけじゃない。うん、ヤコブソン器官!猫のフレーメン現象!…と思ったけど、そもそもヤコブソン器官は鼻の先の方にあるらしい。ただ、検索してみると言葉などで意思疎通ができるヒトや上位霊長類と水生哺乳類辺りはこの器官が退化してるらしい。動物の意思疎通はフル五覚なんだろうけど、ヒトは練り上げた論理から言語を駆使して1.5覚でコミュニケーションに挑んでいるのかも知れない。これは豊津さんの5人のTシャツに繋がると話だと思う。かなり以前にテレビで見たことだけど、遺伝子のある部分の組み合わせが似ていない、つまり遠ければ遠い相手ほど惹かれるそう。進化の神秘。さらに体臭が臭いと感じるのはこの遺伝子が近い場合の現象だということ。つまりお父さんは臭くて正解。ただ反対になってしまう現象として似た者同士が惹かれ合うというものもある。例に出ていたのは生き別れた血縁は考え方は仕草が似ているから惹かれるというもの。他人と思って結婚してみたら血縁だったなんてことが起こるのがその例なんだそうだ。

 聴覚は映画で…Twitterでどの映画だったか教えてもらったんだけど忘れたな、──耳の聞こえない息子と音楽教師の父の話で、お祭りの鼓笛隊の大きな音を息子が感じてるらしいと気づいたお父さんは、ラストは音を肌で感じてもらうために耳が聞こえない子を集めてコンサートをする映画だった。まさに皮膚が耳。皮膚が鼓膜の代わり。
 もう一つ皮膚を目にする映画も見た。これも20〜30年前にテレビで見たものだから結構古い映画だと思うけど。農場で暮らす少年と近所に越してきた目の見えない少女。仲良くなって、赤を伝えるために熱い石を少女に持たせて「これが赤だよ!少し冷めてきたらピンク!」というセリフがあったのを覚えてる。確か農場の柵に腰掛けてるシーンで、冷たいものが青で、風の感触を緑に例えていた様な…?皮膚と言語の複合技で視覚に代える発想。

 危ないと遠くで早く見つけられるのは確かに視覚。角田さんがリツイートしてたけど、世界中のどの動物の逃げ出す動きというのがあるそうで、実は近所の川で白鷺相手にやってみたら見事に逃げた(笑) ちなみに両手を上げた時点で逃げられた。次が予想できない動きには恐怖を感じるのは生命の本質なんだろうと思う。

 実は長いこと抽象の意味が上手く理解できなかったけど、最近は角田さんの口癖(コトブキさん曰く飲んで2時間後に連発するらしい)「本質」この本質を探り当てることが抽象の最初の動きだと解釈できた。私の抽象の理解を助けてくれたのは本質と、抽象画という単語がよく出る豊津徳。今回のバーチャルの誤訳で登場したエジプトの話もそう。この経験は私が現代アートを理解するのに役立った。アーティストが本質を抜き出(抽象)した上で表現するのがアート(抽象画)なんだと思う。逆にアートは本質だけを抽出して際立たせているから、そこから派生するものは無限大。つまり見る者で違うということはそういうことだとも思うようになった。アートの解釈は人それぞれ。今回は豊津さんと角田さんがピカソを見てどう思うか?の違いとして話されていたから、すごく興味深く聞いた。

 幽霊は本当は怖くない。子供の頃は夜爪を切ると蛇が出るとか、雷の時におへそを隠すとか、今は迷信の色あいが濃くなったもの。元々は子供の安全を図るために子供に言い聞かせたものだったと思う。深爪しないとか、雷がなるということは季節の変わり目の体調を崩しやすい季節だから、お腹を冷やすと体調を崩してしまうからとか。幽霊はおそらく親、大人、目上の人、祖先を敬いなさいってことじゃないだろうか?
 とにかく、注意するというのは快適に生きる知恵だけど、これはNHKで鬱の特集で見た話だけど、注意力、想像力、応用力、これらが強くなりすぎると不必要なほど大きな不安が出来てしまう。これが鬱で、鬱は人類の進化に欠かせないもので、当初は”快適に生きる”知恵じゃなくて”生き延びる”力だった。哺乳類が暗闇を怖く思うという動物的なものもこれに一役買ってると思う。
 先にちょっと思い出したどんな動物も逃げ出す動き、これも幽霊と同じで、先が読めない恐怖だ。…幽霊の場合は心にやましいことがあるということもあると思うけど。

 この配信の翌週に映画「HOKUSAI」を見た。若い北斎は風景、波と富士を描いたことで蔦谷から高く評価されて画家人生を本格的に始めるし、北斎の画家としての一生は波に初まり波に終わる構成になっていた。さらに映画の中では富士は不二、二つとないということを蔦谷が話すセリフがあったし、そもそも唯一で動かない北極星から北斎という名前にしたという話もあった。70代で脳卒中で右手が動かなくなるも、そこから旅に出るところなんて角田さんの言った不死だ。
 富士山をいつから美しいと思うようになったか?それから折々で富士を美しく思うポイントの変遷も重要なんだと思う。豊津徳の初回かな?自分のアーティストとしての来し方を見なさいという豊津さんの話。私は今月初めにちょうどその質問をされていた。どちらも私が作ったつまみ細工だけど、どうしてこっちの方が出来がいいと思うのか?そこが判るようになりなさいと。この先生は癖があると思う。私目線で先生を説明しても、どうしても他の人に変な印象を与えてしまうのは、私の表現力や伝達力の低さもあるけど、先生の癖もあると思う。今思えば、ものの考え方が道に近い人、その点で現代人っぽさが無い部分がある人なんじゃないかと今さら思ってみたり。

本質の抽出、本質の捉え方は、個性だ。

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