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豊津徳12【HozuTalk】「SUSHI展」

山本豊津(東京画廊)×角田陽一郎(バラエティプロデューサー)のアートを巡る知のライブトーク第12弾!
テーマは今、東京画廊で開催中のグループ展「SUSHI展」を現場からライブ解説!

東京画廊

【SUSHI展】

 豊津徳も寿司特も週間ICUCも、未熟者の私にとってはノートを用意して聞きたいもの、できれば教科書とか読み物として欲しいもの。文字起こしが趣味になって本当によかった。
 私の趣味の文字起こし。月イチのお楽しみ【豊津徳12】です。

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角田 はい!ということでバラエティプロデューサー角田陽一郎でございます。豊津徳でございまーす!(拍手)ということで、今日、東京画廊さんに来まして、今日はライブで展覧会を見ていこうと思うんですけども。あ、ちょっと待ってくださいね、今ボクのiPhoneでも喋り始めました…ああ、映ってる、映ってる。で、今回。見てください、【寿司】です。まった面白いですね、東京画廊は。【寿司】という展覧会、A World in a Grain of Sand というのをやってるので、そこに入って見たいと思います。じゃあ行きますね?失礼しまーす!

豊津 ああ!どうもいらっしゃいませ。

角田 どうも豊津さん!また…【寿司】!?

豊津 そうです。実は【寿司】という題名を付けたのも中国人のキュレーターなんですよ。

角田 あ!なるほど。キュレーターの方が中国人の方なんですね。

豊津 そうそう、中国人の若い…33歳と37歳の二人の青年がこの展覧会をキュレーションしてます。

角田 ということは【寿司展】!

豊津 【寿司展】。で、なぜ【寿司】というタイトルを付けたのか?と聞いたらですね、すきやばし次郎のね、、、

角田 お寿司屋さん。銀座の。

豊津 そう。寿司は夢を見るっていうドキュメンタリーを見たんですって。それを見た時に握りのあの小さい中にね、これだけの色んなものが凝集されてる…

角田 宇宙があるというか。

豊津 そうそう。それを痛く感銘を受けましてね。で、この二人のキュレーターが小中見大、小さい中から大きいものを見るという見(けん)ね。そういうタイトルで企画をしたいということで、中国🇨🇳、日本🇯🇵、それからイラン🇮🇷、フィリピン🇵🇭の作家達を…

角田 アジアの作家たちが。

豊津 そう、アジアの作家達を集めて今回の企画に至りました。

角田 ちょっとカメラをこう、振ってもらっていいですか?またね〜、いつも東京画廊来ると面白いんですけど、また色んな作品がね、作品と呼べるのかどうか分からないような作品もあったり…。こっちになんかスパゲティの箱とかがあったりしますので。今日は楽しみにしております。で、皆さん、見てる方がですね、ご質問等あればチャットで頂ければ随時答えますので、ね?

豊津 はい。

角田 やってみたいと思います。よろしくお願いいたします。

豊津 はい。よろしくお願いします。

角田 じゃあ、どこからまず見ればいいですか?

豊津 まず、じゃあ、日本の作家から。この作品と、この作品なんですが。SHIMURAbros(シムラブロス)という二人の兄弟。

角田 ブラザーズのブロス。

豊津 ブラザーズのブロス。お姉さんと弟の二人ですね。これはロシアの映画のある場面を8秒間その時間を3Dプリンターで創ったんですよ。

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角田 ん?んん??!待て待て待て…ある映画って言うのは教えてもらっていいんですか?

豊津 そこに書いてあると思うんだけど…。

角田 書いてある…待ってください…、the two figures ascend the steps .

豊津 ロシアの映画のね、う〜んとね…

角田 1から…? a young man wokes left to right . 右から左へ若い男が歩き続ける。で2番が…?

豊津 ああ、あった、あった。旧ソビエト連邦の映画監督レフ・ クレショフの1920年台の実験映画「創造的地理」から約8秒間の、それぞれの8秒間を3Dプリントしたんの。簡単に言うとパラパラ漫画と一緒。パラパラ漫画ってこのぐらい厚いじゃない。紙の厚さがあるから。あれをパラパラってやると動くでしょ?あれを逆にしたの。だから動くものを厚さにしたらこうなる。だからある時間の凝縮を厚さにしたっていう。

角田 …うん。だんだん、だんだん分かってきた。つまりこの1番って a young man wokes left to right っていう、若い男が左から右へ歩いてる8秒間を3Dプリントにしたらこうなったってことですね(笑)

豊津 で、こっちの方がもうちょっと分かりやすいんだけど。これは…

角田 何ブロスって仰いましたっけ?

豊津 シムラブロス。シムラさんっていう姉弟だからね。これはだから…写真。これ映画の一部分。これの10秒間を3Dプリンターにかけるとこうなるの。だからここに人体があるでしょ?

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角田 あ!ホントだホントだ!これ正面から撮ってみて。そうすると人体って分かりますね。この映像から…(カメラさんへ)パンダウンしましょうか。…ほう、ほう、ほう、分かる!分かる!

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豊津 するとね。大事なのはね。今ここに角田君がいる。

角田 角田、いますね。

豊津 角田君が今ここに居て8秒後にここに移動するじゃない。

角田 こう、動きますよね。

豊津 するとこの移動したこの時間を立体化するとこれになるってこと。

角田 ──っかぁー!また面白いな!この作品はタイトルはなんて言うんですか?

豊津 これはねぇ…タイトルは何なんだ?え〜…「時の彫刻」

角田 ああ!まさにそうだ。8秒間の時を彫刻すると。ちょっと待ってください、こっちも(もう一度見たい)…。ああーこれそういうことなんだ。

豊津 だからこれ等身大にすると大変なことになるけどね。

角田 うん。映画だからスクリーン的には今の写真くらいとかこんなもんってことですもんね。はぁぁ。なるほどねぇ。今「立体と時間のパラパラ漫画」って言う風にコメント頂いてます。まさにそういうことなんですね。

豊津 そういうことなんです。で、やっぱり現実は厚みがあるじゃない。映像は厚みがないからこういう風にはならないんだけど。映像の1秒間に何かの厚みを与えてあげるとこういう風になるってことね。

角田 これだから8秒でこれだから16秒なら倍だし…。

豊津 すごい長さになる。それからもっと大きくなると思う。

角田 ですよね。だってさっきだって歩いてるのが…この室内だからこうなってるわけで。これはもっとすごい走ってたりすると…

豊津 外に出たり、よそに出て行くとそれ自体がものすごいボリュームになるってこと。

角田 もうアートはすごいところまで行ってますね…

豊津 で、重要なのはね。数学的に言うと点線面ってあるじゃない。

角田 はい。点と線と面。つまり一次元、二次元、三次元。

豊津 現実にあるのは面しかない。

角田 うん。そうなんですよね。これボクもどこかで読んだんですけど、つまり線って。線って厚みがあったら線じゃないから、本当は…見えないというか、無いんですよね。

豊津 じゃあ面は何があるか?厚みのない面。

角田 厚みのない面…?なんだ?

豊津 (床を指さす)

角田 はい…?

豊津 影。

角田 ああぁ!そうか!影ってここに実際あるけど厚みないですもんね。

豊津 そう、厚みがないでしょ。ということは、面としては実存してるってことよ。厚みはなくても。

角田 面白いなぁ!

豊津 それを描いたのが高松次郎って人。

角田 作品でですか。

豊津 そう。だからその当時、点線面ってのはすごく流行ったが時期があるの。60年代の後半に。それは物理学の影響がアートに来て。それでその中から起こったときに高松さんは面しかないって言うんで影の絵を描くの。それがね、世界のアーティストにはものすごいショックだったの。

角田 つまり線で輪郭を描いてるということじゃないってことですね、高松さんは。高松さんの絵、見てみたいですね。なるほど!じゃあ、SHIMURAbros、分かりました。続きまして。

豊津 こっちのアーティストがこのキュレーションをした二人のうちの一人ね。徐小丹(ペニー・ダン・シュー)という34歳で今ロンドンにいる美術史家がこのキュレーションの中心人物なんですけど。それと一緒にやったのがこの倪有魚(ニー・ヨウユ)という中国のアーティストね。彼はコイン。コインをすり潰して、叩いて、平にして、その上に絵を描くんですよ。コインって元々絵が描いてあるでしょ。お札もそう。

角田 描いてありますよね、富士山とか。

豊津 そうそう。それがすり潰すと貨幣じゃなくなるわけじゃない。その絵を、もう1回絵を描くことによって貨幣に変えるっていう。だから貨幣と絵画ってものすごく密接な関係があるってことを彼は描いてる。

角田 (笑) こっちをまず見ると…

豊津 水墨画なんです。

角田 はぁぁー…確かに右側の方ってのはだからお金の字みたいなのが描いてありますよね。なるほどなー!

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豊津 これがね、有名な話があってね。キリストがね、磔になったのは脱税らしいの。どういうことかと言うと、ローマがイエスに税金払えって言ったの。そしたらイエスはコインを出してね。コインというのはローマ皇帝が刻印されてる。私の皇帝はローマ皇帝じゃなくて神だから税金払わない。それで脱税で捕まっちゃうの(笑) だからコインと絵画ってものすごく親和性が高いの。

角田 面白いなー。

豊津 するとね、大事なのはね、貨幣もイメージでしょ?

角田 イメージ、だから偶像ですよね、まさにね。

豊津 ね。絵画もイメージじゃない。すると人間が作った2大イメージが芸術と貨幣なんですよ。

角田 芸術と貨幣は2大イメージ!…そっか、確かにね。

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豊津 どっちも無限なんですよ。不動産は有限でしょ?

角田 もうその敷地しかないですもんね。

豊津 証券も有限でしょ?会社の数だけでしょ?絵画と貨幣は無限のイメージなんですよ。だから僕が思ってるのは、貨幣を今…莫大に刷った貨幣を吸収するのは無限のアートしかないってのが僕の思想なんです。

角田 それ、すごい思想的にはすごいカッコいいですけど。…豊津さん儲かりそうですね(笑)

豊津 儲からない(笑) 皆んながそれに気がつかない時に儲かる。気がついてる間は儲からない。

角田 そっか。気付くかないうちにね、やらないと。この作品が無限にお金を生む可能性はありますよね。

豊津 でも実際にこの作家はもう世界中のギャラリーで展覧会やってますから、もうすでに貨幣の価値を超えてるわけ。で、その彼が作った作品のもう一つが…これがイメージなんですけど。写真の時代が全部違うんですよ。古い写真を集めてきて、水平の位置だけ合わせてコラージュしてるの。

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角田 つまりこれがたぶん一番…帆船ですもんね。

豊津 で、これ。戦艦大和。

角田 あ、戦艦大和だ。水平線だけコラージュしてるから多分これからここまでで100年くらい差があるみたいな。

豊津 ということは、どういうことかと言うと、今までの絵画は同時点の風景を描いてるの。彼はそうじゃなくて時限を超えて風景を作ってる。イメージの風景の、まさに写真で創ってる。

角田 はぁ〜!この方はさっきの貨幣のもそうだけど、イメージというのをどう拡張するか?みたいなのを考えてらっしゃるんですね。で、こっちは…?

豊津 これはね、西湖だと思うんだけど。中国の湖。

角田 はいはい、大きい湖!

豊津 中国人って海よりも湖の方が大事なの。だからすべて絵画に出てくるのは湖じゃない。海の絵ってあんまりない。だからこれは湖で、これが海。で、どっちいも水平線合わせて一つの風景として見立ててるってことですよね。

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角田 っはぁー、面白いなぁ!

豊津 で、この隣のが呉強(ウー・チャン)さんという…この人は完全に水墨。宋元時代の水墨を描いてるんだけども、宋元の時代に中国の中には小さい物の中から世界を見るという概念があって、世界の風景が水墨の中に入ってるっていう哲学的な水墨を描いてたわけじゃない。

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角田 ということは、この水墨画は世界の風景が入ってるってことなんですね。

豊津 これはだから呉強(ウー・チャン)さんが一人で描いてる伝統的な水墨。ただこのサイズの水墨というのは非常に少ない。

角田 そうですよね?これ小ちゃいですもんね、そもそも。

豊津 それからもう1つ。巻物ってあるでしょ。巻物ってのはこちら側から見ていくとこちらが開いてこちらをこう…

角田 閉じていきますね。

豊津 そう、流れて、時間を見ていくわけじゃない。これはだから一度に見てるから。

角田 パノラマ写真みたいな感じなんですね。

豊津 で、もうこの水墨っていうのはたぶん日本人の絵描きさんではもう居ないと思う。描く人が。中国の人はまだ水墨を描く人がいるんだけど、日本はもうすでに日本画ってのは水墨から西洋絵画にどんどん没入しちゃったもんだから。紙の上に墨で描くっていうのが日本ではもう。

角田 前回はその習字みたいなことはありましたけど。書はあるけども水墨画がなくなってるってことなんですね。

豊津 だからこの人達は書が上手いでしょ。だから書が一体の世界があるのね。

角田 面白いなぁ…。こっちも同じですね。これ四文字熟語がタイトルなんでしょうね、きっとね。

豊津 瀟湘八景って言って。瀟湘ってのはね、宋元時代からものすごく絵画のテーマになる。

角田 すごいなぁ。これもだから小ちゃいんですよ。ほら、見てください皆さん。ボクの手と比べて頂ければ。はぁぁー…でもこれ、小さいとか大きいとかじゃなくて、さっきの全世界みたいなのって、なんかちょっとドキドキしますね。これずーっと見てるとですね、すごいドキドキする。

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豊津 見てる間に世界がどんどん広がっていく。

角田 はい!はい。これすごい広がっていくなーと思うし、ここにちょっと墨がポンッと垂れてるみたいなのが…。

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豊津 そうなのよ、これね、わざと…。わざとというか、垂れちゃったんだと思う。で、昔だったら失敗なの。そうじゃなくて、この垂れたということまでももういいじゃないかって世界ね。だから完成っていう概念が今の時代と…彼の完成と中国のあの時代の完成が違うってことね。それからもう1つは中国はこういうものを一人で描いてない場合もあるの。何代かで分けて描いてる場合もあるから。

角田 なるほどねぇ〜、面白いなー。…次行きますか?

豊津 次行きます。次が張施烈(ジャン・シーリエ)という。これも香港の作家なんですが、建築の空間そのものの中に絵画ってのがあったもんだから。だから建築の壁面が自立して絵画になったから。ね?絵画は元々壁画じゃない。だから建築の一部ですよね。で、それで彼は…ここを見てもらうと、ここに鏡が貼ってあって、絵はこちら側に描いてあるんです。

角田 …?ちょっと待ってくださいね…ちょっと待ってくださいね…。え?、、え?

豊津 そこの隙間から見るの。

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角田 ここからですか?

豊津 そう。

角田 ぅん?

豊津 …分かる?ここに描いてあるの絵は。この面に。こっちから見て、こちらの絵を…

角田 ああ!つまり鏡で見ないと見えないんだ!

豊津 そう、鏡で見ないと絵が見えないんです。

角田 鏡で見ないと見えないことがカメラで見られるかな…?絵、見える?ちょっと待ってくださいね、まだボクが見てないんで、ちょっとボクが見ていいですか?──っあ!これ、何の絵ですか?赤い…何の絵だろう?

豊津 だから向こう側に扉があるっていう絵だよ。

角田 ああ、こっちから(上から)見ると見えますよ?カメラさん。

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豊津 (笑) 見えない?

角田 ここからさらに下がると…扉が見えるでしょう?ほら。

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豊津 見える??

角田 ほら!見えた!扉が見えた!これが、扉が…こちら側から見る。この鏡上で見えるんですよ。…ああ、見えてます見えてます。で、もう1回説明すると、壁面に絵があって…?

豊津 そう。元々絵画っていうのは壁だから。壁から自立したのが絵画だから。それがルネッサンスになるわけでしょ。だって天井画だって壁画だったでしょう。日本だと襖絵とかさ、屏風絵とか。それが掛け軸になったように絵画が額縁のパネルになったわけじゃない。それで自立して持ち運び出来るようになった。持ち運びするようになったら商品になったんですよ。この時代は商品じゃないの。その時代は特注品。ここに描いてくれって話だから。値段は時間給いくらだよね。

角田 そうですよね。これだけ掛かったからこれだけだ、と。それを模してるってことなんですか?

豊津 それを彼は絵画というのはそういうもんだっていうことを空間を作って見せてるってこと。

角田 っはぁー、ここに人間が、これくらいの大きさのがここにいれば見れるわけですよね。

豊津 そう。で、今度こっちはね、こちら側の壁面に絵が描いてあって、ここから見るとこの壁面に絵が描いてあって、ここが全部鏡なんです。するとここに見えてるのはこの後ろ側の壁画…(笑)

角田 (色んなところから覗き込んで)ああ、意味が分かったけど。カメラで撮るならこっちからまず…、この壁面に絵がありますかね?…ああー見えてないかな(笑) ちょっと黒くなってます。で、それをこちら側の鏡で映すと…こちら側から見えるという。あ!見えてる見えてる!──見えてるって、ボクが映ってますね(笑) なるほど。

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豊津 で、こういうことにしたことでコレが持ち運び出来るじゃない。

角田 うん、コレ自体がね。つまり…え?待ってください──壁面にあった…。整理すると、壁面にあった絵画というものは掛け軸になったり額縁に入れることで持ち運び出来る商品になったんだけど、つまりそれは壁画じゃなくなっちゃってるから、これとこれは壁画というものがどういうものかということを持ち運び出来る絵画にした、と。

豊津 そうそう。

角田 はぁ〜。どんだけメタ視点を乗っけてるんだということですね。

豊津 ははは!

角田 面白いなぁ。これは…なんて言う方?

豊津 これはね、張施烈(ジャン・シーリエ)っていう33歳。さっきの水墨が44歳。倪有魚(ニー・ヨウユ)は37歳。

角田 みなさん若手なんですね。っかぁー!面白いなあ!

豊津 で、今回一番若手がこの人。

角田 これですね。これは何か、今日見た中で一番絵画チックといえば絵画チックですね。

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豊津 これはね、イタリアの人たちは貴族が最終的には愛玩するために小さい絵を持ってたんだって。だから必ずしもでかいね、宮殿にある大きい絵じゃなくて。

角田 持てないですからね、それだと。

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豊津 持ち運びが出来るような小さい絵を作ってたわけ。その額縁をイタリアから送ってもらって。

角田 これだからイタリアの昔の…ありますよね。

豊津 そうそう。そのイタリアの額縁の中に自分が絵を描いたの。だからこれは手の上に目玉。

角田 (笑) 手の上に目玉ですよ。大きさ的に言うと…ボクの手はこんなもんなんで、小ちゃいです、すごく。で、これは…

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豊津 これはだからちょっとダリとか、シュールレアリズム。

角田 これ乳首ですよね?乳房。

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豊津 うん、そう。乳房。で、こっち行くとね、もっと面白くて。ては男なんだけど体は女なの。

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角田 ああ、ホントだ。

豊津 で、フランドルの絵でおっぱいつまむ絵があるでしょ?有名な。そこからインスピレーションもらったの。

角田 これは?

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豊津 これはだからたぶん…皆既日食か。それから雷。自然現象を、写真に見えけど絵画なんですよ。だから問題はこれをこう閉じて持って歩いたってことでしょ?懐中仏みたいな。

角田 はいはいはいはい、懐中仏みたいなやつなんですね。なるほどなー。

豊津 でもねぇ、31歳の…上手いでしょ?絵が。

角田 はい。だってこれだってもう写真みたいですもんね。はぁぁ…「壁画を運べる小ちゃい不動産だ。そして次は持ち運び出来る小さなフレーム。並びが面白い。」って今コメント頂いてますけど。

豊津 そうそう。

角田 これが【寿司】の──ああ、なんか寿司って付けてる理由がちょっと分かりますね。1個でも小ちゃいところに世界観がありますもんね。

豊津 で、次。

角田 はい!

豊津 この人はフィリピンの人。えー…46歳。

角田 ああ、フィリピンの方ってこういう色の感じ、やってますよね。

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豊津 これはね、貝なんです。

角田 貝?

豊津 貝の、大きい貝を薄ーく削ってその貝を引き伸ばしてその上に絵を描いてるんですよ。

角田 だからこの絵の中にうっすらとこう…ちょっとこう、、、

豊津 そう、繊維があるの。

角田 繊維があるのは貝なんですね。はぁー面白いなぁ!これも小ちゃいです。(作品に手を並べて)ほら見てください。こんなもんです。

豊津 ペインティングですよ。

角田 これはだから材質が何なのか?とか、そういうようなことなんですね。

豊津 で、さっきの絵画と貨幣で言うとね。フィリピンとかあっちの方は昔は貝が貨幣だったんですよ。

角田 そうですよね、貝がお金ですもんね。

豊津 だからそういうことも彼は考えて、貝の上に絵を描く、と。

角田 さっき豊津さんが仰った貨幣とアートの無限性みたいなことをこれでも表現してると言えば言えますよね。昔この貝ってのは貨幣だったんだけど、その貝をむしろアートのキャンバスにして、作品として描いちゃったってことですもんね。

豊津 で、次。これが瀧本君っていう日本の作家だよ。

角田 これは…?仏像?

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豊津 これはね、木彫なんですけどこの彫り跡。大体ね、こんなノミの彫り跡を残す彫刻ってもうないのよ。

角田 滑らかにしちゃいますもんね。

豊津 そう。で、彼はノミ跡っていう跡を残してるのは、常に新陳代謝してるってこと。あのね、仏像ってね、一体でずっと残ってるってほとんどないって知ってる?

角田 どういうことですか?

豊津 鎌倉時代に作るでしょ?寄せ木で造るの。

角田 ああ!そうかそうか!分解出来ますもんね。

豊津 腐ったら取り替えるの。だから年代測定がここは鎌倉だけどここは江戸、、、

角田 江戸時代とかになっちゃいますもんね。で、もしかしたら作り替えてるかも知れないとか。

豊津 で、そうやって新陳代謝して残していくって言うのは人間の細胞が1週間で取り替わるのと…

角田 だから人間というのは果たしてどこまで自分なのか?って言いますもんね。すぐ入れ替わっちゃうから。

豊津 そうそう。そういうことが彼にとってキュレーターには面白かったみたい。このノミ跡を残すっていうのはね。

角田 ああ、だから極めて生き物のような。面白いなぁ。

豊津 そうそう。これはね、炎かなんかの絵からのインスパイアで、種が成長していくみたいなことがインスパイア、、、

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角田 ああ、種から芽みたいなものが出てるんですね。

だからここにちょっと植物が彫ってあるんだけど。今、彼がやってる彫刻っていうのをもう1回イメージに戻そうとしてるのね。元々イメージを彫刻してたんだけど。ね、具体的なものを見て彫刻にしてた。で、今度は絵を見てそれを彫刻にする。で、それに似ているのは入江さんっていう方の作品。

角田 こっちから行きますか?こっちの方がいい?はい。

豊津 彼女は消しゴム。

角田 消しゴム(笑)?

豊津 消しゴムでこの絵を消すの。すると練りかすが出るでしょ?その練りかすで彫刻創ったの。

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角田 (笑)──っはっはっはっは!

豊津 だから赤いところを消したら赤いところを練りかすで作ってるわけ。

角田 ──カはぁー!ちょっともう1回上見てくださいね。これが元々あった絵で、この赤いところを消してると。消しゴムで消した…消しかすでこの実態の方の赤い部分を作ってると。

豊津 だから全部これ消しかすなの。彼女は何か具体的なものを何も作ってないの。

角田 んっはっはっはっはっは!作ってますけど作ってないですねぇ!

豊津 作ってない。だってこの形は前の人が描いた絵だよね?だからイメージは人のものを拝借してるんだけど、作業だけでイメージに替わるものを作ってるわけだよ。その反転が、、、

角田 だから…イメージの立体化とも言えるし。さっきの瀧本さんと考え方は一緒ですよね。

豊津 一緒です。

角田 っかハぁー………、よくまあ考える──まあでもこれ、あれですね、どの作品もそうなんですけど、この作品の…練りかすでこれを作ろうは分かるんですけど、これのクオリティがめーちゃくちゃ高いですよね。

豊津 そうよ。すごい。

角田 これはめちゃくちゃ上手くないと成立してないですよね。つまりこれ(消しゴムをかけた絵の方)が本当に三次元になってるってことが何となく似てるだけだと面白くないですもんね。

豊津 だから目が悪くなったらどうするのか?と思うんだけどさぁ。

角田 (笑) もうボク最高の褒め言葉言いますけど、頭おかしいですね。

豊津 ああこの中で頭おかしくない人は一人もいない。

角田 うん。もうこれ最高の褒め言葉ですけど、あったまおかしいな!これ。

豊津 で、これはね、昔の薬箱ですよ。で、その薬箱のあらゆるところを消して、薬師如来みたいな金剛仏を創ったわけ。だから邪気を払うって意味で。

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角田 なんとか金剛のひとつですね、たぶんね。

豊津 そう、だからここにアルコール消毒、注射器、マスク…

角田 んっはっはっはっはっはっはっは!!…これマスクですよ皆さん。これ、マスク。今大事なね。で、これが注射器ですよ。ワクチン打つとかね。で、これが手洗うやつ?つまりコロナに掛けてますね。

豊津 で、赤いところはこの箱を消した赤ね。それからここの薬を消したのがブルーとかっていう風に。だからこれは具体的にここに金剛像があったわけじゃないくて、消した薬で全部練りかすで新しいイメージを創ってるってこと。

角田 箱にはこう書いてありますよ。「明るい家庭は先ず健康から」って(笑) かすってこんなに出るもんなんですね。

豊津 いや、だから大変らしいよ(笑)

角田 大変…らしいですね(笑) っかぁー…これ、これ全て──。いや、色んなことがすごいな。だってこの作品自体だってコメディというか、もう成立はしてるじゃないですか。現在の不動明王みたいなものが注射器と手洗いとマスクを持ってるってことも面白いのに、それが昔の箱の…削りかす(笑)

豊津 だからさ、テレビで言うとさ、モノマネってあるじゃない。ね。モノマネのコロッケさんなんかはモノマネとしてはそんなに上手くないけど、それをカリカチュアに直してるのが最高に面白い。

角田 もう千昌夫さんのモノマネの時はもうここのホクロがめちゃくちゃデカくなってたりってことですよね。

豊津 それからあと彼はほら、テープ貼って。

角田 テープ貼って。はい、やってますよね。

豊津 ね。あれはもう本体を使ってるけど、もう本体ではないじゃない。あの…あのテレビ番組っていつからなの?

角田 昭和30年、40年ぐらいからあるんじゃないですか?

豊津 そうでしょう?だから日本っていうのはかなり始めから面白いことを、、、

角田 やってたんですねぇ。パロディって言うか…そっか。

豊津 だからそれは鳥獣戯画から来てると。漫画とか。

角田 漫画になってますもんね。これすごい漫画的ですもんね。はぁ〜、だから今日本で漫画ね、すごい、世界でもブームになってて。なんかその綿々と繋ぐ鳥獣戯画からのものがあるような感じしますね。

豊津 それからやっぱり物語。やっぱり絵画と違って漫画には物語が必要じゃない。そうすると今度さ、進撃の巨人みたく絵は下手でも十分物語が成り立つっていう漫画が出来ちゃうじゃない。

角田 出来ますよね、ストーリーがあれば。

豊津 そう。昔だとあの漫画は落ちるよね、あの…下手だから。

角田 はい。もっとちゃんとデッサンしろよってなりますよね。

豊津 やっぱりスラムダンク、宮本武蔵を見ると上手いと思うけどさ。

角田 はい。井上雄彦さんね。

豊津 で、次。

角田 はい!こーれが、また…。皆さん見てください。スパゲティの箱ですよ?

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豊津 スパゲティの箱のここにスパゲティが見える窓があるじゃない?その窓から光が入って中側は美術館になってるんです。

角田 (笑) 美…、見えます?──あ!ホントだ、美術館だ。だから美術館だからこの上から見てるうっすらした…うっすらした、ここ(箱の天窓)から見えるうっすらした光が美術館のなんかちょっとした光の表現になってるんですね。くわぁー!これまた良く…、だって上から見ると椅子とかですもんね?これね。よく美術館の真ん中に置いてある、疲れて、よく図録とか置いてあって、ちょっと休むところですよね。

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豊津 だからさっき彼の、張施烈(ジャン・シーリエ)さんの展示空間と…これは美術館そのものを持って歩く(笑)

角田 スパゲティとして(笑) はぁー、これ…で、この美術館もう流石にカメラじゃ見えないかも知れないけど、当然美術館だから下に…したと言うか壁面に1個ずつ作品が──。

豊津 もうちょっと、こうやったら見える?

角田 壁面に1個ずつ絵があるの分かります?皆さん。──あ、分かるかな。分かりますね、これ。ほら!ぜーんぶ、だからすごい結構いい美術館なんですよね、これね。はぁ〜。じゃあこっちもやってもらっていいですか?せっかくなんで。ほら!うわ!これなんか全然見えます!くわぁーすいません、これまた、最上の褒め言葉ですけど、アホですね(笑)

豊津 これは杉山君っていう作家さんです。

角田 杉山さんアホだなぁ…すっげぇアホだなこれ。楽しいんだろうな作ってるとき。

豊津 SDG’s の時代になった時に美術もゴミの可能性が高くなるの。

角田 はい、ゴミになるかも知れない。

豊津 そうしたらデカイものより小さいものの方が残るんじゃないか?って。だから美術ってアメリカに…ヨーロッパからアメリカが中心になってキャンバスがでかくなるわけ。

角田 ああ、やっぱりアメリカの方が大きいですからね。家が大きいし。

豊津 そうそう。ところがね、中国って大陸で大きいんだけど家は小さいの(笑)

角田 はいはい、たくさんいるからね。コンパクトに。

豊津 だから小中見大の世界があるの。

角田 それってまさに握り寿司が小ちゃいのとなんか似てますよね。

豊津 そうそう。似てる。

角田 今コメント頂きました。「スパゲティ美術館を台所に置いておいたらお母さんに怒られそう」って(笑) だってこれ捨てられちゃいそうですもんね。まったくだらしがない!って言われて。

豊津 でも世界で最も有名なのはイタリアのウフィツィ・ミュージアムでしょ?イタリアじゃん。で、画廊ってのはウフィツィ・ミュージアムから来てるから、廊下の廊が付いてるの。

角田 ああ、画廊の廊が。回廊、廊下にありますもんね。あれ修道院なんでしたっけ?

豊津 そうすると部屋じゃないの。回廊なの。修道院じゃなくて王様の別邸。

角田 王様の別邸でしたっけ。はぁぁぁぁ面白いなこれまた。なるほどなぁ!

豊津 では次行きましょう。

角田 はい!まだありますよ、皆さん。──はぁぁすっごい!豊津さん楽しいでしょう?仕事(笑)

豊津 え?そうそう。こんないい仕事はない。今まで苦しかったけど(笑) これがヤオ・ポン(姚 朋)って人。

角田 中国の方ですね。

豊津 切手です。でも全部手で描いたものです。毛沢東、手で描いたの。写真じゃないの。

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角田 (笑) これ、あの、写真みたいですよね。写真…じゃ、ないんだ。確かに作品だ。

豊津 誰でもやるコレクションって最初はなんだと思う?

角田 まぁ、切手ですよね。ボクもやってました子供の頃。

豊津 そうでしょう?それまでは牛乳の蓋とかさ、メンコとか。人間って子供の時から収集っていう、コレクションを求めるっていう、もうこれ本能的な習性だと思うんだよね。そこから美術館ていうものが生まれてると思うから。

角田 コレクションするわけですからね。

豊津 そうそう。これはほら、共産党の世界でしょ。僕たちが気持ち悪いなーと思うロシアの共産党の人でしょ?

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角田 ああ、男性同士でキス…東ドイツとソ連の首長同士ではよくキスしてましたよね。びっくりしましたけど。これだから…確かにすごい上手いんだけど、ちょっとずつ違いますもんね。だからまず写真のコマ撮りみたく。

豊津 これはイラクね。

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角田 イラクって書いてある。ポスタージュ。

豊津 そう。なんかあそこにね、ちょっと消した跡みたいなのがあるのね。

角田 あるし、イラクポスタージュって書いてあるのとかはわざと手書きですもんね。はぁー、でもすんごいクオリティだな。ホントだ、わざと消してる…。

豊津 なんかイラクで紛争が起こったような雰囲気。

角田 はい、ありますね。ちょっと燃えてる感じしますもんね。

豊津 これはね、ケネディ大統領の葬列。

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角田 暗殺の時の!ああー…なるほどなぁ。

豊津 よくあるじゃない、記念切手の場合は1枚の絵になってる。

角田 1枚で切れてるやつですよね。はぁ、面白いなぁ。

豊津 これが僕にもちょっと分かんないんだけど、これブルギネフかなんだと思うんだけど、この星がどういう意味があるのかがちょっと分かんない。今回アーティストが来日してないから、聞けないんだよね。

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角田 これ、何かの星座を模してるんですよね?

豊津 うん、何かの星座の意味があるんだと思うんだよね。

角田 ブレセウスってなんか…牡牛座とかなんかそういうのがありましたっけ?

豊津 ああ、そうかも知れない。

角田 そんなような意味があった気がしてて。もしかしたら…ボクも全然詳しくないんですけど、牡牛座みたいなことかも知れないですね。

豊津 この人も31歳。さっきの女性の雲永業(ウィン・ヨンイェ)と同い年だね。

角田 はぁぁ、すっごい若い方が。

豊津 うん。恐るべし。

角田 面白いなぁ。

豊津 で、最後はこのShahpour Pouyan(シャプール)ってイランの作家ね。

角田 これ、イランの方なんですね。

豊津 これね、核爆弾のサイズ。

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角田 ああ、そっか。何かなーと思ったら、そうなんだ。

豊津 これ、爆発したときにロシアが今作った最大の原爆の規模。アメリカが開発したのがこの4つ。これが長崎に落ちた原爆。3,000倍なの。こんなもん作ってさ、一発落としたら地球は終わりじゃん。

角田 だって長崎でこれなんですもんね。

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豊津 そう、長崎これ。

角田 ビックボーイでしたっけ。

豊津 …あれは広島か?

角田 エノラ・ゲイが。

豊津 ああ、そっか。これが、ここに小さいのが映ってるんだけど、これが限定核だって。

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角田 限定核?

豊津 例えば地中に打ち込んで核爆発させると他に影響与えないで、、、

角田 小型核兵器みたいなやつ。

豊津 そう。小型核兵器。

角田 ああー、はいはい、ちょっと待ってください、これが……これちょっと1回見てもらっていいですか?こうやっといて、こうやると、ほら。大きく見えます?…はぁーぁ、なるほど。で、これが長崎。これが…なんでしょうね?

豊津 これはなんだか分かんないけど。だからこれが広島と長崎でしょ?で、これが今アメリカの持ってる核爆弾。で、次がロシアのUSSRが作っってんの。

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角田 だってこれがもし本当に長崎・広島だとすると、これ長崎県、広島県くらいの規模で…なっちゃいますね。

豊津 え?

角田 これが長崎”市”内の爆心だとしたら、これだと長崎”県”とか広島”県”くらい。

豊津 ああ、そうそう。これが落ちると長崎からだから名古屋辺りまでいっちゃうんじゃないかな。

角田 うん…そういうことだ。

豊津 でもこれ一発落としたら北半球アウトらしいよ。1日で放射能回るらしいから。地軸を考えると。

角田 そうですよね、こっちだって放射能になっちゃうわけだから。だってそもそもこれ…もうロシアがあるってことは、もう地球いつでも終われるってことですね。

豊津 うん、だから核爆弾はもうついに使えないってことになったの。ただ持ってるってことが大事なの。

角田 そうですね。相互確証破壊ってやつですよね。

豊津 だから今この番組で話していいか分かんないけど、アメリカ軍がアフガニスタンから撤退したでしょ?台湾から撤退するんじゃないかとかね、沖縄から撤退するんじゃないかとか言って。

角田 ありますよね。だって同じロジックだとそうなりますよね。

豊津 そうするとどうしたらいいか?って言ったら、核爆弾持つのが一番生産効率がいいって。

角田 っはぁぁ、そうなりますよね。抑止力としては。使わないけども。

豊津 そうなる。通常兵器だったら日本は中国にもう敵わないでしょ。だから尖閣列島に出てくると思う。そういう風に考えると、これ持っちゃったらさ、誰も使えないってことよね。

角田 うん…。あぁ、そう考えると核開発するってのはそういうことなんですよね。国力としては敵わないけども、これ持ってますよみたいな。

豊津 たぶん北朝鮮が持ってるのはこのレベル(長崎・広島)だと思う。でもこのレベルでも北京に影響を与える。ってことは、北朝鮮はもうすでに中国から侵略を受けることはまずない。

角田 ないってことですよね。持ってる段階で。

豊津 で、北朝鮮が侵略受けないってことは、韓国で安全保障が大丈夫なの。だからね、本当にこれから日本人がね、考えないといけないっていうのは…これ見ながらずっと考えてるの。

角田 これちょと…このサイズ規模で撮っておきましょうか。はぁぁ。うわ、このサイズ規模でみると一番右のあまりの大きさが──。悲しくなりますね。

豊津 でもそれをイランの青年がこの作品を作ってるってとこがまた、、、

角田 イランも核開発のね、疑惑みたいなのありますけどね。はぁー。

0:40:00

豊津 だからやっぱアートってのはイメージをどこかで実物、現実化しなきゃいけない。現実化した時に何が起こるか?ってのがアートの醍醐味だと思うんだよね。頭の中で考えてるうちは面白くない。伝わらない、人にね。

角田 それはだから、どう具現化するか?具体化するか?みたいなことか。今頭で考えてもこれがね、実際この立方体というかね、円になってるわけですよね。

豊津 だからこのサイズでここに日本地図作りゃよかったな。今考えてみたら。

角田 そうですすね。だってこれだって爆心地みたいなの考えれば、日本ってたぶんこんなもんですもんね。軽く埋まっちゃいますね、これでね。

豊津 一発で終わり。でもまあこれやると、一発は北半球全部一発で終わるから。

角田 うん、そうですよね。それを何発持ってるんでしょうね。

豊津 うん?

角田 何発…何十発、何百発も持ってるんでしょうね。

豊津 分かんない。それは。1個じゃない。

角田 1個じゃないですねぇ。なんかすごいものを作っちゃったんですね〜。さあ、なんとなく見てきましたが。おっもしろいなー、また相変わらず。

豊津 やっぱりボクは今回嬉しかったのはね、寿司ってことに中国の若い青年達が興味を持ったことだよね。で、やっぱりね、寿司って言うのは世界の料理人が一番不思議な食べ物らしいんだよ。

角田 あの、豊津さんから見てその中国のキュレーターの方が寿司に魅力を感じたってどんなポイントだと思います?

豊津 まず最初に中国人は生魚食わないでしょ?ね。それから中国とフレンチは加工するんですよ。料理ってのは素材が悪いところで発達するの。素材がいいところはそのまんま食べればいいわけだから、料理が発達しないわけですよ。

角田 だから寿司ってのは素材を食べてるみたいなことですよね。

豊津 そうそう。ところが、じゃあ寿司の料理ってどこで始まってるか?

角田 どこで…始まってるか?

豊津 まず最初に出汁って…料理人が作るわけじゃないでしょ?鰹節と昆布と。

角田 職人がね。

豊津 そう、干したものを。だから中国の場合、中国やフレンチの場合は全ての料理は一人の料理人が全部作るの。フォンドボーもそうだし。日本人は見えない、料理が。で、もっと言うと、刺身として美味しく食べるためにはもう船に揚げたところで血抜きしなきゃいけない。

角田 ふふふ、つまり漁師さんの腕だってことですよね。

豊津 だから料理が見えにくかったの。

角田 どこが料理なのか分かんない…素材なのか。

豊津 世界の三大料理って言うんだけど…、、、

角田 えっと…中華、フレンチ、…あと、トルコ?

豊津 で、それが面白いんだけど。中華とフレンチは誰も認めるの。で、誰も言うのが自分の国を3番目に(笑)

角田 ああー!なるほどなるほどなるほど(笑) だから日本だって和洋中って言いますもんね。

豊津 で、その日本料理の寿司の魅力が冷凍という技術によって素材の良いものをフレンチも扱えるようになったってこと。だからフレンチに生魚が出てくるの。

角田 そっか。出てきますよね。

豊津 そう。これは冷凍技術のおかげね。だからイタリアとスペインは海側の地中海側は日本料理みたいな料理食ってるわけよね。

角田 そうですよね。美味しいですもんね。

豊津 美味しいでしょ。だから僕たちはフレンチよりイタリア料理の方が。

角田 スペイン料理の方が美味しいなーって思いますよね。

豊津 食べやすいじゃない。で、中国とフレンチはパリが陸地の真ん中にあるから。

角田 そうですよね、海ないですもんね、パリはね。

豊津 京都と似てるんだよ。

角田 北京だってそうですもんね。

豊津 そうすると京都は陸地の、琵琶湖があるせいでまだいいんだけど、日本海側から来た食材と。

角田 鯖街道とか。

豊津 そう。それから…だから鯖街道は既に塩振ってね。

角田 燻製みたくして来ますもんね。

豊津 ね。そう、食べるでしょ。だから今日料理が発達してるわけ。

角田 そっか!それって、だから…あれなんだ、ちょっと北京料理とかフレンチとかと似てるんですね、京都の料理ってのは。

豊津 で、江戸は東京湾の江戸前。で、東京はなんでかというと、江戸というのが幕府を徳川が開いたために急激に人口が増えたの。

角田 100万って言われてますからね。

豊津 そう。食材が足らないの。漁師もいないし、瀬戸内海から漁師連れて来たらしいもん。

角田 へぇー!

豊津 それが佃島なんだって。

角田 はぁー!あそこは瀬戸内海の漁師達があそこで佃、まさに佃煮の佃ですね。

豊津 で、それを祀られてる神社が門前仲町のあそこに。

角田 なんだっけ?なんとか神社、門前仲町の。

豊津 だからそういう風に江戸っていうのは色んな人をかき集めて。鋳造は静岡、もしくは堺から鋳造技術者を呼んで、貨幣を鋳造したの。それが銀座。日本橋が金座。

角田 堺ってあれですもんね、鉄砲の産地だから今でも刀の産地ですもんね。はぁぁ、面白いなぁ。と言うようなことから寿司というのを、、、

豊津 それで中国人が日本に来て、生を食えなかったわけじゃない。ね。生で食べると当たるから。ところが日本では生が中心だったんで、寿司食ったらこれは、、、

角田 美味しいぞ!と。

豊津 これは元の方が美味えじゃねぇか!と。で、よく聞いていったら、すきやばし次郎さんのあのテレビ見て、いやぁ米が立ってるとかね。

角田 どんだけの強さで握るか?とかね。

豊津 そうそう。それから普段は手袋してるわけでしょ?それから仕込み。例えばアナゴだとか、それからコハダなんかは最初から酢に漬けたり蒸したり、色んなことをやって…。で、それに中国の若い人が…いや日本人は面白ぇことやってるなってことでこの【寿司】というタイトルを付けたんですよ。

角田 今なんか質問が来たんですけど。「これだけ人数いて、流れの底でみなさんの視点が繋がってる。似たもの同士のアーティストは自然と集まるものなのでしょうか?それとも展覧会に向けてコンセプトを徹底的に打ち合わせするんでしょうか?」って質問が。

豊津 これはだからさっき言った徐小丹(ペニー・ダン・シュー)って人がキュレーションしてるから、、、

角田 それってどこで話すんでしょうね?こういう寿司というコンセプトなんだってことを言うんですかね?

豊津 そう。だから寿司ってコンセプトが頭に浮かんだ時にそれに合った作家達が世界中に点在してるから、彼が集めてキュレーションしてるってこと。

角田 そうすると、なんか底ではでは繋がっているような作品群が生まれるんですね。

豊津 で、見る人はキュレーションしてあった方が見やすいでしょ。思想が繋がるから。で、それぞれはまた別の思想で作ってるかも知れないけど。

角田 でもこれ別の思想だけど、もうすごい馬鹿っぽく言うと皆んな小っこいじゃないですか。だから握り寿司みたいですもんね。1個づつの作品が。これ1個握り寿司だし、これ1個握り寿司だしって言うようなことなのかも知れないですね。

豊津 そうそうそう。だってさ、前から言ってるように今世界最高峰が500億でしょ?ダヴィンチの。

角田 作品、ダヴィンチの。モナリザ?

豊津 モナリザじゃなくて…ダヴィンチの…描いたと言われている救世主って絵がね、500億じゃない。あのダヴィンチの絵は僕が手で持てるんだよね。

角田 パッケージ、つまりモバイルってことですね。

豊津 そう。500億で手に持てるものって世界に何があると思う?

角田 あああー、そうなんですよ皆さん。これね、ボク豊津さんに会った時初めて衝撃を受けたのがこの話なんですよね。つまり500億の現金って持てないですよね。で、500億の金塊も持てないですよね。

豊津 10トンだからね(笑)

角田 10トンだそうです!トラックでも運べない…10トントラックでないと。なのに、あの絵一枚は持てる上に枠から外してキャンバスをくるくるくる〜と巻いてしまえば飛行機で持ち運べる。

豊津 そう。もっと良いのは北斎の木版画。浮世絵。1枚で3,000万するじゃない。A4のサイズで。(作品の目録の紙を持って)このぐらいで。

角田 うわぁー!これで!そしたらこれクリアファイルに入れて(笑) 自在に運べる(笑)

豊津 10枚で3億(笑) で、これをあなたのバックパックに入れてニューヨークに、、、

角田 500枚くらい送れますよね。

豊津 そう。どこ行ったって売れるからね。

角田 なおかつ版画だし。

豊津 だから美術っていうものが不動産は持てない、株券というのは制約がある、そうするとビジュ品というのは最もモバイルな動産なの。

角田 だからその…ね、豊津さん自分の著書にも書かれてるけど、アートというのは資本主義の一番の体現だって言ってるのは、つまり元々はキャンバスに描いてある絵ってキャンバス代と絵の具代だっていったら、ホント2〜3、000円ですよね。それが3,000万とか3億とか30億とかになっちゃうんですよね。

豊津 そう。そのベースになってるのが情報だよね。なぜダヴィンチが世界で最も優れたアーティストなのか?という情報が世界中に共有してるからね。

角田 だから皆んなが欲しいし、それぐらいのお金を出しても良いんだと思えるから500億になる。

豊津 で、少なくとも日本人は日本国内では円という貨幣は共有してるから、1枚22円で刷れるものが1万円になる。

角田 1万円は1万円だと。

豊津 そう。だから似てるんですよ、すごく。

角田 貨幣とアートは最初にお話しされましたけど、貨幣とアートは無限大というのは。

豊津 そう、イメージ。

角田 極論すれば22円で刷っててもこれが100万円札だよって言ったら100万円になっちゃいますもんね。

豊津 なっちゃう。だからそれがデノミじゃん。

角田 ああー、デノミ。そうですよね。おっもしろいなー。

豊津 だから100円を1円にしようとしてるんでしょ?財務省が。

0:50:00

角田 ああ、そうなんですね。

豊津 そうすると眠ってるお金が全部表に出るわけじゃない。変えなきゃいけないから。

角田 実はインドではそれやったんですよね。皆んなずーっと使ってるから使えなくなって電子マネーにするって言って。そしたら皆んな眠ってるの出すんですよね。

豊津 世界通過ってのはドルとユーロと円しかないじゃない。で、この円というものを中国は円で使いたい。

角田 ああ、元じゃなくて。

豊津 元じゃなくて。だから中国は世界通過を狙ってるんだけど、中国の財政がどうなってるのか分かんないから怪しんで世界通過にならないの(笑)

角田 んふふふ、なんかそんな話は聞いたことありますね。面白いなー!でもなんか豊津さんのところで何回かね、作品見せて貰ってるからというのもあるし、他の展覧会とか見てても…それこそね、さっきこれ始まる前にね、豊津さんと小説の三体の話したじゃないですか。なんか…中国の方が上行ってますね。なんか、色んな現況で見てると。

豊津 やっぱり歴史が深い。

角田 そう!深さが、作品の1個1個に…。いや、上手い下手とかはある意味同じような感じまで来ちゃってて、その…技術的なこと。そうすると後はその作品がどれだけ深いかみたいな感じだと。

豊津 だから日本は何をしなきゃいけないか?というと、例えばね、コレクションという概念は世界で最も古いのは日本人がやったってこと。

角田 おお!そうなんですか?

豊津 うん。正倉院。

角田 ああー、そうか、東大寺の。奈良の東大寺の正倉院は。

豊津 正倉院って言うのは光明皇后が聖武天皇を懐かしんで集めたもの。

角田 って言われてますよね。

豊津 ね。ってことは個人の人がコレクションを集めたってことよね。

角田 そっか!

豊津 こんなの千年も前にやってるのは日本人だけだよ。

角田 ああ、だからイギリスのテートミュージアムとかああいうのの走りは正倉院なわけですね。

そう。だから僕が思うには日本人が歴史をどういう風にやってきたか?例えば堂島で先物っていうのをやったのも日本人。だから日本人が文明を持っていなかったかも知れないけど、文明を変えるようなことは考えたの、文化の中で。そのことをもう1回学習するとまだまだ通用する。

角田 日本も通用するし、その日本独自の文化的な発展みたいなものはむしろこの島国の日本のオリジナリティだから、もしかしたらその大陸のね、中華文明とか西洋文明とかの深さにはないものが…。だからさっき仰ってましたもんね、中国の文明から日本にやって来たものが西洋の技術みたいなものが発達して今の日本の作品文化が生まれてるわけじゃないですか。それってだからある意味独自性があるってことですよね。

豊津 そう。もっと面白いことをね、この間天理にいるアーティストから聞いたの。

角田 天理って奈良のですか?

豊津 奈良の。お水取りっていたじゃん。お水取りってあれは二月堂でやる。で、毎年お水を取り替えるらしいの。瓶に入った。それをお水取りって言って、新しいお水を…3つ瓶があって、真ん中の瓶だけは全部捨てないんだって。それに足すんだって。おでんと一緒(笑)

角田 はっはっはっは!

豊津 そう!だから水は千年前から繋がってるってこと。

角田 それあれですね、ラーメン屋とかのずーっとこう足してるのとかと一緒ですね(笑)

豊津 日本人って面白い!

角田 面白いですね!全く新しいものに変えちゃう、じゃないんですね。

豊津 だからぬか漬けもそうでしょ。お婆ちゃんから貰った糠を嫁さんがやって、今、娘がやってるっていう。だから日本人は革命はないけど、常に改革をしてるってことよね。

角田 っかあーー、面白いなあ!

豊津 それをね、奈良のお水取りがさ、やってるって…もうすっごく面白かった。

角田 そうですね、ボクも「最速で身につく日本史」に書いたんですけど、日本には革命はなくて改革しかないんだって言ってるけど、それってそのお水取りもそうだし、もしかしたら日本のアートとかも革命的な展開とかじゃなくて、どう今までのものをどうくっ付けてとか離してとかで改革していくか?を延々と綿々とやってるんですね。

豊津 それをさ、途中から始めたのが聖火ランナーでしょ。ギリシャの聖火をずーっと伝えて日本に来るわけじゃない。あんなもん日本、千年以上前からやってるんだって。

角田 あっはっはっはっはっは!奈良でね、お水取りとして。なるほどなー。

豊津 だから日本人がもっと日本の歴史とかね、そういうことを勉強すればね、こういう話を世界の人に出来るじゃん。そうするとお前ぇの民族面白ぇな!ってことになるじゃない。

角田 それってだから、その…ギャラリーのね、存在。アートに対するギャラリーの存在意義みたいなことで言うと、日本文化のギャラリーみたいなのが必要ですね。

豊津 そう。だから僕が前衛って言葉に興味持ってて。

角田 アバンギャルドの前衛。

豊津 そう。アバンギャルドって言うのは日本の近代と現代の間にあるわけですよ。だから前衛って言葉が付いたのは美術だけじゃなくて前衛舞踏、前衛花道、前衛書、全部…前衛文学もあった。全ての文化に前衛がくっ付いたのが1960年代。で、70年になったら前衛って言葉がなくなって、現代美術と言うようになった。

角田 ああ、そこから現代美術になったんですね。

豊津 そうそう。そうすると前衛で滅んだものがいくつかあるわけよね。だから来年の1月はここでお華の展覧会やります。

角田 うあぁぁー!来年の1月はお華だそうです。

豊津 そう、だから来年の1月はここでまた角田君に来てもらって。

角田 やりましょう!

豊津 それを見てもらいたい。とんでもない華が飾られるはず。

角田 あの、またコメント頂いたんですけど。「中国が上を行くのは触れる情報の混沌さと多さでしょうかね。私はアーティストじゃないけど、たくさんの作品を見て自分ではダメだ!出来ない!と落ち込んでしまってる場合じゃないな〜。死ぬ気で見に行かなきゃ。」と思いましたって。だから死ぬ気で見に行かなきゃって今コメント頂きましたけど、なんかこれだけ情報が溢れてる割には的確なものを見てるのか?見てないのか?ってところってちょっとあるじゃないですか。それってだからやっぱりさっき言ったアートに対するギャラリーが必要だみたいな意味とか、なんか…なんかもっとキュレーションして見せなきゃいけないものってあるのかも知れないですよね。

豊津 多分ね、日本人はたかだか1億人の情報しかないの。ね。中国はその10倍の情報があるの。で、料理で分かるんだけど、四川料理と上海料理は全く別のものなの。ということは、料理があれだけ中国にあって、あれ全部別のものなの。外国料理みたいに思ってるの。

角田 広東と北京なんて全く違いますよね。言葉だって違いますよね。

豊津 だからそれだけ外を享受する力があるってことよね。日本は1億人しか享受する力が、せいぜいアイヌの人たちのことを知るとか、山岳宗教がある程度で。

角田 あと沖縄の、琉球文化とか。

豊津 だからやっぱり中国のすごさはやっぱりあの大陸の多きさで、あれだけ距離があると異質な文明が出来るってことだよね。日本は距離がないから大した異質の文明はないの。

角田 海と山ぐらいの差くらいしかないのかも知れないってことですもんね。

豊津 で、それも交通路が海で繋がってるから。ものすごく早く行けちゃう。中国は大変よあれ。

角田 だからむしろずーっと隔絶してたかも知れないってことですよね。

豊津 あの…中国のね、漢詩っていうね、その詩の中で面白いのが北方の万里の長城に出兵に行くわけ。今で言うと福岡に出張するみたいな。

角田 はい、防人みたいな感じですね。

豊津 ね。すると防人が行くじゃない?もう二度と帰ってこない(笑) 遠くて。それで柳の木がね、揺れるでしょ?するとこの柳の木が中国の漢詩に多いのは、柳の木が帰ってこいってことなの。揺れると帰っていらっしゃいっていう感じになるんで、柳の詩が多いんだって。…銀座も柳なんだけどね。

角田 あっはっはっは!

豊津 帰って来いって発想はない。

角田 ないかも知れないですね(笑) はい!まあそういうことで話して来ましたけども。また面白いんで…これ、いつまで展覧会やられてるんですか?

豊津 9月の5日くらいまで。

角田 9月の5日までだからまだ2週間くらい…

豊津 そうそう、2週間くらい。

角田 1週間2週間くらいありますので、もしよろしければ。この豊津徳見た!と言えば豊津さんからありがたいお話しが聞けると思いますので。

豊津 居ればね。

角田 居ればね。あとコロナですけどね、ちゃんと皆さん感染対策を…

豊津 僕もね、今ね、11時過ぎくらいに来て、4時には帰っちゃうの。

角田 そうですよね、今篭もってる場合というか、一つの場所でね、ずーっとやってるよりはちゃんとステイホームというか。

豊津 そう。ワクチン打ったとはいえね、安全かどうか分かんないから。

角田 そうですよね。早くこのコロナを乗り切って。乗り切れるか分かんないですけど。

豊津 でも画廊はね、三密になりませんから。ちょっと…4、5人で来たって大した密度にならないんで。

角田 さっきも話しましたけど美術館も今空いてますからね。むしろ芸術の干渉にはうってつけの時間かも知れないと。

豊津 いや、見る時代じゃない。買う時代なの(笑)

角田 買う時代だそうです(笑) はい、皆さん給料、痛いと思うくらいのお金をかけてアートを買うのが一番アートの勉強になると。

豊津 あの、ローンも受け付けてますんで(笑)

角田 だんだん資本主義みたいな話になってきたので(笑) この辺で終わりにしましょうか。はい!と言うことで【豊津徳】HozuTaikでございました。また来月よろしくお願いしまーす!

豊津 どうもありがとうございました。よろしくどうも。

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教養としてのお金とアート 誰でもわかる「新たな価値のつくり方」 田中靖浩・山本豊津 著

コレクションと資本主義 「美術と蒐集」を知れば経済の核心がわかる (角川新書) 水野和夫・山本豊津 著

アートは資本主義の行方を予言する (PHP新書) 山本豊津 著

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 「二郎は鮨の夢をみる」てっきりNHKあたりのテレビの特集だと思っていたら、アメリカ人監督によるドキュメンタリー映画。すきやばし二郎の85歳の店主・小野二郎と、父に追いつこうと奮闘する長男・禎一、似ているけど雰囲気が異なる店を経営している次男・隆士、それぞれを追った作品らしい。YouTubeに映画の予告編があるし、アマプラでも見られる。
 数寄屋橋ではなくすきやばし、次郎ではなく二郎なんだなーなんて思いつつ、気になったのは寿司じゃなくて鮨。そういえば寿司と鮨の違いななんだろうかと検索してみると、時代が古い順に「鮓→鮨→寿司」の3種類あり、【鮓】は熟鮓(なれずし)など米を発酵させたものに魚を漬け込んだもの。熟鮓って発酵ものなんだなって分かりやすい。【鮨】は元々は中国で魚の塩辛を意味したもので、熟鮓以外のすし全般のこと。【寿司】は寿詞が由来らしく、寿を司るという意味で江戸時代に縁起文字として生まれた当て字なんだそう。
 寿司は魚へんじゃないし当て字なので、魚を使わない稲荷寿司や五目寿司、とにかくすし全般に使いやすいとか、鮨は魚へんに旨と書くことから、特に旨い魚にこだわる店が使う傾向があるとか、江戸前は鮨とする傾向が強く、東京以外では寿司を使う店の割合が多くなってたりするとか、面白い話がたくさん。あとは発酵に時間のかかる熟鮓に対し、握り寿司を早寿司と言ったりもするらしい。
 熟鮓は食べたことがないからいつか食べてみたい。匂いは強いと聞くけど、どのくらいなんだろうか?とりあえず明日はスーパーのでいいから寿司食べたい。

 以前の豊津徳で角田さんがアーティストというのは暗いイメージがあるという話をしていた。アーティストは躁鬱が激しいというイメージは一般的だと思うし、たぶんそれは映画やドラマを見た印象が強いんだと思う。──映画やドラマでアーティストの苦悩を表現するとなると、やっぱり鬱感強めの演出になるのか?そもそも鬱々と苦悩している雰囲気がドラマティックだから、そういう風に見えるアーティストの映画やドラマが創られるのか?あの常軌を逸した感じがアーティストの特別感に見える人というのは、アーティストではない証拠なのかな…?
 よく物語とか時間とか人に対して厚みがあるという表現ってあるけど、その厚みという表現をそのままの厚みという意味で3Dプリンタで出してしまうことって、ちょっとした悪ふざけをしてるような、いたずら感というか、可愛げというか。
 私のFacebook友達で、仲良くして下るミュージシャンの方がいる。彼が言うにはメロディーは突然降ってくるそう。電車に乗車中に降ってきてしまった時は、急いで連結部分へ行き、一人で歌ってメロディーを覚えたなんてことも言っていたけど…。アーティストの方の制作の過程の、特に最初、ドカンッ!と、なのか、フワッ!と、なのか、色々あるだろうけど、閃いた時の様子、降ってきた瞬間の話って面白い話がたくさんありそう。

 点と線と面、点も線も厚みがあったら点でも線でもないから現実に存在するものは面しかないという話。角田さんがどこかで読んだというのは、確か本の表紙をインスタにあげていたなーと探してみると、私の記憶ではヴァシリーカンディンスキ著「点と線から面へ」だったんだけど、実際の角田さんのインスタでは隈研吾著「点・線・面」だった。覚え間違いしてたな…。
 で、他に「点線面」という雑誌があると知った。Vol.1が出たのが2016年で、Vol.4から5の間が3年半くらい空いてるなんか変な雑誌なんだけど、点が繋がって線になり、線で囲われると面になるみたいなことが書いてあって、そうか、点がないと線も面も成り立たないんだなーなんてことに妙に納得してしまった。一番簡単に面になるのは三角、点が3つと線が3つで面1つ。三次元とか3•6•9とか、なんとなく不思議な感覚がある。こういうことを言うと親には思い込みが強いとか、なんでもこじつけない!なんて言われたけど、こじつけられたかと言うより、何か繋がりがあるかと言うより、よく分かんないけど思い浮かんだということをもうちょっと大事にしていたら、何か、もっと違う自分になれたんじゃないか?なんて、ちょっとしんみり気分になる。

 コインを潰して絵を描いた寿司展キュレーターのお一人、倪有魚(ニー・ヨウユ)さん。名前がそもそも魚が有るのね(笑) 倪は睨むって意味らしいけど、つまりよく見てるんだろうと思うと面白い。紙や金属に絵を描いたものがお金で、出来上がった物は材料費より高価。人が法律で価格を決めるのがお金、人が感情?感性?で価格を決めるのがアート。確かに似てる。
 …以前、骨董市に「ガラクタ拾ってきてあーだこーだ理由を付けてこの値段だろ?元はいくらなんだよ?すげぇ商売だよなあ!」と店の前から動かない超迷惑なおっさんがいたけど、そのことが忘れられない。(何を基準にして”いい”なのかは色々だけども)いい小説やいい映画もそうだけど、平たく言うと心が動いた作品がいい作品だとすると、こころが動いたアートだから高値。…それって「考えるな感じろ」でアートを見たってことだ。豊津さんは「考えてから感じる」と仰ってて…あれ?でも、映画や小説はストーリーがあるから実は考えて感じる流れに自動的になってるのか。そうするとアートはストーリー、考える材料を豊津さんみたいなギャラリストが伝えてくれるから…やっぱり考えてから感じるのが正当な順序なんだな。
 そうなんだけど、そのストーリーが作品を作った人+伝えるギャラリストの解釈分の数になるからストーリーが多くなる。たぶん、迷惑親父の言い分が引っかかっるのは、私が子供の頃に言われたなんでもこじつけない!ということと同じだからなのかも知れない。作者のストーリー以外は全て個人的なこじつけという解釈とも言えるから、だからたぶんストーリーに騙されるな!という感覚が割と理解できちゃってる。つまり私の考え方が高尚の反対だから…低俗だってことを突きつけられるというか。高尚な方へ行こうとしても低俗も分かるし足引っ張るし、みたいな???
 私の超個人的な気持ちなのに本人が全く理解できてないけど、豊津徳をずーっとずーっと見ていれば、そのうち何かがカチャッと嵌って…。そうか。チャットに「死ぬ気で見に行かなきゃ。」と書いた後に「見る目の質が先。見にいきゃ良いってもんじゃない。」って、自分で書いてた。豊津徳で質をあげよう。豊津徳って大事だ。



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