アトリエの前で 〜敬意を込めて〜
夏から秋に変わる瞬間の季節が好きだ。
茹だるような暑さから逃れることができることに嬉しさを覚えながら
なぜだか夏が終わる切なさみたいなものに寂しさを感じるという
ごちゃついた想いを同居させて。
秋風っぽさを感じながら、いつだってわくわくしてる。
今年も例年通り、大好きな金木犀が、ほのかに香り始めた。
ああ、大好きな季節たちをまた連れてきてくれるんだね。
訳もわからずセンチメンタルになって
いろんなことに想いを馳せてしまうことを
この季節は許してくれる。そんな気がする。
お気に入りの連載があった。
それを知ったきっかけは、正直覚えてない。
ただこの連載を見つけたときの胸の高鳴りは覚えてる。
何気なく読んだエッセイとか詩とか
好みだったときの高鳴りって、特別だと思う。
自分だけの宝物を見つけた気分になって
そっとギュッってして、忘れないようにしたいって思う。
この時もそうだった。
恋に落ちた そう思った。
毎月、楽しみだった。
今回の題材は何か、とか どこの美術館にフォーカスが当たるのか とか
行ったこととか関係のある美術館にフォーカスが当てられたときは
それなりに興奮した。
でも突然だった。
連載している雑誌が不定期刊行になると発表された。
難しい。
不定期って難しい。
習慣的な楽しみがなくなることは理解できた。
不定期で刊行される雑誌には、掲載されるのだろうか。
終わってしまうの?それとも終わらないの?
そんな想いを抱えながら、定期刊行の最後を迎えた。
久々に終わらないで欲しいと願い
なんだかんだ続くのでは?と思っていた。
でも、とりあえずの 最終回 を目の当たりにして思うことは
不確かな続きの予感 そして 終わり の確信
彼が最後に書き記した
「まだ続け」を信じたい。
あのエッセイのいちファンとして、信じていたい。
真っ直ぐでどこかひねくれた言葉たち
確かに好きだった。たぶんなによりも。
彼が紡ぐ言葉に 恋に落ちてた。
だからどうか、また会う日まで。
そう言わせてほしい。
でもこんなセンチメンタルな気持ちになってしまうのは
きっと金木犀のこの香りのせいだし
それを許してくれるだろ?