今日の壁打ち:米国市況レポート 2024/11/13
はじめに
こちらのレポートは2回構成になってます。最後に11/16の更新分として、なんで例外的に11/13のレポートのみ掲載することにしたのかの理由が書かれています。
11/14朝更新分
概況
株は小幅な動き。CPIを受けた利下げ期待で一時上昇も終盤に失速。S&P500種は微増、ナスダックは下落。債券市場はスティープ化。短期債利回り低下、30年債利回りが上昇。外為市場ではドルが対円で155円台、ドル指数4日続伸。原油は小幅続伸し68ドル台。中東供給リスクと供給過剰懸念の狭間。金はドル高で4日続落。
米国市況 / NY時:2024-11-13
株式市場
米国株式市場は、米消費者物価指数(CPI)の結果を受け、利下げ期待が強まるも取引終盤に勢いを失う場面があり、全体的に小幅な動きに終始。
CPIの予想通りの結果により、市場は12月の利下げを期待しつつも、選挙後の相場上昇の行き過ぎへの懸念もみられる。
S&P500は終盤に失速し、ビットコインも一時の急騰後に失速。
国債市場
米国債利回り曲線がCPI発表後にスティープ化。特に短期債の利回りが低下し、5年債と30年債の利回り差が拡大した。
CPIを受けた利下げ期待の高まりにより、12月FOMCでの利下げが市場で織り込まれる動きも見られた。
外為市場
ドルはCPI発表後に上昇。対円で155円台半ばまで進み、円は7月以来の水準に再び下落。日本の財務省による介入の可能性が市場に意識されている。
ドル指数は4日続伸し、為替市場におけるドル買いが強まった。
原油市場
原油は中東の供給リスクと需給見通しの変動の中で小幅続伸。相場は供給リスクを巡る動向に振り回される一方で、今年の高値から20%超下落している。
金市場
金価格はドル高とともに4日続落。CPIを受けた利下げ期待が一時金を支えたが、その後はドル高により売りが優勢となった。
10月米消費者物価指数(CPI)結果とその影響
CPIの結果:
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前月比0.3%増加。これで3カ月連続で同水準の伸びを維持し、市場予想と一致。
総合CPIは前年同月比2.6%上昇し、3月以来の加速を見せた。
住居費が0.4%の伸びで、総合CPIの半分以上の寄与を示したことが注目された。
市場反応:
CPIの結果を受けて、12月の利下げ期待が高まり、米金融市場は一時的に安定を取り戻したものの、インフレ抑制の進捗が鈍化していることが改めて示された。これは市場関係者からは慎重な利下げペースの継続が必要との見方を強調する要因となった。
ブルームバーグの算出によると、過去3カ月の年率ベースでコアCPIは3.6%の上昇となり、物価圧力が完全には収束していない状況を示した。
金融当局の見解:
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、インフレが2%の目標に向かっている点を肯定しつつも、データの追加分析が必要と慎重な姿勢を崩していない。
ダラス連銀のローガン総裁や他の市場関係者も、追加利下げについては慎重なペースで進める必要があることを指摘し、ペースの見極めが難しいとの見解を示した。
市場の見方と影響分析:
株式市場では、CPIの結果を受けて利下げ期待が維持されつつも、投資家心理が慎重になり、取引終盤には失速が見られた。
国債市場では、短期債利回りの低下が顕著で、米国債利回り曲線がスティープ化した。
ドルは上昇し、特に円に対しては7月以来の水準となる155円台に進んだ。
この結果から、インフレ圧力が依然として根強いものの、市場の利下げ期待が12月のFOMCに向けて織り込まれており、金融政策の動向が引き続き注目される状況です。住宅費やエネルギーなど一部分野の伸びも影響を与える重要なポイントとして指摘され、来年以降の金融政策見通しにおいて不確実性が残っています。
投資家向け本日の米国市況レポート
2024年11月13日の米国市場は、CPI(消費者物価指数)の結果が注目を集め、主要な動きを見せました。市場におけるインフレデータの意味合いと、12月の利下げへの期待が交錯し、各市場に様々な影響を与えました。
外為市場
CPIが市場予想通りの結果となったことで、米ドルは対円で155円台半ばに達し、円は7月以来の水準に下落しました。この動きは日本の財務省による介入の可能性を意識したトレーダーたちによってさらに強調され、ブルームバーグ・ドル指数も4日連続で上昇しました。ドルが買われた背景には、12月の利下げ期待が市場の根底にあり、米金融政策の動向に市場の目が向けられています。
株式市場
株式市場は、CPIの結果を受けて一時的に買いが進み、S&P500種株価指数は一時上昇を見せましたが、取引終盤には失速しました。これは選挙後の市場の過剰な楽観が見直され、利下げ期待を織り込みつつも、慎重な動きが続いたことによります。特に、投資家は年末の見通しを見極めるため、政策動向の影響を慎重に判断している状況です。取引では、特定のセクターに明確な反応は見られなかったものの、利下げを期待する声と慎重姿勢を保つ市場心理が複雑に交錯しています。
国債市場
国債市場では、CPIを受けて短期債利回りが低下したことで、利回り曲線がスティープ化しました。特に、30年債利回りが4.64%に達し、長短の利回り差が広がる展開に。市場は12月の利下げ期待に反応しつつも、長期的な利回りの上昇を背景に、引き続きリスクと機会を吟味する状況です。こうした動きにより、市場参加者はインフレ動向の確認を続ける必要性を感じており、慎重な売買が続いています。
原油市場
ニューヨークの原油先物相場は続伸しました。市場は中東の供給リスクと来年にかけての供給過剰懸念を天秤にかけながら取引を進め、WTI先物価格は68.43ドルで引けました。中東情勢が不安定であることが市場の注目を集めており、供給リスクと需要低迷の間で揺れる価格動向が続いています。この背景には、供給リスクの再燃といった複数の要素が複雑に絡んでおり、取引は慎重さを増しています。
金市場
金相場はドル高の影響を受け、4日連続の下落となりました。CPI発表後、一時的に金利低下の追い風を受ける場面も見られましたが、その後はドル高が市場を支配し、金価格は下落に転じました。市場では、利下げがインフレ圧力を抑制する効果を期待する一方で、ドル高が金への投資を抑える要因となっています。これにより、金は短期的な不安定な動きを続けています。
コラム: 市場を動かす「ドル高」の背景
ドル高の背景には、米国の強い経済成長や利下げ期待の混在が影響しています。特に、今回のCPIデータに示されたインフレ動向は、金融政策に影響を与える要因として重要です。市場がドルを選好する状況下では、他国通貨に対するドルの強さがしばらく続く可能性があるでしょう。これにより、原油や金など、ドル建て商品にも直接的な影響が及び、市場の変動が続く見通しです。
以上が本日の米国市況の主な分析です。市場動向を見極める上で、今後のCPIや利下げ動向、国際情勢の変化にも引き続き注意が必要です。
11/16更新分:そもそも何故このレポートを例外的に載せたのか?
昨日11/15の米国市場、一気に下げが来ましたが、これに関しては実にわかりやすいというか、その2日前の11/13に長期債利回りと短期債利回りが大きく逆方向に変化したので、近々大きめの調整が来ることは予期しやすかったかなと。このレポートを例外的にnoteに載せたのは、そのことを後に検証するためです。
発端
11/14の朝起きて金利チャートの変化をみたらいつもと違った状況だったので、GPTsに市況分析をさせたところ、黄色信号を出していたので、その日だけnoteで解説抜きで分析レポートを掲載することにしました。
特に気になったのが、トピック分析で黄色のアンダーラインをつけた4つの項目で、失速の気配があるにも関わらず支えているのが「12月の利下げ期待の強まり」という部分です。これは逆を言えば「12月利下げの織り込みが外れると大きく下げる」ということ。
そこでこのnoteをアップしておいて、翌日以降もこの見立てがどうなるか見続けてきたということです。
13日以降の動き
その後の動きはこんな感じになりました。特に15日には、米国市場はどの市場も大きく下げることになりました。
14日にパウエル議長のタカ派発言が飛び出したので、「下げた」ということですね。14日以降のトピック分析の青いアンダーラインがそれ関係です。
Thanksgiving dayを控え、相場全体が下げる機会を探っていたところだったので、予想通りきたなという印象です。
恐らくこの下げは来週いっぱい続くと思われますが、暴落にまではならないだろうなと考えるのは、すでに昨日の段階で10年債利回りに再調整が入っていること(トピック分析の赤いアンダーライン)。債券市場が正常に機能しているので、ここんとこの上げすぎ基調の調整が十分に行われ、グリードな市場参加者をたたき落とした段階で切り返すんじゃないかしらと、予想してます。
(とはいえ、ここは予測なので、その通りになる保証はないですけどね)
この通り、ChatGPTによる市場参加者のセンチメントに注目した米国市況分析は、相当役に立つという印象です。毎日レポートを読んでいると、こんな感じで潮目を見ることができます。