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何ベなのか分からない

自分が何べなのかよく分からないまま生きている。

いわゆるパーソナルカラーのことである。
大雑把に分けるとイエローベースとブルーベース。
もう少しフォーカスすると春夏秋冬。
更にフォーカスするとこうなる。

春…ライト/ブライト/ビビッド/ウォーム
夏…ライト/ブライト/ミューテッド/クール
秋…ストロング/ディープ/ミューテッド/ウォーム
冬…クリア/ディープ/ビビッド/クール

いや多っ…めちゃくちゃ刻んでくる…!
これはいわゆる16分割という診断結果で、もっともっとフォーカスすると24分割なんてものもあるそうですがどこまで分割するねん16分割でも細かいのに…?

自分に似合う色が分かると「綺麗に見える」「無駄な買い物を減らせる」といい事づくめなので、パーソナルカラー診断はとても人気がある。そうよな人間って自分のこと知りたいもんな…哲学という学問だってそこから生まれたんだ…

私は全くオシャレとは縁遠い暮らしをしているけれど、自分探しに彷徨う民なので実は診断を受けたことがある。かれこれ10年以上前、自分が一体何べなのかを知りたくてミナミのサロンへ行ったのだ。

そこはシンプルに4分割で診断してくれるサロンで、結果は「ほぼ春、ちょっとだけ秋」だった。因みに夏と冬の要素は0らしく、渡された診断結果を見るとNGカラーが多すぎて笑ってしまう。私は黄み寄りの明るく柔らかい色が似合うらしい。確かにフレッシュな若草色とか鮭の切り身みたいな色が大好きだ。

診断を受ける前から、私は絶対にイエベで、そして恐らく春だろうなと思っていた。

シルバーアクセサリーをつけると肌が黒ずんで見えるし、青みの強い色の服は「今日なんかしんどそうですけど大丈夫ですか?」と心配される。アイシーカラーのアイシャドウを塗れば小じわやたるみが強調され5歳は老け見えするし、小豆色のチークをぼかしただけで顔が死ぬ。ユニコーンカラー?論外だ。

逆にゴールドのアクセサリーは肌ツヤが良く見え、ピンクベージュやオフホワイトの服を着ると「なんか今日イキイキしてますね」と言われる。サーモンピンクでメイクをすると多幸感が溢れるし、困った時はゴールドラメを散らしとけばオールオッケーだ。

分かりやすい、実に分かりやすいイエベ春の化身である。

診断を受けて以来、私はイエベ春に似合うとされる色以外を切り捨てて生きてきた。ごくたまに冒険してロイヤルブルーやフューシャピンク、ブルーグレー等に手を出してみるも、色としては好きなのに屍人みたいな顔色になってしまいたちまち後悔する。やはり春色しか勝たん…!

ところが最近私の春神話が揺らぐ出来事が起きた。
マスクのストックがきれたので、ネットでカラーマスクを注文した。いつもコーラルピンクのマスクを使っていたのだが在庫切れで、何となく適当に似たようなピンクを買った。

届いてみると、これがもうバチバチの青みローズピンクでしかも紐の色がクリムゾンレッドである。
間違えた~~~これ絶対夏の人のマスク~~!私が付けたらゾンビになるやつ~~~!!

とはいえ買ってしまったものは仕方ないし、こんなにレディライクなカラーを夫にあげるわけにもいかない(因みに、要る?と訊いたら要るかボケと言われた。お口が悪すぎませんか)

仕方なくこのマスクをつけて会社に行った。トイレで鏡を見る。

…おや?なんかキミ、ちょっといつもより色白で透明感ありません?肌すら綺麗に見えてません?おや…?え…???

目の錯覚かなと思いトイレに行くたび鏡を凝視する。やはりいつものコーラルピンクのマスクよりも明らかに似合っている気がする。

分からなくなった。私は本当は何べなんだろう。
プロ診断では春。
ネットのチャート式の自己診断は百発百中で秋。
似合うマスクの色は夏or冬。
もうめちゃくちゃである。

というわけで夏のボーナスが支給されたら16分割のサロンを探しに行きます。何べなのか分かったらまた報告します。






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